近大に敗戦 2年連続でインカレ6位/全日本大学選手権

 集大成を勝利で飾ることはできなかった。インカレ最終戦となる5位決定戦は近大との対戦。序盤から相手のペースで試合が進み、前半を12点ビハインドで終える。第3クオーターでは積極的にプレスを仕掛け相手の攻撃を抑えるが、終盤まで継続できず。最終的に66―74で敗れ、昨年と同様の6位でインカレを終えた。

 スターターは會田圭佑(法3=市立柏)、吉川治耀(情コミ2=京北)、吉本健人(法4=藤枝明誠)、宮本滉希(政経2=明成)、今川友哲(営1=大阪桐蔭)。

 終始リードを奪われた。第1クオーターから2m4cmを誇るシェリフ・ソウ(近大)のポストプレーで得点を許し続ける。オフェンスでも相手の守備に阻まれ「うまくマークを外せなかった」(吉本)とタフショットになり安定感を欠いた。後半になっても点差が縮まらないまま第4クオーターを迎えるが、開始1分でソウが負傷退場。相手が得点源を失うチャンスの中で、残り4分に怒涛(どとう)の追い上げを見せる。齋藤拓実(営2=桐光学園)の2本連続3Pシュートや宮本のレイアップ、残り40秒になると秋葉真司(政経4=能代工)のこん身の3Pシュートで一時10点あった点差を5点に縮めた。しかし、結局試合を制したのは近大。最後はファールゲームを仕掛けるが逆転には至らなかった。

 粘りのディフェンスを見せた。第3クオーターではチームがシーズンを通して磨いてきた守備が光った。スティールでも相手の攻撃のリズムを崩せば、マンツーマンディフェンスで24秒を2度耐え抜き、失点を最小限に抑えた。「我慢できたのはチームの成長」(秋葉)。チーム最後の試合を勝利で終わることができなかったが、これまで追い求めてきた戦い方を発揮してみせた。

 力をつなぐ。2年連続で6位に終わり「悔しい」と選手は口をそろえた。4年生は正月に開催されるオールジャパンに出場する伊澤実孝(政経4=愛知産大工)と秋葉を除いた4人が今大会をもって引退する。今後は攻守共にチームを支えてきた伊澤、吉本の穴をどのように埋めるかが課題だ。「自分たちを超えてほしい」と税所啓主将(情コミ4=興南)。2度のHC交代という激動のシーズンの経験を糧に、新たな戦いに挑む。新チーム始動はすぐそこに迫っている。

[田中愛]

試合後のコメント
税所啓主将

「4年間はまとめて言ったら苦しかった。入学してから出れなくて、今年も少し出れたくらい。でも出てないのに主将になることもみんなが承認してくれたし、主将になって初めて気付けたこともある。バスケを通してバスケ以外のことで得られたものが多い。今年は環境がガラッと変わって、経験したことのないことばかりだった。4年が一致団結して、何回も何回もミーティングしてチームを一つにすることを目指した。今年はチーム全員でここまでこれた。誇っていいことだと思うし、自分の財産になる。本当は5位で終わりたかったけど、去年と同じ成績を残せたし恩返しになったと思う。全員で一緒になってやってくれた同期と、それについてきてくれた後輩、全員に感謝したい。(代を一言で言うと)団結。みんなが信頼し合ってやってきた。はずれって言われた代だったけど、形になった。上2つの代とは違う引っ張り方になったけど、何か感じてくれれば。今年は苦しい1年だったけど、来年環境が整えば絶対に優勝を狙える。自分たちを超えてほしいし、できなかったことも達成してほしい。そしたら今年の1年も意味があったと思う」

秋葉
「もっともっと自分の仕事ができたんじゃないかと思う。もっとチームを鼓舞するようなプレーをしなきゃいけなかった。昨日の印象が残っていてどこか満足してしまった部分があったのかもしれない。自分が残せるものはスタッツには残らない泥臭いところ。後半からは出すことができたが前半はしっかり出すことができなかった。高さでやられて、それに対応できなかった。それでも3ピリでディフェンスをやって、我慢できたのはチームの成長であり、武器になったと思う。やっぱり明治はディフェンスから。4ピリは4年の仕事だと思っていたがやり切ることができなかった。今川にも森山にもインサイドとしてきつく言うこともあったんですけど、その分今日あれだけ頑張ってくれたのは自分としてもうれしかった。ソウにやられたが、高さが全てではなく小さくてもやれるというところをもっと見せられたら良かった。ベンチスタートでもその人それぞれできることがあって、個人競技ではなくチーム競技なので、一人一人役割があって、それをこの2試合で見せられたと思う。自分もベンチスタートの人間で去年までずっと応援席で悔しさを感じていたので、そいつらの分も感じて責任を持ってやらなきゃいけなかった。なんとしても5位をつかみたかったというのはあるが、自分たちが引き継いだ明治のバスケットを引き継ぐことはできたと思う。このインカレではリーグの課題として残った継続性の部分で成長できた。あとは下級生がどうつないでいってくれるか。自分はオールジャパンもあるので残り1カ月個人として残せるものを残して、個人としてもレベルアップしていきたい」

伊澤
「自分としては最後の2試合は出てなくて、最後負けた瞬間を見て申し訳ないという気持ちもあったんですけど、それでも周りの4年生がチームを引っ張っていってくれていて、4年生の力が出た大会になったと思う。インサイドという部分が下級生になって、他のメンバーでどうカバーするかが重要な部分だったので自分も少しでも声をかけてやりやすいようにしてあげれば来年にもつながると思ったので、声はしっかり出していこうということは考えていた。青学に負けてしまったけど、最後の2試合もみんな頑張ってくれて、ベンチの中にいても気持ちも入ったし、チームとして戦えたんだと思う。それが本当に良かった」

黒崎海斗(営4=新潟商)
「去年と同じ6位だけど、去年とは違った6位。指揮官と自分たちとでぶつかり合ったからこそ現在があると思うし、4年生で話し合ってきて、今年の6位は重みが違う。自分たちの自己満かもしれないけど、そういうふうに捉えたい。うれしいと言ったらおかしいけど、素直にいい順位だと思う。(4年間は)考えさせられる4年間だった。大学に来て塚本ヘッドコーチのガード育てる教えを体験してきたし、今年はチームの中で一番それを経験してるから、ベンチから見ていてこうしたほうがいいというのは後輩に伝えなくちゃいけないこと。あとは3年間は毎回頭がパンクするくらい頭使った。去年のリーグ戦でスタートで使ってもらったときにバスケが楽しくなったというか、自分がもっと頑張らなくちゃいけないと思った。準優勝した代のときに自分はベンチにいなくて、外から見ていてあの舞台に立ちたいと思っていた。後輩には6位っていう結果をバネにいい方向に進んでほしいし、もっと上の舞台に立ってほしい。プロの舞台に立つ後輩の姿も見たい」

杉本真太郎(文4=光泉)
「小学校からバスケットをやってきて、バスケットもそうだし私生活も一番考えることが多かったのが大学のバスケだった。一つのプレーに対しても、細かいところから考えなければいけない。高校までは能力だけでも行き当たりばったりでもなんとかなるところもあるけど、大学は本当に一つ一つを計画立てて考えて考えてやらないといけなかったので、しんどいというか、特にガードは考えることが大変な4年間だったなと思う(笑) でも本当に同期にもいいメンバーに恵まれて、楽しくやってこられたと思う。今思えば充実した4年間だった。できれば最後、勝っていて、4年生全員で出ることができて、気持ちよく終わりたかったけど、やっぱりそんなうまくいかないですね(笑) 近畿も強かったので、後輩も良く頑張っていた。その分ベンチで自分ができることを啓(税所)とかと一緒に考えながらやってたので、悔いはない。自分のやるべきことをしっかりやれた。(卒業後は)仕事は土日は絶対休みで、2つ上の先輩からクラブチームに誘われているのでそこでやろうかなと思っている。後はミニバスのコーチにも誘われているので、それもちょっと考えてみようかなと。来年は良い選手がそろっているし、今年以上の成績は越えてもらわないと困る。(後輩には)最低でも優勝しろ、と伝えたい。どの学年にもいい選手はそろっていて、それぞれに個性があってそれぞれがいいものを持っている。それはトップだけでなくベースもそういう選手はいっぱいいる。そういう選手一人一人が自分の色を出していってほしい」

吉本
「自分としては最後だしもうちょいいいプレーをしたかったですけど、中々うまくシュートが決まらなかった。悔しいし後味悪い試合だった。チームとしては伊澤がいなくて、意識はしていたんですけどリバウンドが取れずリズムをつかめなかった。ソウは関東にはいないタイプで、ポストプレーから点を取ってくるので防ぎようがなかった。パスが回らなくて、どうしてもインサイドにボールを収めてというのがなかったので、相手が収縮しなかった。それがシュートが当たらなかった要因だと思う。それとみんなドライブ、ドライブってなってしまったので崩せないままシュートになってしまうことが多かった。自分もうまくマークを外せなくて無茶なシュートを打ってしまった。打とうという気持ちを持てたのは良かったけど決め切れなかった。完全燃焼は具合は30%くらい。入らなくなってきて焦りとか、どうしてもオフェンスのことばかりになってしまって、藤田にもやられたし4年間やってきたことがやれなかったのが悔しい。(インカレは)まずしっかりベスト8に入れたのは良かったし、チームとして勝ち切れる力がちょっとついたということだったと思う。でも次の青学に勝てなかったのは何かが足りなかった。(大学4年間は)まず最初の3年間はバスケしかしなかったですけど1つのことに打ち込めたという意味では大学生活もバスケ生活も充実した。最後の1年間は色々あったけど、そこで本当に多くのことを学んだのでためになった。本当に濃い4年間だった。後輩たちにはまずトーナメントでベスト4以上になることと、インカレでは優勝して欲しい。塚さん(塚本清彦前ヘッドコーチ)のディフェンスを知っているのも3年生以降は段々薄れていくのでもう一度ディフェンスで勝つというのを忘れないことと、オフェンスでは協力してチームプレーでどうやって楽に点を取ることが大事になってくると思う」

齋藤
「負けてしまったのは本当に悔しい。連日の疲労もあって入りから集中できていなくて、終始主導権を握られていたというのがあった。ディフェンスをもっと激しくやりたかった。相手のガードを考えても、本当はもっとボールを奪ったりできたと思うけどそれができなかった。やっぱりもう1つ大事なとこで自分のターンオーバーだったりディフェンスをしっかりやれていたらという思いはある。もったいなかった。残り1分のとこでの合わせは宮本が相手に足をつかまれて入ってくるタイミングが遅れたと言っていたが、ミスはやっぱりミスだからもっと連携の部分は練習していくしかない。相手のディフェンスがスイッチしてきてディナイも被り気味だったのでパッシングができていなかったので、もっとセンターのフラッシュとかを使いながらバックドアとかも1本途中で決められたけどもっとゲームの途中で決められたら良かった。チームとして掲げていたのは優勝でそれを達成できなかったのは悔しいし、ファイナル4に入れなくて順位決定戦に入った時は切り替えて去年の順位を上回ろうということで臨んだんですけどそれも達成できなかったので、やっぱり悔しい大会だった。個人としては精度だったり、5試合ある中でもし自分が40分出ても、それを5試合続けられるかといったらそれはできないし、現に今日できていなかった。もっと体力の部分でも考えながらプレーしたりすることも課題。あとはやっぱり安定感をもっと出せたらチームの試合運びももっと楽になるなというのを感じた」

宮本
「4年生最後の試合なので勝たせてあげたかった。もっと自分が成長しないといけない。リーグ戦不調で、切り替えてインカレのつもりで、積極的にいきたかったけど、10得点を超えた試合があまりなかった。もっと自分がやらないといけなかった。前半15、6点以上ソウに取られてしまったけど、3ピリはチームディフェンスがうまくいって、退場もあったけど得点を抑えられた。来年からは伊澤さんもいないし、3年目になるので責任感もある。ミスを今まで以上になくして、全部でベスト4以上に入りたい。オールジャパンはプロとやって得るものが多いと思う。一回くらい勝ちたい」