4年生の意地 国士大とのオーバータイム制し5位決定戦へ/全日本大学選手権

 前日、準々決勝で惜しくも青学大に敗れ5~8位決定戦に回った明大は、国士大と対戦。大黒柱の伊澤実孝(政経4=愛知産大工)を欠いた影響からか第1クオーターで8―17と立ち上がりでつまずく。しかし、第2クオーターでアジャストするとそこからはゲームを支配。試合はオーバータイムにまでもつれる熱戦となったが、最後は4年生が意地を見せ70―67で勝利。昨年と同じ5位決定戦へ駒を進めた。 

 スターターは會田圭佑(法3=市立柏)、吉川治耀(情コミ2=京北)、吉本健人(法4=藤枝明誠)、宮本滉希(政経2=明成)、今川友哲(営1=大阪桐蔭)。

 これがインカレだ。第2クオーター以降、常にリードして試合を進めてきたが最終クオーター終盤でついに国士大にリードを許してしまう。ここで魅せたのが秋葉真司(政経4=能代工)。残り2分40秒を切ったところで3Pシュートを決めリードを奪うと、同点に追い付かれた後の試合時間残り18秒、この日3本目となる3Pシュートをまたも沈め62―59とし、勝利を大きく手繰り寄せる。4年生ならではの勝負強さを見せた秋葉のプレーに、ベンチ・応援席の盛り上がりも最高潮に。それに応えるべく、リードを守り切りたいラストワンプレー。1度は相手エース原の3Pシュートを防ぐも、リバウンドを国士大に抑えられると残り1.9秒、4年生の意地で放った原の3Pシュートがネットを揺らし、62―62でまさかのオーバータイムへ。しかし、チームの集中力は途切れていなかった。開始30秒あまりで齋藤拓実(営2=桐光学園)からパスを受けた秋葉がシュートを沈めると、吉本がバンクショットで続き、差を広げる。最後はこの日大活躍の秋葉がドライブから得点を挙げ70―67で勝利。残り数秒になっても絶対にあきらめない姿勢、両チームの4年生がそれを体現した激戦は、わずかに明治が上回った。

 インカレは4年生の大会。毎年、どのチームの選手も口をそろえて言う言葉だ。この試合でも両チームの最多得点はともに4年生。特に、明治のチームハイとなる19得点を挙げた秋葉は4年間のベストパフォーマンスとも言えるプレーを見せた。「どのチームにも必要とされる選手もいいけど、そのチーム、一つのチームにとって絶対に必要とされる存在になりたい」(秋葉)。決して高いとは言えない身長で、果敢にゴール下へ飛び込み、決して大きいとは言えない体で、大きな相手にぶつかり合っていく。おとなしい選手が多いチームにあって、派手なガッツポーズや雄たけびを上げチームを鼓舞する。どのプレーをとっても秋葉の存在はチームに必要不可欠であることは間違いない。「秋葉さんが勝負所で決め切ってくれたのが、こっちとしては踏ん張れたところの一つ」(齋藤)。「最後は秋葉さんと吉本さん、4年生が頑張ってくれたので感謝しかない。4年生の気迫を感じて、すごい頼りになった」(吉川)。チームの核となりつつある2年生をしても、インカレの主役は4年生から奪えなかった。

 勝っても負けても残すは1試合。5位決定戦の相手は昨年もインカレで対戦した近大に決まった。シェリフ・ソウを中心にまとまりのあるチームだが、昨年は関東の意地を見せて見事勝利している。「自分としても最後になるので、悔いが残らないようにしっかりやり切りたい」(吉本)と正月のオールジャパンに出場しない4年生にとってはこれが最後の試合となる。「去年を超えたい」(秋葉)と4年生が言えば「4年生を気持ち良く、スカッと送り出したい」(今川)と頼もしい後輩もその思いに応える。今年最後となる聖地・代々木での戦い。何としても勝って終わりたい。

[松井嚴一郎]

試合後のコメント
秋葉

「(4ピリで)決めたところで終わりたかったけど、国士も入替戦から吹っ切れてきている相手なので簡単にはいかなかった。一人一人がやることを全うして、できないことを助け合うっていうのが明治。ディフェンスは一人じゃできないし、みんなで支え合ってできて良かった。伊澤が今年は本当にチームのためにやってくれてきていたので、抜けた分は自分が助けるというか、埋めなきゃいけないと思っていた。(チームハイの19得点)春から得点っていうのは課題にしてて、でも自分は裏方だから変に得点を取りにいくとかよりもやることがあると思ってた。でも今日は伊澤がいなくて、その分責任感じゃないですけど、やらないといけないと思ってた。その前にもちろんリバウンドやルーズボールは絶対に抑えないといけないので、そこは這いつくばってでもやろうと思ってた。その後に得点が付いてきた。実になったという意味ではうれしいこと。選手として、どのチームにも必要とされる選手もいいけど、そのチームにとって絶対必要とされる存在になりたい。試合前に會田に「秋葉さんの声が欲しい」と言われた。必要なことはできたと思う。試合としてはやることをしっかりやった結果、結果が付いてきた。明治のバスケをやれば勝てることが証明できたと思う。受け継いできたバスケがあるので、自分たちはそれを引き継がないといけない。それを後輩に感じ取ってもらえれば。今日は美里さん(満山美里前主務・平27国際卒)も見に来てて、去年は国士にインカレで負けてるのでそのリベンジもあったし、負けられなかった。去年を超えたいという思いもあったので良かった。(前日の敗戦からの切り替え)継続と切り替えが一番の課題で、一試合の中でも継続というのがなかなかできない。そういう意味で今日はベンチも応援席も含めて一つになれたし、それが明治の力だと思う」

吉本
「苦しかったけど何とか勝てたので良かった。まずは伊澤いないということで頑張らないといけないということはあったが、変に自分で頑張りすぎず、いない中でみんなで協力してやろうということで臨んだ。出だしはみんな慣れなくて攻めあぐねてしまったが、徐々にやりやすいようになって、それが前半だった。後半はリバウンドが効いてきて、そこで苦しんだ。もうちょい協力できた部分はあったけどそこは今はそのあたりは厳しい部分で修正するのが難しかった。(原とのマッチアップは)前半でファウルが込んでしまってそこを意識しすぎて最後甘いシュートを打たせてしまった。詰めが甘かったけど、相手の方がやっぱり上というのもある。2ピリはディフェンスからイージーバスケットみたいな展開をいくつかつくれたのと、外からのシュートが当たったのは大きかった。みんなが得点を取れたので30点に乗ったんだと思う。明日はまずは自分たちがやってきたことを忘れずにやることと、もう少し今日よりアグレッシブにやれるようにしたい。自分としても最後になるので、悔いが残らないようにしっかりやり切りたい」

齋藤
「オーバータイムになってしまったのは3ピリ4ピリで、自分も含めて個人的にも疲労もあって、最後まで集中しきれてなかったのが原因だと思った。後半しっかり強いチームにならないとまだまだ勝っていけないので、そこをもっとガードとしてもしっかりまとめられるようにならないといけない。(リーグ戦オーバータイムの時はいずれも敗戦したが)リーグ戦の時は記憶になくて特に意識はしてなかったが、オーバータイムになっても3ピリ4ピリでしっかり秋葉さんが勝負所で決め切ってくれたのが、こっちとしては踏ん張れたところの一つだと思う。最後の残り2秒で決められて同点になったが、4ピリ終わったときに、次の5分でしっかりやろうということをすぐ話し合えたので、それは良かった。(アシストは)もっと精度を高めないと。もっとミスを少なくできればいい。去年は今年と逆で、近畿に勝って国士舘に負けた。今年はしっかりリーグ戦は勝っていたけど、インカレでも借りは返せた。逆に近畿は、リベンジの気持ちでやってくると思うが、受け身にならないように、攻め気で行けばしっかり戦えると思う。何が何でも5位で終わりたい」

吉川
「今日は4年生のためにも頑張らなきゃいけない試合で、勝てたというのは良かった。伊澤さんがいなかったのでセンターのところが手薄になってしまうのでそこをしっかりカバーしようというのは試合前から話していた。出だしは中で攻められなくて難しい展開になってしまったが、負けているところでディフェンスで踏ん張れたのが良かった。原くん(国士大)はしょうがないにしても周りのところを抑えるというのが難しかった。最後は秋葉さんと吉本さん、4年生が頑張ってくれたので感謝しかない。4年生の気迫を感じて、すごい頼りになった。明日はリバウンドがカギになると思うので、弾いたボールを外のガード陣がルーズボールしっかり取って頑張りたい」

今川
「昨日ほど緊張はなかった。昨日は顔ひきつってたでとか言われたけど、出れたことは良かった。経験させてもらった。(スターターで出たことは)正直うれしい。今日は(スターターで)出ると聞いてたので覚悟はしてきた。無責任なプレーはできないと思っていた。(フリースローは)入ってよかった。高校の時からフリースローは好きで、よく練習していた。(中でやることは)現在も好きではないけど、試合に出たいのでやるしかない。今日は伊澤さんがいない中でもみんなが自分のケアをしてくれた。明日は勝って終わりたい。緊張ももっと少なくやりたい。4年生を気持ち良く、スカッと送り出したい」