
決勝に4種目進むも優勝逃す/全日本軽量級選手権
主将を勝たせたかった。昨年優勝の男子舵手なしクォドルプルは、優勝を経験している櫻井克茂主将(法4=岐阜県立加茂)にフレッシュな1年生3人を加えたメンバーで戦った。「2連覇がかかっていることにプレッシャーは感じなかった」(太田貴明・法1=岡山東商)と語るように、予選は序盤こそ接戦であったがのびのびとこぎ続け、最終的には2位と8秒差をつけて決勝へ進む。
しかし決勝では500m地点を4チーム中3番で通過するなど、先頭の龍谷大を後ろから必死に追いかける苦しい形でレースが続く。「自分たちの強み」(櫻井)とする第2、第3クオーター(500~1500m地点)で前のトヨタ自動車を抜かして2位に出るが先頭の座を奪うことができず、最後まで粘り続けるも力及ばず2着。全力を注いだ選手たちはゴール地点でオールを離すとぐったりとうなだれた。
今回櫻井はこの1か月で7kgも落とす過酷な減量に取り組んでいた。そのような苦しい状況の中でも大学生として初めて全日本級の大会に出場する1年生を練習から試合まで鼓舞し続けてきた。そしてレース後1年生3人は悔しさを噛みしめるように「櫻井主将を勝たせてあげることができなかったのが申し訳ない」と言葉をそろえた。ただ櫻井は「伸びしろに期待できるような試合だったと思う」と、まだ大学生活の船出であるルーキーに期待を込めた。1年生は次のレースでさらなる飛躍を見せてみせる。

目標としていた3冠の夢は早々に打ち砕かれた。それでも選手たちは軽量級選手権無冠という結果を悲観することなく、次の目標を見据えている。「インカレの(舵手なしクォドの)3連覇がかかっているので、そこを目標に頑張っていきたいです」と主将の櫻井。櫻井を尊敬する1年生中村智哉(政経1=下諏訪向陽)は「櫻井さんに任せっきりだったので、1年生でクルーを引っ張りたい。全日本クラスの戦いは全て1位を取るつもりなので、見ていてください」と力強い口調で高らかに宣言した。「オフを挟んでみんなにリフレッシュしてもらって、またインカレに向かって頑張っていきたいです」と櫻井。今回の結果をチーム全員で受け止め、新たなる目標へまい進する。
[近藤佑真・柴田祐太朗]
試合後のコメント
櫻井
「(決勝のレースを振り返って)まだまだでしたね。1年生の今後に期待するしかないですね。僕の最後のシーズンの1敗なので軽いものです(笑)。これからの1年生の伸びしろに期待できるような試合だったと思います。負けても後悔はないです。(レースプランは)第2クオーター、第3クオーターの自分たちの強い部分で相手に付いていこうというプランでした。でも強みとしている部分で置いていかれてしまったのでそこが敗因になったと思います。練習でもう少し距離をこぐことができたらそこも競り勝てたかなと思うんですけど、練習の量ももう少し考えていかないといけないと思います。そこが課題ですかね。(過酷な減量でぜんそくの発作が起きたことも)そうですね。僕自身あまり体が強くないので。周りの支えもあって今年も何とかやってこられたと思います。今後は無理な減量もなくやっていけると思うので期待していてください。発作は夜に突発的に出て、気付いた人が集まってきて救急車を呼ばれかけたという感じです(笑)。前にも大会中に呼ばれたことがあって、もう懲りたのでひたすら呼ばないでくれと言って止めました。(1年生3人とのクルーとなったが)非常にフレッシュでしたね。僕が1年生の時に4年生3人とやっていたので、それが全部逆転した感じで若いなあと思ってやっていましたね。その時は4年生を勝たせなきゃというプレッシャーばかり感じてしまったので、それだけは与えないように頑張りながらやっていました。でも負けた時には『すいませんでした』というふうに言ってきたので、さっき言ったように俺の1敗なんて大したことないから、これから頑張ってくれと声を掛けました。やってくれると思いますよ。多分これからもスカル組として頑張ってくれると思うので、インカレでは何の艇に乗るか分からないですけど楽しいクルーをつくっていけるように、今回の練習と試合で学んだことを生かしてやっていってほしいですね。学年は関係なしに中心になる選手になってほしいです。(1年生の減量へのアドバイスは)いやみんな軽いので(笑)。僕だけ頑張って1年生がそれを見守るというスタンスでしたね。むしろ一番心配されていました。1か月で7kg落としました。体脂肪的にも7%は落ちたと思います。例年と違って今年は筋肉を落とさずに脂肪だけを落とす減量をしてみたんですけど、きつかったですね。食べる量を減らして入ってくる栄養量を減らすのが例年のやり方だったんですけど、今年は食べる量は減らさずに運動量を倍にしたりして、必然的に筋肉を保持しつつ脂肪を減らす有酸素メインの運動ばかりをしていましたね。やるもんじゃないですね(笑)。一練習ごとに死にかけながらやっていましたね。(他種目の結果については)今後はエイトを中心メンバーにしていくというスタンスで組んでみたんですけど、思った以上の結果が出たかなと思います。強敵のNTTにも僅差まで迫ることができていたので、このままエイトで勝負しにいっても今年はいい勝負ができるかなと思います。(3冠達成の夢はここで消えることとなったが)インカレの3連覇がかかっているのでそこを目標に頑張っていきます。6月の東日本でインカレのクルーというのも確実に決定していかないといけないので、オフを挟んでみんなにリフレッシュしてもらってまたインカレに向かって頑張っていきたいです」
有山裕美子(文4=浦和一女・女子舵手なしクォドルプルクルー)
「(山田をクルーリーダーに推した理由は)今後の明治の女子部を考えた時に加奈(山田)には引っ張っていってもらえる存在になっていってほしいと思いました。すごくいいものを持っていて、ボートに関する感性も経験もあってそれを発信するのに遠慮する部分がありました。でもクルーリーダーにしたら嫌が応でも発信するかなというのがあって、加奈が話した時ってみんなの気持ちが高まることが多いなということが今までのエイトとか乗っていた時に感じていました。他の日向子(瀧本・商2=館林女子)とか香穂(植松・文3=岐阜県立加茂)とかのモチベーションとかも上がるかなと思いました。(大会を通じての山田の成長は)本当に責任感のある子だから、苦しい時もあったと思いますけど最終的にクルーでまとまってこげたので、それも加奈のおかげかなと思います」
大久保亮(農3=猿投農林・男子エイトクルーリーダー)
「(決勝のレースを振り返って)ベストなコンディションでベストなタイムを出すことはできませんでしたけど、すごく雰囲気が良くて絶対に負けないぞといってみんなでできたと思います。練習の段階から僕たちのテーマは『家族になろう』ということだったので、しっかりとまとまりをつくってあげてレースのアップのところから信頼してこぐことを意識しました。レースでも最後までみんなを信じてこげたんじゃないかなと思います。決勝のレースもちょっと逆風が強かったですけど、気持ちが良くてまた次につながる軽量級になったんじゃないかなと思います。(スタート500mで出られての焦りは)全くなかったです。決勝というところで当たり前ですけど、どこも飛ばしてくるのでそこで焦らずに僕らの武器をどんどん引き出してあげて、そこからアタックしていくことを頭に置いていたので焦りはありませんでした。それのおかげでまずは一橋を差して、日大を差して、NTTというところにシフトチェンジできたので、みんなも気持ちよくこげたかなと思います。徐々に詰まっていく感じがあってすごく楽しいレースでした。そうなった時にもっと攻めて詰めていくことができたら良かったのかなと思います。(優勝に届かなった差は)スタートですね。最初に腹切ってしまったのでそこを強化していくことと、コンディションに負けないことがポイントかなと思います。(1日2本のレースについて)午前中がとても暑くてみんな結構熱を持ってほてってしまったので、水風呂などで対応はしたんですけど、エネルギー奪われている感じはありました。(リーダーとしての自覚の芽生えは)ありますね。艇を進める前にまずは雰囲気をつくることが大事かなと思います。ベストメンバーじゃなくても戦えるということで自信を深めていますし、雰囲気をつくることで艇速も変わってくると思っています。(インカレに向けて)東日本ではクルーがどうなるか分からないですけど、今回のテーマを続けていってみんな家族なんだよと、みんな必要なんだよということでチームをつくっていきたいです」
川野
「結構授業とかもあってなかなか練習時間十分に取れなかったんですけど、しっかり限られた時間の中で、工夫してやってきたので自信はありました。決勝は風もあって慌ててしまって、前半ミスをしてしまって、それが響いてしまい、経験が足りなかったです。NTTの方が一枚上手だったと思います。予選はスタートはばっちり決まったんですけど、仕掛けどころの反応が鈍く、準決勝は割といい感じにできていて、ラストスパートは調整で抜いたんですけど、全然いいレースが出来て、決勝につながるといいなと思ったのですが、決勝はスタートでつまずいてしまいました。(全日本2位は)1年生から軽量級選手権出てきましたが、自分が出た中では一番いい成績が取れたのはうれしいです。でも絶対1位取れるクルーだったのでそこは悔しいです。自分たちの一番の目標はインカレで男子エイト優勝なので、この経験を生かしてインカレ優勝につなげたいと思います。」
原
「(今日のレースを振り返って)スタート早く出た方が勝つかなと思って最初からみんなで攻めようと思っていたんですけど、焦りが出てミスが何回も出てしまったのですが、第2クオーターから一本ずつ日大つぶすっていう意識でした。だんだん近づいて来て、最後のスパートで引き離そうと思ったんですけど、最初のミスが大きくて追い付けなかったです。逆風はやっぱり難しいコンディションだったんですけど、ずっと練習で逆風の時に対応できるこぎを全員でつくり上げてきたので他の組みが崩れるなか、勝てるな、って思ったんですけど、負けてしまいました。(修正点は)予選は割とリズムは良かったんですけどエントリーから、前からこぐところが弱かったのですがそこを改善できて、2つ目のレース(準決勝)ではそこを意識したのですが、今度は力みがあったので、決勝では力まずにスタート出られるようにしたところです。500m地点では最下位でしたが、ミスが多かったので、一回ここで切り替えて行こうという感じでしっかり切り替えさせて、そこから相手との差をこれだけ詰めたんだよというところをついて、しっかり最後切り替えさせました。そこでみんなが切り替えたのが大きかったです」
山田加奈(商3=宇和島東・女子舵手クォドルプルクルーリーダー)
「(決勝のレースを振り返って)最初に腹切れじゃないんですけどオールを取られてしまって相手と離れてしまったのでそこはもったいなかったと思います。出られていたんですけど、見えるくらいまで追い付けたところでもう一つ出られていたらというところです。最後タイム見たら関電と1秒差だったので、もう少し上げられていたらなと思います。(レースプランは)スタートで並んでいるか出ようというのはあったんですけど、今日は逆風が強かったのであまりガンガンいってしまうとオールがあおられてしまうので、一本一本確実に進めようというのが2000を通してのプランでした。自分たちらしく負けていても楽しめたらそれはそれで結果が付いてくるだろうし、出られていても落ち着いて今までやってきたことを確実にやっていこうとスタートのところで話しました。イメージ通り最初から最後までこげたと思います。(クルーリーダーを務めたが)私はまとめるキャラとかではないんですよね。クルーで話した時に植松(香穂・文2=岐阜県立加茂)がやるかなと思ったんですけど、4年生の祐美子さん(有山)が私を推してくれました。その期待に応えられたかは分かりませんけど、クルーリーダーの時にはなかった責任感というのは感じました。(インカレに向けては)レースではなく練習からでも守ってしまうところがあって、この後にこのメニューがあるからと思うと自然と体がセーブしてしまうところがありました。ブレーキをかけずに練習からでもガンガンやっていって、目標である優勝に向かってやっていきたいですね」
太田
「予選と同じように相手に先頭に出られる展開だったが、予選と違って巻き返すことができませんでした。そしてだんだんと焦りだしてリズムが崩れてしまいました。いこうと最後にコールを出してみたが、力及ばずという結果でした。二連覇が懸かっているということにプレッシャーを感じてはいなかったが、伸び伸びとこげたかと言われれば、そうとは言えなかったです。楽しんでこぐというよりも自分を追い込みながらこいでいた感じでした。それでも2位という結果で終わったことはとにかく悔しいです。高校生のときも日本一まであと一歩のところで負けたので、もう二位はいらないです。次のインカレでは優勝を狙いたいです。櫻井さんは自分が緊張しているときに支えてくれるなど良い雰囲気を作ってくれました。櫻井さん抜きではここまでこられなかったと思います。本人はケガやぜんそくによる発作が起きたりと苦しい中で無理をしながら戦ってくれたのに、自分たち1年生が勝たせることができなかったのが申し訳なかったです。もしまた一緒に乗る機会があったら優勝して恩返ししたいです」
石畑修一郎(営1=米子高専・男子舵手クォドルプルクルー)
「練習通りにいけたが、練習で全体的に動きが合わなかったので、悪く言えばそういった練習でうまくいかなった部分も出てしまったかなと思います。あとレート(1分間にこぐ回数)を刻むことが自分の役割なので、そこをもう少し上げることができればよかったです。自分は一番体重が軽くて、パワーがないと自覚しているので、もっと身体を大きくしてパワーアップしたいです。二連覇をしなければならないという義務感はなかったが、今大会はレベルがあまり高くなかったので、明治大学の代表として優勝しなくてはならなかったと思います。なので二連覇できなかったことよりも、勝てなかったことが悔しいです。櫻井さんはすごくポジティブな方で、自分は船に乗っているときうまくいかないと短気になってしまいチームの雰囲気を悪くしてしまうことがありますが、そういったときも言い方を変えてみんなを盛り上げてくれました。4年生として培ってきた実力も出してくれたり、本当に大事な存在でした。他にも減量で無理させている分、一年生3人がむしろ引っ張っていくくらいの気概で挑みました。インカレではまた部内選考によってメンバーが編成されるが、出場するなら勝ちにいきたいです。」
中村
「予選でかなりタイミングが良かったので決勝もこの勢いで、と思ったのですがクルーのまとまりというか一本一本がすごい重く、悔しい結果になってしまいましたが、この時期に2位という結果には満足しているのでまたこれから先上を目指したいです。(櫻井とのコンビネーションは)櫻井さんに任せっきりだったんですけど、(2、3番目ペアの)エンジンペア2人で出力を出して船を伸ばして、櫻井さんには本当に助けられていました。2連覇もかかっていたので少しプレッシャーはあったのですが、その中でも伸び伸びこげたのは良かったと思います。(2位は)本当に悔しいですけど、ここが本番じゃないので、インカレ、全日本に焦点を合わせて、ここで2位だったのをいい意味でとらえて、次の大会に向けて頑張りたいと思います。(敗因は)練習が不足してたのとクルーとしてのまとまりがまだ100%じゃなかったことだと思います。全国レベルは今回が初めてでしたが、その中でも戦えた自信は付いたので、これからもっと自信持って大会で結果を出したいです。(櫻井の存在は)本当に頼りになっていて、クルーを引っ張ってくれて、任せっきりになってしまったんですけど、リーダーシップがすごくて、本当に頼りになる存在です。今後は1年生でクルーを頑張って盛り立てようと思います。全日本級の戦いは全部1位取るつもりなので、見ていてください」
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