
予選会2位通過 再び箱根の地へ/東京箱根間往復大学駅伝予選会
古豪復活への第一関門を突破した。予選会は20kmのロードコースをエントリー14人中12人が出走し、上位10人の合計タイムを競う。本戦への出場権が与えられるのは上位10校だ。序盤からエースの籔下、江頭が飛び出した。他の選手は末次慶太(理工3=山口県立西京)を筆頭に集団走をするという作戦通りの展開に。「設定通りの流れを持っていけた」(末次)と万全の状態で終盤まで2位通過を決める。18km地点では意地を見せ1位に躍り出るも最終結果は2位。それでも全員が未経験の予選会で存在感を見せつけた。
貫禄の走りを見せた。江頭は夏合宿で調子があまり良くなく今大会でも集団で走る予定だった。しかし試合3日前のポイント練習で西監督から「フリーで」と声がかかった。調子が悪ければ集団走に加わる予定でスタートを切ったが見事明大トップの成績でフィニッシュ。レース中も他の選手が暑さでペースダウンする中、1km3分ペースで走る安定感を見せた。本人も「まずまずだった」と好感触を得た。
苦難を乗り越えた。日本人トップを狙う籔下は勢い良くスタートを切ったものの12km地点で足がつるというハプニング。加えて水分補給ミスが重なりスタミナが切れかけてしまう。1歩1歩に重みを感じたその時、脳裏に浮かんだのは昨年度の箱根駅伝で区間20位に終わった悪夢。「ここでタレちゃだめだ」と過去の屈辱をかみしめた。すると大きく崩れることなく足が動くように。江頭に続くチーム2位に終わったが「チームトップの先頭で明治を引っ張るというスタンスは変わらない」と自覚は忘れていない。
「もうこれ一本に懸けてきた」(西弘美駅伝監督)。何が起きるか分からない予選会で江頭、籔下を筆頭に続々とレースを終え無難に出場権を勝ち取った。しかしこれがゴールではない。「予定通りというか当たり前っていう感じ」(吉田楓・営4=東海大山形)と選手たちは次に目を向けている。大東大に敗れ目標のトップ通過はかなわなかったが最上級生、ルーキーともに活躍を見せつけた。「エースというエースがいない」(西監督)明大だが勝利のカードは総合力だ。エース不在の今、一人のブレーキで全体の結果が大きく左右されるという厳しい状況。全日本駅伝まで約3週間。高いチーム力でシード権を狙う。「6強を崩していきたい」(西監督)。紫紺の下剋上は始まったばかりだ。
試合後のコメント
西監督
「これでようやくという感じ。課題もありましたけど、そういった課題をつぶして二カ月半後の本戦でしっかり上位争いができたらいいなと思います。(久しぶりの予選会だが)8年ぶりということで(選手の)誰もが経験していませんから、そんな中で落ち着いてレースしてくれました。もうこれ一本にかけてきましたから。予選会は何が起こるか分からないですから、選手たちもよくやってくれた。12人全員がよく走った。(層の厚さは)エースの坂口が2週間くらい前からスタートラインに立たせることができなかったのが痛かったですね。それを他の選手が埋めてきたっていうのはもちろん収穫です。作戦的にも江頭、籔下は上位争いをしてもらって、それ以外の10名は手堅く、ペース走で、15kmから思い切っていけ、と。タイムも(5km)14分50秒でペース走と思っていたけど急きょ15分20秒に落としました。朝はまだ11度だったけど、ぐんぐん上がっていきそうだったので、間際で20秒落とそうと。江頭は夏あまり調子がよくなくて本来集団で走らせようとしていたんですが、そうするよりも自由に走らせたほうが彼にとっていいかなと調子が良かったのでそう判断しました。去年おととしとエースがいてエースに頼っていたました。今年はエースのいない、久しぶりのチームだから、こういった台所事情の場合は総合力で戦っていくしかないです。1人のブレーキでは大きく足を引っ張ってしまうので、これから本戦はどういった戦い方をしていくのか、それが課題です」
山本豪コーチ
「暑い中ではみんなよく走ったと思います。まず予選会はみんな初出場だし1年生は20km走も初めてだと思うから、そんな中ではみんなよく走った。予選会は通ればいいという位置づけなので無茶な走りはする必要がないから、暑ければ特に、無謀なオーバーペースとかになるとその分しっぺ返しが怖いので、ちゃんとペースを守りなさいという指示と、給水所ではのどが渇いてなくてもしっかり取りなさいとは必ず指示しました。(本戦出場が決まって)とにかくシード権を必ず取ることに尽きます。やっぱりここにはもう戻ってきたくないので。(全日本も近い)はっきり言って全日本でシードを取る方が難しいです。仮にもしそれが取れれば箱根に向けて大きなステップになると思います。まずは全日本でシードを取りに行きたいです」
射場雄太郎主将(政経4=大阪府私立明星)
「まずは良かったなと。一つホッとしました。全日本駅伝も3週間後に控えているので、そこに向けて弾みの付いたレースになりました。(自身のレースは)予定としては5kmまで末次が引っ張って、5kmからは自分が引っ張って、10kmから15kmが吉田が引っ張るということだったんですけど、10kmの時に吉田と阿部と末次が前に出まして、自分も楽だったので前に出たかったんですけど、後ろの選手もいたので自分が引っ張っていきました。80点から90点のレースができたと思います。(2位通過は)19kmまではトップだったと聞いて、そういった意味ではラスト1kmってのがうちの課題かなと。(全日本駅伝では)僕は故障が多いのでこの後のケアをきっちり行った上で全日本駅伝に向けてピークを合わせていきたいです」
江頭
「最後のポイント練習で、その時調子が良かったのと坂口も走れないということで西さんから『江頭、フリーで』と。フリーといっても、調子が悪かったら集団に戻るという話だったんですが方針としてはフリーで結果として単独走になりました。(調子について)15kmまでは、しっかり3分ペースで刻めていたので調子としてはこの暑さの中まずまずだったと思います。15km以降はこの5kmの中で若干ペースダウンしているので、やっぱりその点は調子ではなく実力かなと思いました。あと2カ月半でそこだけは見直していなないといけない、課題を消化しなければならないと思いました」
吉田
「通過点に過ぎなかったので、無事に上位で通過できてとりあえずホッとしています。(2位通過は)予定通りというか、うれしさはあまりなくて当たり前っていう感じです。チームもそう思っていると思うので本戦に向けて頑張っていきたいです。(自分のレースは)後半少し失速してしまって。でも調子が上がり切ってなかったので悪いなりにまとめられたかなとは思います。監督指示で10kmから15kmまで引っ張れとあったのでそこで前に出ました。15km以降みんな上がってくれたので役割は果たせたと思います。(全日本駅伝では)最後の大会なので後悔しないように頑張りたいと思います」
籔下
「“本戦に行くのが当たり前”とか言っていましたが、それがちゃんと形になってほっとしています。(個人では)最後タレそうなところを、去年(度)箱根でタレて経験したところを思い出しながら、ここでタレちゃだめだと踏ん張っていけました。今回は100%は出せなかったけどここで出し切らずに、全日本で出せる課題が見つかり良い反省点かなと思いました。まず足が12kmくらいからつっていて、言い訳になりますが水を取りたかったところで集団で取れませんでした。ちょっと脱水気味で。だからと言って自分が止まってしまったらだめなので、最後まで走り切れたのは良かったです。エースの自覚とかというより、僕が走りで返すことが箱根で失敗した自分がやるべきことだと思ってきたので、チームに求められている自分はこうでありたいと思ってやってきました。今回は江頭さんに負けたが、(江頭が)上がってきたからよかったと思うだけであって、僕自身としてチームトップの先頭で明治を引っ張るというスタンスは変わりません」
磯口晋平(商3=西脇工)
「15kmからが勝負だと思っていましたが、15kmからが一番遅いタイムになってしまい体力のなさを感じました。もっと練習して本戦でしっかり対応していきたいです。点数で言うなら60点くらいです。一週間くらい前から緊張していてずっとお腹が痛かったです。トップ通過を狙っていたので自分としてもチームとして悔しい形になってしまいました。でも本番に向けてトップのチームに勝つという気持ちが生まれたと思います。(全日本駅伝に向けて)自分は走れるかわかんないけど、走れたら強豪の大学にくらいついて一つでも順位を上げたいです」
末次
「最初、(集団走を)僕が最初に引っ張るという感じだったのでで、そこには責任をもって設定通り流れに乗って行けたのでよかったです。自分個人としてはラスト5kmもう少し粘れたらよかったという反省はあるが、それは本線に活かしていきたいです。(調子は)良くもなく悪くもなくという感じでした。去年と一昨年は故障で、この時期に走れているのは今年が初めてなので、チームに貢献したいという思いが強かったので奮起できたと思います。欲を言えば、目標はトップ通過だったので、そこはまだチームの伸びしろで、まだまだ力を入れていかなければならないポイントだと思いました。次の全日本まで残り3週間になりますが、この20kmで出た反省を次に活かしたいです」
皆浦巧(情コミ3=豊川)
「2位で通過してとりあえずほっとしています。自分の走りとしては序盤から集団で走り、後半から上げるという作戦だったのですが意外ときつくなりました。天候的にも暑くてきつくなりラストがあまり上がらず自分的には納得できる走りではありません。これから冬になり涼しくなれば調子は上がってくると思うのでこれから練習していきたい。ただ、関東インカレとかだとヘロヘロになってジョグくらいのペースになるのが今回はたれたが粘れました。そこは夏合宿の成果が少しづつ出てきているかなと思います。これから全日本駅伝と箱根本戦をしっかり自分たちが走り、目立たない学年ではないと見せられたらいいなと思います」
竹山直宏(法2=国学院久我山)
「求められていた最低限の走りもできませんでした。一週間前からは足がすごく重くて、そこから一気に調子は上がったんですけど、軽すぎて足が止まるというのが嫌だったので、なるべくバネを殺すじゃないが、ジョグを少し落とすタイミングをあまり作らなかったというか、引っ張りすぎてしまったのがよくなかったです。レースに臨む前の段階で、一週間前からベストな状態を作れず、少し落ちた状態でレースを迎えてしまいました。しっかりレースに合わせる調整をしていきたいです。今日はチーム内12位という不甲斐ない、情けない結果だったが、ここからしっかりアピールして結果を残して、全日本、箱根と走れるように結果を出していきたい」
東島清純(営2=米子松陰)
「先週くらいから調子が上がってきていて、かなり良かったです。でも少し気温が高くて走りづらかったです。箱根では今回のような集団走はなかなかないと思うので、残り2ヵ月あるので、そこで単独走でしっかり走れるようにしたいと思います。もちろんシード権を取るということを目標にやっていきます。全日本駅伝もシードを確保して、また来年、そして箱根に繋がるような走りをしたいと思います」
阿部
「ラスト2kmあたりから足がけいれんしてしまって、もっとタイム稼げたと思ったんですが、最低限走れたし、この大会は通過することが大前提で良い位置でゴールできたので良かったです。次は全日本と箱根が力を最大限出すところなので、この大会は通過できれば問題なかったです。あとは自分の力が足りないということがわかったのでそこをしっかりと修正できれば、しっかり走れると思うので一からやっていきたいです。まだまだ20km走る足ができていないので、ここからしっかり土台をつくって、3週間後に全日本ありますがそれは距離が短いので、そこでスピードも磨いて箱根では往路のどの区間にでも入れるように、そしてシード権をとれるような走りでチームに貢献したいと思っています。」
中島
「調子悪い割にはまとめたレースでした。(60分)30秒は切りたかったけど合格ラインだと思います。苦手ではないけど暑さもあって後半バテてしまったけど、それはみんな同じだと思います。落ち着いて入ったら最初は集団の一番後ろで走ることになりました。そのあとも集団にずっと付いていって、途中飛び出した人もいたけど、自分は落ち着いて15kmまで行くって決めてました。そこから徐々にペースアップして追い付けたんですけど力不足で追い付き切れませんでした。それでみんなより少し後ろでゴールしてしまいました。全日本はスピードを重視していってあとは距離走も自分なりにしっかりやりたいです。疲労は多分くると思うんですけど、ちょうどいいくらいの刺激を入れて結果を残したいです」
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