~インカレ直前~ (6)有延大夢

2016.10.27
 好調を維持している。有延は春先に関東学生選手権で優勝。全日本選手権・団体の部では全日本選手権(個人)で準優勝の張(東京アート)をストレートで破る大金星を挙げた。集大成のラストシーズンで、勢いは確実に増している。
 苦い思い出を積み重ねてきた。1年次は右手を骨折し、秋季リーグ戦に出られず。グランドスラムを達成した2年次も、二つ上の平野友樹選手(平27商卒・現協和発酵キリン)、神巧也選手(平27政経卒・現シチズン)らに囲まれ、出場機会は多くはなかった。同期の町飛鳥主将(商4=青森山田)や丹羽孝希(政経4=青森山田)が活躍した団体インカレには、有延は一度も出られなかった。「自分が試合に出て勝ちたくて。団体戦で活躍したい気持ちが強かった」。
 もともと、明大進学の決め手は団体戦だった。高校3年次に、明大が団体インカレで優勝する光景を直接見て「自分もここでやりたい」と望んだ。明治の団体戦にほれ込んだ有延だからこそ、悔しかった。
 もどかしい時期を過ごしながらも、成長は止めなかった。「高校時代は意識できていなかった」というサービスとレシーブの向上に取り組んだ。得意な攻撃的なバックハンドのドライブに加え、台上の繊細な技術を手にしたことでプレーの幅が広がった。昨年の団体インカレでは、チームは準決勝で敗退したが、有延は唯一全勝。最上級生になった今年は、団体戦で9勝2敗の活躍で、グランドスラム達成の立役者の一人になった。「悔いはない」。最高のラストシーズンを過ごした。
 最後は個人戦で花を咲かせたい。1、2年次のインカレはダブルスで平野選手と2度の優勝を果たしたが、昨年は町とのペアでベスト8。今年は「奪冠」に挑む。シングルスは1年次のベスト8が最高。念願のベスト4入りを狙う。「つらいことも楽しいこともいっぱいあった」という4年間。その全てをインカレでぶつける。

◆有延 大夢(ありのぶ・たいむ) 商4 野田学園高 174㌢・70㌔

[田中愛]