見せた主将の意地 曽根原、有終のV!/全日本学生選手権(コンバインド部門)

2016.02.29
 キングオブスキーの誕生だ! 曽根原郷主将(政経4=新井)がコンバインドで優勝。前半のジャンプで3番手につけると、後半のクロスカントリーではトップとの20秒差をものともせず、2位と9秒差をつけて完走。その他にも久保田真弘(営3=飯山北)の4位をはじめ計4選手が入賞を果たした。明大はこの種目トップの26ポイントを稼ぎ、総合順位を6位から4位へとジャンプアップを果たした。

圧巻優勝
 勝利を確信した瞬間、両拳を天に突き上げた。前半のジャンプと後半のクロスカントリーの2種目で競われるコンバインド。「風がよくない中でいい形で飛べた」とジャンプを71.5mでまとめた曽根原は、今季好調のクロスカントリーをトップと20秒差でスタート。1周目で前を行く2人に追いつくと、最終周までは団子状態の先頭に立たされた。「苦しいところはあったけれど、自分のペースで」。不利な状況下でも、勝利への執念が曽根原を突き動かした。ラスト500m地点で後ろの選手を一気に引き離すと、ゴール前の登りを駆け上がる。この瞬間、曽根原の優勝が確定。「最高でした」。FINISHゲートをくぐり、拳を下ろしたキャプテンは、ゴールで待ち構えたチームメイトとハイタッチを交わし、成田収平総監督と固く抱き合った。

 王者への道のりは、決して平坦なものではなかった。ルーキーイヤーから4位、6位、5位と辛酸をなめ続けたインカレ。世界ジュニア代表、ユニバーシアード代表と世代トップ選手として活躍してきた曽根原だが、全国大会での優勝経験はなかった。「優勝したかった」。これからも続く競技人生を考える中で、欲しかったのは優勝の2文字。「この日のために、この日勝つために今までやってきた」。結果を追い求め、学生最後の年、ようやく悲願叶った。世界を見据える曽根原は、ここを通過点にしてみせる。

努力結実
 久保田が4位に入賞した。自身も納得のジャンプで5位につけ、後半のクロスカントリーをスタート。1週目で久保田の前を走る選手の予想外のペースの速さに驚かされたが、あせらずに自身のペースをゴールまで維持した。
 リベンジの時だった。昨年のインカレではゴールを目前にして転倒し11位。自身のミスで入賞を逃し、あと一歩の場面で苦汁をなめた。「転んだ瞬間をあの日から忘れていない」。雪辱を誓った今シーズン、もともとは得意のクロスカントリーで上位を狙うスタイルだったが「どうにかしてジャンプを強化したい」と苦手なジャンプに取り組んだ。テイクオフの際に重心が後ろになる癖を意識し練習を続けてきた久保田。試合前日に行われたジャンプの公式練習では15位と、直前まで不安材料は残っていたが「最後の最後でやっと形になった」。重ねた努力が大舞台で実った。
 最上級生になる来シーズン。「先輩の意地を見せたい」と強さへの意欲は止まらない。自己最高の4位をたたき出した先に見据えるのは表彰台だ。
複合王国
 このインカレで全大学中トップの4選手が入賞を果たしたコンバインド。「ジャンプの明治」として鳴らした部の中で、近年、目覚ましい戦績を残している。しかし「コンバインドの明治」のゴールはまだ先にある。成田収平総監督は「学生の大会だけではなくて、全日本選手権やW杯、オリンピックというのが目標。そこにただ出るというだけではなくメダルに絡むということ最終的に見据えながらやっていっている」と力強く話す。曽根原、そして現在W杯に出場している渡部剛弘(政経4=猪苗代)ら世界で活躍する選手が今後も現れるか。まず、ここからインカレ王者の歴史を積み上げていきたい。

 コンバインドの結果を受け、総合順位を6位から4位に浮上させた明大。最終日に行われるクロスカントリーのリレーでは、チーム一丸の応援で勝利をつかみ取る

[小田切健太郎・田中愛]

試合後のコメント
成田収平総監督

「主将という立場で頭を取るということを課題としてやってきていたので、結果というのは素直にがんばったなと。試合内容を見てもいいものだったと思う。試合展開、クロスカントリーで途中が1番2番と入れ替わった中で堀米(日大)との戦いだと思っていたので最初から。どこでスパートをかけていくのかなというのを見ていた時に、登りで何回かスパートをかけてきていたんだけれども相手もそれに食らいついていけている。あとはスキーの滑り具合とか色んな要素が絡んでくるんだけども、最終的に最後にもう一回スパートをかけて、会場に戻って来た時にはある程度離れていたというのは力だなと。その辺の試合運びというのは非常に冷静だった。最近ここに来て、走りに安定感が出てきている。それが強みかなと思う。ただジャンプに関してはまだ少し波があるので、そこら辺はこれから強化していかないと、世界に通じるようにはなっていかない。自分の弱いところはわかっていると思うので、その辺をきちっと強化してくると思うので、さらに期待をしている。(明大コンバインド部門は)インカレという学生の大会だけではなくて、全日本選手権だったりW杯だったりオリンピックだったりが目標。そこでただ出るというだけではなくメダルに絡むということ最終的に見据えながらやっていっている。なかなか簡単にはいかないという現状。来年も国体優勝、インターハイ優勝の子が入って来るので、そこら辺はチームとして力強いと思っているし、これからも期待できる」

曽根原主将
「嬉しい。ジャンプはスペシャルジャンプの時より公式練習からどんどんよくなってきていたので、試合では気をつけていることをやれば飛べるという気持ちでいきました。風があまり良くなかったけれど、その中では自分の中でいいジャンプができた。優勝を狙える位置につけられたのがよかったと思う。クロスカントリーは日大の選手と一緒に走ることになるなというのはレース前から思っていたので、そこの最後1対1になった時に競り勝つことができてよかった。1周目は向こうが引っ張っていたけれど、それからずっと僕が前に出ていて。先頭を走るのはやはりきついので、交代で走るもんだと思っていたけれど、向こうは多分ずっと後ろについてくる作戦できたので、僕が前を走らざるをえなくなったという感じだった。苦しいところはあったけれど自分のペースで走ることができた。そこまで焦りとかはなかった。(勝因は)この日のために、この日勝つために今までやってきたことしっかり試合で出せたこと。(スペシャルジャンプの時は)2本ともよくないジャンプで、このままではコンバインドでは優勝することができないなというのを実感させられた。そこで得た反省をうまくこの2日間で修正することができた。(反省点は)空中で進まない、浮力を受けにくい形で飛んでいたので、そこをうまく変えていかないと距離が出ずらい状況だった。イメージトレーニングと公式練習と、ジャンプ台でも陸上でも意識していた。色々あった中で、最後ゴールした瞬間は最高でした。今日はレース終わって疲れている人とか、みんながコースで応援してくれたのでその声が聞こえていたし、それが力になった。春からずっとインカレで優勝することを目標にしていたのと、主将になったからには自分が結果を残して示さなければいけないなという思いがあったので、それが最後優勝という形で出せてよかった」

久保田
「とりあえず一安心。ジャンプは前日のTCRでも15位と今まで飛んできたのと大して変わらない順位だった。今日は5位につけるまで飛べて、最後の最後でやっと形になった。(普段のスタイルは)ジャンプで飛べなかった分、後半巻き返す。今回はジャンプで稼いで、いけるところまでいった。体がいつも以上に動いていて、頭もしっかりさえていた。試合もテンポ良く進んでくれて集中も持った。頭の中で考えていたジャンプのイメージに近い形で飛べた。(クロスカントリーは)自分の実力通り。1週目から4週目まで同じペースで行くつもりだった。自分の前にいた中大の杉本さんがとばしていて、1週目ですでに抜けなかったのはびっくりした。でもそこまでとばしたら後半持たないだろうと思ったので、自分はあせらないで、自分のペースを守った。あっちが落ちてくるのは予想通りで、それをゆっくり抜いて行って、下を追いつかせないように。(昨年のインカレ)ゴール前で転んで11位。転んだ瞬間をあの日から忘れていない。目の前で入賞逃して、ポイントも取れずにチームに貢献もできなかった。練習もあの日のことを思い出しながらやってた。(4年生では)コンバインドに4人強い1年生が入ってくるので、その連中に負けないように先輩の意地を見せたいし、コンバインドチームをもっと強くして、ポイント獲得の柱にしたい。インカレでは表彰台以上に乗りたい」

大山陽平(政経2=飯山)
「ジャンプの方は国体から調子がよくなくて、こっちに来てから調子が上がった。やらなければいけないことを整理して、ずっとイメージしていたジャンプができたことは今回の収穫。内容は良かったけれど、距離につながらなかったのは自分の実力不足。ジャンプが終わって13位タイ、15位だったが十分いけると思った。表彰台が射程圏内だった。特に今回のコースはインターハイで優勝した時と同じコースだったので、かなり得意だった。走りの調子も今シーズン悪かったけど、徐々に戻してきた感覚はある。結果としてインカレに調子を合わせられた。動きが小さくてピッチでいくタイプなのは強みでもあり弱みでもある。もしかしたら最後も伸びたかなと思う。もっと前半から飛ばしていけばよかった。今日はみんな板が滑っていなかった。自分の前にワールドカップに出ていた人がいたから、その人についていこうと思ったんだけど、異常に遅かった。もっと早い段階で抜いていけばよかった。走り自体は悪くなかった。1、2週目はみんな飛ばすから3、4週目が勝負。トータルで考えて走れたことは良かった。(去年から一つ順位を上げたが)去年は全然走れていなかった。自分の中でも最低ランクの走り。走りには自信があるけど、大学に入って周りのレベルが上がってきている。自分の走りを磨いていきたい。あと、課題はジャンプ。ジャンプで良い位置につけないといけない。今シーズンまだ残っているが、ジャンプで良い位置につけて勝ちたい」

佐藤瑶(政経1=新井)
「正直言うと悔しいという思いの方が強い。ジャンプで失敗してしまい、前半いい位置につけなった。タイム差を見ると(ジャンプが)3位までならいけたなという感じで、悔しいという気持ち。原因はメンタル。緊張とうまくいきたいという思いが空回りしてしまった。クロスカントリーは今日の中ではそれなりに頑張れたなという感じ。板の滑りは断トツで僕が滑っていたと思うんですけど、最後の駆け引きがうまくいかなかった。6位争いをしていた中で先に前に出たことで後ろ2人にやられてしまった。今思えば駆け引きにミスがあったかなと。来シーズンに向けては絶対的にジャンプの力をもっと上げて、クロスカントリーの力は年々上がってきているので自分のやってきたことにプラスアルファして継続していきたい。ジャンプは失敗してもある程度の位置につけられるという状態にしたい。来年は優勝します」

村本直樹(商1=飯山)
「苦手なジャンプ台を最後までつかみ切れなかった。ジャンプでは1位を取れると思っていたので、6位はうれしくない順位だった。ジャンプで稼がないと、後半残れないと考えていたのでくやしい。悪い癖が出てしまった。失敗しやすいところを頭の中に入っていれば、特に起こることはないので、最低のジャンプというのを想定できていなかった。(クロスカントリーでは)すぐ前に久保田さんがいたので、付いて行こうと思っていた。ただタフなコースなのに、前半とばしてしまったのがまずかった。来年はやっぱりポイント取ることが目標。インカレに来て思ったのは、チーム力がないチームは勝てないということ。次は2年生ですけど、チーム力の底上げという面に関しても頑張っていきたい」