まさかの敗退 立正大に2-4で2年連続天皇杯出場できず/東京都トーナメント

2016.07.24
 本領を発揮できなかった。天皇杯への切符を懸けた東京都予選の準決勝の相手は東京都1部リーグ所属の立正大。序盤から相手ペースに持ち込まると、立て続けに3失点する最悪の試合展開に。3点を追う明大は前半44分に土居柊太(政経3=浜松開誠館)のゴールで1点を返し、前半を終える。後半は序盤から攻撃のリズムをつかむと、後半28分に巽豪(法4=國學院久我山)の得点で2―3に。しかし、そのわずか4分後、立正大に4点目を決められ、勝負あり。2―4で敗れ、2年連続天皇杯出場を逃した。

 「どこかに油断っていうものがあった」(土居)。相手が格下という気持ちの油断がプレーにスキを生み、前半だけで3失点する最悪の試合展開となった明大。スローガンである「球際、切り替え、運動量」の三原則では全て相手に劣っており「守備では、全てが足りなかった」(柴戸海・政経3=市立船橋)。シュートを打たせない、クロスを上げさせない、粘り強く体を張るという堅守を持ち味とする明大らしい守備が見られなかった。3失点目のシーンでは、ディフェンスラインでボールを受けた相手FWに簡単に前を向かれ、ドリブル突破から失点。「気持ちの部分でぬるいところがあったので、こういう試合になってしまったと思うし、ぬるい気持ちがあるからそういう体の動きだったり、そういう思考になっていた」(柴戸)。前期リーグ王者としての油断があだとなり、今季初の2点差での敗戦となった。

 決定的なシーンをものにできず、逆転のチャンスを取りこぼした。前半終了間際に得点を決め、いい流れで後半に入ることに成功。迎えた後半16分、2カ月ぶりのケガ復帰で後半15分から途中出場を果たした岩田拓也(商4=FC東京U-18)が左サイドのゴールライン際から上げたクロスに道渕諒平(農4=ベガルタ仙台ユース)がヘディングシュートをするなど、勢いが出始めた明大。26分には岸本英陣(商3=帝京大可児)を投入し、河面旺成(政経4=作陽)のポジションを上げ、攻撃的な布陣に。するとその2分後にCKのチャンスを巽が頭で合わせ、待望の2点目を得る。その後も再三同点ゴールを狙うも、「決定的なところを決めきれなかった」(土居)。チャンスをものにすることができず、逆に31分、ディフェンスラインでボールを奪われると、速攻から痛恨のダメ押しを献上。高まっていた同点への機運は4失点目によって打ち絶たれた。

 下を向いている時間はない。今試合を通して守備、決定力不足、精神面の部分で多くの課題を残す結果となった。しかし、2週間後には夏のインカレこと総理大臣杯が控えている。「この試合が良い意味でのターニングポイントになればいいって監督やスタッフが話していた」と八谷惇希(商4=清水エスパルスユース)。次の大会まで短い期間だが、この負けをきっかけにチーム一丸となって総理大臣杯に挑む。昨季の総理大臣杯は決勝まで進むことができたものの、決勝で関西学大に敗れ、惜しくも初優勝を逃している。もう一度チームの歯車をかみ合わせ、今年こそ悲願の日本一を目指す。

[古賀章太郎]

[試合後のコメント]
服部一輝主将(法4=札幌大谷)

「(外から見たチーム)率直に戦えていなかった。今までの明治が出せていなかったっていうのが正直な感想です。1対1でも負けていましたし明治の基本となっている3原則っていう部分も相手のほうが勝っていたので、負けたことは必然だと思います。(4失点の原因)厳しさとかゴール前で体を張ったりというのが今まで前期リーグでできていたところができなくなってしまっているっていうのがすごく大きいと思っているので、総理大臣杯までにあと2週間あるのでしっかり準備したいと思います。(今後の課題)悠太(小出悠太・政経4=市立船橋)などの中軸の選手がいない中で、誰が出ても勝てるっていうチーム、もっと一人一人が発信できて戦えるっていうチームを、あと2週間で作っていきたいと思います」

八谷
「相手が関東1部じゃない中で、ある程度選手たちの中には油断せずにいこうという気持ちはあったんですが、結果的に隙が出てしまって負けてしまったというただそれだけだと思います。技術面では絶対に負けていないと思うけど、結果的に負けたということは単純に負けなので試合の入りとかに隙が出てしまいました。リーグ戦やアミノで好成績を残してきた中で、このような別の大会になった時に結果が出なかったのは油断しかなかったです。チームを奮い立たせる選手が出てこなかったというのが現状で、後ろの選手を含め自分が先頭に立っていかなきゃいけないんですが、そこができなかったのが一番の敗因だと思います。(2点取られた後にピッチのメンバーが集まって話をしていたが)もう一回自分たちのサッカーというのをやろうということで、三原則であったり、前からいくこと、下でつないでゴールまで行くって話をしたんですが、焦りもあってミスも目立ち、なかなかうまくいかなかったです。(試合後にコーチ陣は)終わったことと話していたが、大臣杯が来月にあるので、気を引き締めて、この試合が良い意味でのターニングポイントになればいいって監督やスタッフが話していました。(後半の流れは悪くなかったようだが)後半はスタッフや選手間で話をしたことでよくなったんですけど、それを前半の中で変えられなかったというのが課題です。(後半に入る前はチームでどんな話を)やってきたことをやろうというただそれだけで、あとはピッチ上で戦うということを意識しました。いつも出ている服部や小出といった精神的支柱がいなく選手がころころ変わる試合で色々難しかったが、そういう時こそ普段出ていない人が奮起しなきゃいけないので誰が出ても変わらない強さというのを今後見せていけたらいいかなと思います。負けをしっかり受け止めることが大事で、強いけど負けたというのはもうやめて、弱いから負けたと謙虚に受け止めて練習に臨み、隙を見せないで普段から生活していくことがさらに大事になると思います」

柴戸
「(今日の試合を振り返ってみて)立ち上がりから自分たちのミスだったり、うまくいかない中で、修正することができず、ずるずると行ってしまいました。また、失点も軽いプレーが続きましたし、一人ひとりの試合に対する向き合い方だったり、頑張りどころっていうのが統一されていなくて、チームとしてはとてもひどい試合になってしまいました。(守備面で足りていなかったところは)球際、切り替え、運動量っていう守備の3原則が足りていなかったです。その部分では相手に負けていました。また、シュートを打たせない、クロスをあげさせないという明治の基本のところもどんどん甘くなっていました。守備では、すべてが足りなかったです。(気持ちが守備に影響しているか)そうですね。やっぱり、自分たちのこの試合への向き合い方だったり、トーナメントの初戦という難しさを理解していなかったです。あと、気持ちの部分でぬるいところがあったので、こういう試合になってしまったと思いますし、ぬるい気持ちがあるからそういう体の動きだったり、そういう思考になってしまいました。今日の試合は反省しなければいけないと思います。(関東王者としての油断はあったか)監督からもリーグ戦のことは忘れて、この試合に対してチャレンジャーとして臨んで行くってことは言われてましたし、自分たちの中でも関東王者という感覚はなかったとは思うんですけど、どこか心の中に油断や隙があったので、周りから見ていると王者として威張っているかのようなプレーがあったのだと思います。もう一回チャレンジャーとして総理大臣杯に向けて厳しくやっていかないといけないと思いました」

土居
「(4失点の原因)どこかに油断っていうものがあったと思います。立ち上がりふわっと入ってしまって、そういう中で失点しまったことに自分たちの私生活や練習のところから隙があったと思います。(チャンスが決めきれなかった)前半は1点返せて後半チャンスがあるからそれをしっかり決めようと入ったんですけど、ああいうシーンで決定的なところを決めきれなかったっていうのは、最後勝つっていうところで勝てないっていうのをこの試合を通して感じました。(初戦敗退をどう捉える)相手どうこうというより自分たちに隙があると思うので、そういう意味では天皇杯も終わってしまいましたけど、次総理大臣杯があるので、もう一回自分たちの原点に立ち返って普段のトレーニングや私生活で一からしっかりやっていきたいと思います」