
小林最終戦は9位でリベンジの年間優勝達成/明治神宮外苑クリテリウム
磐石のレース運びで王者の風格を見せた。小林はラストの集団スプリントで強さを見せ堂々の9位フィニッシュ。アムステルダム大(オランダ)をはじめ国内外から強豪が集結する最終戦・神宮クリテリウムでも常に冷静にレースを展開した。序盤から集団でのけん制と細かい逃げの吸収が起こり、比較的落ち着いた様相を見せたレースが動いたのは中盤の13周を過ぎたところ。優勝した岡本(日大)を含めた4人のアタックが決まり、メーン集団とのタイムギャップを10秒にまで広げた。集団の中にいた小林はこのアタックに反応することはできなかったが、その後の集団のペースアップにはうまく対応していき勝負を集団でのスプリントに持ち込んだ。
スプリントは小林の代名詞。10位に終わり年間優勝を逃した昨年の最終戦から、今年積極的に取り組んだのは長距離を走った後のスプリントの質の向上だった。「自主練にしても長距離練習の後にしても、自分は必ずもがくようにしているのでそういうところは今日の最後のスプリントにも出たかなとは思います」。割れんばかりの歓声の中、最終コーナーを曲がると、全開で脚を回し先行するライバルを捲(まく)ってゴールラインを切った。「もう少し上にいけたかなとは思います」と若干の悔しさをにじませながらも、今年1年取り組んできた成果を発揮した最終戦でもあった。
圧倒的な安定感を誇った。今年は出場した11のレースの中で、最低順位は9位。常に一桁順位に入ることで、ポイントを積み重ね続けた。「親がいつもレースに出ろと言うんです」と小林。1年を通した厳しい日程の中でも「親のために勝とう」という気持ちを原動力に優勝を手にした。
リベンジ達成に笑顔があふれた。昨年はシリーズ終盤での追い上げで逆転優勝を射程圏内に入れながらも、届かず2位。西沢倭義氏(平26農卒)、金井誠人氏(平27法卒)に続く3年連続での明大からの王者となれず大きな悔しさを味わった。守り抜いたリーダージャージーを袖に通し、優勝カップを高々と掲げた小林は「昨年取れなかった悔しさがある分、こうやって年間優勝することができて本当にうれしい」とこみ上げる喜びを口にした。
明大から史上3人目の年間王者となった小林は3月15日から行われる世界大学選手権代表にも選出されている。就活がある4年生にとってはシリーズに出続けるのは難しくなるため、来年は「後輩の年間優勝をうまくサポートできたらいいなと思います」。大健闘で今年年間2位に入った野本や松本裕典(法2=北桑田)には優勝の可能性が十分ある。小林が残した新たな伝説を道しるべに、明大自転車部が王者の系譜(けいふ)を紡いでいく。
【鈴木拓也】
試合後のコメント
小林
「昨年取れなかった悔しさがある分、こうやって年間優勝することができて本当にうれしいです。親がいつもレースに出ろと言ってくれていて、最初の3戦は出ることができませんでしたが、しっかりと親のためにも勝とうという気持ちをつくっていってそれが1年間持ち続けられたので、優勝できたのかなと思います。個人の総合の方はポイント差にも余裕があったので、とにかく野本と松本の動きを見ながらチャンスがあれば逃げに乗らせていこうと思っていたのですが、逃げに乗らせるためにあまり自分が動けていなかったと思います。野本は結構前の方でガンガン仕掛けていたんですが自分がなかなか前の方に出られなかったので、レース中のコミュニケーションもうまく取ることができていなかったと思います。(9位という結果については)レース自体はもう少し上にいけたかなとは思います。アムステルダム大学も以前総合をとっていたり、なんか知っているなという選手が走っていたので警戒していました。実際に前の方で積極的に動いてペースをつくっていたので鹿屋とアムステルダムはマークしていましたね。走りに関しては脚の状態も良かったと思います。ただ落車が多かったので、それで思い切れなかった部分もあるかと思います。(総合優勝について)今年は中盤のクリテリウムでの調子が良すぎたところにあると思います。そこで大量得点が取れて、周りを引き離すことができました。何かをしたというわけではありませんでしたが、気持ちもリラックスして調子も良くなっていったのかなと思います。神宮に関しては他の大学の主力が海外に行っていたりケガで出ていなかったりしていたので、レースは結構落ち着くかなと思っていました。自分もあまりペースの上げ下げもなかったので、比較的走りやすかったです。2月に入ってからは山中湖に週1で練習に行っています。長距離を乗ることは僕たちの宿命でもありますし、僕らはインカレを見据えてそういった練習をしているところもあります。長い距離を乗っておけばこれぐらいのクリテリウムだったら、短いくらいのモチベーションでみんなやれると思いますし、それだけやっていれば自然と調子も上がってくるかなとは思います。みんな結構いい感じで走れていたと思います。自主練にしても長距離練習の後も自分は必ずもがくようにしているのでそういうところは今日の最後のスプリントにも出たかなとは思いますね。来年は多分シリーズの後半に出るのが厳しくなっていくと思うので、後輩の年間優勝をうまくアシストできたらいいなと思います」
野本
「(レース展開について)今日は鹿屋体大など優勝候補の強い大学が、遠征に来ていてメンバーも多かったが、みんな鹿屋体大とか強い大学ばかりマークしすぎて、レースが活性化しなかった。結果的に日大の逃げが形成されて、みんな鹿屋体大が行くだろうと他人任せにしたので、最後スプリントになった。僕は、あまりスプリント力があるわけではないので、もっと事前に対応していれば、もっと走れた。そこを改善できなかったのが残念だ。(総合2位について)1年間を通して、小林さんと1、2位ずっと取りたかったのですごくうれしかった。(来年は)もっとパワーアップして表彰台にたくさん上って、圧倒的な強さで1位を狙いたい」
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