
大学4年間の集大成は日本新! 前田 世界の舞台で偉業達成/世界室内選手権
ラスト3射全てを10点に入れれば日本新という大きなプレッシャーの中、前田は最後の射線に立った。インドアはいかに9点以下を射たないかの勝負。的への距離は18mと比較的短距離ながら、1射1射の精度が求められる形式だ。前田はこの時点で57射を終え、満点からマイナス6点に抑えていた。「本当に外せない」。日本新記録が懸かり腕も震えるほどだったが、自らの形を貫いた。「当てに走らず、自分の射ち方で」。3射すべてを直径4cmの円にねじ込み、30点満点。計594点で日本新記録を樹立した。
日本代表は大会前に1週間ほどJISS(国立科学スポーツセンター)での合宿を敢行。豊富な練習量をこなし調整を進めた。前田は同じく代表の杉尾(近大)からのアドバイスで押し手の左手が返りすぎる癖を修正。手を単に前に出すような感覚で調整を進めた結果、手のねじれを軽減しつつも弓をしっかり押せるように。「弓が真っすぐに飛び出していく感覚をリアルに実感したのでこれはいける射だと思った」。トップ層のテクニックを自らのものにしてみせた。
驚異の成長曲線を描き続けてきた。大学から始めたアーチェリー。3年次には全日本室内選手権で準優勝、そして今回は日本新記録と4年で日本を代表するトップアーチャーにまで成長した。「本番で日本を背負ったときにも堂々とプレーできたこと、世界のレベルを知れたことやその中でもしっかり戦えたこと。いいことづくめの世界選手権だった」。一般入部からつかんだ日本記録保持者の称号。東京五輪でメダル獲得という最大の目標のために、まずは2年以内のナショナルチーム入りを目指す。
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