大山が学生最後の大会で5位! 二ノ宮は次に弾みを付ける3位入賞/全日本大学選手権

2016.11.12
 しぶとく入賞を狙った。フリースタイルの学生王者を競う今大会。学生最後の大会として試合に臨んだ86㎏級の大山博貴主将(営4=仙台育英)は準々決勝で敗れるも、敗者復活戦で勝ち進み5位に食い込んでみせた。同じく97㎏級の二ノ宮寛斗(営1=岐南工)も準々決勝敗退から敗者復活戦へと回り、10月に行われた全国グレコローマン選手権に続く3位入賞を果たした。
 「悔いはない」。試合後は清々しい顔を見せた。大山の準々決勝の相手は8月に行われたインカレ王者・松坂(日体大)。「相手が誰だろうと関係ない。負けたらそれはそれ」と挑戦者として臨んだ。試合開始直後から積極的に技を仕掛けるも、相手も簡単に点を与えてはくれない。後半戦30秒で4ポイントを先制されると、そこからは一気に流れを持っていかれた。4分35秒、0―8のところでフォール負け。1、2回戦ともに無失点のテクニカルフォール勝ちだっただけに悔しさはあったが「今までで一番良い試合だった」と終始攻めの姿勢を貫いた試合を振り返った。その後の敗者復活2回戦は危なげなくテクニカルフォール勝ち。3位決定戦では山崎(早大)に9月に行われた六大学リーグ戦に続くテクニカルフォール負けを喫するも「負けるとしても(得意の)飛行機投げをして、攻めて負けようと思った」と自身のレスリングをやり切った。
 全国3位は目標への通過点だ。万全の状態ではなかったという二ノ宮。準々決勝で当たった吉川(山梨学大)は初対戦となる相手だった。開始2分でタックルを決め幸先良く先取点を決めるも「(タックルを)失敗したら逆に点を取られてしまう」とその後はなかなか攻められず。二ノ宮が守りに入ってしまう一方で相手はスキを逃さずバックを取る。着々と点を重ねられ、2―7で試合終了。早すぎる敗退に大きくうなだれた。リベンジがかかった間島(東洋大)との敗者復活2回戦では「自分から攻めていけた」と本来の攻めの姿勢を取り戻す。序盤に6ポイントを先制されるも、ローリングで点を量産し逆転を決め、見事テクニカルフォール勝ち。続く3位決定戦では執行(福大)相手に11―0で勝利した。しかしそれでも「まだまだ足りないことばかり」と妥協はない。全国3位でも納得のいく試合ができなければ意味がない。持ち前の「攻めるレスリング」で高みを目指し続ける。

 初日の勢いそのままに連日の入賞を狙う。最終日は66㎏級の仲田滉(法2=花咲徳栄)、70㎏級の寺田靖也(農4=八千代松陰)、74㎏級の奥田海人(政経2=霞ヶ浦)の3人が出場。寺田と奥田は先日の全国グレコローマン選手権に続く入賞に期待がかかる。「今日以上の結果が出るように」(大山)。主将・大山率いるレスリング部の集大成を見せる。

[谷山美海]

試合後のコメント
安西信昌コーチ

「それぞれ一歩ずつ前に進んでいるなというのは感じた。練習した成果がちゃんとマットで出てたんじゃないかと。『勝負を意識する』というのが大事で、そういった小さな意識の変化で日頃のスパーリングも変わってくると思う。その流れがいわゆる『チーム力』だと思うし、自分たちでそれを作ってほしい。(大山は)僕がコーチを始めた年に入ってきて、最初のうちは自分の得意な所では点が取れるけど、結構ヘマをする試合も多くて。勝てる試合も落としたりしてたが、しっかり勝負所で決められたり、自分の強い所と弱い所を上手くコントロールしてどんな相手でも戦えるようになった。今日も負けはしたが、自分のレスリングが良い形でできていたと思う。(二ノ宮は)始まる前から本人も僕も準備不足を感じていたところがあって。そこがどう出るかと思って見ていたが、吉川選手にああいった形で負けてしまって。やっぱり二ノ宮といえども『準備をしてこないと良い試合はできないんだ』ということと本人も感じたと思うので、負けは負けだが次につながる、反省点が明確な負けだったと思う。(他の選手は)平嶋(礼智・文2=玉名工)は前できなかったところが段々とできるようになって。そうなってくると良い所とまた別のできていないところも見えてきて。そうやって確実に練習の成果も出てきているので、強くなってきていると思うし次の試合が楽しみ。喜多(雄介・政経4=三井)は試合前にケガをしていて、なかなか満足に準備ができない中でしっかり4年生として戦えていた。米川(優人・農2=八千代松陰)はまだ足りないところはあるが『自分が勝つために何をすればいいのか』ということを気持ちの部分も含めて、考えながらやっていってほしい。(明日の試合への期待は)もちろん表彰台に上ってもらうということが一番だし、期待している。選手一人一人がしっかり勝負してほしい、試合で。相手どうこうじゃなく、自分の持っている力をぶつけて、勝つか負けるかの勝負をしっかりしてほしい」

大山
「学生として出場する最後の大会だったけど、全部やれたのでいいかなと思う。悔いはないかな。(今日の調子は)良かった方だと思う。(準々決勝の相手はインカレ王者でしたが)相手のことを考えると動きに影響が出るので、今日はやる前から『相手が誰だろうと関係ない。負けたらそれはそれでしょうがない』ぐらいの気持ちでいった。結果的には負けたけど良い動きができたし、今までで一番良い試合だったかもしれない。(3位決定戦は)正直辛かった。体力も速さも向こうの方があるし。できれば1、2回戦みたいに飛行機投げとアンクルで決めたかったけど。負けるとしても飛行機投げして、攻めて負けようと思った。(先日、寺田さんが『うちは大山が勝って、背中で見せて引っ張っていくチーム』とおっしゃっていましたが)全然そんなことない(笑)。インカレ3位なのに今回5位になって、一つ下がっちゃったんでね。申し訳ない。明日もエースの寺田、奥田、仲田といるんで今日以上の結果が出るように頑張ってもらいたい。(後輩たちの戦いぶりは)みんな動きが良くなってると思う。『負けてもいいや』じゃなくて『勝ちたい』って気持ちが出てる。これからも頑張ってほしい。(最後の戦い、悔いはありませんか)ない、全く。やり切った。(これからのレスリング部に望むことは)まずはリーグ戦の順位が上げられなかったので、来年は多分本多(正龍・営3=島原)がキャプテンになると思うけど、同じ階級には奥田もいてどっちが試合に出てもおかしくないので、二人で切磋琢磨(せっさたくま)して頑張っていってほしい。来年の4年生は僕らよりも下に物を言えて、しっかりしてると思うんできっと上手くやってくれると思う」

二ノ宮
「1回戦からインカレの準決勝の相手で、調子は良くなかったけど、今年負けてる相手が別のヤマにいたから決勝まではいかないといけないと思っていた。2回戦は初めての相手で今年は結果が残せてなかったけど、強い相手だっていうのは分かっていた。自分はこの試合に向けてなかなか調子が上がらなくて、普段は調子が悪くても試合前には戻して臨むけど、今回はそのままきてしまってこういう結果になった。なかなか練習でもタックルに入れなくて、今回は1回タックルに入ったときに2点取れたけど、相手のディフェンスも甘くてぎりぎり取れたって状況だったので『失敗したら逆に点を取られてしまう』っていうのを意識してしまった。結局、なかなか決められないまま試合が進んで、守りに入ってしまった。相手もタックルが得意で得点能力のある選手だったので、自分が積極的にいけたら良かったけど、練習からの悪い流れがそのまま試合にきてしまった。タックルを決めにいっても相手に逆に点を取られてしまうっていうのは、自分のタックルの甘さと技術の足りなさ。もっと攻めていけたら違う展開になったと思う。(間島さんとの敗者復活戦は)なかなか攻められないせいで調子が悪かったし、本戦で負けたときに安西コーチから『今回は思い切って試合ができていなかった』って言われて『次は攻めていこう』という話をしていた。最初は自分が首投げにいって返されたけど、自分から攻めていけたので悪くはなかったと思う。でも、その後にローリング返されてしまって、投げられたことよりもそこで2点取られたことに技術的な甘さを感じた。自分は攻めるレスリングをする選手だと思うので『6分間流して戦おう』とかよりも、思い切って点を取りにいこうと思った。(3位決定戦は自分のレスリングが)できたと思います。ただ、インカレの時とか普段は点を取った後にグラウンド技でもっと大差を付けることができたけど、相手も分かってるので、なかなかそれをやらせてもらえなくて。そこで取れるか取れないかが勝負をものにできるかどうかだと思うので。今回は相手が足を踏んでタックルをしてくる珍しい選手で、点は取られなかったけどもっと相手にプレッシャーをかけて相手に足を触られないようにしたりだとか。(今大会を経ての気づき)調子が悪いまま大会にきてしまって思うような結果が残せなかったので、そこは勉強になったかなと。調子も勝手に上がるものじゃないので、自分で上げていかないといけない。上げた状態で試合に臨まないといけないっていう心構えもたりなかったと思いますし。技術的にもまだまだ足りないことばかりなんで。2回戦で負けたときは大分落ち込んだけど、勉強になったと思って。次の試合からは新しい代になるので、これからはどの試合も全部勝てるように今回の反省を生かして頑張っていきたい」