寺田と二ノ宮がともに初戦敗退/全日本選抜選手権

2016.05.28
 勝てた試合を取りこぼした。国内最高峰の戦い、全日本選抜選手権が開幕。大会初日、明大からはグレコローマンスタイル71kg級の寺田靖也副将(農4=八千代松陰)、フリースタイル97㎏級の二ノ宮寛斗(営1=岐南工)の2名が出場した。寺田は一時逆転、二ノ宮も一時同点と接戦を演じるも、最後は実力者相手に力負けを喫した。
 再びの下剋上とはならなかった。フリーが本職の寺田が1回戦で対戦したのは、第1シードの山本(日体大)。昨年の国体では大金星を挙げたが、今回はそれを警戒した相手に思うような動きをさせてもらえなかった。第2ピリオド中盤にバックポイントを奪い逆転も、直後に投げられそのままフォール負け。「ラスト1分、耐えられなかった」と相手を追いつめていただけに悔しさを募らせた。
 掲げる目標は高い。ラストイヤーに目指すは「インカレ両スタイル入賞」(寺田)だ。今は本職のフリーに加え、グレコも視野にトレーニングに励んでいる。今大会でも最後は地力の差で敗れたものの、組み手の技術では相手を上回った。「今まで通りフリーを練習しながら使える技をやっていけたら」(寺田)。二足のわらじで8月のインカレに照準を定める。
 「悔しさしかない」(二ノ宮)。二ノ宮は経験豊富な格上の選手相手に初戦敗退を余儀なくされた。幼い頃から目標にしていたという今大会への出場。夢見た舞台への緊張からか自分の実力を発揮することができなかった。体が思うように動かず序盤から相手に主導権を握られる展開。少しずつ調子を取り戻し第1ピリオド開始直後に同点に追いつくも、攻めきるまでには至なかった。そして直後に判断ミスから相手に与えた4ポイントが尾を引き4-7と敗北。間近に迫るアジア・ジュニア選手権を前に課題を残した。
 
 しかし、立ち止まってはいられない。「アジア・ジュニア選手権ではこんな試合は絶対にしない」(二ノ宮)。数日後には大学生になり初めてとなる国際大会が控えている。日本の代表として出場するからには恥ずかしい試合はできない。今回の負けを糧に、異国の地での上位入賞を狙う。成長の止まらないルーキーの活躍にこれからも目が離せない。
 
 大会2日目にはフリースタイル86㎏級で大山博貴主将(営4=仙台育英)が登場。1回戦で対戦の長(国士大)はリーグ戦では勝利を挙げた相手だ。4度目となる全日本の舞台でまず初戦突破を果たし、上位進出を伺う。

[小田切健太郎・谷山美海]

試合後のコメント
寺田

「相手は第1シードだったけれど去年国体で勝っている相手だったので、今回も勝つ気だった。自分の得意な投げの体勢をつくろうと思っていたけれど、一回やっていることもあって警戒されていた。好きなことをやらせてもらえなかったのが敗因。ラスト1分、耐えられなかったのがすごく悔しい。細かいところの技術が相手はグレラーなのでうまかった。でも、この日本で一番大きい大会で、第1シード相手に勝てた試合をやれたので、グレコも本格的にやっていきたい。二足のわらじで両方やる感じ。組み手では全然勝っているとセコンドも言っていたので、今まで通りフリーを練習しながら使える技をやっていけたらなと思っている。今日の試合は負けて悔しかったけれど、とても楽しめた。レスリングを純粋に楽しむことができている。いい意味で気負わず、リラックスして取り組んでいきたい。4月に掲げたインカレ両スタイル入賞に向けてやるだけ」

二ノ宮
「この大会は日本で一番レベルの高い大会なんで昔から出るのが目標だったけれど、出場していざマットの上に立つと普段しない緊張をしてしまって第1ピリオド目は体があんまり動かなかったかなって。相手が自分が苦手意識のある左利きなのも知ってたんですけど、その中でなかなか技を出すことができなくて。場外押し出されたときとかも、自分が場外って勝手に勘違いしちゃって耐えてれば1点で終わるところを4点与えてしまったり。そういうところも大きな敗因かなって思うんですけど、相手の方が力も強いし、足が全然動かなかったです。試合を通して自分が先に攻めるっていう意識よりも守ってしまうっていう意識があったので、相手に点数を取られる隙を与えたかなって思います。この大会は出られるだけでも嬉しかったんですけど、やっぱり出るからにはトップレベルの選手と戦って自分の力を試したいっていう思いはありました。最初から自分の戦いができていて点数をとりにいけてれば勝てない相手ではなかったと思うので。アップの時点で周りを見たらトップレベルの選手しかいなくて緊張してしまったので、会場に飲まれてしまったかなっていうのはあります。(リーグ戦は125kg級での出場でしたが)体重調整もありましたけどあまり大変ではなかったのでいつもどおりの試合ができればいいかなって思ってました。組み合わせが出た時点で去年の天皇杯の1位から3位の選手がいなくてチャンスかなって思ってて。1回戦勝つと次は学生トップレベルの選手だったので第1シードと戦って自分の力を試したいっていうのと、2回戦で負けても3位決定戦には出れたんでたくさん試合したいなとは思ってました。悔しさしか残ってないです。(アジアジュニア選手権について)来週の火曜日にはもう出発で間近に控えてることもあって今回の大会は出るかどうか迷ってたんですけど、先生に『試合に出るのも経験だ』って言われて。自分も出たいとは思ってたので今大会の出場を決めました。今回負けてアジアジュニアではこんな試合は絶対にしないようにしようって思いました。次は96kg級なんで体重調整も少しはあるんですけど、今日の試合はもう終わったんで残りの少ない数日はアジアジュニアに向けて今日の反省をしたり、去年も一昨年も国際大会は出てるんですけど外国人選手の戦い方とかを研究したりしていい状態で臨みたいです。入寮してもうすぐ3ヶ月になるんですけど慣れてきたこともあって自分自身甘えてきてるところもあると思うので、今回の負けを受け入れてもう一回気合を入れ直してこれからの試合頑張っていきたいです」