
(10)4年生マネージャー対談
リーグ戦、総理大臣杯は共に準優勝に終わり、3冠を掲げたシーズンも残すはインカレのみとなりました。最後の大会でのタイトル獲得に懸ける熱い思いを語っていただきました。
第2回は、マネジャーとして4年間チームを支え続けてきた日野瑞佳(営4=宮城第一)と白井綾夏(理工4=実践学園)の対談をお送りします。
――まず、マネージャーを務めようと思ったきっかけを教えてください。
日野:元からサッカーが好きだったのでマネージャーという立場で関われたらと思ってました。体同連も見に行ったんですけれども、真剣さが全然違うし、朝の6時からの練習に参加させてもらったときにみんなの熱気がすごくて「これなら4年間続けられるな」と思って入部しました。
白井:私は高校までバスケをずっとやっていてインターハイにも出たんですけれども、上の方にはいったことがなくて。学生終わるまでに1回日本一になってみたいなと思ったんですけれども、自分がずっと真剣に部活をやっていたのでやるなら本気でと思っていて、けれども新しいことを始めるのも難しいなと。それでマネージャーに立場を変えてこれまでの経験を活かした活動ができればと思いました。自分の学部がすごく忙しいところだったので、朝にしっかり練習して昼は学業を優先できるサッカー部の方針が合ってるなと感じました。後はもとからサッカーは好きで、なおかつ適度にルールがわからないので(笑)。バスケは自分がずっとやってきていたから試合中にプレーを見すぎちゃうかもしれないし、野球やラグビーじゃルールがわからなさ過ぎて仕事にならないし。サッカーは詳しすぎるってこともなく、仕事をするのに困らない程度にはわかるのでちょうどいいかなと。
――入部してみて想像と違った部分はありましたか。
白井:入部した時は想像していたより仕事がそんなになくて驚きました。体育会のマネージャーってすごい大変なイメージだったんですけれども、マネージャーにあんまり仕事が回ってこないというか。主務が全部自分でやっちゃう。その中で先輩や自分たちで努力をしてきて、少しずつマネージャーに仕事を任せてもらえるようになったと思います。信頼してもらえるようになったというか。
日野:もともとマネージャーっていう立場の人がいない環境にいたので仕事に対するイメージがなくて。だから想像と違うっていうのはないです。ただもっと毎日のように仕事があると思っていたので、ちゃんと授業やバイトと両立できるっていうところに驚きました。
白井:夏休みとかは毎日仕事があります。ただ1か月の短期留学とかも融通がききます。私たちも2年と3年の夏にそれぞれ短期で留学をしたんですが、そういう人がいる間は残った人で仕事を回さなきゃいけないので、授業がない時期のほうが仕事としては大変です。
日野:授業あるときは朝練がある日にちょっと早起きするくらいなので。
――朝練習ある時は何時に起きているんですか。
日野:4時半起きで5時半にはここ(八幡山)にはいるかな。練習が45分からなので。
白井:ちゃちゃっと準備して。だいたい1人週2でローテーションを回す感じです。1限ある日は朝練に出れないので、時間割を見ながらみんなで相談して。2人とも自転車で来れるんですよ。
日野:京王線は始発が4時台とかからありますし、そもそも自転車で来れるので電車の心配はないです。
白井:上の先輩だとどんなに頑張っても6時半以降にしか八幡山に来れないとかあったので最初から練習に参加できるのはうれしいです。
日野:今はマネージャー全員が最初から出れるので仕事も回しやすいですし、すごいいい状態だと思います。
白井:朝早いのは慣れました(笑)。
日野:朝練ない日にも4時半に目が覚めて「やばい遅刻!」って毎朝のようにやります(笑)。7時起きとかすごい遅く感じます。
白井:「太陽がある」みたいなね(笑)。
――マネージャーを務める中で大変だったことはありますか。
日野:最初は一人暮らし初めて慣れない環境の中でやっていくのが大変でした。1年生の夏は特に大変でした。
白井:違うマネージャーが留学をしていて。今は3年生の学連の子を入れてマネージャーは9人なんですが、その時は学連入れて8人で、その学連の人がほとんど来なくて。留学でまた一人減って就活とか卒論で4年生が来れなかったりして。今は9人で回しているのと同じ量の仕事を半分くらいの人数でやってました。
日野:朝練に加えて普通に練習もあるので毎日ずっと仕事でした。
白井:「あと10時間後に会おうね」みたいな。大臣杯に行けなかった年はその分練習がきつくなるので、それに比例して私たちの仕事も増えます。練習以外の場所での仕事は大臣杯に行った時のほうが多いです。
――マネージャーの仕事のやりがいはなんでしょうか。
日野:みんなうまいのでその環境に身を置けるだけでもうれしいですし、それにも増して勝ってくれた時やプロ入りが決まった時はうれしいです。地元が仙台でベガルタ(J1・ベガルタ仙台)のホームスタジアムから歩いて20分くらいなんですよ。親もサッカーが好きで小さいころからよく観に行っていたので、今年、差波(優人・商4=青森山田)の内定が決まったって知ったときはまさか地元のチームに同期が入団すると思わなかったので両親に電話しちゃいました。
白井:マネージャーと選手って距離の取り方が難しいと思うんですよね。その中でしっくり来たのが親戚のおばさんみたいな立ち位置で。マネージャー日記を更新しているんですけれども、4年生の保護者の方から「マネ日記ありがとう」って声を掛けて頂くことがあって。自分の子どもを見守れない保護者の方の役に立っているんだっていうのはすごいうれしいです。あとは自分がこうした方がいいんじゃないかって考えて行動して、それがチームの役に立った時は力になれたっていうのがわかるのでやりがいを感じます。
――マネージャー日記に掲載されている写真はどのように撮影しているんですか。
日野:マネージャー日記用の写真も最初は全然撮れなかったです。オフショットですら、最初のころは相手は先輩ばっかりなので言いにくかったです。
白井:自分がいつどの仕事をできるか予測が立てられるようになって撮影しやすくなったというか。例えばコーチがあそこにマーカーを置いたから次はこのメニューで、その練習をやる時自分はどんな風に動けばいいかっていうのが分かるようになれば自分が写真を撮る余裕があるのかないかも分かるので。
日野:周りも写真撮っている人がそれに集中できるようにその時は仕事を自分がやってあげたりとかします。
白井:朝練にマネージャーが3人いたとしたらカメラは一人が持って、あとの2人は普通に仕事をします。
日野:この日に誰がやるとかは決まっていなくて、全員が週に1回更新できたらいいねくらいの感じで。朝集まった時に「じゃあ今日は私がやるね」みたいな感じで決めて、そこから自然と仕事の割り振りも決まります。
白井:基本的に練習の時の仕事は雰囲気というか、自分で見つけるって感じなんですけれども。先輩の動きを見て何をするべきか読み取るというか。ただ下級生は仕事が分からなくて動けない部分もあるので、球出しの人数が足りないのに1,2年生が水分補給用のボトルにつきっきりとかいうときは指示を出すんじゃなくて3,4年生が動きます。練習中に下級生を呼んで注意するヒマもないですし、練習に支障をきたすのも違うので、後で言うか雰囲気で気が付いてねって感じです。
――同期のマネージャーとの思い出はありますか。
白井:2人で遊びに行ったりするので仲はいいんですけれども、大臣杯の時に2週間くらいずっと一緒にいて。試合終わったら洗濯してマネージャー日記更新して次の日の練習の準備してって仕事がいっぱいあってすごい大変なんですよ。そんな状況で2週間無事に終えられたのは相手が瑞佳だったからだなと思います。
日野:今年の大臣杯が多分4年間で1番濃くて。綾夏は本当にしっかりしているので頼りになるというか。大臣杯の時は主務も兼ねて仕事していて。
白井:西原さん(天童主務)が就活中だったので
日野:綾夏だから任されたんだろうなって思いますし、大臣杯の辛い時期を乗り切れたのも綾夏だからと思います。
――仕事をする上でマネージャー全員で大事にしていることはありますか。
白井:部員みたいに「三原則!」とか全員に共通することを決めてるわけではなく、各々でやってます。
日野:自分では全部を見ようとは心がけています。最初は一つに集中しちゃってたんですが、他のマネージャーはもっと視野が広いので、自分もそういう風にありたいと意識しています。
白井:選手は練習が大事って言うじゃないですか。それで試合中にマネージャーができることってほとんどないんですよ。それでせっかく大事な練習の場に一緒にいれてもらってるので、その練習を円滑に進めるための環境づくりをするようにしています。1年生の選手もやってくれるんですけれども、その子たちがそういう風に気を遣わず練習に集中できるくらいマネージャー側で全部やってあげられればいいなと思っています。
――それを意識したことで成長したところはありますか。
日野:さっきと同じ答えになっちゃうんですけれども、周りが見えなくなっちゃうタイプだったので、入った時よりは視野を広く持てるようになったと思います。
白井:相手がこっちを見て歩いてきたとき、次に何を要求されるのか予測をつけられるようになりました。水が欲しいのかテーピングを手伝ってほしいのかとか
日野:相手が何をしてほしいんだろうっていうのは考えるようになりました。
白井:スタッフが言っていることも理解できるようになりました。例えば3チームに分かれようって指示が出てたらチーム分けのためのビブスを用意しなきゃいけないじゃないですか。そういう予測をできるようになったとは思います。
――二人にとって、同期の選手はどういった存在ですか。
白井:1年から4年までを全部見届けられる唯一の学年じゃないですか。みんなの成長の過程をそばで見て感じられるのがうれしいです。
日野:友だちじゃないんですよね。
白井:友だちとはちょっと違いますね。
日野:4年間見ていて、普段の練習も見ている中でみんな本当にサッカーが好きなんだろうなって思います。サッカーに対しての姿勢はみんな尊敬できるところがあります。
――あえて選手たちに直してほしいところを挙げるとすればなんでしょうか。
白井:洗濯物の靴下を丸めたまま出すのはやめてほしい(笑)。親バカみたいになりつつあるので許しちゃうんですけれども
日野:あと好き嫌いがある人が多い(笑)。
白井:気になることがあれば直接言うのでそんなに気にならないです。
日野:自分の性格的にもあまり気にしないので、まぁいいかなって部分は多いです。
――初めてベンチに入ったのはいつごろですか。
白井:1年生の前期はひたすら練習中の仕事を覚えなきゃいけないので。それでIリーグのベンチで経験を積んで、1年の後期リーグで初めてベンチ入りします。
日野:初めては古河でした。2人とも。やっぱり普段とは雰囲気が違いすぎて、ただそのピリっとした中でも一つの目標に向いていて、緊張はしましたけれどチームのことがさらに好きになりました。当時は4年生ばかりでしたし。
白井:ベンチに入っていて、選手に用事がある時に私たちじゃなくてもう一人入っている、上級生のマネージャーの方に頼むんですよ。誰がやっても同じ仕事のはずなのに、自分がやっぱりまだ頼られてないんだなって感じました。それでどっちに頼んでも不安がないように努力しなきゃと思いました。
――ベンチに入って勝った試合は特別ですか。
日野:むしろベンチに入っていると仕事してて試合を見れないので、得点とかも後でビデオでってなるんですよ。だからそんなに試合の印象は残んないです。
白井:仕事して90分終わっちゃいます。もちろん勝ったベンチの方がうれしいですけれども。
日野:大臣杯とかはまた違いますけどね。やっぱり負けたら終わりってことでリーグ戦とはやることが違ってきますし。
白井:延長戦、PK戦ってなるとやることも変わるので。今年の大臣杯の流経戦ももう終わる準備してたんですよ。そしたら点決められちゃって。
日野:あれロスタイム終わってましたよね(笑)。
白井:トーナメントで勝った時ってやっぱり喜び方が全然違うんですよ。控室がちゃんとあるようなところでやるとベンチに入ってないと試合後のみんなの喜びの爆発をちゃんと見られないので、そういう時はうれしいですね
日野:トーナメントは全然違います。
白井:流経に勝った時は泣いたよね
日野:泣いた。
白井:2年前に悔しい負け方した相手だったっていうのもありましたし
日野:勝って決勝に行けばみんな八幡山から来てくれるので。「やっと会える」ってホッとした部分はありました。
――もうすぐ最後のインカレですが、マネージャーとして思うところはありますか。
日野:まだ残り1か月っていう実感はなくて。自分は応援することしかできないんですが、最後は優勝して終わってほしいなと。
白井:勝ったときのみんなは本当に純粋によろこぶんですよ。だからその姿で終わってほしいですし、普通は引退って負けてするものじゃないですか。それが最後まで負けずに勝って引退できる可能性があるチームなので、日本一のマネージャーになれるよう、限られた時間の中、自分でできることをやり切りたいです。
――ありがとうございました。
次回は差波優人(商4=青森山田)、藤本佳希(文4=済美)、三苫元太(政経4=アビスパ福岡U-18)のインタビューです。更新は明日12月5日です。お楽しみに!
[髙山舞]
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