
王者・東海大を追い詰めるも2年連続の2位/東京学生優勝大会
わずか2秒が明暗を分けた。先鋒(せんぽう)三村暁之(政経3=崇徳)が引き分けると、次鋒名垣浦佑太郎(政経3=愛知県私立大成)、五将金山天地(政経3=柳ヶ浦)が勝利を挙げ、2-0と優勝に近づく。続く田中源大(政経2=高川学園)も全日本体重別2冠のウルフ(東海大)と互角の勝負を演じたが、残り時間2秒から有効を奪われ敗戦。エースの三将小川雄勢(政経2=修徳)も序盤に指導を取られ、流れをつかめず引き分けに終わり、ポイントを取り返せなかった。命運を託された、副将川田修平(政経2=愛知県私立大成)、大将野々内悠真(商3=崇徳)も相次いで敗れ「国士館の時にやれていたところが東海戦でできなかった」(猿渡監督)と優勝目前で力を出し切れず、悔しい逆転負けを喫した。
悔しさの中にも収穫が残った。金山は準決勝の国士大戦で一本勝ちを収め勝利に貢献すると、東海大戦でも国際大会の出場歴もある香川(東海大)を相手に、開始わずか26秒で豪快な背負い投げを決めて、会場を沸かせた。「先に技を出すように心がけた」(金山)と40㎏もの体重差がある相手に積極性を見せた。名垣浦も負けてはいない。準々決勝の東洋大戦で豪快に一本を決めると、決勝でも伊藤(東海大)から技ありを奪い、チームに勢いをつけた。それでも「一本取り切れなかったのは反省点」(名垣浦)と勝利に浮かれることなく貪欲に向上心を見せており、エース級の活躍が期待できる。金山、名垣浦はともに3年生だが、昨年活躍した後輩たちに負けてはいられないという強い気持ちが、今大会での活躍につながった。
絶対的エースの出現が待たれる。優勝を逃した一因に、猿渡監督は「柱がいないこと」を挙げた。それが顕著に表れたのは3回戦の国学院大戦。「普段練習でやっていることが出せていなかった」(猿渡監督)という一戦は、積極性を欠いた各選手がポイントを奪えず、小川の反則勝ちであげた1勝をかろうじて守り切った展開だった。その小川にも「気持ちの面でも柔道の面でも全く褒められない」(猿渡監督)と厳しい評価を与えた。「最重量級は、重量級の意地とプライドと他の軽い小さい奴に負けてはいけないんだという気持ちを持ってもらいたい」と猿渡監督は重量級選手に奮起を促す。また今大会では、軽量級の橋口祐葵主将(政経4=延岡学園)やルーキーの神鳥剛(政経1=愛知県私立大成)が出場し、いずれも勝利を挙げた。二人とも「全日本に出場させるか検討させる」(猿渡監督)としており、メンバー争いもし烈さを増してきた。1カ月後に迫った全日本は昨年ベスト8に終わっており、今年はリベンジに燃える。今大会で手にした課題と収穫を生かして、打倒東海大、そして優勝を狙う。
[加藤真人]
試合後のコメント
猿渡琢海監督
「初戦は力差のある相手だったので、経験を積ませる勉強のための一つとして神鳥を出して、この大会に向けて大学に向けての強化練習、調整などを肌身で感じることができていい経験になったと思う。練習を見ている中では、大学レベルに達していないと思ったので今日は1回戦に留めておいたけど、この1カ月でどれだけ成長するかで全日本出場させるかどうか検討していきたい。東洋戦で橋口(祐葵・政経4=延岡学園)を出したけども、橋口は軽量級だし体力面で心配な部分はあった。無差別の団体戦で大きい相手と連続で当たる可能性もあるし、いくら66㎏級で強くても自分の能力を低下させるものにもなるし、ケガもしてしまうので今日は一試合で抑えておいたけど、結果出したので、全国での起用の仕方を考えていきたい。ただ、決勝を見ても相手の東海はほとんどが重量級の選手で、決勝まででスタミナをロスした状態だと思う。決勝一発勝負というのは監督としても決断しにくい。橋口が強いということは知っているし、重量級にも対応できるので様子を見ながら選んでいきたい。国学院は、今年は強いチームでうちが1―0で勝てたけど他の国士館、日体だったら力関係が五分だったと思うし、うちだから勝てた。ただその内容が、あいつらが普段練習でやっていることが出せていなかったので、練習でやってることを試合で発揮できるように練習していきたいし、惜しいとこ止まりで終わった。2回戦目だったので、まだ固さというか緊張もあったとは思うけど、そういった面も理由にはできないし同じ条件でやっているのだから。準決勝、決勝と国士館の時にやれていたところが東海戦でできなかった。勝った金山に関してよくやったと、とても評価している。ただ名垣浦に関しては、あの有効が一本だったらもっと流れも変わっていたと思うし、もっともっと自分がポイントゲッターだというのを自覚して、自分が勝たなきゃチームが負けるんだという気持ちを持ってこの1カ月はやってもらいたいし、モチベーションを保てるように鍛えていきたい。田中が、よく戦ったと思うし、最後の油断がチームの敗因につながったということをしっかり覚えておいて、ウルフにもこれで2敗したわけだし、今度は全国で当たった場合は勝つんだという気持ちでこの1カ月間練習に取り組んでもらいたい。見ている限りではそんなに力の差は感じなかったけど、上手さというかほんのちょっとした油断で負けていたと思うので、もっと突き詰めた柔道をしてほしい。小川は決勝に関しては全くダメ。気持ちの面でも柔道の面でも全く褒められない状況。小川自身が自分が弱いということを理解して意識して柔道に取り組んでいかないと今のままで終わってしまう。小川は全国的にも目立っているし、他の大学、選手にも研究されていると思う。それを上回る練習をしないとあいつの成長は止まってしまう。だから危機感を持ってやらせなきゃいけない。川田はケガが続いていて、川田自身の体の硬さが弱点になっていて、柔道の邪魔をしていると思うので、いい方向にしていけるように。もっと頭使って脳みそに叩き込んで心に教え込んで練習をやっていってほしい。まだまだ小川、川田、田中は物足りなさが多い、もっと高い意識をもってこの1カ月をやっていってほしい。三村も野々内もケガに苦しんでいる状況もあったけど、練習も一生懸命やっているし、ただ相手に対応するところが足りていない。相手が得意としているところにあえて入ってやっているところがあるので、相手の土俵で柔道をするのではなく自分の土俵で柔道をすることを意識してほしい。(今日の結果に)全然満足していないし、悔しさもあるし腹立たしさがある。小川、名垣浦が一本とれなかったこと、俺も重量級でポイントゲッターとしてやってきた経験からこれはすごく腹立たしい。最重量級は、重量級の意地とプライドと他の軽い小さい奴に負けてはいけないんだという気持ちを持ってもらいたいし、甘えを捨ててもらいたい。今日の東京大会は全員に優勝するぞと柔道部一体となってやっていくぞと言ってきたけど、やっぱり一戦一戦、目の前の敵をどう倒していくか、どう自分の柔道を発揮するかを覚えさせる、全部勝てば優勝だという感覚で全国大会はやっていきたい。(今年のチーム)一つ物足りないのが柱がいないこと。今日の試合では名垣浦、小川と田中の重量級3人は全部の試合に出したけど、全部の試合に勝ったものは誰もいない。少なくとも3人のうち2人は全試合にかつべき。今回の大会でウルフは全試合で勝っている。そこの意識の差だと思う。自分が取らなきゃチームが負けるという意識を全員が持てば強いチームに育つし、去年のチームを上回る」
金山
「決勝戦とかはよかったんですけど、国学院大戦で、自分の小中高一緒で同場だった人が相手だったんですけど、自分がとっていれば、小川や田中や名垣浦が楽にできたと思うので、そこが悪かった。(準決勝、決勝の一本勝ちについて)毎日練習しているのが出た。(どういった練習をしてきたのか)自分が技出しが遅いので、先に技出すように心掛けろと監督に言われたので、そこを心がけてやった。(それを発揮できたか)準決勝、決勝はできたと思う。(決勝は体格のいい相手だったが)投げに行こうと思った。(2位という結果は)悔しかったんですけど、まだ東京なんで、全国で優勝できればいいと思う。(今後の目標)自分が全国に出たら、全部取るように頑張るので、みんなで優勝したい。」
名垣浦
「(今大会に向けて)春の間は体重を増やそうと思って、スクワットとかベンチプレスなどのウエートトレーニングをした。(国学院大戦は)あんまよくなかった。一人一人勝ちたいっていう気持ちがなかった。(国士大戦について)まだ、ベストメンバーではないと思うので、まだ、満足はしちゃダメだと思う。(東海大戦について)自分が絶対取るって気持ちで望んだけど、一本取りきれなかったのは、反省点。前半はまず様子見て、後半は勝負だと思ってて、たまたまワンチャンスが入って、それで投げれたのでよかった。課題が結構出たので、その課題を埋めて、来月の全国大会に向けて頑張りたいです。」
小川
「今日の結果は最後、自分が取れなかったことが負けた原因だと監督にも言われたし、自分でもそう思う。学生の試合で勝てないと世界を目指せないと思うので、今日も反省するところ、直さなきゃいけないところが見えてきた。技術的なことでは釣り手。自分が入れる組み手になれていなかったから、そこが今日の自分の課題。みんな研究してきているし、正直自分の今日の試合に対する入り方が甘かったと思うし、全試合取れるだろうと思っていたけど自分のいやなところを研究されていたので直していかないと、全国大会で日本一は難しい。そこまでには今日の課題を直していきたい。引き分けに来られるとなにもできないというのが今の自分の実力なので、その中でも自分が取れるように練習していきたい。確実に一本取れるように、自分の一本勝ちでチームに貢献できるように気持ち的な面からしっかり練習で詰めていきたい」
川田
「(今日の結果は)情けない。学年が上がって、責任感も持ち出したが、得点が取れなかった。特に國學院戦では指導3までいきながら、ポイント、あと一つが取れないというのが情けない。(ここまでの練習は)春からはケガをしていて、3月から5月のゴールデンウイークまで、ずっとトレーニングをしていた。試合にでるイメージでずっとやって、出られるようにしていました。(国士大戦の勝利は)同級生で同じ階級の相手だったので、それは負けられないというのがあった。(今後の目標)気持ちからしっかり見直して、団体優勝したい」
田中
「(今大会に向けて)春の間は、足首をケガしてたんで、上半身中心のトレーニングをしてました。階段で足腰の強化してました。(苦戦した国学院大戦について)全体的に動いていないし、ポイントゲッターがしっかり取るところを取らなかった。気持ちの面というよりは、そこまで本気で取りに行ってなかった。自分も取らないといけなかった。もっと詰めてやらないといけないと思う。(国士大戦について)準決勝からは強いチームが上がってくるって分かっていたので、みんな気合入れてやってました。(東海大戦は)自分の前までで二つ取ってたんで、自分が取りに行って、最低でも引き分けだなって、勝負に挑みました。自分が引き分け以上なら勝っていたので、最後の油断が負けにつながった」
関連記事
RELATED ENTRIES