
西野4連覇で有終の美! 野添会心ラスト演技で総合6位 /日本学生氷上選手権
男子
昨年から順位を一つ上げ表彰台へ上がった。SP(ショートプログラム)と同じく明大最初の滑走者となった梶田健登(政経1=明大中野)だったが「前日の負のサイクルを背負ってしまった」とジャンプがほとんどパンクし絶不調。21位に沈み、男子団体に貢献することができなかった。ショートで納得のいく成績を収められなかった鎌田英嗣(営1=獨協)は、手こそ付いたもののトリプルアクセルを転倒せずに飛び105.59点。フリー9位と、わずかだが挽回に成功する。すると団体表彰台への命運を託された野添が「自分としては完璧」という好演技を披露。フリー116.74点、総合177.06点の高得点で4年生らしくチームを引っ張り、明大男子団体を3位入賞へと導いた。
堂々の集大成を見せつけた。演技前には会場が一体となり、この日一番といえる声援で送り出された野添。まずは冒頭のジャンプで自身の代名詞であるトリプルアクセルを完璧に決め、その後も一つ一つの技が決まるたびに大きくなる拍手に応えるかのようにジャンプの成功を重ねていく。最後のジャンプ、ダブルアクセルをきれいに着氷すると思わずガッツポーズが飛び出した。普段とは違う団体戦でのプレッシャー、そして最後の舞台という場面で「背負っているものがすごく重かった」と野添。強敵がそろう中で重圧をはねのけ総合6位入賞を果たし、ラスト演技に花を添えた。
女子
まさに有終の美となった。ショート2位スタートとなった西野友毬(政経4=武蔵野)は「楽しく笑顔で終わりたい」と最後のフリーに臨んだ。西野の名前がコールされると「楽しんできます」と樋口豊コーチに伝え、大声援の中笑顔でリンクに飛び出した。少し緊張気味に、だがいつもの笑みで演技を始めると、冒頭のトリプルルッツをきれいに着氷。八つあるジャンプのうち一つのみがシングルになってしまったものの、回転不足を取られることもなくすべてのジャンプが認定された。「最後の最後にきれいなディテールで終われて良かった」と西野。スピンやコレオシークエンスでも会場を魅了し歓声が沸いた。演技後は笑顔とともに大粒の涙を見せ、明大チームほかスケート仲間たちのいるリンクサイドに向けナンバーワンのジェスチャーをした。「声援とか仲間の声がすごくて涙が止まらなかった」(西野)。この結果西野が総合166.16点で優勝、インカレ個人4連覇を果たした。
今シーズンでの引退を表明している西野は今回のフリーがフィギュアスケート人生最後の演技となった。「みんなに見守られて、いろんな人が泣いてくれて本当に幸せでありがたかった引退だった」(西野)。そしてインカレについて「明治で団体として戦うのですごい楽しい試合で、好きな試合だった」(西野)と振り返り、フィギュアスケート人生の幕を閉じた。
団体でも表彰台に上がった。ショート終了時点で西野、藏佐衣子(営3=広尾学園)のみがフリーに進むこととなり川平咲良(文2=帯広三条)は惜しくもショート止まりに。迎えたフリーは、まず第1グループ1番滑走で登場した藏。ショートで多かったジャンプでのミスを最低限に抑え、総合95.29点の24位で西野につなげた。そして西野がラストとなるフリーを圧巻の演技で終え、この結果明大が女子団体で3位となり西野は今大会で2度表彰台に上がることとなった。
来シーズンは野添、西野の4年生が抜け、今大会出場した梶田、鎌田が明大の主軸となってくる。2人の目標は「トリプルアクセル」だ。他にもここ最近調子が上がらない梶田は「本番になると急に飛べなくなったり、どうすればいいのか分からなくなってしまう」、鎌田は「いつも決まっていても本番で急に不安になったりする」と精神面の課題がある。来シーズン開幕まで長い間が空く。その期間で自分のスケートを洗練し、大きな目標を叶えたいところだ。
[木村亮・石塚真維]
試合後のコメント
会心のラスト演技を飾った野添
「満足というかやり残したことはないと思う。セカンドが付かなかったり細かいミスはあったが欲を言えばそこを付けたかったかなと。自分としては完璧だが予定していた構成が抜けているのと1個シングルになったので両方できていたら3点以上は確実にあった。(今日一番の歓声だったが)暖かい歓声があってみんなずっとスケートやってきた友達だったので、暖かく送り出していただけたかなと思う。自分はいっぱいいっぱいだったので、演技中に引退だという感じはしなかった。集中していかないと団体がかかっていたので余裕はなかったが、終わってひと段落したらみんなが泣いててくれてありがたいと思った。こんな経験は二度とない。これだけの人に見ていだいて応援していただけることはない機会なので人生で一番良かったときだと思う。(最初のトリプルアクセルは)最初のジャンプが決まるか決まらないか決まらないかで気持ちの問題ですごく大きいので、決まったらすごく気持ちが乗る。楽になっていつも通り後半に向けて失敗することも少なくなったのでそんなに不安要素はなかった。(ガッツポーズは)することは今までなかったが最後という満足感やいい終わり方できたなという気持ちがあった。団体が掛かっているということと最後の舞台ということで背負っているものがすごく重かったので緊張していたが、その緊張から解き放たれた喜びで普段しないガッツポーズが出た。最後のダブルアクセルの1個前のトーループを降りた時点で次降りればノーミスだなと頭の中で過ぎったので大丈夫と思って、よし、やったという気持ち。あと1本だと思っていたので何とか決まって良かったという気持ちでガッツポーズが出た。(団体3位は)悔しかった。セカンドをダブルトーループにするのともう1個セカンドを付けられてたら(個人で)3、4位にいけたのでもったいなかった。1年生は初めて出るインカレで緊張してしまったのかなと思うが実力は抜群にあるので来年は(優勝を)取ってくれると思う。来年に期待したいと思う。(明日から新しい人生が始まるが)競技生活で学んだことは多くて、人生の8、9割フィギュアに携わってきた。全国どこ行ってもどの県にも友達がいることも財産。競技生活の中で教わったことがたくさんあるのでそれを今後の人生に生かして新しいステップに進む。自分の中では人生の大きな一括りが終わって次の章に進むという感じ。週に6日もやっていたことが急になくなると寂しいが次のステップに進むワクワクもある。(後輩に掛けたい言葉は)来年こそは優勝してもらいたい。1年生のとき、佐々木先輩が優勝したにもかかわらず自分が足を引っ張って明治の優勝を逃してしまった。梶田くんとかも今回そういう思いをしたかもしれないがその思いは絶対来年につながるし、悔しい思いは競技生活の中でインカレだけじゃなくて他でも頑張ろうという気持ちにつながる。個人の成績もきっとよくなるのでその悔しさをバネに頑張ってほしいということを伝えたい」
ジャンプが不調だった梶田
「技術的なこともそうだし、自分の弱い部分がモロに100パーセント出てしまった感じだったなというのをショートフリー含めて今思っている。具体的に言うと、本番に向けたローテーション、サイクルみたいなもので、自分が良くなかった時はだいたい気持ちが作れていない状態。そういうものが一番の弱点なんだけど、今回の試合は本番に向けての気持ちの作り方が準備ができていない。氷もリンクによって全然違う。ここのリンクの氷に、ショートの朝の公式練習を終えて全然つかめなくて、それでもやるっていう気持ちが本番つかめてなくて、昨日のショートもあんなのになってしまって、今日の朝のフリーも前日の負のサイクルを引っ張ってしまった。全然覇気がなくて、本番に自分を高めていってやることができなかった。低いまま行ってしまった。回転が抜けたジャンプはほとんどなんじゃないかな。(その原因は体力面か)体力というよりかは、しっかり氷を踏み込んでコントロールできていれば、体力がなくても飛べる。今回は体力云々じゃなく、自分の中で常にエッジを探している状態、どこに乗ったら良いのかを探している状態でやっていて、いつも練習でやっているのと違う失敗をして、それが繰り返されると体力も余計消耗してしまうし、ジャンプ飛ぶよりも転んだ時に起き上がる方が体力を使う。体力がなくて失敗したんじゃなくて、失敗をたくさんしてしまって結果的に体力がなくなってしまった。(インカレを振り返ってみて)スケートって基本は個人競技だから、自分自信に集中していれば良いのだけど、インカレとかチーム戦みたいなものだから、自分一人じゃなくて、いい演技をしたら次にいい状態で次の人に持っていけるし、自分がもしだめだったら皆に迷惑かけちゃうし、個人競技にはないプレッシャーは初めてあった。(明治を背負って戦うのは)相当大変。総合優勝をできる学校。一昨年もしているし。そういう学校だから明治に入ったというのもあるけど、チームでやるっていう普段ないことだから中々難しい。インカレで、明治大学で名を残すにはそういうのも乗り越えていかなきゃいけない」
トリプルアクセルをプログラムに取り入れた鎌田
「今日はアクセルをまず挑戦して入れるということを目標にしてきて、転ばずに入れることができてよかった。もちろん挽回しないとなというのがあったが、それよりもフリーで自分の演技ができるように、アクセルを決めるという目標を達成できるようにという気持ちでやった。ジャンプは小さいミスが多くてまとまりがなくなってしまったので、悔しい。トリプルアクセルはまだ完成ではないが、本番で回すということは一つのポイントだと思う。今日は疲れてはいなかったので、滑りとかスピードとかは衰えなかったと思う。踊りというかスピンで一つ一つ集中できなかった。余計なことを考えずにただただ練習通りに冷静にやっていこうと。決めないといけないところは決めないといけないが、力が入り過ぎないように気を付けて臨んだ。今日の練習でも問題はなくジャンプも飛んでいたので、いい感じに体も力が抜けて飛べていたのでよかったと思う。今シーズンはジュニアの世代で戦っていたので、インカレはシニア世代で年上の選手はスピードもあり体力もありジャンプも高いので、そういうところで劣るところはあると思うが、その中でも確実に決めなくてはいけなかったので悔しい試合となった。でも、いい経験になった。今回も自分の納得のいくような演技では決してない。(野添さんと出る最後の大会)あまり実感が湧かない。でもやはり寂しい。明治大学の主将としてチームをすごくまとめてくれて、人間的にもすごく尊敬している先輩なので、元気付けてもらったこともあったので寂しい。野添先輩は完璧な人だと思う。真面目だが硬くもなく、楽しませてくれたり、締めるところはきちんと締めてくれたり、元気にしてくれたりする。スケートでは僕の跳べないトリプルアクセルを素晴らしく跳べる選手なので、見習いたいところはたくさんある。野添先輩が、チーム一丸となって盛り上げようとしてくれるので、先輩には感謝している」
涙ながらのラスト演技を披露し、華々しい引退を飾った西野
「(4連覇)演技が終わったときに一つ、ルッツでミスをしたので悔しさはあった。でも声援とか仲間の声がすごくて涙が止まらなかった。(演技中も涙)スパイラルの前に「ラスト頑張って」と言われたときにああ最後だ、と思って涙が出てきた。(終わった瞬間)実感があるのかないのか自分では分からなくて、周りの声援で終わったんだなと。「ありがとう」と言われたときにこみ上げてくるものがあった。(6分間練習のときから泣いていたように見えたが)6分間練習の前に友達に「頑張ってね」と声を掛けられたときに泣いてしまった。他の先生からまだよ、と言われて。あまり人の顔を見ないようにしていた。(練習では何度もルッツの入りを確認)ちょっと不安だった。演技の最初のルッツも危なくて、途中でやばいと思ったけど下りた。2本目いけるかなと思ったけどやっぱりちょっと不安なままいってしまった。(フリーへの自信)昨日のショートを引きずってしまっていたけど、練習でやってきたことを信じて自分に「フリーは自信がある」と言い聞かせていた。(ショートでは普通の試合と変わらないと言っていたが)今日も普通と特別な気持ちが半々くらい。普通の試合でもあるし、アップ中はとても緊張していた。でも人の顔を見ると泣けてくるし…。本当に半々。(点数)あんないい点数が出ると思っていなかったのでびっくり。アンダーとかもつかなかったので、それもびっくり。いい形で終われてよかった。最後の最後にきれいなディテールで終われて。(最後のインカレ)楽しく滑れたけど、二つ目のルッツで失敗してしまったのでそこが引っ掛かる。それでもこうしてみんなに見守られて、いろんな人が泣いてくれて本当に幸せでありがたかった引退だった。演技前は先生に「楽しんできます」と言った。先生にも楽しんできてね、と。先生には本当にお世話になったので、これからもお手伝いとかサポートして、そこで恩返しできたら。(終わってみて最初に思ったこと)歓声がすごくて、それがありがたかったのと寂しいのと終わったんだ、という気持ち。本当にありがとうございました、と。(4連覇への意識)昨日ほどではなかったが、今日もちょっとはあった。でもルッツのミスがあったので、もう無理だと思った。何番でもいいやという気持ちで滑っていた。(インカレという大会)明治で団体として戦うのですごい楽しい試合で、好きな試合だった」
フリーに残り女子団体3位に貢献した藏
「(西野さんの最後の演技だったが)友毬ちゃんの演技が始まる前から泣きそうだった。今は違うんですけど小さい時から同じリンクで練習させてもらって見習うところがたくさんあったしいろんなことも教えてくれた。大学入ってからもたくさんお世話になって3年間尊敬する先輩とずっと一緒に練習も試合も何回も出れて国体にも一緒に出させていただいた。インカレでも友毬ちゃんがいるのが当たり前だったし友毬ちゃんに完全に引っ張ってもらっていたので足を引っ張らないように必死についていった。頑張って必死でついていった3年間だった。来年からは自分が一番上になるので友毬ちゃんみたいな先輩になれるように頑張っていきたい。小さいときからお世話になっているので駄目なところは駄目って言ってもらったりいろんなことを教えてくれた。何かあったら友毬ちゃんがいた感じがした。友毬ちゃんが一番見習いたい先輩。普段は一緒にふざけたり変なことばかりしてるんだけど氷の上では誰よりも真剣でストイックで気持ちをちゃんと切り替えられるので私には全然足りない部分。(フリーの演技は)昨日完全に足を引っ張ってしまって、ずっと(女子団体で)表彰台に乗ってきたので私のせいで友毬ちゃんの最後の年に乗れないのは自分でも嫌だったしやっぱり乗りたかった。朝の練習では昨日の失敗が引っかかっていていいとは言えなかったが本番は最初のトリプル3つが決まればあとは流れに乗っていけると思った。最初3つ決まってこのままいけるかなと思ったが少し欲が出てしまって簡単に決められるはずの後半のジャンプが全然決まらなかったので悔しい。(課題は)そんなに高い技術を持っているわけでもない。跳べるものは練習ではしっかり跳んでるのでそれを本番で自分の力を全部出せるようにしなきゃいけない。動きものんびりしてるのできびきび動けるようにしたい。(次のシーズンに向けて)友毬ちゃんとホテルの部屋が一緒なんだけど出る前に笑顔で楽しく滑ってって言われたので、残り1年その言葉を考えて友毬ちゃんに言われたことを忘れないで自分も友毬ちゃんみたいに悔いのない引退をしたい」
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