ヤマ場・東洋大戦で大逆転勝利 予選グループは2位通過/東日本学生リーグ戦
最悪のシナリオから
中量級のエースが、嫌な流れを断ち切った。3年連続の対戦となった初戦の東洋大相手に、軽量3階級を終えまさかの全敗。この一つも落とせぬ状況から70㎏級の寺田靖也(農4=八千代松陰)がわずか1分でテクニカルフォール勝ちを決めた。
寺田の勝利で勢いに乗ったチームは、続く74㎏級の奥田海人(政経2=霞ヶ浦)、86㎏級の大山博貴主将(営4=仙台育英)と連勝し、チームカウントを3勝3敗の五分に戻した。
風格すら漂うルーキーは、勝利の瞬間に大きく吠えた。チームカウント3―3で迎えた7試合目、125㎏級の二ノ宮寛斗(営1=岐南工)がテクニカルフォールで圧勝。相手は最上級生で主将と経験豊富な選手も「横に揺さぶってバックに回り、ポイントを取ることを意識した」と持ち前の俊敏な動きで寄せ付けなかった。「自分が相手に勝ったことより、自分がチームの勝利を決められたことがうれしかった」。チームのため、先輩のため、背負うものは大きかったが、重圧をはねのけ宿敵・東洋大との対決を勝利で締めくくった。
ルーキーらしからぬ圧巻の試合運びに「単発的な動きじゃなくて連続的な動きができる。あいつはやっぱチャンピオンにしたい」と多賀垣雄副部長。寺田も「頼もしいの一言」と大きな期待を口にする。チームから絶大な信頼を得る重量ルーキーが、ここから実力者相手にどこまでやれるか楽しみだ。
[小田切健太郎]
試合後のコメント
多賀副部長
「東洋大戦は軽量級がちょっとひどすぎたな。うちが順当に取るとしたら、70kg、74kg、86kg、そしてアップ。でも74kgが相手が強いから不安で、できれば57kgか61kgのどちらか一つ取ってもらいたかった。でもことごとく負けちゃってこれ危ないなぁと思っていた。でも奥田がね、試合運びがうまかったわな。最後の二ノ宮は、まず負けないと思った。負けるとしても投げられてフォール負け。それだけ注意するように言っていた。あの階級にして動きがいいし、単発的な動きじゃなくて連続的な動きができる。そこが違うよね。技が失敗しても次の動きにつなげられる。弱い奴はそれができないんだよね、一つの動きで終わっちゃう。あいつはやっぱチャンピオンにしたいなぁ。有望。チームの結束としては大山と寺田が練習から率先してやってくれている。まとまりは去年より遥かにいいよ。チームとして明日以降も格上との戦いが続くけれど、選手がどう思って戦うかだね。軽量級3つがどう戦うか。上はそこそこ戦えると思うからさ。とにかく胸を借りるつもりで向かっていく、食らいついてでも勝つというつもりでやってもらいたいな」
安西コーチ
「東洋大戦は楽な試合になるとは思っていなかったけれど、やっぱり楽な試合にはならなかつたよね。負けた3人が3人とも試合間際に点を取り返したり、気持ちを見せてくれて後ろにつないでくれたのがあったからその後につながったと思う。寺田も10ー0で一瞬で片付けてくれて、奥田も競った試合を勝ってくれた。そして今、盤石で信頼できるキャプテンの大山が3ー3に戻してくれた。最後にみんなが強いと思っている二ノ宮がやってくれたから、勝てた試合だと思う。団体戦は1試合1試合ごとの7試合だけど、7試合を通して1つの試合だというのを本当に今日感じた。最初の3人は負けちゃったけれども本当に勝ちたいと思って戦っているのがセコンドにいて感じた。東洋大戦は最後まで俺は全然負ける試合とは思っていなかったし、全員そう思っていたと思う。弱い奴と戦うのと強い奴と戦うのでは相手が違うというだけじゃなくて、自分の心構えが変わってきちゃうんだよね。強い奴に対してビビっちゃって普段できることもできなくなっちゃったりさ。明日以降も自分の中で気持ちをコントロールして、自分の勝ち方、出来ること、注意しなきゃいけないことを徹底して6分やって欲しい。とにかく勝つことが大事。(今年のチームの特徴は)やっぱり大山キャプテンが優秀。優しくて、強くて、みんなにも信頼されている。靖也(寺田)とかそういう奴が勝ってくれて、4年生がまとまってるから見てる方としては信頼して練習も任せられる。後輩もそういう先輩に付いていくだろうし、チームとしていい雰囲気できていると思う。試合に出てない奴も、俺関係ないやっていう感じにはなってないし。みんなで勝とう、というのがあるチームになってきていると思う。明日以降も自分ができることをしっかりやって、一つでも多く勝つという姿勢を持っていって欲しい」
大山主将
「今日2位通過を決めて、やっとスタートラインに立てたなという感じ。東洋大戦で最初3つが負けて、正直流れはよくなかった。その中で靖也(寺田)がボコボコにしてくれて、その次の海人(奥田)も接戦を取ってくれた。あと1年生のニノ(二ノ宮)も相手が4年生でキャプテンなのに勝ってくれた。1年生にそういうのを求めるのはよくないかもしれないけれど「最後に大将頼んだ!」という感じ。とにかくみんなでチームだな、と感じた。個人としても緊張はしていたけれど、去年も一昨年も6分間やっていた相手だったから、そのつもりでいた。結果としてアンクルが決まった時点でここで決めようと思ったので、よかった。ずっと話していたのは、もしかしたら7ー0もありうるけれど、3ー4で負けることもあるかもしれないと。実際に最初の3つまでは最悪のシナリオで来ていたので緊張はしていたけれど、勝ってよかった。みんなががんばってくれた。軽量級の人も諦めないでやってくれたので、流れがこっちにきたと思う。明日以降、格上相手の試合が続くけれど、諦めずに頑張るだけ」
寺田
「ここまでは当初の予定通り。2年前の東洋大戦では3勝している時点で僕に回ってきて、僕が負けて博貴(大山)が負けてアップが負けて逆転負けをしたので、今度は逆に僕が止めてやるという気持ちだった。本当はゆっくり試合しようと思っていたけれど、向こうの応援の声が大きかったので、それを黙らせてやろうと。最後は強引になったけれど、決めに行った。僕個人がこの試合に懸ける気持ちは強かったので、勝ててよかった。完全に僕で流れを切って、その後の奥田も競っていた中で流れがこっちにきたので、最後の4点もこっちにきたんじゃないかなと博貴と話していた。(最後はルーキーの二ノ宮が決めて)頼もしいの一言。大山の試合を見ている感じで安心して見られる。重量級なのによく動いて、僕もスパリーングをやっていて普通の重量級とは違うと感じる。片足とか普通に触られてしまう。(チームとして3戦目の山梨学大戦は)やっぱり藤波(山梨学大)は化け物だなと。オリンピック予選から帰ってきて1日や2日であの試合。決め切るところが別格だと思った。先に攻めたけれど、眠ったライオンに逆に仕留められた感じになってしまった。個人としてはケガせずに点を取るということが目標だったので、達成できてよかった。(明日以降の目標は)今日の2位通過は当たり前で、大山と話しているのは僕らの代でどこかを倒して7番になるということ。どこが来ても厳しい戦いにはなると思うけれど、個人としても明日からも全勝でリーグ戦を終えたい」
奥田
「東洋戦は絶対に負けられなかった。0-3という落とせない状況で巻き返せてどうにか勝てた。最後は二ノ宮が決めてくれてよかった。団結力で勝てた試合だったと思う。山梨学院大には胸を借りるつもりで挑んだ。いつもはもっと良い勝負ができたが、相手の技が決まってから何もできずに悔しい。肩の調子は悪くなく、試合には影響はなかったが、力を出し切れなかった。明日のグループは今日よりも厳しい戦いになるだろうが、一つでも多く勝って順位を上げられるように頑張りたい。大技を出してカウンターを食らうことが多かったので、もっと堅実に細かいレスリングをしていきたい。粗をなくして隙をなくしていけば、良い結果になる」
二ノ宮
「東洋大戦は最悪3-3で回ってくると思った。先輩方からお前に懸かってると言われたが、1年だからといって臆することなくやれた。選ばれたからには、最高のプレーをするのがチームのためだと思った。重い相手で、横に揺さぶってバックに回りポイントをとることを意識した。(勝利の瞬間は)自分が相手に勝ったことより、自分がチームの勝利を決めたことが嬉しかった。山梨学院大戦では、明日のために出なくていいと言われたが、自ら監督に申し出て試合に出た。日本の大学で一番強い相手だから、やれるだけやって経験にしたかった。試合中は、相手の圧力で下がってばっかりだった。脚をとれたのはよかったが、何もできずに返されてしまった。相手に好きなことをやらせない技術を身につけたいと思った。いつもと違う階級だったが、高校時代にも自分より重い相手とやることがあったから苦手意識はなかった。自分より体格のいい相手とやるときは、タックルされてつぶされたり、組まれて投げられてポイントをとられないことを意識している。今日の負けた試合の映像を見て反省し、明日の対戦相手の研究もしようと思う。自分に期待してもらっている以上、明日から全部勝つ思いで最高のパフォーマンスをしたい」
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