筑波大に敗れまたもベスト8の壁を破れず/全日本学生優勝大会

2016.06.27
 4年連続でベスト8という成績に終わった。 無差別級の団体戦日本一を決める今大会。札幌大を6-0、岡山商大を6-1、東洋大を4-0と難なく下し鬼門の準々決勝に駒を進める。対戦相手の筑波大は前年、東海大を破って優勝しており、今大会も優勝候補の一角だった。15年ぶりの優勝へ最初の鬼門となるだけに気合が入っていたが、まさかの2連敗スタートで流れをつかみきれず、スコア2-2の内容差で敗戦。日本一奪還は今年もかなわなかった。

 またしても高くて厚いベスト8の壁が立ちふさがった。前回王者の筑波大との顔合わせとなった準々決勝。先鋒(せんぽう)の金山天地(政経3=柳ヶ浦)は東京学生優勝大会で活躍しており、チームに勢いをつけることが期待された。しかし開始37秒で大内刈を決められまさかの一本負け。嫌な空気が漂うと、続く次鋒田中源大(政経2=高川学園)は「一本を取れる選手」(猿渡琢海監督)と期待されていたが、格下の相手に不意を突かれ、痛恨の敗戦を喫した。この敗戦で流れは完全に筑波大に傾いた。五将川田修平(政経2=愛知県私立大成)も攻めきれずに引き分け。残り4人で0-2と窮地に立たされた中で迎えた中堅小川雄勢(政経2=修徳)も有効による優勢勝ちにとどまり、流れを明大に呼び戻すまでには至らなかった。その後副将名垣浦佑太郎(政経3=愛知県私立大成)が終了間際の相手の反則による一本勝ちで首の皮一枚つながったが、大将三村暁之(政経3=崇徳)が引き分けに終わり、2012年以来の準決勝進出を逃した。

 並々ならぬ思いで臨んでいたからこそ、悔しさは大きかった。橋口祐葵主将(政経4=延岡学園)は66㎏級の軽量級選手であり、準々決勝に進んだ8大学のエントリー選手の中で最軽量だった。「団結力だったり追い込みの練習だったりもやって自分が4年間やってきた中で一番きつい1カ月だった」(橋口)と振り返るほど、自分自身を追い込んで臨んだ最後の全日本。1回戦の札幌大戦、2回戦の岡山商大戦と一本を奪い勝利に貢献した。筑波大戦でも国際大会で優勝経験もあり、昨年の優勝メンバーでもある山本(筑波大)を相手に互角の戦いを見せた。しかし、ポイントは奪えず「負けていたので自分は取らないといけないと思っていった」(橋口)と試合後には悔しい表情をのぞかせた。「橋口にはこの悔しさを秋の個人戦、尼崎にぶつけてもらいたい」と猿渡監督も期待する主将が、この悔しさをバネに、秋に飛躍する。

 エースだからこそ、ただの勝利では物足りなかった。小川は全試合で勝利を挙げ、2年連続で優秀選手に選ばれた。しかし「取りきれなかった部分もあるし、優秀選手はそんなに気にしない」(小川)と表情に明るさはなかった。その理由は筑波大戦の内容だ。一本を2つ取られての0-2という苦しい展開で4人目の小川の番が回ってきた。ここでエースの小川に求められる結果は「一本勝ち」。しかし2年前の優秀選手で昨年優勝の原動力となった神谷(筑波大)にてこずり、なかなか一本を奪えない。残り1分16秒に大内刈で有効を奪うもポイントはこれだけにとどまった。猿渡監督は指導3つを奪いながら、4つ目を奪えずに一本にならなかった点を挙げ「まだまだテクニック面を含めて強化が必要」とさらなる成長を期待する。苦しい試合展開を打破できるエースへ、小川にはさらなる進化が求められる。

 団体の借りは団体で返すしかない。10月の全日本学生柔道体重別団体選手権はこのメンバーで戦う最後の団体戦だ。「本当に最後の団体戦になるので、もちろん優勝を目指して頑張っていきたい」(橋口)と集大成に悲願達成をもくろむ。「ちょっと淡々と試合をやり過ぎているかなと思う選手も多かったので、メリハリの付けた戦い方を教えていかないといけないと思う」(猿渡監督)と今回の敗戦を糧に、新たな課題を修正していく。この4カ月間は個人戦が中心で、各選手には明大の代表としての活躍が求められる。個人戦を席巻して、団体戦で悲願の優勝へ。選手たちはこの屈辱を胸に前を向く。

[加藤真人]

試合後のコメント
猿渡監督

「筑波戦は先鋒の金山に関しては相手も読めないところがあったので、乗るか反るかの選手だったので勝ちも負けもどっちも考えてはいた。その次の田中に関しては、一本を取れる選手だしその力があるので、全体的には田中で歯車が狂ってしまった試合だった。その後は小川が有効を取って勝ちはしたんだけど、指導を三つ取っていたのであそこで割り切って指導四つで一本を取ってほしかった。まだまだテクニック面を含めて強化が必要かなと思う。投げられるチャンスもたくさんあったんので、技でしっかりと投げることはできなかったので小川には武器となる技をしっかりと教えていかないとならないし、強化していかないとならない。橋口はよくやったと思う。でも普段の練習を見ていれば、もっともっとやれたと思うし相手を追い詰めることはできたと思う。投げてほしかったというのが素直な感想だけど、橋口にはこの悔しさを秋の個人戦、尼崎にぶつけてもらいたいと思う。名垣浦は結果的に反則勝ちで一本を取ったけど、小川、田中、名垣浦の3人は3本柱として育ててきたつもりだったのでまだ甘いところがある。メンタルの面にしても柔道の面にしても、指導者もそうだけど選手もしっかりと自覚をしてやっていかないとまた同じミスをしてしまうかなと思う。どんな場面でもしっかりと一本を取れる選手がチームのポイントゲッターになると思うので、昨年も日大と同じような内容だったしほんの紙一重の部分なんだけど、そのほんの紙一重の部分を逆転しないと日本一にはなれないと思う。その部分をしっかりと強化していきたいと思う。(チームとしての完成度は)チームに関しては橋口がよくまとめていたし、小さいなりにもうまく選手たちをコントロールしながらやってくれていた。その中でも選手たちがもっとモチベーションを高くする必要があったのかなと思う。(秋の体重別団体に向けて強化していくべきところは)ちょっと淡々と試合をやり過ぎているかなと思う選手も多かったので、メリハリの付けた戦い方を教えていかないといけないと思う。これは練習の中ではできているけれど、いざ試合となるとそういう部分が出せていないところもあるのでそこを重点的にやっていかないといけないと思う。練習量でも負けていないと思うし、戦い方も負けていないと思う。それぞれの研究部分が足りていないのかなと。この12人対12人の戦いで試合に出るのは7人だけれども、誰と当たるかは決まっていないので12人の登録メンバーを選手一人一人がある程度分析しなければいけないと思う。どういう戦い方を相手がするか分かった上で、自分がどういう戦い方をしていくかを考えていかないといけない。スタッフとしてはもちろん教えているけれども、教えられることと自分で研究することとでは記憶として残り方が違うので、どうやったら勝てるかというところを覚えてもらいたいと思う」

橋口
「(筑波大戦で2本を先行されて)あそこの二人が負けることは自分たちでもあまり考えてていなかったし、誰かがカバーしないといけない状況でそれができなかったところに自分たちの詰めの甘さ、弱さが出てしまったのかなと思う。ポイントゲッターだった田中が焦って負けてしまったというのが大きかったが、それ以外のところでも奮起して勝ち星を挙げられなかったところも痛かった。(1-2の状況での自身の役割は)戦い方は状況で変わったと思うが、負けていたので自分は取らないといけないと思っていったが取り切れなかった。(チームとしての完成度は)今年は東京負けてからの1カ月で、チームの団結力も足りないんじゃないかという話も出て、団結力だったり追い込みの練習だったりもやって自分が4年間やってきた中で一番きつい1カ月だった。今年は絶対に優勝するぞという気持ちでみんなやれていたと思う。自分がキャプテンとしてやることは、試合に出たら勝たなければいけないということはあるが、自分が一番強いわけではないので主力の3人だったりがしっかりと働けるように周りのチームの力も上げていこうということは考えてやっていた。(秋の体重別団体戦に向けては)本当に最後の団体戦になるので、もちろん優勝を目指して頑張っていきたい。団体ではあるが階級別なので、その階級だからこそ分かることがあると思うし、できるだけ自由に戦えるようにしていきたい」

三村
「自分が取ったら勝ちが決定だったのに、バタバタしてしまい勝ち切れなかった。悔しい気持ちでいっぱい。緊張はしていたけどもうやってやろうという気持ちの方が大きくてがむしゃらにやったけど結果がついてこなかった。(監督からは)有効でもいいから取ってこいと。ポイント取ったら勝ちだったのでなんでも取ってこいと。(仲間の声援)もちろん聞こえた。力になった。最初から自分で攻めていって何が何でもポイントを取ろうと思って試合した。今年は優勝狙えるメンバーで、4年生も最後の試合で、そこで自分のせいで負けてしまったのが本当に悲しくて涙しか出ません。優勝できなくて悔しい。(次の体重別団体)メンバーにちゃんと入って次こそは優勝できるように、チームに貢献できるような選手になりたい。確実にポイントを取れる技を身に着けることと、どんな時でも揺るがない精神力をつけることが必要。きつい合宿を乗り切って秋にある体重別で優勝できるように頑張ります」

野々内悠真(商3=崇徳)
「優勝狙えたけど力が出し切れなくて勝てなかった。練習でできて試合でできなかったことが多かったので、来年はしっかり練習して試合でも発揮して優勝できるようにしたい。1年生も強くて良い刺激になっているので、(体重別団体は)毎年3位という結果に終わっているし、今年は優勝目指してみんなで一丸となって戦いたい。監督も納得いっていないという話で、自分たちの力を出し切れていないのがダメだと。また一からやり直し。あと一つの指導を取り切る練習だったり、引き分けるところは引き分ける練習。大きなけがをしている選手もいなくて、体調不良者もいなくコンディションは良かったけど、気持ちの面で体と心が一致していなかった。取らなきゃ取らなきゃっていくけど体がついてこない。いざ試合になると固まってしまう。そういう部分を直していきたい。個人戦も始まるので、去年は全日本学生体重別選手権3位に終わってしまったので今年は優勝できるように個人でも結果残
して尼崎につなげたい」

小川
「優勝できなかったということは、自分が一本取りきれなかったというのが反省点だと思う。(ベスト8という結果は)ここ数年ベスト8の壁を破れていないので、来年はそこを破って優勝したい。(筑波大戦の敗因は)団体戦の前二つを取られると取り返すのは難しかったと思うし、そこで流れが悪くなってしまった。(0ー2の劣勢で回ってきたときの心境は)相手も強い選手だったが、絶対に自分が取らなければならないという気持ちで試合をした。(東京学生優勝大会からのチームの状況の変化は)日本一に向かってやるという気持ちで、いい感じにチームもまとまっていたと思うし、チーム状況はそんなに悪くなかった。(個人としては全勝できたことについて)東京学生優勝大会は決勝だけ取れなかったが、ポイントが取れたこと、また、4試合中3試合で一本が取れたことは成長しているのかなと思う。(2年連続で優秀選手に選ばれたことは)あんまりそういうのは考えない。あくまでそれは自分の結果だと思う。取りきれなかった部分もあるし、優秀選手はそんなに気にしない。(今後の目標は)海外の試合があるので、結果を残したい」