上田と小川の全日本選手権出場が決定/東京都選手権

2016.03.06
 全日本選手権東京代表を決定する東京選手権が行われ、上田轄麻(政経4=愛知県私立大成)と小川雄勢(政経1=修徳)が全日本選手権出場を決めた。明大からは9名の選手が無差別級での大会に挑み、体重と学生の枠を超えてさまざまな選手と対戦。今年度最後の大会でそれぞれの選手が収穫を得て、また課題を見つけ来年度への目標設定のきっかけとなった。

 スキを見せ準決勝敗退も、初の全日本出場を決めた。5回戦目で昨年度この大会3位だった井上(ALSOCK)を破り全日本への切符を手にした小川。準々決勝では日大の制野相手に、序盤から攻め内股で有効を奪うなどリードを保っていた。しかし終盤、内股で最後の勝負に出たところ、踏み込んだ足をすくい返され技ありを取られてしまう。すでに残りの体力は限界に達し、そのまま横四方固で一本を奪われ敗戦。「自分の気持ちの甘さが出て負けた」(小川)と全日本選手権への出場が決まったことや有効を取っていたことで気が緩み一瞬のスキを見せてしまった。それでも昨年初戦敗退に終わった大会でベスト8入りを果たしたことで、明大での1年間で急成長を遂げたことを示した。4月には全日本選抜体重別選手権と全日本選手権と2つの大きな大会への出場が決まっており「出るからには優勝」(小川)と立ち止まっている余裕はない。まずは1カ月後のリオ五輪最終選考の全日本選抜へ向け気を引き締めたい。

 明大の柔道場で過ごした4年間の成果が最後まで生きた。「明大の柔道スタイルをしっかりと吸収して、その中で上田のスタイルが一つできあがった」(猿渡琢海監督)。昨年1年間チームを率いてきた上田が明大ゼッケンを背負って学生最後の大会に挑んだ。中指のケガを抱えながらも次々と相手を倒し準々決勝まで進んだが、ケガの悪化によりやむなく棄権。しかし3年連続全日本出場を決め4年間の有終の美を飾った。明大での4年間では、全日本学生体重別選手権やユニバーシアードでの優勝を経験。「次からは社会人として試合に出ることになるので、もっと能力を上げて成長した姿を見せたい」と明大卒業後も活躍を誓った。

 今大会をもって今年度の大会をすべて終えた。春からは全日本の個人戦に加え、昨年準優勝に終わった東京学生優勝大会とベスト8に留まった全日本学生優勝大会が待ち受ける。今回出場した選手は団体戦での出場が有力視されるメンバーばかり。昨年果たせなかった優勝へ向け、選手全員が気持ちを新たに突き進む。

[長谷川千華]

試合後のコメント
猿渡監督

「まず上田は今大会が学生最後の大会だったが、ここ2年連続で全日本に出場していることで本人も自信を持ってやっていたと思う。その2年の中でも学生チャンピオンになったり、ユニバーシアードで優勝したりとかいろんな経験をした。ケガがあって決して調子の良かったわけではなかったがそういう経験をしたことが今日の勝ちにつながったのかなと思う。心配な部分もあったが結果として全日本出場を決められたことは良かった。(準々決勝での棄権は)年明けから中指のケガがあって、うまく調整しながら今大会でピークを迎えるようにした。治療しながらの練習だったが、何とかこの試合には間に合って、でも試合の中で悪化してしまってもう柔道着をつかめない状況になってしまったので大事をとってね。3週間後には全日本の選抜もあるので無理はさせなかった。(上田の大学での4年間は)強くなったと思う。組み手もうまくなったし、得意技も進化した。高校の時は彼はインターハイチャンピオンではないが、大学になって学生チャンピオンになれた。明大の柔道スタイルを上田がしっかりと吸収して、その中で彼のスタイルが一つできあがったと思う。そういうところが強さにつながっていると思う。(小川に関しては)まだまだ物足りない部分はあるが、本人の全日本選手権に出たいんだという気持ちが強く感じられた。危ない場面もいくつかあったがそれをカバーしてさらに補えるだけの動きができていたと思う。小川自身にはすごく自信になったと思う。まだまだクリアしてく課題はたくさんあるので、全日本に出て当たり前の選手になっていってほしい。(準々決勝での敗因は)気が抜けたところかな。ラスト30秒で、リードしているところでお互いに体力がギリギリだったと思う。場外際でもつれた時に、それまでだったら防げた技でも体力が落ちたところでは防ぎ切ることができなかった。その前にも組み勝って小川が投げられそうな場面もあったけど、技を打っていけなかったというところが小川の弱さだと思う。全日本に出るからには二人とも優勝というのが目標になると思うが、まだまだそのレベルには達していないと思うので、気持ちだけではそれを忘れずにやっていってほしい」

上田
「大会を通して接戦が多かったが出し切れたと思う。準々決勝は出たかったが慢性的な指のケガが試合中に悪化してしまったので、次の大会に備えて辞退することになった。調子はそれほど良かったわけではないが、全日本を決めることができたのは良かった。上川先輩(平24営卒・現京葉ガス)とも試合したかったが、また上のところでやれたらなと思う。昨年よりは内容も良かったし、次からは社会人として試合に出ることになるので、もっと能力を上げて成長した姿を見せたい。リオは難しいと思うので、東京に向けていいスタートを切れるようにやっていきたい」

金山
「準々決勝では何がというよりも自分が弱いので負けたと思う。(安田との対戦は)やりにくかった。先輩だからといって勝負になったら負けは負けなので、同じチームでも練習の中で弱点とかを見つけていきたい。最後の大内刈りで投げられそうになったところで、自分が攻めていないと思われて判定で負けてしまったのかなと思う。1回戦も結構強い相手だったが勝てたので、しっかりと練習すれば全国でもやれると実感できた。右には勝てるが、安田さんもそうだったが左には勝てていない。そういうところも踏まえて左相手に勝てるように練習していきたい。今は組手を早くしたりすることを意識している。自分は小さいので大きい相手の懐に飛び込んで投げる体落としなんかを練習しています。今年は団体も個人も全部優勝する気持ちでやっていく」

小川
「全日本選手権の切符を手に入れるというのを目標にしていた。結構いい山に入ってたけど一つ一つの試合がどれも苦しくて、出場を決めた時はほっとしたというか。(1番の山場)やっぱり決定戦、誰が上がってくるか正直分からなかったので、自分の中ではココと決めて試合していた。試合してくるにつれて試合の間隔も短くなってくる。そこは相手も一緒なのでこれは体力勝負だと思っていた。準々決勝でも最後決めきろうと思っていたけど結果的にこっちがかかってきた。試合してくると腕も張ってきてそれも大変だった。(準々決勝の相手は学生)本当はしっかり試合しなければいけなかったけど、(全日本出場が)決まっていて自分の中でもほっとしてしまっていた。相手は勝ちたいと思っているから自分の気持ちの甘さが出て負けたかな。(試合も終盤までくると)みんなスタミナも切れてくるだろうし、最後は気持ち。監督からは、とりあえず最低限の全日本出場を決めるというのをできてよかったのと、やっぱり反省する点もあると。誰が見てもあれじゃ良くないなと思う試合だった。親父からも決定戦終わった後の試合で負けたので自分の甘さが出たので、そこはしっかりやらなきゃいけないよと言われた。全日本選手権も全日本選抜も出るからには優勝。こういう試合じゃないと世界のトップランクの選手たちとも試合できないし、そこで教わったものも出てくると思う。そこでしっかり自分の柔道できて勝てたらいいなと思う。(春の2部練習)ケガというより熱が多くて1週間おきぐらいに熱を出してた。2部練習になると体きつかったりする。今日も正直しんどかったけど勝てたからよかった。(全日本への意気込み)出るからには優勝。また目標たててがんばりたい」

田中
「とりあえずベスト8以上に入って本戦に出ることが目標だったけど、3回戦で負けてあとまだ実力が足りない。(3回戦目)指導1取られて判定で負けた。最初から自分で攻められてなくて審判の印象が悪くて負けにつながったと思う。(今日までの練習)相手に組み勝って、相手の背中を畳に着けるまで決めきる練習をしてきました。(ヤマ場)一番最後の試合。ここで勝たないと全日本選手権出られないので、そこで負けてしまったことが悔しい。来年は絶対に出たいと思う。2年連続出て、東京に来て東京で予選をやって連続で出ないと意味がないと思って、本当に悔しい。東京は地方よりレベルが高い。(小川の全日本出場)できれば一緒に出たかったけど、それもまた来年に向けて目標になるし、また出たいなと思う。(2年生になるにあたっての目標)講道館杯で優勝して全日本選抜体重別に出場すること。(団体戦は)今年はいけると思うので優勝狙ってみんなでがんばる」