流経大に2―1で勝利 後半44分からの劇的逆転!/関東大学1部リーグ戦

2016.10.02
 試合終了間際に逆転劇が繰り広げられた。前期リーグ戦で唯一の敗戦となった流経大との試合は、試合開始から拮抗(きっこう)し、前半は0―0で終了。後半になると流れは流経大に傾き、後半21分にGKの長沢祐弥(政経2=藤枝東)のミスから失点を許してしまう。その後も相手ペースが続いたが、試合終了間際の後半44分に柴戸海(政経3=市立船橋)が同点弾を放った。さらに勢いそのまま後半アディショナルタイム3分にカウンターから富田光(文2=中京大中京)が決勝点を押し込み、逆転勝利を収めた。土壇場の勝負強さで勝ち点3をつかんだ。

 勝利への強い気持ちが試合を決めた。0―1のまま試合終了まで残りわずかとなった後半44分、柴戸がゴール前で相手のクリアボールをカットし、倒れ込みながらゴール右に同点弾を流し込んだ。土壇場に生まれた待望のゴールに会場が沸いた。だが、このまま引き分けで終わりにはせず「引き分けでいいのかなというところもあるのかもしれないけど、うちはそういうチームじゃない」(栗田大輔監督)と更なる追加点を目指した。監督がピッチに向け「3分あるからもう一回行くぞ」と声掛けをすると勢いはさらに加速し、貪欲にゴールを狙いにいった。そして、後半アディショナルタイム3分に途中出場の道渕諒平(農4=ベガルタ仙台ユース)がドリブルで右サイドを走り抜け、クロスを受けた富田が決勝ゴール。4分間で2ゴールを挙げる逆転劇を見せた。「4年生の頑張っている姿に心を動かされた」(柴戸)。劣勢のまま残り時間が迫る中、小出悠太(政経4=市立船橋)を主軸に攻守で粘りを見せていた。最後まで諦めない選手たちの闘志が逆転勝利を呼んだ。

 決して明大らしい内容ではなかった。柴戸のゴールが決まるまでは劣勢が続き、シュートチャンスはほとんどなし。選手たちが言うように内容では「負け試合」で「選手たちが振り返られる材料がいっぱいあった」(栗田監督)と反省すべき点は多かった。プレー面では、相手に空いたサイドのスペースを攻められたことやパスミス、決定力不足が目立ち、三原則の「球際、運動量、切り替え」でも甘さがあった。また、メンタル面でも後期開幕からいまだ負けなしなだけに「各々心の中のどこかで『今日も勝てるんじゃないか』っていう気持ちは少しあった」(小出)と気の緩みが出てきてしまった部分も見られた。首位独走だが優勝は約束されてはいない。慢心を吹き消し、一戦一戦を戦うことが求められる。

 無敗のまま走り切る。開幕5連勝で勝ち点を39にまで積み上げている明大。次節の相手は、勝負強さがあり、現在3位と勢いのある日体大。前期リーグ戦では4―0で完封勝利を飾ったが、アミノバイタルカップでは10―9のPK戦までもつれ込んでおり、緩みは厳禁だ。「今日のような心のスキを作らずに気を引き締めてやっていきたい」(小出)。直面した課題を一つ一つ見直していき、常勝を維持してみせる。

[臼井美理亜]

日付 対戦相手 会場 キックオフ時間 スコア
◆第90回関東大学リーグ戦 後期日程◆
(スコアをクリックすると試合の記事にリンクします)
12 9・11(日) 国士大 味スタ西 14:00 ○4-1
13 9・14(水) 専大 味フィ西 14:00 ○3-0
14 9・18(日) 駒大 日立 14:00 ○4-0
15 9・25(日) 早大 味フィ西 14:00 ○1-0
16 10・1(土) 流経大 東総 14:00 ○2-1
17 10・8(土) 日体大 中銀スタ 14:00
18 10・15(土) 慶大 江戸陸 14:00
19 10・23(日) 順大 東金 14:00
20 10・30(日) 桐蔭横浜大 味スタ西 14:00
21 11・6(日) 法大 味スタ西 14:00
22 未定 筑波大 未定 未定
※10月1日時点

順位 チーム名 勝点 総得点 総失点 得失点差
◆順位表◆
【第16節暫定】
明大 39 38 12 25
法大 27 22 14
日体大 24 22 25 -3
筑波大 23 23 15
慶大 22 25 26 -1
順大 20 28 25
↙︎ 早大 20 17 16
駒大 18 19 23 -4
桐蔭横浜大 17 21 24 -3
10 流経大 16 18 25 -7
11 専大 15 20 28 -8
12 国士大 13 17 36 -19

試合後のコメント
栗田監督

「内容はもう今日は流経さんのゲームだったと思います。結果としては勝てて、そこはチームとしては強くなったなという印象です。(勝ち切った要因は)日頃積み重ねている練習と一年間かけて勝ってきた自信というものが最後に勝利を呼び込んだのかなという風に思います。(同点になってから)サッカーだからもちろん引き分けで良しなんてことはない訳で、ただ勝ち点とかリーグ戦とかそういったものを考えると引き分けでいいのかなというところもあるのかもしれないけど、うちはそういうチームじゃないし、やっぱり1点1点積み重ねていくという姿勢が大事だと思っているので、後半44分に点を取って残り3分の中でまた一個一個きちっとサッカーをやって、チャンスがあればそこに入っていくということだと思います。得点シーンは道渕があそこで頑張って、体を張ってボールを奪ってくれたことが、富田のゴールにつながったと思います。(前期は流経大に唯一敗戦だったが)結果として今日は勝てたんですけど、もちろん一年間で2回負けるということはみんな納得しないし、そういう意味では気持ちが入っていましたけど、今日はもう本当に流経さんが素晴らしいサッカーだったと思います。逆に内容が悪くて勝っただけに反省する材料がいっぱいあって、選手たちが振り返られる材料がいっぱい今日はあったなと思います。(具体的な修正点は)基本のところの三原則である球際、運動量、切り替えとか守備のところで、足先で行ったりとか、まだまだ軽いプレーが多いので、そういう部分は修正しなければいけないし、やっぱり失点のシーンにしても長沢が決定的なミスをやったということ自体がもうミス、それは駄目なことなので、どんな状況でもやっちゃいけないミスというのがあって、今節はそういった部分が出ました。あとは立ち上がりのところで岩田拓也(商4=FC東京U18)が左足でしっかり決めればよかったところを決まらなかった。ああいうところが決まっていればゲームは変わる、そういった厳しさがないのかなと。もう一度、一個一個のプレーを基本に立ち戻って、ぴしっとやらないと、勝ち続けたり、本当の意味での強いチームっていうのにはなっていかないと思います。(次節に向けて)非常に日体大は好調だし強いなという印象があるので、よく今日の反省を生かしていいコンディションで来週を迎えたいなと思います」

小出
「反省する点が本当に多くて、流経大相手にほぼ射当ての流れで負け試合といっても過言ではない試合でした。単純にセカンドボールや球際の1対1で負けてしまっていました。相手に対して蹴りすぎていたのもあってもう少し丁寧につないで自分たちのサッカーをもっと出せばもっといいサッカーができたと思います。相手もうまくて、間を取ってきたり、ボランチがCBの間に降りてきて、CBが開いて回しているって中で、もう少し守備のやり方っていうのを前半から統一できなかったので、相手の変化に対してもっと柔軟にピッチ内で変えるってことはもっと必要です。各々心の中のどこかで「今日も勝てるんじゃないか」っていう気持ちは少しあったと思います。そこは本当に気を引き締めないといけないと改めて責任を感じますね。最後に逆転できたのは運がいいというか、最後まで連続失点しないで諦めずに勝ち切れたことはチームが良い流れになっていることだと思います。勝つことが全てですし、勝ったからこそ次にないようにって反省ができるので、まず勝ててよかったです。でも、それよりも今日は反省するべきことが多いです。(次節に向けて)日体大は調子もいいし、選手個人の能力も高いので今日のような心の隙を作らずに気を引き締めてやっていきたいです」

柴戸
「勝てたのは良かったですけど、内容は負け試合だったので、しっかりと反省するところは反省しないといけないなと思います。相手に押し込まれていて、失点しないことを第一に考えながら守っていたんですけど、少しセカンドを拾われたり、相手の14番の選手を起点に動かされてしまいました。もっと守備を統一して、ボランチとしても押し込まれる時間帯を減らさないといけないなと思った試合でした。自分たちでもっと修正していかないと上にはいけないなと思いました。勝つことだけを全員が考えて、天候もピッチ状況も良くはなかったですし、球際の部分では激しい戦いになると予想して、そこを絶対負けないようにしながら最後は勝つという風に考えて試合に臨みました。1失点してしまって、攻撃に転じるしかないですし、絶対に負けられないという気持ちが強かったです。守備陣が1失点で抑えてくれたということや守備陣の小出さんが守備から攻撃に切り替えた姿、あとは4年生の頑張っている姿に心を動かされて、自分も得点やアシストという形で貢献できればいいなと思っていました。得点を決められたことはとても良かったと思います。個人としては、流経は高校時代からのライバルですし、高校時代に東総の地で流経とかなりの試合数をしてきたので思い出の地でした。流経には負けられないというか負けたくないという気持ちは強かったです。その気持ちの部分が強かったのでそれが今日の勝因でもあると思います。あと、今日、プレミアで市立船橋と流経も東総で試合だったみたいなので、なんか縁あるのかなと思っていました。(次節に向けて)日体は迫力や勝負強さを持っているので、準備して優勝につなげられるようにしていきます」

富田
「今日は本当に1点ビハインドの状況でまずは同点弾を取ることを意識して入りました。前半から仲間の応援がすごくて、この声援に応えなきゃいけないなって思っていました。今までのリーグ戦と違って、重さというか明治らしくなくて、流経さんの力強さに呑まれていた印象でチームの流れも良くなかったです。ずっと勝っていたので過信が生まれていたのかなって思います。前期はセットプレー1発でやられていて、同じ相手に負けちゃいけないので絶対勝つぞという気持ちはありましたね。試合に入る時にテンポを上げることと、点に関わることを監督から言われていたので、得点という形で応えられてよかったです。長沢のミスで失点したんですけど、2年のミスなので自分たちで取り返さないといけないなって気持ちで取りました。結果的にチームのための得点が長沢のためにもなりました。高校時代は自分が組み立てることが多かったんですけど、大学は入れば来るって状況があるので、信じて待ってあとは触るだけです。今回もマイナスで待っていれば道渕さんからいいボールが来るだろうって思っていたら、案の定来ただけなので触るだけでした。同点になった時から監督から「3分あるからもう一回行くぞ」って言われて、もう一点取るっていう意思統一ができていたのであの追加点が生まれたんだと思います。(FWとして2得点目)今はFWがいない状況なので自分がFW兼サイドハーフって形でやっているんですけど、FWとしても狙っていけたらなと思います。点が取れたことは良かったですけど、その他のプレーで今日は本当に駄目だったので一個一個見直して守備の練習からやっていきたいです」