ルーキー二ノ宮がフリーで準優勝! 大山もラストインカレで3位に/全日本学生選手権

2016.08.29
 充実感に満ちる銀メダルだ。明大から7人がベスト16入りを果たし、フリースタイルの頂点を懸けて臨んだ最終日。97kg級の二ノ宮寛斗(営1=岐南工)が見事に準優勝を果たした。また86kg級の大山博貴主将(営4=仙台育英)は3位、70kg級の寺田靖也(農4=八千代松陰)もベスト8と4年生も最後の本舞台で結果を残してみせた。

 マット上で見せたのは成長の証だった。二ノ宮が初のインカレの舞台で堂々の2位に輝いた。ノーシードで始まった1回戦から準決勝までは全てテクニカルフォール勝ち。迎えた決勝戦、相手はグレコの準々決勝で敗れていた園田(拓大)。開始1分近くで足をつかみかけるも投げ倒されバックを取られてしまう。「そこがポイントを取る一番のチャンスだった。そこで取り切れないところが技術的な甘さ」(二ノ宮)。0-4で第2ピリオドへ突入すると、後半に好機が訪れる。組み手から素早く後ろに回りバックを取り、ラスト1分勝負へと持ち込んだ。しかし「相手がそこから勝負するタイプの人」(二ノ宮)と技を仕掛けようとするも体力でかなわず。最後は2-7で試合終了となった。
 常に変化を求めてきた。「大学に入ってから伸びたのは組み手」(安西信昌コーチ)。大会期間中には自身の動画を何度も見返し、試合後もすぐにコーチと話し合う姿は研究熱心そのもの。準決勝で当たった藤田(神大)は3月の合宿で対戦した際に1点も取れなかった相手だったが、戦略を考えて圧勝することができた。4月のJOC、6月の春季新人戦に続く3度目の銀メダルは「新人戦の負けから意識してきたことが出せた。成果が上がり始めたと思う」(二ノ宮)と成長の跡を刻むものだった。実力があるからこそ、まだ見ぬ伸びしろを追い求めている。「でも負けは負けなので、同じ銀メダル」(二ノ宮)。悔しさの中に宿っていたのは、揺るぎないたくましさ。確かな手応えをつかんだその手で次こそは頂点に立ってみせる。

 主将の花道は、頂点を取るまでお預けだ。大山が最後のインカレで3位入賞。大学入学後、初の表彰台に「やっぱり優勝したかった」(大山)と清々しくも悔しげに振り返った。
 重要所で、理想の技を展開した。3回戦ではお家芸のアンクルホールドでリードを奪い勝利し、準々決勝では得意の飛行機投げで4点を先制し3位を決めた。6月の明治杯で敗れてから「自分の勝ち方」を模索しているが「それが試合中に通用しなくなるのを恐れているかもしれない」(大山)。自信のあるプレーを、格上相手に対してもやり通せるかが重要だ。「今回で言えば、崩しまではうまくいったけど、その後が続かなかった」(大山)。次の舞台は11月の全日本大学選手権。「優勝して終わりたい」(大山)。競技生活最後の舞台で頂上に立つべく、まだまだ部の先頭に立ち続ける。

 「チームとしては上々の結果で終えられた」(大山)。今回のインカレではグレコで75㎏級の奥田海人(政経2=霞ヶ浦)が3位、フリーでは二ノ宮が2位、大山が3位と合計で3つのメダルを手にすることができた。「選手の気持ちの面で意識改革が出てきて、あきらめない、最後まで粘り強くやるという気持ちが少しずつ芽生えてきている」(中出幹児監督)。大山キャプテンの下で「チーム力」をテーマに走り続けてきたシーズン、実力発揮はまだこれからだ。後期に向けて、実りの秋を過ごす。

[土屋あいり・小田切健太郎]

試合後のコメント
中出監督

「私としてはインカレのチャンピオンを出したかったが今回2位1名、3位1名ということで、昨年は3位1名のみだったので大きな成果が出た。選手の気持ちの面で意識改革が出てきて、あきらめない、最後まで粘り強くやるという気持ちが少しずつ芽生えてきている。(二ノ宮選手)もともと実力のある選手で、インカレという大学4年生も含めた大会の中で1年生にも関わらず、非常に良く頑張った。(秋に向けて4年生に求めていくものは)今は大山主将を中心に非常にいいチームになってきている。ただ4年生も今年いっぱいで次の世代に以降するということになるので、これから9月の六大学戦をはじめとして大会が続く中、最後まで気を抜かず4年生がリーダーシップを発揮して頑張ってもらいたい。(チーム全体としては)まだまだ甘いところもある。私としては技術だけではなくて、もっと粘り強い気持ちとか人間力を合わせて向上していきたいと思っている」

多賀垣雄副部長
「二ノ宮はよく頑張ったなと。決勝の相手は石黒(日大)よりはタイプとしてはやりやすいと思ってたんだけどね。最初に取れなかったのと、途中にも一回あった。そこがダメだったな。筋力が向こうの方があった感じがしたな。二ノ宮は崩してから入っていくっていう動きがいい。2位に上がるのもすごい久しぶりだしね。大学入ってからも伸びてるんだけど、崩してから入れるのはうまい証拠。連続的な動きができてるよね。トップを取るためには力と体力が必要。動きはいいからね。それからディフェンスだな。足を取られるまでやら組み手やら色々なディフェンスを身につけて欲しいね。3位の大山は頑張ったっちゃ頑張った。けれども彼の能力からしたらあれぐらいいけるわな。インカレはメダルの色は惜しいけど、3人も入賞するのは久しぶりだからそこは評価できるね」

安西コーチ
「二ノ宮は実力通りの結果。ここからトップを目指すのは、気持ちが大事だと思う。決勝で戦ったような選手といい試合ができればいいと思っているのか、全日本チャンピオンになりたいと思っているのか、オリンピックに出たいと思っているのかで同じ練習をするにしても全然違う。高い所に行きたいと思っていれば、インカレチャンピオンなんて自ずと通過点になる。頑張ってやっていたらてっぺん取れていた、ぐらいの選手になってくれたらと思います。今、二ノ宮は練習としてはいかに得意な部分を伸ばして戦うかというのをやっているのかな。大学入ってから伸びたのは組み手。本人もすごい研究してやっているし、組み手をうまくやることで自分の得意な入りを生かしていくことは自信を持ってやっている。見えづらい所だけど大事な部分。大山は準々決勝まで安心して見れた。対戦相手を見る限りそこがヤマ場だったからね。後は部全体が気持ち持ってやれてきているのかなと感じる。最上級生の大山寺田に追いつけ追い越せで切磋琢磨してやっていって欲しい」

大山
「初めての入賞なので嬉しいけれど、やっぱり優勝したかった。全国入賞は2回目。グレコで高校の時に2位になったことがある。(準々決勝では)得意の飛行機投げが決まって、勝つことができた。もうちょっとしっかりした試合の流れの中で試合をしたかったけれど、勝ててよかった。内閣も出ます。今回入賞できたので、競技生活の最後に優勝して終わりたい。そのために崩した後の動きを鍛えること。今回は崩しまではうまくいったけれどその後が続かなかった。そこをしっかり覚えればいけるんじゃないかなと思う。今回、チームで3つのメダルを取ることができて、そのうち1年生と2年生が取ってきてくれた。4年生があんまり入れなかったのが申し訳ないです。が、チームとしては上々の結果で終えられたと思う」

寺田
「今の自分の実力が最大限に出せたと思う。準々決勝で自分のやりたいことが全部できて、作戦通りやれました。セコンドの安西さんの声もしっかり聞こえていた。(インカレでは中量級の選手が活躍していたが)今年の頭からスパーリングの相手が小出で、個人的にはずーっと一緒にやってる小出が勝ってくれたのがとっても嬉しかった。あと仲田も。仲田は今同じ部屋で技を教えたりしているので、2人ともここからどんどん強くなると思うしなって欲しい。前回のインカレから、中量級はかなり強くなってきている。今年は練習でも追い込むようにしているし、気持ちも強くなってきている。これからは後輩の育成に徹しようかな、と思っていたけれども「内閣はお前だ」と言われたので、インカレで乗れなかった分、内閣と全グレで表彰台を狙いたい。内閣までは僕と大山が仕切ると思うので、しっかり皆も見ながら、自分も頑張りたい」
本多正龍(営3=島原)
「今日は練習と同じくらいの力で試合も動けた。1ピリ目は相手も伺ってたこともあるけど0ー1で抑えられて、2ピリ目に入ってギア上げてこられて僕も対処しきれなくてコロコロコロってやられた。だんだん試合の形が見えてきて、次につながる結果だったと思う。ベスト16に意味はないけど、課題も見つかって次試合でどうやったら勝てるようになるかが見つかったので今回のインカレは有意義だった。去年は全グレで6位で内閣は入れなかったんですけど、今回は全部出ることになると思うので明治として勝てるように個人でも勝てるように頑張ります」
森本健斗(営3=広島国泰寺)
「技が出せなかった。相手にリードされたせいで出せる技がそもそもなかった。そのせいで攻めあぐねて向こうに点数をとられて、結果逆転されてしまった。毎回そうだからそこが課題。(これからの意気込み)下の代が強いので、自分らが引っ張っていけるように頑張る」

宮口太輔(法3=焼津中央)
「最初に2点取れたもののテクニカルフォールという結果に終わってしまったので、自分の中では駄目な試合だったという思いが強い。軽量級のタックルと重量級のタックルは根本的に違うということが分かったので、切ることも入ることもどっちも身に付けないといけないと思った。今の4年生の先輩が抜けると戦力ダウンがひどいと思うので、そこの穴を埋める意味でも頑張っていきたい。自分としても部としても全力で頑張っていく」

仲田滉(法2=花咲徳栄)
「相手はかなり格上の選手だったけど、勝つつもりでぶつかっていった。最初はリードできて良かったけど、相手の体力がすごくて全然落ちなかった。僕の体力がどんどん奪われて負けちゃったって感じ。プレッシャーのかけ方がすごく上手い選手でレベルが高かったので、少し気を緩めると一気に流れを持っていかれた。僕も疲れちゃって、後半はずっと相手のペースで何もできなかった。僕よりも体力があったので、そこで負けた。(今後の課題)多賀先生にも「力をつけろ」って言われてて。なので、力をつけて得意技を1つ作って上にあがりたい。(今後の意気込み)試合に出る機会があるなら、相手を全力で倒す」

二ノ宮
「決勝までは行きたいという気持ちで。優勝したかったけど決勝まで行けたこと、内容的には新人戦の負けから意識してきたことが出せて、それを決勝でも相手に効いてたと思うので成果が上がり始めたと思う。でも負けは負けなので、同じ銀メダル。(決勝)相手も全日本2番で簡単にやられるかなと思って、だからこそ思い切っていこうと臨んだ。タックルが何回か取れたが、相手がそこから勝負するタイプの人なので処理が甘かった。最初に自分ではこれ4点タックル取れるという場面があったけど、そこで相手のほうがやっぱり一枚上手で逆に2点を取られてしまった。そこがポイントを取る一番のチャンスだったので、そこで取り切れないところがまだ技術的な甘さがあるかなと。(試合後に)多賀先生にはタックルは取れてるんだからそこからの処理するために力を付けないといけない、ウエイトトレーニングをしていけと言われた。安西コーチには技術的な面でビデオを見ながら、相手のことを崩せてる部分は良かったけどここから出た多くの課題を一緒に話していった。(初めてのインカレ)組み合わせを見た時点で当たる相手は予測がついていたけど、準々決勝、準決勝はその相手と違っていた。特に準決勝は3月の合宿でスパーリングをして1点も取れなかった相手で、正直心配していた部分はあったけどこの5カ月で自分が成長できていたということだと思う。これからも自分で考えるレスリングを続けて、次の大会からは全部優勝できるように頑張りたい」