
(1)室屋が決意表明 背番号は新人異例の一桁「6」/FC東京入団内定記者会見
またFC東京での背番号は「6」に決定。「6」は日本代表経験もある太田宏介選手(フィテッセ)が昨シーズンまで付けていた番号で、室屋は新人選手としては異例とも言える1桁番号を背負うことになった。大きな期待を背にした室屋は、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)のプレーオフが行われる明日9日のメンバー外練習からチームに合流し、その後は試合を観戦する予定だ。
栗田監督コメント
「今回の入団に際しましては、大学側をはじめとする皆さまのご理解といろいろな打ち合わせの中で学校関係者からご理解をいただき、締結したことへ心から感謝いたします。室屋の一番の良さはメンタルの強さです。とにかく負けない、勝つんだと。今回の五輪の予選についても絶対に五輪に行くんだという強い気持ちが彼のプレーから伝わっていました。僕の中で印象に残っているのが昨年の12月のインカレの準決勝、関西学大に2―4で負けたんですが、2―0のビハインドから2―2まで追い付いたんですね。その1点目が室屋だったんですけども、2日前にカタールから戻ってきて時差ボケの状態で試合前に彼の方から『栗田さん、寝ていません』と。で『分かった。つらそうだったら判断するから』と言ったんですけど、僕の中ではそれが彼が東京に行くことを心に決めていたので要は最後のゲームになるかもしれないと。準決勝、決勝と明治でやれるのはラスト2試合だと思ったので、絶対変えないぞとその時思ったんですね。だけどハーフタイムの直前くらいに2―0から2―2に追い付いた時、室屋の顔がもうやばかったんですね。トレーナーに『室屋あれやばいよね』と言ったらトレーナーも『やばいと思います』と。ハーフタイム上がってくるときに目が合って何気に訴えているというか『苦しいっす』みたいな顔をしていたんですけど、そのまま90分使い続けまして、終わってから『栗田さんに殺されるかと思いました』と。あの時のタフなものが今回1月のああいうタフなゲームで生きているんじゃないかなと勝手に自負していまして、帰ってきてからもそれは相当室屋に強要しましたね。『あれ生きていただろう』って。それは印象に残っています」
――「明治の環境でのトレーニングが彼の活躍と成長につながっている」
「日々の明治大学での集中した環境の中で培われた集中力と仲間、今年もたくさんのプロフットボーラーとして7名が卒業していきました。そういった中で誰一人として手を抜くことがなくトレーニングした成果が今回の彼の活躍と成長につながっているのではないかと思っています。そして昨年の4月にFC東京の特別指定選手として参加しました。プロの選手の中で、日本代表の数多くの選手の中で姿勢やプレーの質の部分が非常に高まりました。夏の総理大臣杯を経てほぼ1カ月FC東京の方に参加しました。しかし学校が始まり、なかなか参加できなくなった頃に大学サッカーの方に戻ってきまして、復帰戦の法大戦で決めたアシストのクロスは見違えるほど良くなっていました。そういった積み重ねが今回につながっていると思います」
――「このタイミングがベスト」
「また今回入団に至った経緯はもともと1年の頃から大変頑張ってやってくれていて、体育会サッカー部からしても彼をオリンピックのメンバーに育て上げたいと神川前総監督(現J3・グルージャ盛岡監督)と私、ヘッドコーチの三浦(三浦佑介ヘッドコーチ)、池上(池上礼一コーチ)などの総意で送り出したいという強い気持ちがありました。このタイミングがベストだと思いました。そんな中で彼が五輪の最終メンバーに選ばれたということ、予選を突破して本戦への出場を獲得したこと、そうすると23人から18人に絞られます。そこで大学側としても18人に選ばれるためにもう一つ高いレベルのプロで活躍すること、今しか五輪に出られない時期で経験させてあげたい我々の気持ちがまずあります。それと選手として旬な時期で非常に伸び盛りです。そんな時期にプロの世界でプレーすることでまたさらに一枚も二枚も成長し彼の夢に向かっていくんじゃないかという思いがあります。明治のサッカー部はサッカーを通しての人間形成、もしくはプロの養成所じゃありませんので、日頃の室屋の取り組む姿勢が大変素晴らしかったです。それと学業や単位を含めた姿勢も素晴らしかったことなどが重なり合って今回学校の方にサッカー部の方から申し出をしまして、ご理解いただきました」
――「大学サッカーに希望を与えた」
「今後はFC東京でプレーしていきますが、我々はあくまでスタートラインに立っただけだと考えております。そして彼も予選で活躍しましたけど、それが頂点でなく、決して慢心することなく、また貪欲にこの先のオリンピック出場や彼の夢に向け取り組んでくれると心から期待しております。大学生は23人の中で1名と多くの各大学サッカーに携わっている選手たちが非常に勇気をもらったと思います。まず部員が一番勇気をもらっていると思います。一緒にやっている仲間が世界、今回はアジアですけどこういう形でやれたということと同時に、課題も具体的に聞けるしそういった成功できている場所とまだまだ足りない場所というのがリアルに感じることができる。それと若い選手とか大学1年生、2年生も含めてここでやっていることが正しいんだと、またそこでみんなが刺激をし合っていい環境ができてくるのかなと思います。そういう意味で本当に室屋の活躍というのは大学サッカーに希望を与えたのではないかと思います。各大学様々な取り組みで良い選手が数多くいます。そこで室屋の船出を機に大学サッカーの注目度が上がればとてもうれしいです。そして室屋成を同時に応援していただけたらうれしく思います」
室屋コメント
室屋「この度FC東京に加入することになりました。サッカー推薦でありながらプロサッカー選手になれるということは自分だけの力でなく、栗田監督、井澤さん(井澤千秋ゼネラルマネジャー)、スタッフの方々、そして明治大学の関係者の協力、後押しがあったおかげでなることができました。この恩返しは僕がFC東京にいってピッチで活躍することでできると思うので、プロになり五輪やA代表などで活躍することでしっかり恩返しをしたいです」
――大学生Jリーガーの決断
室屋「4年生になる年なので3年間一緒にやってきた仲間とあと1年やりたいって気持ちももちろんありましたが、アジア予選を戦って自分自身もっと上のレベルでプレーしたい気持ちが強くなりJで挑戦したいって決めました。五輪出場を懸けたプレッシャーの中での大会は僕にとって非常に重要な時間でしたし、このタイミングでプロになって挑戦することに意味があると思いました。自分自身にプレッシャーを掛けることで成長できると思いますし、サッカー選手である以上ポジションの保証がされないのは当たり前だと思うので、ここでポジションをつかむということにすごく意義を感じています」
――仲間
室屋「明治のサッカー部の仲間は『悲しい』とも言ってくれましたけど『スタジアムも近いので絶対見に行く』とも言ってくれました。僕も『絶対活躍するから見に来てください』と返しました(笑)」
――原点はここにある
室屋「明治大学は朝の6時から練習があって、朝から対人練習をやります。それは他の環境では味わえないことだったと思います。明治大学でやっている1対1や個人戦術は先日の最終予選でも生きたかなと思います。大学のこの3年間では、プロサッカー選手とは違い1年生からサッカーだけではなくて、ピッチ外での仕事だったり当番、上下関係がしっかりとある部活だったので私生活の部分での成長があったと思います。サッカーの部分ではもちろんですが、人間的に成長することができたと思います」
――悔しさが思いを強く
室屋「昨年は特別指定でFC東京の練習に参加していて雰囲気の良さだったり、質の高さは感じていました。最初はベンチ入りはいけるかなという甘い気持ちがありましたが、なかなかベンチにも入れない悔しい思いもしました。ただ昨年はあまり調子が良くなくて、練習の時点からベンチに入れなくて当然くらいのパフォーマンスしかできませんでした。途中で大学の試合に戻ったりはしたんですが、またここに戻ってきてポジションをつかみたいという思いが強くなっていきました」
――背番号「6」
室屋「クラブの方から『背番号6番でいい?』というふうに聞かれたので、僕でいいんですかと言って受けました。プレッシャーもすごいですけど、あまり考えすぎずにやりたいです。今は東京の6番と言えば宏介くん(太田選手)というイメージが強いんですけど、この1年で背番号6と言えば室屋と言ってもらえるように頑張りたいです」
――プロの舞台で
室屋「代表で一緒に戦ってきた選手とはやっぱりJでも戦ってみたいと思います。今年の明治の4年生ともちょくちょく連絡取っていたりして、お互い試合に出ている状態でピッチで会えたら最高だと思います」
――目指す場所
室屋「海外の試合をよく見るんですが、サイドバックの選手をたくさん見るので、目標の選手とかはあまりいないです。でも内田選手(内田篤人選手=シャルケ04)や長友選手、海外の選手でいえばダニエウ・アウベス選手(FCバルセロナ)、ラーム選手(バイエルンミュンヘン)はよく試合で見ます。海外でプレーしたいという気持ちはもちろんあります」
――ストロングポイント
室屋「自分の長所は攻守における1対1とだと思っています。それと裏に飛び出す動きです。守備の時はマッチアップした選手には絶対に負けへんぞという気持ちでやっています。あとは運動量ですかね。小さい頃からマラソン大会とかも得意でした。親に感謝したいですね」
――五輪戦士と共に
室屋「翔哉(中島翔哉選手=FC東京)とは、最終予選の韓国戦の後に『クラブでも優勝しようと』いう話をしました。翔哉はドリブルがうまくてフィニッシュの精度も高い選手です。代表でも長いこと一緒にやっているんですけど本当にやりやすい選手ですし、サイドを組む機会があったら大きなチャンスを作れるんじゃないかと思っています」
――直感
室屋「よく直感で自分の進路決めるんですけど、青森山田も明治も自分の中でいいなと思った直感を信じて行きました。今後もこの直感を信じていきたいですね。今回も最後はFC東京がいいという思いが自分の中で消えなかったので、それも大きかったと思います。間違ったなと思うときもあるんですけど、最後は何とかなっているのでこれからも直感を信じていきたいと思います」
――FC東京の室屋成として
室屋「ファンのみなさんに見てもらいたいところは攻守の1対1です。そこがストロングポイントですし、裏へ飛び出す動きも得意なのでゴールに絡む動きも注目してほしいです。開幕スタメンとかはあまりこだわっていないんですけど、徳永選手(徳永悠平選手=FC東京)と駒野選手(駒野友一選手=FC東京)からたくさん学びながらレギュラーを取れるように頑張りたいと思います。サイドバックの選手としてゴールに直結する動きを増やしていけたらなと思っています。まだ1年目で新米なので、とにかく謙虚にまずは先輩方のプレーを見て多くを学んでその上でもっと成長していければなと思います。サポーターの皆さんには『成』と呼んでほしいです」
プロ内定発表時のインタビュー記事「室屋成がJ1・FC東京へ新入団内定!」も併せてご覧ください。
◆室屋成 むろや・せい 政経3 青森山田高出 174cm・65kg
ポジションは主に右サイドバック。守備での1対1と卓越したスピードが生み出す鋭いオーバーラップが持ち味。試合終盤でも全く疲れを感じさせない豊富な運動量も大きなストロングポイントだ。主な選抜歴はU17日本代表、U18日本代表、U19日本代表、U21日本代表、U22日本代表、U23日本代表。趣味は一人映画。
次回からは先月1月12日~30日に行われたAFCU23選手権2016兼リオデジャネイロ五輪アジア最終予選の激闘を振り返ります。
更新は明日2月9日です。お楽しみに!
[サッカー部担当一同]
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