鎌田は総合8位 ジャンプのミス響き順位落とす/全日本ジュニア選手権

 真価が問われる大会となった。SP(ショートプログラム)で2位に5点差の5位と、目標とする表彰台を狙える位置につけた鎌田英嗣(営1=獨協)。しかし、FS(フリースケーティング)ではジャンプにミスもあり、思うように点数が伸びず9位、総合でも8位と順位を落とした。ジュニアのレベルが上がっている中で、同世代の選手との差を感じる大会となった。

 フリー冒頭、三つのジャンプを完璧に決めた鎌田だったが、中盤のコンビネーションジャンプの最初のジャンプで転倒、コンビネーションにすることができなかった。その後もトリプルサルコーで手をつくなど安定感を欠いた。表現力だけで見ると演技構成点は全体の4位と強さをみせたものの、技術点は伸びず。先月優勝した東日本ジュニア選手権よりも約24点低い104.98点という点数に、鎌田も悔しさを隠し切れなかった。

 「毎年ベストな演技ができない課題の大会」と話す全日本ジュニア。昨年の6位に続き、今年も笑顔で終えることはできなかった。ショートでも点数が伸びず「少し弱気になってしまった」。フリーに向けて、群雄割拠のジュニアの舞台で戦う気持ちが足りなかったと自らを分析する。
 現在のジュニア世代はシニアに劣らないレベルの高さを見せる。今大会優勝を果たした山本(愛知みずほ大瑞穂高)、2位の友野(浪速高スケート部)はフリーで4回転ジャンプに成功。昨年の今大会で優勝、今季はシニアの舞台で飛躍した宇野(中京大中京高)ら同世代の選手の躍進は、鎌田にとって焦りよりも「励み」だと言う。差を感じる結果になったが、あくまでも前向きにとらえる。「今シーズン中にトリプルアクセルをプログラムに入れられるようになる」。演技後は涙をにじませたが、最後はしっかりとした口調で決意を語った。同世代の選手の躍進も自分への励みに。鎌田は自らのペースで、さらなる高みを目指していく。

[石渡遼]

試合後のコメント
鎌田

「ショートは最近まとめられるようになったと実感している。フリーはこういう大きな試合でいつも通りにできない。まだ足りない部分があるというか、余力でやっていたのを変えなきゃいけないのかなと思う。フリーに向けてはいつも通りやろうと臨んだが、緊張に勝てなかった。練習はしているから一回転んだだけで済んだが、ジャンプでよろけてしまうことやぎこちなくなってしまうこともあった。それは緊張したときの癖でもあるので、自分で考え直さないといけない。(どんな緊張か)表彰台を狙っていたというのもあるし、狙っていてもショートが終わった後に、絶対やってやるという意識が頭でできていなかった。目標が定まっていなかった。一番は目標とする地点がはっきりしていないこと。(今シーズンは世界ジュニアを目標にしていたが)ショート終わった時に、少し気になってしまった。点数にも影響されて弱気になってしまって、絶対行きたいというよりは行けたらいいな、になってしまった。目標が定まっていないせいで、強気になれなかった。(昨年との違い)あまり成長は感じていない。練習の取り組み方は去年より頭を使ってできるようになったが、客観的に見ると大きな試合で決められないというのは変わっていないし、ジャンプの種類も変わっていない。(同世代の活躍への意識)練習をいつも一緒にしているので自分ももっと飛べるようになりたい、飛べるようになったら近付けるとは思っている。見ていると敵わないとは思わない。将来の目標として目指していきたいなと思っている。(それは焦りか励みか)励み。自分も頑張ろうという気持ちになる。(今後)今シーズン中にトリプルアクセルをプログラムに入れられるようになるのと、4回転の練習もして来年には成長した姿を見せたい」