野添会心のラストSP 西野ジャンプでミスし2位発進/日本学生氷上選手権

 学生にとっての大舞台、インカレが日光で開幕した。氷上スポーツ3種目合計で大学ごとの順位を競う今大会。男子がSP(ショートプログラム)で団体2位の成績を残し、優勝を狙える位置に付けた。また、今シーズンで引退を明言している西野友毬(政経4=武蔵野)が2位でショートを終えた。明大総合優勝に向け、FS(フリースケーティング)に全てをぶつける。

男子
 2年ぶりの優勝へ、ショート2位とまずまずの滑り出しとなった。明大のトップバッターを任された梶田健登(政経1=明大中野)はダブルアクセルをきれいに決めたものの、コンビネーションジャンプを失敗し、細かいミスも出て得点は伸びず。続く鎌田英嗣(営1=獨協)も精神面での不安がプレーに表れジャンプをミスし「今までショートは決めてきたのに」と悔しさをあらわにした。ルーキー2人が思うような結果を残せなかった中、野添絋介(商4=東福岡)が最上級生にたがわぬ活躍を見せた。冒頭のトリプルアクセルを完璧に決めるとその後勢いに乗るかのようにその他ジャンプ、ステップもノーミスの演技で観客、そして明大内外問わずリンクサイドの選手たちから大喝采を浴びた。演技後は力強く天高く拳を突き上げガッツポーズ。「たくさんの応援が力に変わって思うような演技ができた」と本人も納得の出来で60.32点の高得点をマークした。「団体優勝できれば満足」と野添。実力者3人に2位は似合わない。ハイレベルの男子Aクラスを制すのは明大だ。

女子
 女子は昨年と同じく西野、藏佐衣子(営3=広尾学園)、川平咲良(文2=帯広三条)の3人の出場となった。まず初めに登場したのは西野。西野は現在インカレ3連覇中で、今回前人未到の4連覇が懸かっている。「自分でもプレッシャーを感じていた」(西野)と、緊張からか最初のジャンプ、トリプルルッツがダブルになってしまう。「ダブルになると0点になってしまうので、すごく悔しい」(西野)。その後はきれいにまとめるも、冒頭のジャンプでのミスが響き53.45点の2位スタートとなった。だが1位渡辺(中京大)とは0.42点差とその差は小さい。フリーでの巻き返しに期待だ。
 最終滑走となった藏はジャンプでのミスが目立ち35.09点の24位。2年連続での出場となった川平は1本目のトリプルトゥーループで転倒し32.52点の28位と出遅れた。

 7日は男女フリーが控える。4年生である野添と西野にとってこのフリーがラスト演技となる。「明日はとにかく笑顔でやり切るのが一番」(西野)。今シーズン、そして競技生活を締めくくるにふさわしい演技を披露し、有終の美を飾る。

[木村亮・石塚真維]

試合後のコメント
ノーミス演技でガッツポーズを見せた野添

「全日本終わってすぐで大変ではあったが、シーズン通してインカレに一番力を注いでいた。お正月も帰らず東京に残って練習した。人生最後のショートだったので緊張もしたがたくさんの応援が力に変わって思うような演技ができた。他の大学もそこそこまとめてきたので自分がここで引っ張っておかないといけないなという思いを胸に滑った。(ショートに調子を持って来られているのは)昨シーズンと大きく違う点は自分の得意なトリプルアクセルを1本目に持ってきてしっかり決められるような構成にした。(トリプルアクセルが決まることによって)波に乗るというか、気持ちが上がっていく。(全日本以外でノーミスの演技は)これまでのシーズンを通して滅多になかった。シーズンに1回ノーミスできるかできないかだったので最後のシーズンに気持ち良く終われるようにできたので心から良かったと思っている。(ショートで意識している点は)自分の持ち味はジャンプなので他の人よりも見せられるところは少ないので持ち味のジャンプがしっかり決まるような構成で作ってもらっている。ジャンプが決まる点で自分の持ち味は出せた。 (フリーに向けて)全日本では失うものはないとアクセル2本にしたが、ここはしっかり守りたいのでアクセル1本にしてしっかりまとめられるように構成を変えてきた。会場に来る前に曲を通したらほとんどノーミスの演技もできたので同じようにまとめたい」

ルッツ転倒もステップで魅了した梶田
「試合本番に向けての心身を本番に向けて持っていくことがうまくできなかったのかなという風に思った。連戦続きで体力とかはきつかったが調子そのものはものすごくいい状態で今シーズンの課題としては練習でいい状態で試合にうまく持ち込めているのに本番でそれがうまくできないことが全日本含めてこのショート含めてそういうところの課題が浮き彫りになってしまったと思う。東日本の時は練習からちょっとぐらついてしまったところがあってきれいにぴしっと入らないことが多々あった。けれども練習を積み重ねていって練習ではだいぶ上下の幅がだんだんなくなってきて、どんなときでも一定のパフォーマンスはできるようにはしてきた。しかし本番になるとやっぱり、今日なんかは足ががくがくしていてジャンプの調子というかそれ以前のところでもふらふらしている部分があった。全日本は一番大きな大会なので緊張するがインカレも日本一を決める試合で明治はチームとしてやってきているので絶対に他の大学に負けたくないという気持ちもあるしそのチームとして勝ちたいという前に個人としてやるべきことをしっかりやって結果点数を残してというのが前提にあるので明日のフリーはどうなるか分からないが取りあえず今日のショートだと全然駄目駄目なスタートを切ってしまった。インカレが人生初で初めてというのは緊張するしトップバッターだからみんなにいいバトンを渡せるようにしなければという思いがあったが、そういうのに打ち勝ってこそ強いアスリートだと思うので言い訳にならない。失敗したときにいろいろ声をかけてくれたとか本番応援してくれたとかそれは自分にとってプラスに元気づけられるとか、インカレは良かったと思う」

気持ちが乗り切れずミスが出た鎌田
「今日は体がすごい動けてて、体の調子的には絶好調だったけれども、それでもやはり不安というか、弱い自分が(出た)。やってやるぞというよりかは大丈夫か?みたいな部分が大きかった。早く不安から解放されたいみたいな。そういう気持ちが出てしまったので、余裕が持てずにジャンプ行って失敗してしまった。(都民大会で最後のジャンプをフリップからループに変更していたが)フリップはルッツと飛び方が同じで、フリップの時に僕はアウトサイドに踏み切ってしまう癖があって、マイナスされてしまうことが多いので、シニア課題だと何を入れてもいいということなので、ループに変更することにした。ジュニアにはフリップを入れなければならないという課題があったので、シニアではフリップを入れなくても良いということでループを入れて、そのループジャンプで加点を貰うようなプログラム構成にした。(今日のジャンプは)本番は危なげではあったけれど、決まったジャンプは一つひとつは良かったかなと。(全日本ジュニアを終えてからしてきたこと)一度休憩を入れながら、とにかくループジャンプをショートに入れて、いい演技をするように練習した。あと1回エキシビションというか、小さい子たちの教室で見せる場があったから、その時に模擬試合というかやらせていただいた。(試合後悔しそうな表情を浮かべていたが)悔しい。できることしかやっていないので、ショートなんて特にジャンプがつまって、今までショートは決めてきたのに。そこは悔しい。(目標としてた世界ジュニア、そして全日本に出られなかった悔しさは)全日本に出られなかった悔しさの方が大きい。(今大会その悔しさをぶつけるというのはあったか)多少あるけど、その時はその時、この時はこの時。別という形だった。とにかく今回は明治大学の団体優勝が懸かっていて、その中で自分が足を引っ張る側にならないようにしないといけないので、1個だけ失敗してしまったのが一番悔しい。フリーは今自分ができるノーミスを。今大会ちょっと気持ちが不安だったから、少し気持ちを楽にして、体もうまく整えて、とにかく自分ができるベストの演技をしたい。(何が不安だったか)一回自分がだめだなと思ってしまうと、引きずってしまう人なので、とにかく全てのジャンプ、いつも決まっていても本番では決まらないんじゃないかとか、急に不安になったりすることが多い。(今年の目標)トリプルアクセルを絶対に試合に入れていきたい。(トリプルアクセルは都民大会でやったか)フリーではやったのだけど、踏み切ることができなくてタイミングの不一致で3回転半回ることができずに転倒した。今回もフリーで入れる予定。(どこを磨いていきたいか)僕の動きのキレ
が、テレビで見ているトップ選手よりは少し切れが悪いところがあるので、他のバックダンサー、EXILEとかの人たちの踊りを少し真似してみたりして、フィギュアスケートとは違う観点だけれども、動きの切れを磨きたい」

プレッシャーによりジャンプでミスが出た西野
「(冒頭のルッツのミス)全日本(でのミス)がすごく引っかかっていた。今季のショートは自信がなくて6分間練習では(ルッツが)入っていたのでいけるかなと思っていた。ダブルになると0点になってしまうので、すごい悔しい。自分でもプレッシャーを感じていた。やっぱり4連覇・・・。ここまできたらやりたい、と意識してしまった。(全日本でも同じミス)来る前まで調子が良くて、前の日の前半までは良かった。ただ後半からちょっと崩れてしまった。フリーは切り替えてやるしかない。(調整)全日本終わって1日だけ休んで他は練習していた。しっかり調整するようにはしていた。(インカレに向けて)貸切での練習があまりなくて、一般滑走で集中してジャンプをやっていた。そこではつかめていた。(ミスからの立ち直り)ループも入ったし、スピンもうまく意識できた。ミスから気持ちは切り替わっていなかったが、全日本よりは後半はまとめられた。(最後の大会という意識)それよりも4連覇が・・・。あまり自分で考えないようにしていたが勝手に自分でプレシャーを感じている。全日本でもそうだったが、やらなきゃいけないときにうまくいかない。これまでのスケート人生を振り返ってみてもそうだったのかな。(フリー)本当に最後になるので、全日本のときのような演技ができるように。去年もインカレでルッツを失敗しているので、切り替えて順位関係なくできたらいいな。楽しく笑顔で終わりたい。(大会前の意気込み)コーチへの恩返しももちろんあるが、直前になって普通の試合として見ている自分がいた。引退の試合というよりは、今日の時点ではいつもの普通の試合と変わらない気持ち。明日はとにかく笑顔でやり切るのが一番」

悔しさを晴らすべくフリーでの巻き返しを目指す藏
「練習はいつもと同じくらい跳べていた。最初は苦手なジャンプだが試合で跳べるように克服しようと思って確率も上がってきていたので今日の朝の練習でもミスがなかったので自信を持っていたが、どこか緊張していて失敗してしまった。(最終滑走は)最近最終滑走が多かったのであまり意識はしていなかった。(今シーズンは)次のシーズンが最後で就職活動もあって前半あまり練習できないので今しか思い切りやるときがないと思ってやってきたが結果として反映できなかったので悔しい気持ちが大きい。(インカレは)3回目の今日が一番悪かった。(フリーに向けて)ノーミスしてフリーだけの順位だったら一桁になれるように自己ベストが出せるように頑張りたい」

トリプルトゥーループのリベンジを誓う川平
「今日は緊張してしまって6分間練習では体が動かなかったが、本番は動いた。でも、ジャンプを1個ミスしてしまったので、内容は残念だったなと思う。ジャンプ1本目は下りたと思ったのだが転んでしまって、すぐ建て直して次のダブルアクセルは下りられたのでよかった。スピンもちゃんと回れたかなと思う。シーズン前半から調子を少しずつ上げてインカレに出られたのでよかった。出られない人の分まで頑張ろうと思って出た。今回は4年生と一緒に出る最後の試合なので、足を引っ張らないようにと思っていた。明大チームの応援もとてもうれしかった。緊張をほぐしてもらえて力になった。フリーに残れたらショートと切り替えて、今日失敗したトリプルトゥーループを2本決めて、最後まで流れが止まらないようにしたい」