
前田 4位と悔しさ残るも世界に羽ばたくバネに/全日本室内選手権
昨年熱い戦いを繰り広げたこの大会に、今年も戻ってきた。「リベンジを果たそう」と意気込み和歌山に乗り込んだ前田。前日の予選ラウンドは体調不良だったことを感じさせない6位。決勝ラウンドも順調に駒を進めた。迎えた準決勝の対戦相手は、昨年のこの大会で決勝戦を戦った古川。一足早く訪れたリベンジマッチに燃える前田だったが、劣勢をくつがえせず結果は敗戦に終わった。それでも最後は「憧れの選手」である古川とがっちりと握手。その際、世界選手権を控える前田に向けエールが送られたという。しかし、勝利で終えたかった次の3位決定戦は試合の前半で作ったリードを守りきれず4-6でこちらも敗れた。勝利の可能性は十分に残されていたところからの敗北とあり「自分に負けちゃったな」。明治のユニホームで戦う最後の大会で、ベストパフォーマンスを発揮できなかった悔しさが残ってしまった。
前を向き、世界へと歩みを進める。競技に真摯(しんし)に向き合い、スキルアップに努めた明大での4年間に別れを告げる。「大好き」な明大アーチェリー部から巣立つ前田が背負うものは「Meiji」から真っ赤な日の丸へ。「出るからにはメダルを取って帰ってきたい」。代表としての初陣は3月にトルコで行われる世界室内選手権だ。今回の悔しさは世界の格上相手との戦いを乗り越える強さへと変えていく。明大で過ごした「かけがえのない4年間」を糧に羽ばたく前田の戦いは、まだ始まったばかりだ。
[石渡小菜美]
試合後のコメント
前田
「昨年のリベンジを果たそうと臨んでいたんですけれども、トーナメントも最初は結構順調に勝ち進んでて、点数もある程度高くできていたんですけれども、準決勝くらいになって勝ちを意識し始めちゃったのと、対戦相手がどんどん強くなっていって、自分の当てなきゃっていう気持ちがどんどん強くなっていって、それで自滅してしまったっていうのがありましたね。(昨日は)風邪引いちゃってて、練習できなかったわりには結構出たなって感じたのはありました。昨日の予選に関しては結構微妙だなっていう感じですね。普通だし悪いって言えないけど良いとも言えない感じでしたね。6位っていうある程度の位置でトーナメントスタートできるから、明日のトーナメントにつなげようっていう気持ちではありました。(決勝ラウンドは)1、2回戦は順調にとんとんと自分の中でも良い感覚で射ててたんですけども、やっぱり当てに走ったときにどうしても小手先で当てようとしちゃったりとか、クリッカーが落ちるのを早く射っちゃうのを気にして体が縮こまって小さい射ち方をして結局汚くなっちゃうとか、そういうことはかなり多かったので、準決勝とかは自分の中の感覚も悪かったですし、当たりも悪かった。すごい正直な結果だったと思います。準決勝まで進むと、勝ったら決勝、負けたら3決。なのでどうせ2試合するんだったら決勝の方がいいだろうと。絶対決勝には行きたいなと。ちょうど準決勝のお相手が古川さんで去年負けた相手だったので、リベンジしたいなと思って臨みました。本当に一番に憧れの選手なので、自分がアーチェリー始めた年っていうのがロンドンオリンピックがあった年で。そこに出ていた選手っていうのが本当にテレビで観る世界の人たちで。一番お手本にしていた選手。その選手と戦えるっていうことはすごくうれしいことですし、でも第一線で戦うとなったら勝たなきゃいけないので。いつかはっていう気持ちでなく今勝ちたいというそういう気持ちです。(古川選手からは)あさってから世界室内選手権の合宿が始まって、2月中にトルコの方に飛び立つんですけれども、世界室内選手権のために3決勝って弾みつけていこうということをおっしゃってくれました。(3決は)1、2セット目はわりと順調に来てました。3セット目もある程度自分の中では順調でしたね。ただ4セット目、5セット目で自分がまた追い上げられたことにプレッシャーを感じてそれに負けてしまったりとか、後はちょっと準決勝で乱れていた感覚がよみがえってしまって。ある程度自分の中で気持ちを作って頑張っても何か当てきらないとか、そういう感じの4セット目、5セット目でしたね。菊地さんはもちろんすごい強い選手でロンドンオリンピックに出ていた選手だったんですけれども、自分がフルでやればトーナメントだったら勝てないということは絶対にないので、相手に負けたというよりはまた自分に負けちゃったなという感じです。負け、負けで終わっちゃっているので、それはかなり悔しく終わってしまいました。(明治のユニホームを着ては)大会としては最後。あっという間の4年間だったっていうのと、ずっと競技に向き合い続けてきた4年間だったなって思います。明治大学は本当に環境も良くて部も良くて、すごい自分は結構大好きなんですけども、その明治でずっと部活して、そしてある程度自分のスキルアップもできて、こうやって全国、世界と戦っていったりだとか、世界選手権に出られたりとか。本当にかけがえのない4年間だったなって思います。ここまで来れたということは3年前の自分からするとびっくり。今の自分から思うとまだ全然レベル的にも届いてないので。こうやって今トーナメントっていう試合形式があるからこそ戦えたりとかできますけれども、やっぱりまだ選手としてアーチャーとしては、かなってないなっていう部分があるので、まだここまで来たぞっていう気持ちとかは全然ないですね。まだまだやっていかないといけないです。自分はトーナメントあまり得意ではなくて、結構自分の持ち味って予選形式のときにあまり点数のぶれなく射ち続けることができることかなと思うんですけど、トーナメントになって強く当たりを意識し始めると、やはりどうしてもずれてしまう、負けてしまう。自分が一流の選手たちに比べて射ち方が力に頼っている部分が大変多いので、そういった部分で緊張して筋肉がうまく動かないときに、一流の選手よりも影響が大きくなってしまう。筋肉に頼っている部分が。なのでトーナメントに関しては得意な意識は持ってないですけれども、苦手意識はそんなに持っていなくて。やっぱり世界に出ていくと、確実に日本の中よりもレベルは高いですし。平打ち、予選形式だったら勝てる可能性はほぼ0に近いですね。ただそれでもトーナメントになると、勝てちゃうっていうのがあるので、苦手意識は持ってないですし、そんな得意とも言えないですけど、トーナメントで勝てるとしてそういう気持ちで臨めるのは良いと思います。アーチェリーって本当に繊細で自分では気づかないような、指一本いつもより力が掛かっちゃってたとか、落ちてるところの場所が少しだけ違ったとか、そういうので矢に伝わっちゃう競技なので。気負いがあったからそういう部分に表れてしまったんだと思います。(日本代表としての戦いに向けて)出るからにはメダル取って帰ってきたいと思います」
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