東洋大撃破でインカレ3位 有終の美を飾る/日本学生氷上競技選手権

 どん底からつかみ取った勝利だった。準決勝日体大戦の敗北で失意に沈んでから一夜明け、東洋大との3位決定戦が行われた。試合は均衡し1―1で第2ピリオドを迎えたが、16分にDF高木俊吾(政経3=駒大苫小牧)が公式戦初ゴールしたことで試合が動いた。そこから勢いに乗った明大は止まらず、残り30秒にFW松本昂大(商1=北海道清水)がゴール、第3ピリオド開始直後にもFW川村一希(商3=北海道清水)が得点し4―1に。その後も最後まで東洋大に追随を許さず勝利。インカレを3位で終え、今シーズンを終えた。また計5得点をマークし、2年連続で大椋が得点王となった。

 最後は笑顔で締めくくった。4―1でつかんだこの勝利は決して簡単なものではなかった。日体大に敗れインカレ連覇への挑戦が準決勝で幕引き。優勝しか見ていなかっただけチームは意気消沈していた。「チームは傷心し切っているので、そこからモチベーションを上げて明日戦うのはすごく大変なこと」と間中朗監督も悔しげな表情を浮かべていた。しかし、3位決定戦が4年生にとって最後の試合であることが選手を奮い立たせた。アップ前にFW大津晃介主将(法4=日光明峰)が全体に「悔しがっていても仕方がない」とチームを鼓舞。さらに川村が「最後4年生の為に勝って終わらせるのは3年生の役目」と勝利で終わらせたい気持ちを後輩代表として伝えた。すると「下を向いていた人たちもしっかり試合に臨める気持ちが出来た」(DF大澤翔・政経4=苫小牧工)。再び選手の闘志に火が付く。試合開始から声を出し合い、最後まで誰一人集中力を切らさず。3点リードの第3ピリオドのラスト1分では、キルプレーだった中で4年生の大澤、大津、大椋、FW永井遼(政経4=白樺学園)でセットを構成。「今までになく最後のプレーが一番楽しかった」(大澤)と共に4年間紫紺を背負った仲間と明大生として最後の試合終了のブザーを迎えた。優勝にこそ届かなかったが、選手たちの顔には涙目になった笑顔が浮かんでいた。

 勝負を分けたのは2点目だった。「先に点数を取った方が確実にチームの流れに乗る」(松本)。第2ピリオド16分、ゴールクリーズ前の高木に右サイドにいた大津が「決めろ」と言わんばかりのパスを供給、それをドンピシャで合わせてネットを沈めた。第1ピリオド4分に大澤が押し込んだ先制点も返され同点。第2ピリオドでも決定機を迎えても、ファインセーブやバーに阻まれ決め切れない時間が続いた。また東洋大も負けじと何度もゴールを脅かし、先に点を取った方が流れを持っていくことは明白だった。そんな中での待望のゴール。「あのゴールで流れが変わったのならよかった」(高木)。公式戦初ゴールは勝利をグッと引き寄せた。

 今シーズンが幕を閉じた。2年連続3冠を目指してきた一方で、関東大学選手権2位、関東大学リーグ戦2位、インカレ3位といずれもかなわず。夢は惜しくも散っていった。しかし「みんなで一つのゴールに立ち向かうことができたということは悔いがない」(大津)。大会後の4年生の顔は実に清々しいものだった。もちろん悔いはあるはずだ。だが最後は笑ってユニフォームを脱ぎ、後輩たちに3冠の夢を託した。

[スケート部祝勝会]
 スケート部総合主将はFW上野峻輔(政経3=北海)、総合主務はFW辻優介(商3=釧路江南)と、アイスホッケー部門から選出された。部門主将には川村、副将にFW工藤翔介(政経3=北海道栄)とDF松金健太(法3=釧路江南)、主務には大場大(政経2=苫小牧工)、副務にはFW牛来森都(法1=北海)が選ばれた。川村は「今年の目標は3冠で、まずは春を取る」と力強く話した。

[渡邊弘基]

試合後のコメント
大津

 「絶対勝って終わりたかったですし、負けて終わるのとは大きな違いがあります。昨日はホッケーできてないですけど、キャプテンとしてホッケーをできるか本当に最後の試合、自分と4年生と優勝するつもりだったんですけど、それと同じくらいうれしい勝利にしたかったです。アップの時はあの流れまま来ている選手もいてもう一度喝を入れてやるんだぞ、という気持ちで臨んだ結果4-1で勝つことができましたし、気持ちよく卒業できるかなと思います。(3年生のためにも川村さんが鼓舞しましたが)そうですね。おのずとリーダーシップが発揮できているという面でキャプテンシーがありますし来年も問題がないと思いますし、頼もしい後輩をもって幸せ者だと思いました。何もわからないところからスタートしてホッケーのことも私生活のことのも上下関係のことも色んなこと学んできたんですけど、どれ一つとして無駄にできるものはないなと思いますし、明治として誇りを持った中で、他のチームをリスペクトしあいながら、できたこと。この学生生活に悔いは一つもないと思っています。負けは一番の思い出にはしたくないので、去年釧路でインカレを優勝して梶原キャプテンを筆頭に4年生をいい思い出卒業させてあげられたことと、そんな時に梶原キャプテンがお前らの笑顔を見られたことが優勝よりもうれしいと言われたことが今になっても胸に染みていて自分も正直味わいたかったですけど。みんなで一つのゴールに立ち向かうことができたということは悔いがないのでこの悔しさとこの敗戦をとにかくバネにして次のステップに上がりたいと思います。さっき言った思い出すべてを忘れずに卒業して今度はOBとして見守ってあげられたらなと思います」

川村
 「今まで晃介さんのやってきたことは尊敬でし、いいところは継承していけたらなと思います。来シーズンはしっかりいいところを伸ばしていってチーム作りをしっかりしていけたらなと思います。4年生と試合できるのが最後だなって思って今の4年生は素晴らしいメンツがそろっているので偉大な先輩だなと思います。尊敬しているのでさみしかったというか、一緒に試合できたことは財産だなと思います。(不安とかはあるか)日体大戦で晃介さんがいなくなった後にまず僕らのセットでも不安と言うのがでてきましたし、やっぱり晃介さんがいるといないのでは全然違いました。晃介さんの存在が大きかったなと思います。そこでほかの4年生が引っ張っていこうというのはプレーを見て感じましたが、そこで悔いが残るのは3年生とかがあそこの場面でチーム状況を変えられなかったからです。その中で自分が絶対に決めてやる、絶対勝ちたい。アップの時から円陣を組んだ時から晃介さんが切り替えようって言ってたんですけど、やっぱり試合始めるまでに4年生の顔見てた時にあきらかに切り替わってないと感じたのでその時にラストの試合で僕らのできることはなんだろうって考えた時に今ここで最後4年生の為に勝って終わらせるのは3年生の役目だと思って僕がたまたま代表して言ったのですが、その時にちょっと笑いながら顔ちょっとくらいんじゃないって笑いながらいって勝って終わらせてあげるように全体的に鼓舞をかけました。今まで晃介さんとずっとやってきたんですが、4年生がいない状況なのでインカレ入った時から自分がチームを引っ張っていくと思っていました。晃介さんをキャプテンとして本当に尊敬しています。まずは春絶対優勝して3冠を取りたいと思っています。新体制になりましたけどチーム一丸となってやっていきたいです。今年のチームとしては雰囲気も良かったと思いますし、続けていきたいですし、受け継ぎたいです。後輩たちと仲良くすのは良いですが、練習は練習、私生活は私生活。オンとオフをしっかりしていきたく(理想のキャプテン像は)ゆるくしていたらただの優しいキャプテンなので言うときは言うでも結果チームを作っていくのは自分だと思うので僕のプレー私生活、ホッケーに対する思いを見せて後輩がついてきて来るようなキャプテンになりたいです。オンとオフの切り替えを大事に、そしてチームの雰囲気って重要だと思うのでいい雰囲気だった時もあるし、駄目な時は駄目と差があったかなと思うのでオンとオフは重要だと思います。そいうのをなくていって来シーズンはできたら無敗で行きたいと思います」