
慶大にリベンジ果たし2連勝! 昨年の雪辱を果たす/関東大学2部リーグ戦
リベンジを果たすにはこの上ない状況だった。3―3と泣いても笑ってもこれで勝敗が決まる7番手のミドル級戦。玉山主将は「昨年のことが頭によぎった」と、昨年の慶大戦でも全く同じ状況で戦った。その時は目前の勝利を狙うあまり、焦って猪突猛進に攻めて敗北。しかし今回の玉山主将は違った。相手と距離を置き、次々と放たれるパンチも見極めるようにかわしていく。さらに「楽しんでいこう」と、焦るような状況でも笑みを見せながら戦い続けた。それでも最終R、味方の声援を受けると今までのアウトボクシングを捨て、相手の猛攻に対して近距離に突っ込んで応戦する。そして残り1分、左ストレートを顔面に受けると、右の額から足にまとわりつくほど血が流れ出す。激しい出血にも「なんか温かいな」(玉山主将)と錯覚するほど、相手を打ちのめすことに必死になっていた。血が染み込んだリングの上でパンチを放つ度によろけながらも、ゴングが鳴るまで相手と打ち合いを繰り広げた。激闘の末に判定勝ちを収めた瞬間、玉山主将は雄たけびを上げながら両手でガッツポーズ。リベンジを果たした喜びは血とともにあふれ出した。激闘の第3Rの判定は相手に劣っていたものの、会場全体を圧巻させるボクシングに後楽園ホールの誰もが魅了された。
相手の流れをせき止めるTKOだった。玉山主将の激闘も米澤の活躍なしでは生まれなかった。2―3と慶大に王手をかけられ迎えた6番手のウェルター級戦。プレッシャーこそ感じながらも「自分の動きに集中した」(米澤)と、決して自分を見失うことはなかった。さらにリベンジを図るべく前回の専大戦の後、高校時代のビデオを見返して当時のプレーに回帰。そして「相手の動きをしっかりと見ながらボクシングをすること」(米澤)を意識しながらこの試合に向けて練習してきた。この試行錯誤が功を奏す。第2R、開始20秒後に相手の左ストレートに対して「体が反応した」(米澤)と、放った右フックは強烈なカウンターとなり、ダウンを浴びせる。相手を一気に弱らせ、主導権を握った米澤はとどめを刺すように畳み掛ける。ここぞとばかりに攻めたパンチは次々とボディーにクリーンヒット。結果53秒で二度目のダウン、そしてTKOを奪い、チームの敗北を防ぎ勝利に向けて弾みをつけた。
昨年からの成長を遂げた。見事に慶大にリベンジを果たした明大。昨年も3―3までもつれ込む混戦だったが「慶大の前に出るファイトに負けた」(星野隆監督)と、勝ちに対する執念の差で負けたところがあった。しかし、今年は全員が挑戦者としてリベンジに向けて取り組んできた。そして試合本番ではダウンが決まるような展開は少なかったものの、粘り強く戦い抜いた。部員数も多い慶大の応援席からの大歓声にのみ込まれそうになりながらも、少人数こそのチームワークの強さで不利な状況をはねのけた。さらに2連勝を挙げた内野滉史(商3=東福岡)や、今試合は負けたものの前戦でリーグ戦初白星を挙げた永山純礼(農3=いわき秀英)、犬島峻平(商2=呉羽)、笹谷建公(文1=弘前工)と、豊富な戦力もそろい始めた明大ボクシング部はさらなる躍進を遂げてみせる。
[近藤佑真]
試合後のコメント
玉山主将
「3-3で昨年と同じ状況だったので、そのことが頭によぎった。そしてまた負けたらどうしようと不安になったが、今回は何がなんでも勝ってやろうと思った。1R、2Rは落ち着いたつもりで戦っていたが、周りから負けているのではとあおられて相手もがむしゃらにきたのでやばいなと思い、最終Rで頑張った結果大量に出血してしまった。今年は全シーズン笑って戦いたくて楽しんでいたが、終盤は血だらけで笑っていたので客席から悲鳴が聞こえてきた。結果として、慶大に勝って前年の1勝を越えることができたのが主将としてうれしい。残り2週間気持ちを引き締めてみんなを引っ張っていきたい。最後の最後で大量出血をしたのも試合時は気付かなくて、なんか温かいなと感じていた。ドクターも上がってきて試合を止めようと言われたが、やらせてくださいと頼んで最後まで戦った。それくらい強い気持ちで試合に挑んだ。ただやはり最後に傷を残したのが惜しい。昨年慶大に負けて悔しい思いを踏んでいるので、今年その悔しさを胸に勝つことができて本当によかった。主将として自分は引っ張るタイプではなく後輩に支えられながらチームをまとめていくタイプなので、みんなにもたくさん助けられた。本当に感謝している」
米澤
「チームとして慶応には去年負けているので、リベンジということでみんな気持ちが入っていた。2-3という形で回ってきて、後ろにキャプテンがいたのでしっかり自分の試合をしようと思ってやって、個人的にはやっと自分のボクシングができたなと思う。自分のボクシングとは、スパーリングとかも高校の時から色々スタイルを変えているが、やはりもらいながらも前に出てやったりとかかなと思う。専修戦が終わって、高校のビデオを見返して自分の理想としていたボクシングとは違うなと思い、もう一度高校時代の強かった時のボクシングに戻してみたらそっちの方がぴったりはまった。理想はアウトボクシングではないが足を今日みたいに使って、相手の動きをしっかり見ながらボクシングをすること。その練習の成果がよく出たと思う。専大戦が終わってから監督にもリベンジと言われたし、みんなもリベンジリベンジとかなり強い気持ちはあった。正直2-3で回ってきてプレッシャーはあったが、1年生の時からこういう場面はいくつか経験していて、後ろにはキャプテンもいて自分さえ勝てばあとはキャプテンに任せればいいと思っていたので、取りあえず自分の動きに集中してやった。良い形で勝利できて自分としてはできすぎというか、別に狙っていたパンチではなくて反応してタイミングで打った形なのでよかった。チームにとってもTKOはやはり増やした方がいいのでよかったと思う。初めのダウンは相手の動きを見ながら、相手が出してきた瞬間に左のストレートが反応した。本当に体の反応で取れたダウンだったので、反復練習していた成果だと思う。いつもだが自分の後ろにはキャプテンがいて、リングを降りた後いつも通りの(玉山)先輩の仕事ですよというふうに背中をたたいて送り出した。安心というか、やはりキャプテンは心強い。2部でも明治は一番人数が少なくて、最初自分たちは勝つつもりだったが2連敗していた中で専修、慶応と一番大事なところにきて、やはり人数ではないチームワークだというのを証明できてよかったと思う。日頃から仲が良くて、チームワークはすごく良いと思っている。みんな諦めないでここだここだというところでしっかり集中してできている」
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