
昨秋の関西王者・同志社に1トライ差で辛勝/招待試合
序盤からリードを許すも点差を縮めて後半へつなげた。前半6分、24分と相手ラインアウトモールにより連続でトライを献上。しかし前半30分には、敵陣22メートルライン内でのラインアウトモールからBKへ展開すると、ルーキーの右ウイング矢野湧太(文1=大分舞鶴)が今試合初トライを挙げる。前半43分のラストプレーでは、敵陣10メートルラインでのマイボールラインアウトから展開、左センター梶村祐介(政経3=報徳学園)が相手タックラーを吹き飛ばし大幅にゲインすると、最後は左ウイング澤田陵(文3=明和県央)が右隅にトライを決めた。12―15と点差を縮めて後半戦へとつなげた。
後半開始早々で形勢は逆転。開始わずか3分、敵陣深くでマイボールラインアウトからモールトライ。早々の逆転トライで勢いに乗り始める。その3分後には、自陣10メートルからフェーズを重ね、成田秀がタックラーに絡まれながらも冷静な判断で尾又へパス。ゴールラインへ走り出した尾又は相手ディフェンスを紙一重で交わしインゴール中央へグラウンディング。「トライはみんなでつないだもの」(尾又)と自陣からゴールラインまでの30メートルを縦にフェーズを重ねトライにつなげた。しかし、その後は互いに2トライを奪い合い、残り10分のところで36―29と迫られる。後半39分、明治は自陣22メートルでオフサイドを犯し、同志社にラインアウトボールを献上。ここでトライを許せば同点でノーサイドの可能性も。前半と同じくモールトライを狙う同志社に対し「FWがしっかり止めたてくれた」(成田秀)。モール解消後の激しいブレイクダウンの最後は、同志社のオフサイドにより試合終了。重戦車FWのプライドを見せつけ、ゴールラインを死守した。苦しみながらも36―29で西の雄に勝利を収めた。
試合の中で成長を見せた。前半、10回のマイボールラインアウトのうち4回でタイミングの不一致やノットストレートのミス、スクラムでは5回中2回でペナルティーを犯しチャンスを逃した。しかし、ここで簡単に崩れなかったのがこの日の明治。前半最後の相手ボールスクラムの場面で、FWで円陣を組み「ここで勝てなかったら何もない」とFWリーダー・左ロック近藤雅喜(商4=東海大仰星)が7人を鼓舞。ターンオーバーとはならなかったが、気を吐いたFW陣にBK陣も呼応し前半最後のトライへとつながった。
課題はやはり試合の入り方だ。「後半の最初ぐらいのテンポで色々なアタックのラグビーができていれば」(丹羽政彦監督・平3文卒)。今日の試合では、前半から後半になるにつれ尻上がりに調子を上げていった。しかし来週に待ち受けるのは、7年連続日本一の座を手にし続けている帝京大との対戦。王者相手にこの春に積み上げてきたものを前半から発揮できるかがが勝利のキーとなる。「内容にこだわって『MUST WIN』という目標通り勝てるように」(尾又)と絶対的王者との一戦に選手たちの士気も高まっている。
[長谷川千華]
1.PR | 新妻 汰一(政経1=佐野日大) | 9.SH | 兵頭 水軍(農4=仙台育英)→21.安部(後半24分) | 16 | 佐藤 公彦(法4=明大中野←2.大塚(後半15分) | |
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2.HO | 大塚 健太郎(商2=佐賀工)→16.佐藤(後半15分) | 10.SO | 忽那 鐘太(文2=石見智翠館) | 17 | 塚原 巧巳(政経4=国学院栃木) | |
3.PR | 板橋 将貴(政経4=流経大柏)→18.中島(後半15分) | 11.WTB | 澤田 陵(文3=明和県央) | 18 | 中島 雅人(法4=国学院久我山)←3.板橋(後半15分) | |
4.LO | 近藤 雅喜(商4=東海大仰星) | 12.CTB | 梶村 祐介(政経3=報徳学園) | 19 | 外岡 悠太郎(商2=国学院久我山)←5.古川(後半22分) | |
5.LO | 古川 満(商3=桐蔭学園)→19.外岡(後半22分) | 13.CTB | 尾又 寛汰(商4=国学院栃木)→22.森田(後半22分) | 20 | カヴェナー 聖也(文3=大分舞鶴)←8.前田(後半22分) | |
6.FL | 田中 真一(法4=国学院久我山) | 14.WTB | 矢野 湧太(文1=大分舞鶴)→23.宮嵜(後半0分) | 21 | 安部 耕平(法1=大分舞鶴)←9.兵頭(後半24分) | |
7.FL | 石川 卓(法3=明大中野) | 15.FB | 成田 秀平(営4=秋田工) | 22 | 森田 澄(政経4=天理)←13.尾又(後半22分) | |
8.No.8 | 前田 剛(営3=報徳学園)→20.カヴェナー(後半20分) | 23 | 宮嵜 永也(営2=長崎北陽台)←14.矢野(後半0分) |
試合後のコメント
ゲームキャプテン・フルバック成田秀平(営4=秋田工)
「チームとしては今までやってきたことをチャレンジしていこうというのを試合前に話していた。同志社はアタックというより毎年ディフェンスが前に出てくるチームだったので、そのディフェンスに対する練習はしてたけど前半は相手ディフェンスにはまってしまって思うようなアタックができなかった。でも後半には修正できたので、試合中に修正できまことはいいことで、チームにとってプラスだった。(前半に同志社にモールトライされ)焦りはなかった。FWがしっかり話し合って最後はモールで攻められた時にしっかりこっちが止めてくれた。(同志社のウイング)早かった。きれいに抜かれてしまった。あれは完全に自分のミスなので、あの時のような抜かれ方は無くしていかなければならない。(前半の最後のトライ)FWが苦しかったのでBKで取ろうという意識があって、前半のトライをBKで取ることができたのでよかった。(トライをされた後は)その原因をみんなで話し合って、修正しようという話。前半は自分たちからのミスでのトライが多かった。(FWのセットプレー)そこはFWリーダーの近藤を中心に話して、セットプレーは今後の課題になってくると思うので修正していきたい。(後半のゲームメーク)外側にスペースがあるということで、後半はキックオフからいきなり外へ回してそれがうまくいった。空いているスペースを攻めるという意識をそろえてきてたのでそれがつながった。(BKの連携)いい場面もあったし反省しなければいけない場面もあったので、帰ってからビデオを見直してチームで修正していく。(今日の課題)セットプレーが安定しないこと。マイボールを相手ボールにしてしまうのはもったいない。そこはFWがしっかりやってくれると思うので、FWが出してくれたボールをBKがしっかりトライできるようにまたやっていきたい。(次の帝京戦へ向けて)セットプレーというのもあるし、課題をできる限り修正してあとは僕たちの春にやってきたことをチャレンジしていきたい」
左ロック近藤雅喜(商4=東海大仰星)
「前半の流れが良くない中で後半立て直して勝てて良かった。最初2トライはミスから取られてしまった。ペナルティーからさしこまれてしまったのでモールディフェンスは課題だなと思う。(前半終盤のFWだけでの円陣は)大事な場面でのスクラムで、ここで勝てなかったら何もないよと話した。やってきたこととこれからのことを考えて、スクラムをフォーカスしていこうと言っていたので、あのスクラムがターニングポイントだったと思う。後半は気持ちを切り替えてモールで1本取れてFWとして良かった。まだまだ順目の意識は低いので修正してから帝京大に挑みたい。(最後はスチールされましたが)ラインアウトの精度に関しては全員が意識を持っている。僕がたまたまスチールしただけ。モールで攻められたときは、まだ甘いなと思った。修正が必要。地元での開催で、両親や親戚などいろんな人が応援に来てくれた。感謝しかない。これを機にまた頑張ろうと思えた。FWは細かいプレーから修正していきたい」
スタンドオフ忽那鐘太(文2=石見智翠館)
「(今日を振り返って)狙った所に蹴ったボールがいかなかった。そこの精度の底上げを練習ではやっていたが、試合では出すことが出来なかったので、もっと普段から練習して自分が思った所に落とせるようにしたい。コンバージョンは外側からのキックも入っていたのでこのまま練習して精度を上げていきたい。同志社には試合の入りの10分は固く攻めていこうと決めていたが、自分たちのミスがあって、相手にうまく横に振られて持っていかれたので、もっとアタックで何をするかを徹底してやっていかないとだめだと思った。日頃の練習から目的意識を高めてやっていきたい。(ゲームプランは)前半は相手に対して自分たちは固く攻めて、体をぶつけるというものだった。後半からは前半体をぶつけたことによって相手は内側に寄っていたので、外側にボールを運んでスコアできたので良かった。最後、追いつかれそうになったが、そこを食い止めて勝ちにこだわれたことが今日の1番の収穫だった。来週の王者帝京に対してどれだけ通用するか確かめたい」
右センター尾又寛汰(商4=国学院栃木)
「良かったのはとりあえず勝てたことと、後半の入りが良かったことくらい。前半の入りも良くなかったし、今日はFWが悪かったと言われてるがBKもFWをカバーできなかった。課題のコミュニケーションが改善できてないことが印象的だった。(個人としては)アタックの判断は悪くなかったと思うし、声も出せたのでそこは良かった。トライはみんなでつないだもので、自分は空いたところにいっただけ。ミスも少なからずあったし、そういう一つ一つのミスが秋のタイトな試合では命取りになってしまうから、改善していかなければいけないなと思います。(相手の同志社は)やろうとしているラグビーがはっきり見えた。早いラックでどんどん前にボールを運んで、ちらしてアタックしてくる展開のラグビーだった。今シーズン始まって流経大・中央大とそのようなチームがなかったので、FWもその早い展開についていけず、手こずってしまった。関東ではここまで展開の早いチームはあまりないと思うし、こだわっているチームも多くはないと思うので、すごく勉強になった。同志社さんの良いところやその中で自分たちが通用した部分を確認して、次につなげたい。(次戦の帝京大戦に向けて)チャンピオンチームなのでやっぱり意識はしてます。自分が入学してから1度も勝てていないので、内容にこだわって『MUST WIN』という目標通り勝てるように、しっかりやっていきたい」
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