丹羽、岩田の2戦連続弾で逆転勝利 法大に2―1で開幕2連勝/関東大学1部リーグ戦

2016.04.09
丹羽、岩田の2戦連続弾で逆転勝利 法大に2―1で開幕2連勝/関東大学1部リーグ戦

 見事な逆転劇で厳しいゲームを物にした。共に開幕白星スタートを切った法大との第2節は、立ち上がり前半5分に相手のリスタートから失点。失点後はボール保持の時間が多くなるもチャンスをつくれず、0-1で折り返す。後半も法大のブロックを崩せない時間が続いたが、24分にディフェンスラインの裏を取った丹羽詩温(文4=大阪桐蔭)が同点弾を沈めると、続く28分には岩田拓也(商4=FC東京U―18)がCKから逆転ゴールを挙げる。その後は最後まで集中を切らさず、2-1の勝利で開幕2連勝を飾った。

 ツートップの2試合連続アベック弾で試合をひっくり返した。1点ビハインドの後半24分、ディフェンスラインの裏に飛び出しGKと1対1になった丹羽が右足インサイドで冷静に同点ゴールを沈める。中盤でボールを持った途中出場の土居柊太(政経3=浜松開誠館)のスルーパスに「オフサイドギリギリで飛び出すことができたので完全に一対一をつくることができました」(丹羽)。GKが飛び出しシュートコースが狭くなるも、落ち着き払ってゴール右隅に流し込んだ。
 同点に追い付いた勢いそのままに後半28分。道渕諒平(農4=ベガルタ仙台ユース)の右からのコーナーキックに岩田がヘディングで合わせる。「詩温が決めてくれたので自分も決めてやろうという気持ちでした」と同期で相棒の一発に奮起。運動量豊富に献身的な守備を続けていた岩田が試合を決める貴重なゴールを挙げた。前節リーグ戦初ゴールを決めた4年生ツートップの2試合連続弾で勝利を引き寄せた。

 シーズン序盤の逆転勝利を成長の糧とする。前半5分、相手陣内からの法大の素早いリスタートに対応し切れず、サイドを破られて先制点を献上。「ああいう得点を防ぐことができたら一流だと思いますが、僕も含めて実力不足があっての失点だったと思います」とGK服部一輝主将(法4=札幌大谷)。しかしその後は服部中心に失点を割り切ったサッカーを徹底した。逆転後の後半39分には柴戸海(政経3=市立船橋)がファウルで一発退場。10人と数的不利となったが、我慢強い守備で法大の猛攻をしのぎ切った。
 前節・慶大戦で面白いように決まった相手ディフェンスライン裏への飛び出す動きは「相手がしっかりと研究していてあまりスペースが生まれませんでした」(岩田)と前半は完全に影を潜めた。ハーフタイムに戦い方を修正した後半は、最終ラインと中盤の間にボールを集めて中盤でためをつくり、相手守備陣のバランスを崩した。象徴するのは1点目の丹羽の得点シーン。「相手が食い付いて来たらはたくことを意識していました」と左サイドから中央にポジションを移した土居がボールを受けて相手DFの足を止めると、そのスキを丹羽が逃さなかった。試合の中で戦い方をシフトし、2得点での逆転勝利。「強くなっていけるチームだなというふうに感じています」と服部も手応えをつかんだ。

 開幕好スタートにも慢心はない。栗田大輔監督は「このチームはきちっと1試合を戦っていくしかない」ときっぱりと口にし、選手たちも気を引き締める言葉を並べた。次節の相手は流経大。開幕2連敗と低迷しているが、近年接戦を繰り広げているライバルだ。昨年から中盤を支え続ける柴戸の出場停止は響くが、チーム力で開幕3連勝だけを目指す。

[鈴木拓也]

日付 対戦相手 会場 キックオフ時間 スコア
◆第90回関東大学リーグ戦 前期日程◆
(スコアをクリックすると試合の記事にリンクします)
4・2(土) 慶大 味フィ西 14:30 ○3-0
4・9(土) 法大 味フィ西 11:30 ○2-1
4・16(土) 流経大 たつのこ 14:00
4・23(土) 筑波大 川口 14:00
4・30(土) 桐蔭横浜大 BMWス 14:00
5・8(日) 駒大 中銀スタ 14:00
5・15(日) 専大 味スタ西 14:00
5・21(土) 順大 味スタ西 14:00
5・29(日) 国士大 多摩陸 14:00
10 6・5(日) 早大 浦和駒場 13:00
11 6・11(土) 日体大 味フィ西 11:30
※4月9日時点

順位 チーム名 勝点 総得点 総失点 得失点差
◆順位表◆
【第2節終了時点】
明大
早大
桐蔭横浜大
駒大
国士大
法大
順大 −0
専大 −1
筑波大 −1
10 流経大 −4
10 慶大 -4
12 日体大 -4

試合後のコメント
栗田監督

「法政さんがやることがはっきりとしていて、非常にいいチームだったので簡単にいくとは思っていませんでした。難しいゲームでしたが、選手がよく頑張ってビハインドをひっくり返してくれたと思います。(失点後の立て直しは)ああいう失点の仕方もあるので、そこで慌てずに立ち上がりの失点ということもありましたから、冷静になってもう一度自分たちのサッカーをやるように心がけました。(なかなかチャンスがつくれなかった前半から後半にかけて変えた部分は)目的はボールをつなぐことではなくて、点を取って勝つことです。勝つためにはゴールに対してアグレッシブに動かなくてはいけないし、選手が余力を残して帰ってくるような90分では成長もないので、出し切って帰ってくるよう指示をしました。それと自分たちはどういうサッカーをやるんだということをポイントにして話をしました。(丹羽、岩田の2試合連続ゴールについて)丹羽にしても岩田にしても泥臭いプレーヤーなので、結果も出てきてよくやってくれていると思います。ここから継続することが大事になると思います。(開幕2連勝について)このチームはきちっと1試合を戦っていくしかないので、ここで浮かれずにまた来週に向けていい準備をしていきたいです」

服部
「失点シーンはしょうがないというか、ああいう得点を防ぐことができたら一流だと思いますが、僕も含めて実力不足があっての失点だったと思います。そんな不利な状況から2点を取って勝つことができたのは強くなっていけるチームだなというふうに感じています。失点はしてしまったので、守備陣からしたら直さなくてはいけない部分があるんですが、チームの雰囲気、一体感に関しては、立ち上げからやってきたことがゲームの中で出すことができたから逆転できたと思っています。(失点直後は)失点を仕方ないで終わらせてはいけないんですが、ゲームの中では割り切ることが大事です。0-1という試合は昨年も何回もあって、そこでバタバタしてチームでやることがずれてしまったらチームが悪い方向にいってしまうので、自分たちがやってきたやるべきことをやろうと常に伝えていました。(前半はチャンスをつくることができなかったが)後半になったらこっちにチャンスが来るなということを試合の流れからしても分かっていたので、0-1で前半終われたらチャンスはあると思っていました。追い付けたらベストでしたが、仮に追い付けなくても後半で取り返して勝ち点を取ることができるという自信はありました。(後半の2得点について)後半の立ち上がりはあまり良くなかったのですが、途中からしっかりとつないでチームが一つにまとまることができて、ああいう崩し方ができたので良かったと思います。二人の得点は素直にうれしいですし、拓也(岩田)も詩音(丹羽)も3年間しっかりとやってきているので、そういう下積みがあったから結果が出ていると思います。ただまだ2試合しかやっていないですし、十何得点しているわけではないのでこれからも気を引き締めてやっていってほしいです。(開幕2連勝について)実力ではまだまだ関東トップレベルには達していないと思うので、慢心せずにしっかりと地に足をつけてやっていきたいです。次節の流経大も体を張ってバチバチやってくるチームなので、しっかりと0で抑えることにこだわってやっていきたいと思います」

岩田
「ああいう形で失点をしてしまったんですけど、チームでやることを統一して、チャンスをものにすることができたことが良かったと思います。失点は割り切って、もう一度全員で集まってやること統一しようという話をしました。(開幕から2戦連発となったが)前半は自分の出来はあまり良くなくてあまりチームに貢献できていなかったですし、詩音が決めてくれたので自分も決めてやろうという気持ちでした。2戦連続アベックゴールができて良かったです。(DFラインの裏を取る動きについて)裏を取ることに関しては前節がうまくいったんですが、相手がしっかりと研究していてあまりスペースが生まれませんでした。前半はそれが課題として挙がったので後半は、その間に顔を出し続けることを意識していましたし、1点目も土居が間で受けてそこから詩音の得点が生まれました。(難しい試合を勝ち切ったことについて)こういう試合は絶対に落としたくありませんでしたし、最後10人になってしまいましたけど、ぶれずにやり切れたことが勝利につながりました。(次節に向けて)毎回流経とは厳しいゲームになるので、まずは気持ちの部分で負けないことが大事です。自分たちのやることは変えずに、しっかりと準備していきたいです」

小出悠太(政経4=市立船橋)
「1点目が予想外の点というか、不測の仕方ない点だったんですけど、失点した中でも落ち着いて試合を運んで結果的に逆転できたというのは大きな収穫かなと思います。前半5分で時間はまだまだありますしそういったモチベーションというのは失点した後にもみんなに伝えたので、そこからいつも通りやり方は変えずにしっかりやっていこうという話はしていたのでそれはよかったですね。(HTに話したことは)0-1という中で最終的に勝たなきゃ評価はされないし勝ってこその強いチームだから、引き分けでもいいという考え方ではなくて絶対に勝たなきゃ駄目なんだという話は出ました。サイドチェンジを多用してくるというのは予想していた通りだったのでされても最後までしっかり守るということを徹底できていたので何のストレスもなかったですし、イライラも何もなかったですね。いつも通り球際だったり切り替えという部分は初戦に引き続いてやろうと言う話だったんですけどそこはまだまだですね。もっともっと上乗せしていかなくてはいけないなと感じました。(前節と比べて)球際だったり切り替えという部分は相手のほうが上回っている部分もあったしセカンドボールも拾われている部分も多かったので、そこはしっかり受け止めてまた一週間、次も流経という球際とか厳しい相手になると思うので練習からガツガツやってそこの質というのを高めていきたいと思います。(次節に向けて)自分らは本当に全然強くないチームなので、個々の能力も昨年に比べたら全然劣りますし、そういった自分たちの力というのを謙虚に受け止めて2連勝という現状に満足せずに、謙虚にひたむきにやり続けていきたいなと思います」

丹羽
「開幕戦勝利ということでチームが浮き足立つ中で、全員が献身的にできたと思います。守備からまず入ろうというところで初めに失点したのは自分たちの中でリズムを崩しかねない要素だったと思うんですけど、それもうまく切り替えてまた守備からチームで統一してやれたのでよかったと思います。やり直せる時間はあると思っていたのでそこで落ち着けました。(ゴールシーンを振り返って)土居が入ったことで中盤とFWの間でボールを受けるシーンが多くなって、土居が前を向いた時には両CBの裏にスペースがあるというのは話し合っていたことなので、そういった意味では話し合ったことが試合に出て、あとは一対一をすっと決められて良かったです。土居が前を向いた時に自分が真ん中からサイドのCBの裏に斜めに走ってタイミングよくアウトサイドで縦に流すような感じで、オフサイドになるギリギリで抜け出せたので完全な一対一の状況になったと思います。結果的にイエローカードをもらってしまったんですけど、あの状況で目の前にあれだけ応援してくれる仲間がいて、気持ちを抑えきれずに飛び込んでしまいました。内容の反省点というのはいっぱいあると思うんですけど、勝っていく中で改善していくことが大事だと思うので結果的に勝てたことはよかったと思います。得点を取るというのはFWとして常に考えていることなのでそれは良いと思うんですけど、得点は結果論なのでそれ以外の部分が大事で得点も結果としてついてくればいいかなと思います。チームとして話しているのは2連勝というのは置いといて常に22試合のうちの一つの試合だというところで、一つ一つの試合を大事に同じように献身的に全員がチームのためにハードワークして、一つ一つ粘り強く勝っていければと思います。(前後半で変えた部分は)前半早い時間に失点して、これまで自分たちはDFの両サイドの背後をついてFWがそこに走りこむというのを徹底してやってきたんですけど失点したことで少しぶれてしまうところがあって、HTにまたみんなで考えを統一することができたのでもう一度自分たちがやってきた背後の裏を使うとかというのを徹底できたのがよかったと思います。あと土居が入ったことで中盤で前を向くことが増えたので、それに対してのスルーパスは常に狙っていました。(次節に向けて)まずは自分たちがこれまでやってきた守備、前線からの守備というのとコンパクトな守備というのを継続してやることと、あとは流れの中から点が取れたらいいですね。チームのためにやるだけです」

柴戸
「(試合を終えて)逆転して勝ったということは連勝でもありますし、チームとしていい結果で終われたと思います。これで満足せず、次につなげられることが大切だと思うので、もう一回練習から自分たちのやるべきことを統一してやっていきたいです。(前半は)浮き足立ってしまい、蹴るシーンが多くなって、相手にセカンドボールや球際で負けていたので、後半はそこを修整しながら足元でもっとつなげていいゴールへ向かう意識を増やそうという話でした。その中で得点ができたので自分たちの自信にもなりましたし、今後そういった部分を練習して強みにしていきたいです。(1失点を許してしまったが)失点しても想定内というか自分たちのやることをやり通した結果が逆転だと思いますし、成果だと思います。(守備面は)コンパクトというのは昨年以上に意識しているが、球際で負けてしまったのでサイドを変えられたけど、そのままスライドしてまたコンパクトにしていければって話だったが、相手のキックの精度が高かったのでやられてしまう場面も多かったです。まあ1失点してしまったけど、最終的に失点しなければいいってことだったので、その後はしっかり守れました。(退場となったプレーについて)ああういうのは自分の反省しなければいけない点ですし、今後はもっと上でプレーしていけないと思います。自分の思っているいき方と体が違っていました。結果的に足裏でいってしまいました。(チームとしての出来)立ち上がりはあまりいい形で入れなかったですけど、それぞれの選手がやるべきことをやって、勘違いすることもなくできたのは前節の開幕戦勝利に満足していなかったのかなと思います。(相手の3バックのやりにくさは)結構裏を多用してきていたので、自分としてはトップのどちらかに降りてきてもらって、間で受けてほしかったのですけど、ロングボールのセカンドを相手に拾われて間延びしてしまう展開だったのですが、ハーフタイムで修整できました。(3バックへの対応は試合前に何か決めていたか)立ち上がりとしてはセーフティに裏を抜ける予定だったが、そういう部分で相手に読まれていたり、相手のスカウティングもあって消されていたので、もっとそこの手前と裏を使い分けながら相手を見ながらやっているようにという声掛けはしていました」

土居
「(試合を終えて)ベンチから見ていて、前半はあまり良いサッカーができていなくて、監督に勝つためのサッカーをまずしろと言われました。だから自分の交代の中で流れを変えたいって思っていましたし、アシストできてよかったです。また逆転勝利できたのも大きいことだと思います。交代という立場から流れを変えることは意識していたが、90分通していいサッカーを明治はやっていかなきゃいけないので、まだまだ甘いと思います。(交代することに意識したことは)ためる時間があまりつくれていないので、中盤とDFの間にポジションを取って、相手が食いついてきたらはたくことを意識していました。(その中でアシストをしたが)一回ドリブルで運んで、ちょっとDFラインが躊躇したところに入れようとしました。結果としてアシストしたわけではあるけど、シュートを打てていなかったですし、アタッカーとして得点はこだわらなければならないので、もっとこだわっていきたいです。(立て続けに追加点を取る形となったが)決めるべきところで決められたというのは大きいですし、こういう展開のゲームでチャンスを決め切ることは大切です。(開幕2連勝について)勝てているといえば勝てているけど、内容で見るとまだまだ甘いです。正直このサッカーで勝ち切るとなるとまだまだ甘いです。だから自分たちは日本一を目指していますし、もっと質を高めていかなければならないです。(前節のゲームの完成度に比べて今節は)3-0で勝てたと言うことでスキができてしまったのかもしれないです。アップの雰囲気から緩かったです。コーチ陣からも試合入る前に『アップの雰囲気悪いぞ』って言われていたので、甘さが出ていたのだと思いますので、もっと気を引き締めていかなければならないです」

岩武克弥(政経2=大分トリニータU―18)
「失点がちょっと不用意で取られたくなかったけど、そこから逆転できてよかったです。1点を入れられてしまって、少し下がってしまい、みんながやることを統一できていなかったです。でもハーフタイムで修整できたので後半はうまくいきました。監督からは『勝てばいい』とのことで、みんな統一していきました。(2試合連続スタメンだが)そうは言ってもまだ2試合なので。前節は緊張しましたが、今回はそんなでした。全然満足いっていなくて、もっと攻撃できるようにしたいです。(柴戸が抜けた後の守備)一人少ないので、必然的に引かざるを得ない状況だったので、最後のところを守ろうということでした。(次節に向けて)相手は流経大なので、もっとばちばちになると思うので、前半のはっきりしなかった部分をみんなでもう一度確認して前半から良いサッカーをできるようにして勝ちたいと思います」

小野雅史(政経2=大宮アルディージャユース)
「(試合を終えて)単純に勝てたことが大きいかなと思います。こういう試合に勝ち切ることが次につながります。(柴戸選手とのコンビは)全部やってくれるので憧れですが、負けたくないです。(柴戸選手が)いなくなった後は全然できなかったし、次もいないけど『柴戸選手がボランチにいなきゃだめ』って言われるんじゃなくて『お前がいるから大丈夫』って言われるくらいの気持ちでやっていきたいと思っています。(2試合連続スタメン)チームの勝利に貢献するプレーが全くできていないので、満足できていません。勝利に導けるプレイヤーになっていきたいです。(前節は開幕スタメンでしたが)相当緊張して、アップからがちがちだったけど、先輩方から声掛けてくれてどうにかなりました。(今季になって2年生の出場が増えたが)すごく刺激になりますし、同年代に負けたくないです。でも下級生が絡んでくるのは1年間を通して大切になってくると思います。(次節に向けて)まずはチームの勝利に向かって全員で戦っていきたいです」