宿敵撃破で神鳥が全日本ジュニアV!/全日本ジュニア体重別選手権

2016.09.12
 神鳥剛(政経1=愛知県私立大成)が優勝を手繰り寄せた。全国から20歳以下の猛者が集まる今大会は歴代、名だたる有名選手が栄冠を手にしてきた。昨年は100㎏超級で現在チームの核である小川雄勢(政経2=修徳)と田中源大(政経2=高川学園)が優勝と準優勝に輝いた。今年は神鳥がそれに続くように、90㎏級決勝で見事勝利を収めた。一方で川田修平(政経2=愛知県私立大成)は100㎏級で3位、羽田野航(政経1=四日市中央工)は60㎏級で5位と悔しい結果で終わった。

 粘り強くリードを守り抜いた。高校3年生で挑んだ昨年は3位。「絶対優勝する」(神鳥)という強い気持ちで臨んだ今大会では、成長を感じさせる柔道で悲願を達成した。「丁寧にやれるようになった」と明大に進学して成長したことに猿渡琢海監督(平11営卒)は組み手を挙げる。「引き手や釣り手も切られにくくなった」(神鳥)と自身の成長を実感。先週の東京学生体重別選手権で軽いケガを負いベストコンディションとは言えなかった。しかし、投げ切れなくてもしっかりと組み手を組むことで、相手にリードを許さない。初戦以外全て指導差勝利となったが「研究されている中で、指導差っていう小さなリードで勝ち切れたことは手応え」(神鳥)と一戦一戦の厳しい勝利を物にしたことで、自信をつかんだ。

 東京学生での雪辱を果たした。神鳥は決勝で二見(国学院大)との因縁対決を制した。二見とは今季3度目の対戦となった。はじめは今大会の予選である東京都ジュニア体重別選手権の準決勝で対戦。その際は神鳥の勝利となったが、先週行われた東京学生体重別選手権の準々決勝では敗れた。ベスト8進出で全日本学生体重別選手権への出場権を獲得できるため「集中力が切れたところがあった」(猿渡監督)と開始早々背負い投げを食らい、一本負けを喫した。しかし、今大会で負のイメージを払拭(ふっしょく)した。決勝には二見が勝ち上がってくると想定し「ほとんどの時間を二見選手の対策に使っていた」と決戦に備えた。実際は試合になるとうまく投げることができず、練習通りにはいかなかったが「勝てる試合だと思っていた」(神鳥)と準備してきていたことが自信となった。試合中盤、二見に指導が入ると「投げられるっていう感じがなくなった」(神鳥)。冷静さを欠いて、攻めが雑になった相手に余裕を持って試合を進めることができた。その後はリードを守り切り、指導差一つで勝利をもぎ取った。

 次世代のポイントゲッターを目指す。明大の目標である団体日本一には勝負どころで勝利を呼び寄せる絶対的エースが必要だ。「俺が中心選手という気持ちを持って活躍してもらいたい」(猿渡監督)と神鳥への期待を口にする。「明大を引っ張っていくようなポイントゲッター」になるために、まずは10月に行われる個人インカレである全日本体重別選手権での日本一を目指す。

[古賀章太郎]

試合後のコメント
猿渡監督

「川田は今年に入って取り組んでいることが、徐々に改善されつつあったんだけど、その改善された部分というのが試合で発揮されなかったかな。川田のいいところは思い切りの良さで、思い切り良く技に入って思い切り良く投げることなんだけど、それが試合では萎縮してしまって出せなかったのかなと思う。先週の東京学生の準決勝が非常にふがいない戦いだったので、俺もこの1週間というのは遠くからこの大会に向けてどういう調整をしていくんだろうということを見ていて、川田なりに追い込むところは追い込んでやっていたとは思う。自分なりの調整がようやくできつつあるのかなというところで、この1週間は柔道面のアドバイスは俺からは一切しなかったし、自分の実力を感じてほしかった。神鳥は東京ジュニアの後期間が空いて、先週に東京学生があってこの大会ということで、東京学生で少しけがをした影響もあって神鳥本来の動きではなかったと思う。その中でも自分の体調に合わせた戦い方ができていたと思うし、一本勝ちが1試合しかなかったのもそういった状況の中のことだと思う。ただ、そういう体調の中でも組み手をしっかりとやりながら、投げるまでにはいかなくても気持ちの強さで圧倒して手にした優勝だと思う。次の全日本学生に向けては、今日投げて勝つことができなかったので、そこの部分を意識してやっていってもらいたい。優勝したことで、神鳥自身も自信が付いたと思うし、全日本ジュニアチャンピオンというプライドを持って全日本学生の個人戦に挑んでほしい。大学に入って伸びたところは、高校までは雑なところもあったけど、組み手が丁寧にやれるようになったところ。そこを意識してやれというふうに言ってきたし、片手でやってきたところが両手でできるようになってきたし、足りないときは体さばきを利用して組み手をやれるようになった。相手を見ながら自分がどういう動きをして組み手をつくっていけばいいのかということがようやく分かってきたと思う。その中で組み手までいってるんだから、投げにいくタイミングだったり相手を仕留めるまでのやり方というのを学んでいってもらいたい。(決勝の二見選手に対しては)この1週間神鳥に関しては、組み手を中心的に、何で前回あんなに簡単に投げられてしまったのかを話していく中で、東京学生は連戦で短いスパンで続いていって疲労があったというのは向こうも同じで、神鳥の中ではベスト8をクリアして全日本学生に出られるとなったことで集中力が切れたところがあった。メンタル、集中力をしっかりと保った状態で試合をしないと簡単に負けてしまうんだぞということは伝えてきた。今回は全日本ジュニアの決勝という舞台で、緊張感も高まった中で集中力も研ぎ澄まされた状態で同じ失敗をしなかったことが要因だと思う。今は同じ階級のやつに勝つことしか厳しいと思うけど、経験を重ねて、その階級の中で勝っていくことによって、対重量級でも投げることができるようになってくると思う。まず今年1年は自分の階級で勝ち切ることを覚えていって、練習の中では自分より大きい相手とやっていくことになるので、今後は無差別でも勝てるような方法を身に付けていってもらいたい。今年は優勝大会の12人のメンバーとして試合にも出したし、来年からは1年生という気持ちがなくなって、俺が中心選手という気持ちを持って活躍してもらいたい」

川田
「監督には優勝するのは当たり前だと言われていたし、優勝するのは当たり前だったんですけど、負けてしまい、技出しも遅くてふがいない試合をしてしまったなと思う。(東京学生からの過ごし方)そこはもともと日程は決まっていたので、気持ちを切り替えて臨んだ。(僅差での試合が多かったがやりづらさはあったか)そこは特に感じなかったのだが、自分がもっと先手取らないといけないなと思った。(準決勝は高校生とはいえ力のある選手が相手だったが)強いというのは分かっていたので、そういう相手と思いながら、試合をやっていった。(ポイントが奪えなかったがどういったところが足りなかったか)練習の中で試合を意識することが足りなかったかなと思う。(3位決定戦への気持ちの切り替えは)次の一番大事な試合である講道館杯をとりあえず決めておきたかったので、そこはちゃんと気持ちを切り替えて、講道館杯に向け、試合をしていった。(3位という結果の率直な感想)一番年上で出たので、ふがいないと思う。(出場できなかった昨年からどういった成長を感じるか)成長は気持ち面とかではまだやっぱしてないと思うので、全日本学生へ向けて気持ちを切り替えてやっていきたい。(同期の小川、田中への意識は)ある。だいぶ差がついてしまったので、高校は同じ立場だったので情けないと思う。(今後どのような練習をしていきたいか)とりあえず全日本学生があるので、技出しを早くして、技で勝てる柔道を目指して頑張っていきたい。(全日本学生への意気込み)推薦組が出てくるので、東京学生のように簡単には上がれないと思うので、一つ一つ丁寧な試合をして勝ち上がっていきたい。(今後の目標)とりあえず全日本学生と講道館杯で上位にいけるように一つ一つ見直して勝ち進めるようにしていきたい」

神鳥
「優勝しか考えていなかったので、とりあえず内容ではなく勝ちにこだわって絶対優勝するっていう気持ちで臨んだ。細かい部分でいったら、反省するべきところはたくさんあったし、小さいリードで勝ち切れたっていう収穫もあったので、悪いところは悪いで、良いところは良いで、自分の中でいろいろ手応えはあった。アップのときは調子がいいと思っていて試合に臨んだが、やっぱり、研究されている立場っていうことで、分かってはいたがどうしても技が決まらず、指導差とかになってしまった。(今大会の手応え)研究されている中で、指導差っていう小さなリードで勝ち切れたことは手応え。(今大会に向けて意識したこと)リードされないっていうことをしっかり頭に入れた。リードされなければ、負けることはないので。(猿渡監督からは)先週、二見選手に負けているので、それは気にせず、一個ずつやるべきことはしっかりやれと言われた。練習を思い出して組み手をしっかりやって、足からいった。本当に基本的なことからやれと言われた。(印象に残った試合)決勝。負けたくなかったし、この一勝っていうのが大きな差になってくるので、本当に勝てて良かった。勝ちたいという気持ちを持って臨んだ。(最後の試合はどんな試合展開を進めていこうと思ったか)相手が研究しているっていうのは、先週分かっていたので、それに対して自分も研究した。こういう技が効くだろうとかこの技だったら投げやすいなっていうことをいろいろ考えて準備はしてきたんですけど、実際試合してみるとうまいこといかなくて、結果投げることはできなかった。でも、準備はしっかりとしてきていたので、勝てる試合だと思っていたし、勝つつもりでいた。(指導が相手に先に入って)あのタイミングで入るとは思っていなかったが、確実に相手をリードするっていうのは、心理的にも相手は焦るだろうし、指導取ってからはだいぶ攻めも雑になってきたので、寝技に持ち込めたり、投げられるっていう感じがなくなった。まずは、指導1つ取るっていうのは頭に入れていたので、その辺では良かった。あの時指導一つは本当に欲しかったので、取れて戦いやすくなった。(組み手が良かったが)猿渡監督や高校時代の監督である石田輝也監督(平3営卒)に基本的なことをしっかりやれと言われていた。組み手はしっかり徹底っていう部分が崩れてくるとスキも生まれてくるので、しっかり組み手をやった。考え通りできた。(先週の東京学生から今週にかけてどのような調整をしたか)こういう言い方は失礼だけど、決勝は二見選手が上がってくると思っていたので、ほとんどの時間を二見選手の対策に使っていた。乱取りを5本やるなら4本を二見選手のことを想定して、試行錯誤していた。決勝までも大変だったが、しっかり勝つものと思って、決勝を想定して練習していた。(今回カギとなった試合)どの試合も大変で、一個ずつ勝っていった。上は見過ぎずに、しっかり一つずつだぞとは言われていたので、一戦ずつ必死に勝っていった結果だと思う。全ての試合が大切だった。(大学に入ってから)練習相手が変わったことが大きかった。高校の時は自分が一番強かったが、大学に入って自分より強い先輩たちや実業団の選手たちがいて、今まで投げられることはほとんどなかったが、大学に入ったら投げられるのが当たり前になった。それでも食らいついて、少しでもどうすればいいかっていうのをもっと考えるようになったので、それが自分にとっての一番の変化。(成長したところ)組む力です。引き手や釣り手も切られにくくなった。組み力が強くなった。(目標)まずは団体のメンバーに入ること。12人ではなく、7人に入って、明大を引っ張っていくようなポイントゲッターになりたい。今、小川先輩だったり、田中先輩だったりっていう方が2年生としてポイントゲッターに挙げられているので、僕も少しでも団体の7人目とかではなくて、自分が引っ張っていくような選手になりたい。(これからの目標)10月には個人戦と団体戦があるので、そこでまずはジュニアの中だけじゃないぞ、明大には神鳥がいるぞっていうのをアピールして、もちろん優勝を狙っていきたいですし、優勝する気でいる。また、2ヶ月みっちり稽古して、講道館杯でシニアの選手相手に自分がどれだけできるのかっていうのを試したい。また、少しでも上に食い込んで行けるように、次の試合に繋げていけるようにしていきたい。来年も全日本ジュニアの出場権を得たので、2連覇をするつもりでいますし、今年は世界ジュニアがないので、来年の世界ジュニアなどの国際大会でしっかり優勝することを目標に頑張りたい」

羽田野
「一回戦は強いって分かっていたので、まず組手を徹底して絶対負けないという気持ちで戦おうと思った。(最初に指導を取られたが)焦りはなかった。普段なら焦ってしまうが、大学で練習していくうちに自信がついてきたので、焦らずできた。(最後の試合について)一瞬の気の緩みだった。技をかけられた時、寝技をかけてくるとは思っていなかった。予想していなかったことだった。(これからの強化していきたいこと)寝技の面。自分が技かけた後の寝技を強化していきたい。(足りないこと)筋力と気持ちの面」