小川が全日本無差別級初出場も七戸にリベンジならず/全日本選手権

2016.04.30

 全日本無差別級日本一を決定する全日本選手権に小川雄勢(政経2=修徳)が初出場を果たし、ベスト8と好成績を残した。今年は、リオデジャネイロ五輪100㎏超級代表選手の最終選考も兼ねることもあり、各試合で白熱した試合が繰り広げられた。小川は4回戦で先の全日本選抜体重別選手権にて、わずか指導差一つで敗れた七戸(九州電力)と対戦。しかし結果は一本負けとリベンジを果たせず初の全日本選手権を終えた。

 世界ランク3位選手との実力差を見せつけられた。「今日は七戸選手を倒すという気持ちでいた」と初の全日本選手権に挑んだ小川。2回戦で小林(旭化成)、3回戦で田中(新日鐵住金)を破り、4回戦で雪辱の相手七戸と激突。開始早々七戸の奥襟をつかみ、組み手争いでリードを奪った。その後も内股など積極的に技を仕掛け相手の出方をうかがう。しかし開始1分7秒、引き手を取った小川が攻勢になるかと思われたが、七戸の不意打ちの大内刈りに体勢を崩し、技ありを献上。そのまま崩れ袈裟固めで抑え込まれ太刀打ちできず、合わせ技で一本負けとなった。全日本選抜では僅差の敗戦だっただけに、開始2分足らずの一本負けに最大の悔しさ味わった。小川に勝った七戸は準決勝で、かつて小川が破った王子谷(旭化成)に敗北するも五輪代表補欠に選出された。「これが本来の実力差なんだ」(猿渡琢海監督)と日本のトップレベルの選手との差を実感した小川。それでも文字通り日本一を決定する今大会でベスト8に入ったことは小川にとって今後の成長の糧となるに違いない。

 目標はすでに定まった。試合後「次は優勝候補と言われるくらいに力をつけて戻ってきたい」と来年の今大会での飛躍を誓った小川。今月だけで全日本選抜と全日本選手権と2度の全日本大会に出場しトップレベルの戦いを経験した。それぞれ初出場ながらにベスト4、ベスト8と結果を残し、1年間での成長を発揮。これには猿渡監督も「これをバネに強くなってもらいたい」と期待を一心に寄せている。小川の日本一への道はまだまだ始まったばかりだ。

[長谷川千華]

試合後のコメント
猿渡監督

「(初の全日本選手権出場となったが)初戦はやっぱり固さが見られたけど、戦っていく中で小川らしさが出せていけたと思う。初出場の割にはいい状態で臨めていたかなと思うし、非常にいい経験ができたのかなと思う。約1ヶ月前にも七戸とやって、その時は接戦だったんだけれども今日は一本でやられてしまった。でもこれが本来の力の差なんだと思う。選抜の時はお互いにあまり知らない状態で戦って接戦という形になったんだけども、こっちにももちろん収穫はあったけれども向こうサイドにもしっかりと対策を立てられてしまったなと思う。投げられた技、投げられた場面というのも明治の道場でもよく見る場面だった。そこが小川の弱点として敵が対策をしてきたということだと思うし、あれで投げられているようではまだまだ練習が足らないと思う。組み手にしても体力面にしてもレベルアップをしていかないといけないと思うかな。(選抜を終えて七戸選手対策というのは)それは福岡の前からやってきていることで、この前はあそこまでできたから今度はどうやって勝とうかというところまで来ていた。今日は勝とうというところばかりが出ていて、福岡の時にできていた対策が頭から抜けてしまっていた。自分のやりたいことばかりやってしまっていて、相手にやられた時の対応が頭から抜けてしまっているのかなと思う。小川自身前回ああいう試合をして自信を持ったのかなと思うが、やっぱり五輪代表を争っている選手の壁は甘くなかったということだね。今日七戸にまた負けて本人も泣いていたのでね、本当に悔しかったのかなと思う。またこれをバネに強くなってもらいたいと思う。年末の講道館杯までシニアレベルでやる機会がないので、この春の悔しさを忘れずに同じ失敗をしないようにしてもらいたい。(春先のシニアレベルの大会を経て東京五輪への距離も分かってきたのでは)一歩一歩だと思う。4年後を見据えるんではなくて、来年の世界選手権を目指していきたい。まだ日本代表にもなっていないので、まずは世界で戦うことで五輪が見えてくるのかなと思う。今現段階で五輪のことを考えすぎても目先でやることを忘れてしまうので、まずは目の前の課題を一つ一つクリアしていってもらいたい」

小川
「(初出場で)新鮮な感じ。相手はトップレベルなので自分が先手先手でいかないと負けると思った。(組んだ瞬間)いけると思ったけど。いつもだったらできる小さな動作をしなくて、それが最後投げられるという形になった。一つの油断が今日の敗因。今日は七戸選手を倒すという気持ちできていた思い切りいこうと思って、研究もしてきた。あと一歩。結果、小さなことが、自分の中でこのぐらいでいいだろうというところで結局最後一本で投げられた。少しのところが、細かいところを一つ一つ磨いていかないと。安易に下がらないとか釣り手引手争い。組み手争いは始め自分の有利に進められたけど、変化したところに対応できなかった。一つ一つそういうところだと思う。(試合前父からのアドバイス)絶対勝つという気持ちでいけと言われた。(試合後は)まだまだ。これが全日本なんだと。(4年後東京五輪へ目標)東京五輪あるけど、今日の試合全然ダメだったし、五輪の前に来年再来年と力をつけて、次は優勝候補と言われるくらいに力をつけて戻ってきたい」