涙と笑顔で大舞台を終えた/全日本選手権

 最後の大舞台で最高の演技を披露した。全日本選手権最終日、女子FS(フリースケーテイング)が行われた。ジャンプで精彩を欠きSP(ショートプログラム)21位スタートとなった西野友毬(政経4=武蔵野)だったが、すべてのジャンプを見事に決め、表現力でも会場を魅了。演技後は涙があふれた。総合順位こそ18位と好成績を残すことはできなかったものの「これぞ西野友毬」という圧巻の演技を観客の心に刻んだ。

 大粒の涙と満面の笑顔があふれた。26日に行われた女子ショートにおいて、ジャンプの転倒が目立ち21位と出遅れた西野。「最後だから楽しく滑ろう」と臨んだフリーは第一滑走での登場だった。冒頭のトリプルルッツ、ダブルトゥーループのコンビネーションジャンプを決めると、続く3連続ジャンプをきれいに着氷。「力を抜いて跳ぶことを意識した」と、その後もミスなく最後まで滑り切った。演技後、会場は惜しみない拍手に包まれた。「まさか全日本で2年連続フリーをノーミスできるなんて」。昨年も回転不足はあったものの、フリーで会心の演技。今年もショートでの出遅れを感じさせない見事な演技を見せ、第一滑走者ながら会場を沸かせた。演技後、キスアンドクライでは樋口コーチと共に涙を流し、ショートで流した悔し涙がうれし涙に変わった。今大会を「楽しく滑ることができた」と笑顔で振り返った。

 今シーズンで引退となる西野にとって今回は最後の全日本選手権となったが、まだ終わりではない。1月6日からはインカレが栃木県・日光市で開催され、それが引退試合となる。西野は現在インカレ3連覇中であり、今回は4連覇が懸かっている。「明治のために、足を引っ張らないように」。今回果たせなかったショート、フリー両方でのノーミスを果たし明大の団体優勝と前人未到の4連覇を実現すべく、10日後のインカレに臨む。

[石塚真維]

試合後のコメント
ノーミスの演技で観客を取り込んだ西野

「最後だから楽しく滑ろうと思っていた。楽しく滑ることができたし、ジャンプも全部下りられると思っていなかったのでうれしい。(滑る前、樋口コーチからは)エレガントに、楽しんでいつも通りと言われた。練習でも週に2回くらいしかノーミスの演技はできていなかったので不安だったが、まさか全日本で2年連続フリーをノーミスできるなんて。(何がよかったか)公式練習とアップ中にジャンプに力が入りすぎていると分かった。力を抜いて跳ぶことを意識した。最後のアクセルだけ不安だったが、下りられてホッとした。(ショートの演技)やっぱり力が入りすぎていた。緊張もあったし、ショートとフリー両方そろえたかったという思いが強すぎた。原因が分かって、1番滑走で練習のまま間が空かずに入っていけたのもよかった。順位も意識しないでできた。(演技終わった瞬間)まさかノーミスできると思っていなかったのでよかった。笑って終われた。(観客の声援)本当にありがたかった。いい演技ができなくても応援してくださる方がいてくれて。(全日本の思い出)去年と高校2年で6番に入ったときの全日本が印象に残っている。(インカレに向けて)最後の試合になる。4連覇は考えないようにしようと思っている。明治のために、足を引っ張らないように。どっちもノーミスでできるようにしたい」