
対抗戦2戦目 青学大に1トライを許し完封連勝とはならず/関東大学対抗戦
対抗戦初失点
油断が生んだペナルティーで、自ら牙城を崩した。前半27分、ラックから飛び出した右プロップ吉岡大貴(農3=日向)のトライで22―0と引き離し、そのまま前半を逃げ切るかと思われた。しかしその直後の相手キックオフボールをノックオンと攻撃権を青学大に譲り、自陣でのディフェンスを強いられる展開に。タッチキックで挽回を試みるも自陣を抜けだせず、ゴールライン直前まで押し入られた。ピックゴーを展開される中で、明治はたまらずオフサイドを連発。最後はFWで押し切られ対抗戦初失点を喫した。「試合中に楽をしようとした結果」と右フランカー桶谷宗太主将(営4=常翔学園)。チームは暗い空気の中22―5で前半を折り返した。
前半の失点が火付けとなり、攻守に一体感が生まれた。後半27分までに4トライをFWで獲得。そのうち2つはラインアウトモールでのトライと、日体大戦、そして前半で課題となった組織でのラグビーを遂行できた。さらにセットプレーでも「ターンオーバーが増えてFWで確実にいくという意識ができていた」(丹羽政彦監督・平3文卒)とFW勝負で圧倒。加えて後半30分には左ウイング山村知也(政経1=報徳学園)がハイパントキックを蹴り出し、そのままこの日3本目となるグラウンディング。後半39分には同じく1年生のナンバーエイト坂和樹(政経1=明大中野八王子)が2本目となるトライ。後半に組織力と個の力を見せつけ、60―5でノーサイドとなった。
BK新型攻撃
シンプルな攻撃を中心に展開していった日体大戦から一変、この試合ではおとりを使ったロングパスや素早いパス回しなどアタックに変化が見られた。スタンドオフ堀米航平(商3=流経大柏)の復帰戦ともなった今試合だが「ゲーム感覚がまだ戻っていない」(堀米)と得意のパスとキックは完全復活とはいかず。しかしそれをカバーしたのが、1年次から堀米とともに対抗戦で紫紺を背負ってきた左センター梶村祐介(政経3=報徳学園)だ。この試合では今までのボールキャリアーとしてだけではなく、外側にボールを供給するスタンドオフの役割をも担った。正確なパスはもちろん、ボールを長く持つことで相手ディフェンスを自分へ引き付け、ウイングの山村から注意を外してからボールを放つテクニックも発揮。突破力と決定力を合わせ持つBK陣の連携は、今後の対抗戦の勝利に欠かせない存在となるだろう。
空きの3週間でどこまでチームを仕上げられるか。次戦は、10月16日に控える筑波大戦、対抗戦最初のヤマ場だ。昨年はノースコアに抑え勝利。しかし筑波大は後の帝京大戦で王者を破り番狂わせの立役者となった。昨年同様ディフェンスで相手アタックをいかに防ぐかが勝敗を分ける。「青学大以上に組織として動いてくる」(梶村)と今までの対戦相手に対する防御では許されない。夏にこだわってきたディフェンスの真価が問われる時が来た。
[長谷川千華]
1.PR | 安 昌豪(営1=大阪朝鮮)→17.羽田野(後半27分) | 9.SH | 兵頭 水軍(農4=仙台育英)→21.浜野(後半13分) | 16 | 佐藤 公彦(法4=明大中野)←2.武井(後半27分) | |
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2.HO | 武井 日向(商1=国学院栃木)→16.佐藤公(後半27分) | 10.SO | 堀米 航平(商3=流経大柏) | 17 | 羽田野 湧斗(理工3=國學院久我山)←1.安(後半27分) | |
3.PR | 吉岡 大貴(農3=日向)→18.船木(後半27分) | 11.WTB | 山村 知也(政経1=報徳学園) | 18 | 船木 頌介(政経2=秋田工業)←3.吉岡(後半27分) | |
4.LO | 尾上 俊光(政経4=尾道) | 12.CTB | 梶村 祐介(政経3=報徳学園)→23.末廣(後半30分) | 19 | 石井 洋介(商4=東海大仰星)←5.古川(後半21分) | |
5.LO | 古川 満(商3=桐蔭学園)→19.石井(後半21分) | 13.CTB | 尾又 寛汰(商4=国学院栃木) | 20 | 井上 遼(政経2=報徳学園)←6.田中(後半8分) | |
6.FL | 田中 真一(法4=国学院久我山) | 14.WTB | 渡部 寛太(文3=北条) | 21 | 浜野 達也(文4=西陵商業)←9.兵頭(後半13分) | |
7.FL | 桶谷 宗汰(営4=常翔学園) | 15.FB | 高橋 汰地(政経2=常翔学園)→22.森田(後半30分) | 22 | 森田 澄(政経4=天理)←15.高橋汰(後半30分) | |
8.No.8 | 坂 和樹(政経1=明大中野八王子) | 23 | 末廣 将成(政経4=京都成章)←12.梶村(後半30分) |
右フランカー桶谷宗汰主将(営4=常翔学園)
「前半スクラムもラインアウトもあまり良くなかったし、アタックもミスしたり、ディフェンスも最後取られちゃったり。これが自分たちの力かって言われたらそうではない。実際後半はスクラムでターンオーバーしていたし、モールでもプレッシャーをかけてトライも取っているし、スコアはされていない。相手が疲れてきたとか切れてきたということもあるかもしれないが、後半できたことを前半にできなかったのが今日の一番の問題点。全員そこがまずかったと理解していると思う。次の練習から、立ち上がりの部分をうまくやっていきたい。春から前半の終わりだとか試合終了間際に無駄な失点があった。だいたいが自分たちの無駄なペナルティーからのもの。自分たちが自分たちを苦しめている。もっと楽にやろうと思えばできた。でも、試合中に楽をしようとした結果がペナルティーにつながっていると思うのでしっかり自分を律して、チームに迷惑がかからないようにきついことをして、最終的に楽にゲームが進めるようにしたい。(チームでのアタックは)これで満足しないように、もっともっとやっていきたい。(堀米が復帰して)まだ合っていない部分があるのでBKで合わせて。あいつのアタックが合ってくればもっといい試合展開ができると思うので。そこも練習ですね。時間をかけてやっていきたい」
スタンドオフ堀米航平(商3=流経大柏)
「復帰戦で、自分のプレーは満足いくものではなかった。ゲーム感覚が空いてしまったので、そこの感覚の部分がまだ戻っていない。そこはBK同士で合わせてどんどん良くなれるようにやっていきたい。前半の後の方に自陣で戦う時間が長くなってしまったので、そういった状況を作らせないこと、そういった状況の時も前に出ることを意識してゲームメイクしていきたい。筑波大まで3週間空くので、チーム全体で選択することを統一できるように、詰めていきたい」
左センター梶村祐介(政経2=報徳学園)
「前の日体大戦で全体的によくなかったので、エリアを取ってFWを前に出したかったけど、後半はうまくいって前半の戦い方が悪かったのでゲームの運び方を考え直さなければいけない。前半向かい風でやりにくかった。そんなに時間かけて合わせていないが堀米も復帰したので来週くらいから細かく合わせて制度を上げていきたい。ゴール前でのディフェンスはFWでもやっているので、止めてほしかったところだけどゴール手前まで相手を入れてしまったこと自体がチームとしてダメだった。BKに責任があるので、今日の失点は全員が反省しなければいけない。失点はしたけど、いいディフェンスも出ていたので、次の筑波大は青学大以上に組織として動いてくると思うので、そういった相手にもっといいディフェンスができるようにしていきたい。今チームで決定力があるのが山村で、彼にいいボールを供給できればスコアしてくれると信じているので、僕もキャリーというよりはパスをする回数が増えると思うのでパスの精度をもっと上げていきたいと思う。(堀米復帰は)頼もしい。堀米がいいディフェンスをしてくれるとチームも楽になるので、僕がもっと堀米をサポートできると思うので声をかけていきたい。後半はメンバーも代わって、そこでペナルティーが出たということはチームとしても課題だと思うので、もっと練習を意識していくこと」
左ウイング山村知也(政経1=報徳学園)
「今日の試合はチーム全体としてミスが多く見られてなかなか流れを掴みきれてない部分も多くあったのでそういうところをしっかりと直してまた次の試合に向けて修正していきたい。今日の試合に満足してはいない。まだまだ自分たちの思い描いていたラグビーを出せていなかったのでどういうところが悪かったかをしっかりと確認していかなければいけない。ボールが回ってきたらしっかりとトライを取りきっていこうと思っていてそれができたのはよかった。BKだと細かいミスが多く見られたのでそこの精度を上げていけたらもっと前に出られたりだとかトライにつながる部分もあった。細かいミスも練習からしっかり厳しく見ていきたい。まだ個人としてもボールを呼びきれていない部分とか的確な指示を出せていない部分があるのでそれもしっかり修正してチームとしてもレベルアップしていっていい試合内容で勝てるように頑張っていきたい。」
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