
橋口が同士打ち制し優勝 10人が全日本への切符をつかむ/東京学生体重別選手権
修正力を見せ2年ぶりに東京を制した。橋口は状態に不安を抱えながらこの大会に臨んだ。「すごく調子は悪かった」という言葉通り、持ち味である投げの柔道は鳴りを潜めた。しかし、ここで崩れないのが橋口だ。「悪かったので思い切ってやり方を変えてみたらうまくいった」と一本はなくとも、しぶとい柔道に切り替えて決勝まで勝ち進む。その決勝の相手は一つ下の後輩である水野。「今日(水野は)すごく調子よくて、下手したら食われるかなぐらいに思っていた」という橋口の言葉通り、水野は準決勝まで危なげなく勝ち上がってきていた。橋口はその実力を認めていたからこそ、勝負に徹した。泥臭く指導を奪いポイントを優位に進める。追い込まれた水野が、攻勢に出た残り10秒で技ありを奪い、勝負を決めた。2年ぶりの優勝に「いつもと違う柔道で優勝ができたので、いろいろ見えてきた」と手応えと収穫を得た。「学生レベルで収まるような選手じゃないとは思っているので、そこの弾みにもなるように講道館杯、世界に向けてというところでも頑張ってほしい」と猿渡琢海監督(平11営卒)もさらに上のステージでの活躍を期待する。今年は無差別級の団体戦で勝利を収めるなど、チームの大黒柱として活躍する橋口。頼れる主将の進化は止まりそうにない。
層の厚さを見せた。100kg級は出場した3人全員が準決勝に残った。準決勝では安田圭吾(営4=愛知県私立大成)と三村が対戦。両者全く譲らず、勝敗はゴールデンスコア方式で行われる延長戦へもつれる。ここでもお互い一歩も譲らず、最後は安田に指導が与えられ、勝敗が決した。勝ち上がった三村は決勝で3年連続で全日本で入賞を果たしている安達(日大)と対戦。準決勝で川田修平(政経2=愛知県私立大成)を破った相手に、序盤から積極果敢に攻め、指導二つのリードを奪った。だが「終盤攻められて気持ちが下がってしまった部分があった」(三村)と徐々に力のある相手に押され、逆に指導を三つ受け、逆転負けを喫した。それでも昨年は2回戦敗退に終わっており、大きな成長を感じさせる結果となった。また、三村だけでなく、安田、川田も昨年を上回る成績を残し、成長を実感させた。鍛錬しながら、チーム全体でさらなるレベルアップをし、全日本の舞台で今大会逃した優勝を奪う。
古豪復活を予感させる。100kg超級の田中が2年連続で準優勝すると、90kg級の野々内悠真(商3=崇徳)も2年連続でベスト4に入った。また、田中と同じ100kg超級の名垣浦佑太郎(政経3=愛知県私立大成)も3回戦敗退だった昨年を上回るベスト4に入り、計8人もの選手が準決勝に残った。さらに、神鳥剛(政経1=愛知県私立大成)、西園航太(法1=長崎日大)の2人の1年生もベスト8に入り、次世代への期待も感じさせる。今大会で予選を突破した10人に、すでに出場権を持つ、100kg超級昨年の学生王者である小川雄勢(政経2=修徳)を加えた11人で全日本に挑む。昨年は小川、橋口、野々内の3人が入賞を果たしたが、今大会の成績を考えれば、今年はそれ以上の結果に期待できる。決戦は1カ月後。11人の精鋭が全日本の舞台で明大旋風を巻き起こす。
[加藤真人]
選手のコメント
猿渡監督
「1年生の西園はいい戦いをしたと思う。自分の持っているもの力を全て出せたと思うけど、現時点ではあそこにいけるレベルしかなかったと。この1カ月間でどれだけ成長させていけるかだと思う。2年生に関しては川田が3位に入って、田中が2位。田中に関しては昨年も決勝で小川とやって2位だったし、決勝にいけるだけの力は持っている。今日も決勝までは順当にいくだろうなとは思っていたけど、そこから勝ち切れない。優勝が手に届きそうで届いていないので、そこを改善しながらということになると思う。投げる力は持っているんだけど、技の掛け方がまだ不十分なのでそこを改善して全日本学生に臨んでもらいたい。川田も準決勝は非常にもったいない戦い方で、指導を二つリードしておきながら残り1分で逆転されてしまう。自分の形を崩したらああいう結果になるということを本人も再確認できたと思う。ラスト1分までは本当に危なげのない戦いだった。そこをなぜああいう形になったのかというところに気付かないと、同じ失敗をまた繰り返してしまう。3年生は三村は決勝までよく上がったと思うけど、指導一つの差で優勝か準優勝かというところ。地力が付いてきたことはこの大会で分かったと思うので、あとは全日本学生で投げる力、投げる技というのが試合で発揮できるように強化していきたい。野々内は3位で昨年勝った相手に負けてしまったけど、一度負かした相手は野々内のことを研究してくるわけであって、その研究された部分をさらに上回った準備をして野々内は試合に臨まないといけなかったけど、そこが抜け落ちていたかなと思う。今日は大変悔しい思いをしたと思うので、そこはまた野々内がリベンジをすると思うので自信を持って戦ってもらいたい。名垣浦も3位だったけど本来だったら勝てる相手だし、同級生だし高校生の時は勝った負けたの戦いをしていたので、意地を見せてほしかった。お前には二度と負けないというくらいの強い気持ちを持って戦ってほしかったが、気持ちの部分で押し負けていたのが戦い方にも表れていた。その辺のメンタル部分を名垣浦に関しては強化していかないといけない。橋口と水野が決勝で戦ったけれども、橋口は昨年の全日本学生で3位だった悔しさもあって、この世代では俺が一番強いんだという思いも感じているし、まずは東京を制して全日本学生のチャンピオンまで突き進んでほしい。学生レベルで収まるような選手じゃないとは思っているので、そこの弾みにもなるように講道館杯、世界に向けてというところでも頑張ってほしい。その橋口のところまでいった水野も、伸びてきているし考え方も大人になってきているので、相手お見極めながら戦えるところは成長してきていると思う。今度橋口に当たってももっと思い切り戦ってほしい。安田に関しては準決勝で三村に負けてしまったけど、そこまでの動きを見ている限りでは調子は良さそうだった。ただ同門対決で後輩に負けるというところは気持ちの部分だと思うので、先輩としての意地を見せてほしかった。4人が決勝までいっても優勝できたのは1人だからそこは満足いかないかな。ただ昨年の成績を上回って決勝にいけた者に関しては評価をしたいと思うし、自信も付いたし次につながる弾みもついたと思うのでそれは収穫だと思うけど、負けたことに関しては練習ではできているけど試合でできていない部分が多かったのでもう一度修正しながらやっていきたい。今回22人の選手が出場したけど、自分の課題をしっかりと持って練習に取り組んでいるやつは全日本学生につながる切符を手に入れたと思うし、逆にそれができていない選手は今日負けたと思う。それぞれの練習への取り組み方というものをあらためて指導しながら、もっと厳しい練習に取り組んでいかないといけないと思うし、それができてこないと尼崎の体重別団体での優勝も見えてこないと思うので先を見据えながらやっていきたい」
橋口
「すごく調子は悪かった。いつもは投げて勝つイメージでやっているが、今日はそれができなくて、切り替えて、徹底的に勝ちに行く柔道を心掛けた。(準決勝までは苦しい試合も多かったが)いつもなら投げられなかったら気持ちが切れることもあるが、今日は悪かったので思い切ってやり方を変えてみたらうまくいった。(決勝はチームメートの水野が相手だったが)水野は今日すごく調子よくて、下手したら食われるかなぐらいに思っていたがやりなれている分、対応もできるので、真っ向勝負できなかったのは情けなかったが、勝負に徹した。(水野の成長は感じたか)強いですね。普通に。(残り時間わずかの技有は狙い通りか)時間がなくて相手が攻めてきたので、そこを狙っていった。狙い通りというか、今日は技が切れないと分かっていたので、指導一個取った時点で試合を組み立てていたら、最後投げられたという感じ。(優勝という結果は)いつもと違う柔道で優勝ができたので、いろいろ見えてきたというか、こういう柔道もできるんだなと発見した。(チームとしての結果は満足できるものか)決勝に行くと講道館杯まで確定するという中で、そこでいかに執念出して戦えるかという状況で、気持ちが弱い選手もいたが、昨年に比べれば結果もよかったし、成長していると感じた。(10月の体重別団体の優勝への手応えも感じたか)いけると思う。(自身も全日本への出場権を得たが、日本一への意気込み)正直、今年は負けないつもりで臨もうと思って、今日も講道館杯の枠とかのために頑張ったので、全試合出れたら勝ってやろうという気持ちで臨んでるんで、その面でいいスタートが切れたと思う。(シニアの選手との対戦にも手応えを感じてきたか)今回もそうだったが、かなり研究されていて、自分の技が決められないという状況で、技数でリードして、指導で優位に立って試合を組み立てるというのはできたので、シニアでもやっていけると思う。(今後の目標)全日本の優勝と講道館杯の優勝。あと尼崎(体重別団体)も取って、全部優勝する気持ちで頑張ります」
安田
「調子は悪くなかったので、全日本の出場権を得てからは気が楽だったというのはありますけど、最後は後輩に負けたので、意地が足りなかった。もっと意地を出していかなければならない。(三村との対戦)普段からやっているので、やりにくかった。やりなれているんで。(ベスト4という結果は)準決勝を勝っていれば、講道館杯も出られたので、悔しい。(同階級がベスト4に3人入ったが)表彰台に3人入れたのはレベルが高い。ただ、誰かが優勝しなければならなかった。(レベルの高い中で刺激のある練習はできているか)常に意識をしている。体重別団体も2人しか入れないので、誰か1人が絶対入れないので、そこは意識してやっている。(チームとして、4年生から見て成長を感じるか)強くなってきているが実際優勝したのは1人なので、これでは勝てない。優勝を逃したり、準決勝で敗れたりしていたので、これがもう少し勝てるようになれば、体重別団体も優勝できると思う。もう少し練習が必要。(全日本へ手応えを感じてきたか)試合になると引き気味というか受け身になりがちなので、もっと自分の柔道が思い切りやれればもっと上に行けると思う。(これからどのような練習を積んでいきたいか)もっと練習から、試合を意識してやっていけば、自然に身に付いていくと思うので、日頃の練習からしっかりやっていきたい。(今後の意気込み)4年生で最後なので、出る試合は全部勝って優勝したい」
三村
「悔しいという言葉しか出ない。最後指導で勝っててラストで逆転されてしまって、でもそこが現時点の自分の力なのであと2週間鍛え直して全学で優勝できるように頑張ります。(準決勝は)同門対決だったので厳しかったけど粘って勝ちました。技もバレバレだった。釣り手を負けないようにしてポイント取れたらいいなと思ってたけどゴールデンスコアにまでいってしまって長い戦いだった。(試合後は)決勝負けたら許さないぞと言われた。(決勝戦)相手の方が身長が高いのに組み手もせずに真正面から攻めてしまったので、あそこで組み手をさばいていたら結果は違ったと思う。(勝っていたものは)最初の勢い。相手はスロースターターだったので、最初は勢い出していたけど逆に終盤攻められて気持ちが下がってしまった部分があった。(全日本学生へ向けて)組み手が雑なので、組み手を徹底して今度は投げて勝てるように。昨年2回戦敗退で全学出られてないので、今年は2位で全学出れるのでいい感じで挑めます。もちろん優勝狙って頑張ります」
田中
「去年2位だったので優勝しか見えていなくてこの大会に挑んだけど決勝で負けてしまった。相手との差はなかったけど最後気持ちで負けてしまった。準決勝の影浦(東海大)がヤマ場だと思って対策はしていたけど不戦勝だったので、決勝まではすんなり進めた。決勝までは打ち込みしながら、名垣浦先輩の試合を参考にしながらいろいろ修正していた。相手は100㎏級から超級に変えていて技の切れがあると聞いていたので引き手をあまり持たせないように意識していた。自分の引き手がもてなくて両襟で勝負してしまって思い切り技を掛けられなかったが反省点。(残り1分40秒での指導)攻められていたけど、相手もばてていたので有効でも取ろうと思って投げることを狙っていた。組み手が押されていたので、全日本学生までには組み手を徹底して相手に押されないようにしたい。去年ベスト16で終わってしまったのでなんとか優勝したい」
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