チームトップは18位の塩島 野田は故障で欠場/日本選手権男子・女子20km競歩

2016.02.21
 競歩界のトップアスリートが集うリオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねた日本選手権が神戸の地で行われた。リオ五輪行きの切符獲得が期待されていた野田明宏(商2=清風)は、足の裏の故障で欠場。一方で塩島亮太(法3=豊科)は18位、ルーキーの大楽享平(文1=滋賀学園)は23位でゴールし、高橋拓也(法4=西条農)は足の痛みから途中棄権で終わった。また大会は高橋(富士通)が連覇しリオ五輪出場へ内定を決めた。

 明大勢トップでゴールしたのは18位の塩島だった。 1月の元旦競歩では4位入賞と調子を上げており、1時間26分11秒というタイムには「あと3分速くなくちゃいけなかった」と本人もガックリ。しかし塩島はいつも以上の闘志を持ってレースに挑んでいた。その理由は野田の欠場にあった。普段は2年生ながら明大のエースである野田がレースをけん引してくれていた。しかし今回のレースは不在。そこで塩島はチームの一番手として明大勢を引っ張った。その気持ちに押されるように大楽も序盤は塩島の後ろをキープ。10kmを越えると塩島の気持ちが切れてしまい、タイムは振るわなかったが、大舞台で矜恃(きょうじ)を見せた。

 日本選手権のスタートラインに立つことはかなわなかった。前回大会5位で20kmW現明大記録保持者である野田。エントリーメンバーの中では学生ながら7番目のタイムを誇っており、世界大会での入賞実績のある「シルバーアスリート」としてリオ五輪出場も視野に入っていた。また20kmWで世界記録を持つ鈴木(富士通)の故障から機運は増大。満を持しての日本選手権だった。しかし足の裏の故障が発覚、欠場となった。これにより残るチャンスは3月の全日本競歩能美大会と併せて行われる日本学生20km競歩選手権のみ。優勝して内定を決めるか、他選手の結果に左右されるが2位で内定を祈るかのどちらかしか道はなくなった。3月には復帰予定となんとか出場に間に合っても、万全とは言えないだろう。また今大会惜しくも2位に沈んだ藤澤(ALSOK)や野田の憧れであると同時にライバルでもある松永(東洋大)など持ちタイムでいえば格上の選手もラストチャンスに懸けてくる。1年次には明大記録を2度更新、2年次もユニバーシアードで入賞など着実にステップアップを重ねてきた野田。しかしここにきて故障に泣くこととなり、次なるステージと定めたリオ五輪への雲行きは怪しくなってしまった。

渡邊弘基

試合後のコメント
高橋

「足の痛みが出てしまって、12km付近で途中棄権してしまった。校友会の方々が応援に来てくださった中でゴール出来なかったことは情けないなって思った。レースを始める前から足に違和感はあり、治療は行なっていたんですけど、試合中に酷くなった。今日はイーブンペースで歩いて、オーバーペースで落ちてきた人を拾おうと思っていた。1月の元旦競歩もそれでタイムが出たしイメージしていた。でも1月中に体調を崩してしまい、2月に入って練習を開始したので、付け焼刃では20(20km)は歩けないと思った。結果的にそのペースが一番遅かったりして周りのレベルが高く、自分よりもさらに先を行っていると肌を持って思った。(来月には能美があるが)タイムは出なくても、自分の納得のいくレースをしたい。4年間やってきた集大成かな」

塩島
「(試合を終えて)良くなかった。本来ならあと3分速くなくちゃいけなかったけど、10km過ぎてからちょっと気持ちが切れてしまった。 風もちょうどその時吹いてきたのと前のペースが少し上がってしまい、付いていけなかった。そこから前に後ろにも誰もいない状態だったので結局そこで自分に勝てなかったかな。もう一度仕切り直しですね。元旦競歩の感じだったらもう少し良いところまでいけるかなって思ったんですが、駄目だった。なので次の3月の能見に備えたい。(トップアスリートとのレースは)ペースの展開が速い。前はすぐに前へ行ってしまいますし、後ろは後ろでどうも対応出来ないので、やっぱり速い選手と歩くと試合の雰囲気も違う。(野田選手が出場できなかったが)自分がやってやるという気持ちはあった。でもその気持ちが逆に空回りしてしまった点もあるかもしれない。野田がいないから自分がなんとか頑張るって気持ちで前半は少し硬くなってしまった。(完歩)ここで歩き切れなかったら、ちょっとまた時間がかかってしまうので、今回歩き切れたということとペースは遅かったがちゃんと前半は良いペースでいけたので、それを次はもっと長い距離持続してタイムを上げていきたい。(3月に向けて)体力は付いているので、あとはスピードの維持する力。スピード自体は出せるので」

大楽
「ベストには届かなくて自分としてはあまり良くなかった。13kmあたりから足が動かなくなってしまって。それまではベストより速いペースだった。1月の後半にテストと、体調を崩して寝込んだりもあって、あまり練習を積めなくて、(レースの)後半に響いてしまった。体調管理が甘かった。やはりケガや体調に気を使って、練習を継続していかないと、20kmは長いから上がりきらない。来月の能見でまた20kmを歩く。1時間25分を切って、ベストを2分くらい更新したい」