26年ぶりに慶大撃破 2強時代に終止符/関東大学男子1部リーグ戦

2016.09.03
 歴史的大勝利を挙げた。リーグ第3戦は宿敵慶大との大一番。ここ近年は早大、慶大の2強時代が続き、明大は3位に甘んじてきた。そんなうっぷんを晴らすべく臨んだ今試合。ダブルス2本を先取される苦しい展開になりながらも、シングルスは5勝を挙げ見事な逆転勝利。黄金世代が明大硬式庭球部に新たな歴史を刻んだ。

 諱五貴(営4=松商学園)のシングルスで迎えたチームの勝負が懸かったマッチポイント。上杉(慶大)の返球がネットにかかると、ラケットを手から離し、万歳。シングルス、そしてチームの勝利の瞬間、鳴り響く大喝采の中チーム一同と共に喜びを爆発させた。「総合力で勝てているのでチームの状態はかなりいい」(切詰魁主将・政経4=高松北)と正真正銘チーム全員で成し遂げた26年ぶりの快挙。王座進出まで一歩、大きく近づいた。
 
 負けられないプレッシャーをはねのけた。ダブルスを1―2で折り返し、劣勢の状況。シングルスでの逆転を誓い、まずコートに立ったのは本城和貴(政経2=東山)、切詰、西脇の3人。「1番早く終わって周りを楽にしてあげたいという気持ちがあった」と切詰主将。圧倒的な強さでストレート勝ちを収め、チームに追い風を吹かせる。西脇も危なげなくストレート勝ちを収めカウントは3―2、逆転に成功した。2年生ながらにシングルス3を任せられた本城も粘り勝ちを収め、残りの澁田大樹(商4=鳳凰)、諱に最高の形でバトンを渡した。

 ど根性で死闘を制した。開幕2戦とは異なり、シングルス3での起用となった本城。「シングルス3が取りどころだったので、負けたら終わるなという気持ちだった」と大きなプレッシャーを抱えての試合となった。第1セット、相手選手の積極的にネットに詰めるプレーに悪戦苦闘。緊張と相まって本来のプレーが見せられない。3-6で第1セットを奪われ、迎えた第2セット。「やるしかないという気持ちだけで持っていった」と破竹の6ゲーム連取。第2セットを奪うと続く第3セット、互いに足を痛めながらも根性を見せた本城に軍配。7-5で第3セットをものにし、チームの勝利に王手をかけた。

 エース直接対決の激戦を制し、チームを勝利に導いた。今年の春関王者であり、インカレベスト4入りを果たした強敵・上杉との勝負を迎えた諱。4―2と優勢のチームカウントでの対決になるも「自分の手でチームを勝たせたかった」と気合十分。実力者を前にも負けるわけにはいかなかった。チームの勝負が懸かった緊張感が漂う中での第1セット。最初からギアを最大限に上げ、自身の武器である強力なサーブとストロークでゲームを展開。そして時にはドロップ、スライスを織り交ぜ、相手を翻弄(ほんろう)。確実にサービスゲームをものにし、第1セットを危なげなく先取した。続く第2セット序盤は拮抗(きっこう)した戦いに。その中でも上杉のミスが減少、かつ球の速度が確実に速くなった。苦戦を強いられ、第6ゲーム目でブレークされ2―4で突き放される。しかし決して自分のペースを崩さず、頭を切り替えてすぐさまジュースの末にブレークバック。「もうやるしかない」。一度流れは引き寄せた諱は強かった。第8ゲーム目以降は終始諱ペース。最後は怒涛(どとう)の4ゲーム連取で強敵相手にストレート勝ちを収めた。

 次戦はとうとう王者早大との一戦だ。「チャレンジャーな気持ちで王者を引きずり下ろしたい」(澁田)。宿敵慶大には勝利を収めたが、関東制覇のためには王座11連覇を誇る早大を倒さなくてはならない。しかし黄金世代にも死角はない。今試合見せたチーム力で絶対王者に挑む。

[島村昭二・藤田幸大]

試合後のコメント
切詰主将

 「(慶大に勝った気持ち)素直に嬉しいですね。先輩たちも言っていたんですけど、何十年ぶりの快挙なので。とりあえず、僕たちの代でしっかり勝てたのでよかったです。後輩もしっかり頑張ってくれていて、総合力で勝てているのでチームの状態はかなりいい方だと思います。(ダブルスについて)ダブルス2の相手はインカレ優勝しているペアで強かったんですけど、それでもそこを取り切ればもうちょっと流れが変わったのかなと思います。ダブルス1とダブルス3は取ってくれるかなって考えていて、ダブルス2次第だなと思って試合に入ったので力んだというか、そこが敗因かなと思います。(シングルスについて)ダブルスは1-2でリードされて、絶対落とせないという引き締まった思いで入れたのでそれが逆にシングルスを5本取れた要因かなと思います。僕はダブルスを落としてしまったので、シングルス絶対に負けられないという思いと1番早く終わって周りを楽にしてあげたいという気持ちがあったのでとりあえず自分の試合だけ集中して入りました。(早大戦、中大戦について)いい流れでここまで来ているので早大に勝って、中大にも勝って関東1位で王座に行けるように頑張ります)


 「うれしいの一言です。まだ王座が決まったわけではないので、まず早稲田に勝ってほぼ確定にさせたいです。個人的にも上杉に勝てたことはうれしいし、チーム的にも澁田を勢いづけられたこともうれしいですし、チームで勝てたこともうれしいです。ダブルス1-2で負けてる状況でしたが、シングルスで先に入った本城、西脇、切詰が3本取ってくれたので、楽にプレーできました。1人でも負けていたらプレッシャーかかっていたので、本当に良くやってくれた、ありがとう。って感じですね。自分の手で勝たせたい気持ちがあったのでそれが実現できてよかったです。今日は声出しの応援が禁止だったのでそれで逆に集中できましたし、本当に自分の世界に入れたので良かったです。上杉とは対抗戦で勝っていましたが、春関優勝するし、インカレもベスト4の相手ですし、強い選手でしたが、一個下なので負けられなかったです。倒してやろうという事だけを考えてました。(ブレークされて2-4になった時)やばいと思いました。相手もミスが減ってきて、球が速くなってきたんで焦りましたが、ブレークして3ー4にできたのがでかいかなと思います。ここまできたらやるしかなかったです。ファイナルまで行きたくなかったので、勝ちを決めて澁田に楽させたかったです。(次の早稲田戦)個人的には次のS1の相手はわかっています。小林で、インカレ優勝者ですね。強いのもわかっていますし、1年生で思いっ切り差もあると思いますが、インカレ優勝者を倒してやりたいと思います。チーム今すごくいい雰囲気でいるので、全員で勝ちます。実際に勝てるチャンスはあるっていうのわかっていましたし、同期4人が勝てばチームも勝てる方程式もあります。その脇で後輩が1本でも取ってきてくれば、僕らも楽にプレーできるので勝つ方程式が実行できたので良かったです」

澁田
 「慶大に勝てて本当によかったです。(ダブルスについて)当たる前、最悪1本は取ってシングルスに回したいと思っていて、0-3は自分たちにもプレッシャーがかかってしまうので。絶対に自分たちが1本取っていきたいなと思っていました。勝負どころを2人で話し合って、ベンチコーチとも上手く連携取ってポイントにつなげられたっていうのがよかった試合でした。試合前にもらったアドバイスがすごく効いてて、ワンチャンスを掴めたというか1本しかないチャンスを1本で掴んだということが印象的な試合でした。1番最初に終わってチームにいい雰囲気を作れたと思います。いい試合でした。(シングルスについて)オーダー発表があって、自分たちの予想していたオーダーとは大きく違っていて、焦りはしたんですけど組み合わせを見ると全部取れる試合だなって思いました。そうしたら案の定、最初に入った3試合が全部勝ってくれて。特に切詰が早い時間でさくっと終わらせてチームにいい流れを持ってきてくれたおかげで次の西脇もリラックスできたと思うし、その西脇も緊張する場面の中、ワンチャンスを掴んで勝ってくれました。そのおかげで本城も、だいぶ足にきていたと思うんですけどなんとか逃げ切ってくれて。そうしたらうちに流れがきて、僕が第1セットを取ったことで、諱を楽にしてあげられたと思います。逆に諱が先に勝ってくれたことは僕がファイナルで勝ち切れた要因だと思うので、誰が1人よかったというよりか、1人1人がいい仕事したと思います。本当にチームが良くて、結局は個人個人でやったことではあるんですけどそういうことも周りのことを思っての結果だと思うので。それが今日のシングルスの5-1の結果だと思います。(チーム力について)今日特に思ったのは応援が声が出せない分、目と目を合わせる機会がすごく多くてそこから熱意が伝わってきますし、パワーをもらったので。最初の2戦に比べて今日の一戦は選手以外の周りのスタッフがいい仕事をしてくれたと思います。そういうコート外の仕事がプレイヤーに伝わり始めるとチームとしての機能が出てきますし、今日はそこがピカイチだったと思います。(早大戦、中大戦について)早稲田は絶対王者と言われているんですけど、僕たちの世代なら負けることないと思うので。かといって上からいくわけでは決してなく、チャレンジャーな気持ちで王者を引きずり下ろしたいなと思います。中大戦は勝たないといけないと緊張してしまうと思うんですけど、個人個人が自信を持って、ぶれない心を持って頑張っていきたいと思います」

本城
 「(慶大に勝った気持ち)正直に嬉しいです。でも慶大に勝っても早大、中大とかがまだ残っているのでそこを取らないと王座には行けないので。嬉しいのは嬉しいですけど、もう切り替えてあと2戦に向けて準備していきたいです。(最初にシングルスに入ったことについて)相手のオーダー的に僕が取らないといけないオーダーだったので。シングルス3が取りどころだったので、絶対に負けられないという、負けたら終わるなという気持ちだったので。その気持ちが緊張になって、第1セットにもろに出てしまってあんな形になってしまいました。すごく緊張しました。2セット目以降はもうやるしかないという気持ちだけで持っていきました。ファイナル入ったらもうセカンドセットの流れで勝つしかないと思ったので、気持ちしかなかったです。(今後の早大戦、中大戦)全勝して関東1位で王座に行くっていうふうにしか思っていないです」