4年生特集(1)チームをまとめ上げるキャプテン 税所啓

 チームを鼓舞する主将だ。税所啓主将(情コミ4=興南)は、沖縄譲りの明るさと主将としての冷静な視点を持つ。「自分個人のことよりチームを第一にしてきた」と献身的に支える税所は最後の大舞台でもその姿を見せる。(この取材は11月18日に行ったものです)

――リーグ戦は5位という結果で終わりましたが
「結果から言えば、僕らとしてはよくやったと思います。学生の間でも、コーチの間でも色々あって開幕のときはどうなるかって感じだったけど、上位でも下位でもなく終われたので。そういう環境だったから、試合に出てる選手たちだけでなく他のやつもよく頑張りました。コーチと対立する場面も多かったけど、コーチに体力を持ってくんじゃなくてプレーするのは俺らだからって話しはしました。そこからチームが一つになったかな」

――主将という立場はいかがでしたか
「OBとか大人と話す機会が多くて大変でした。でもチームを引っ張っていく上だったら俺一人だけが頑張ったわけではなくて。4年生にそれぞれ人柄があって役割がある。今年は多分4年生全員きついけど、みんな仲良いので乗り越えてこれたと思います。去年の4年生が辞めるとき、塚さん(塚本清彦前ヘッドコーチ)が辞めるってなったとき、チームの雰囲気が悪くなったときとか事あるごとに話しました。4年生の共通意識は持っていないとチームを引っ張れない。僕と他の4年で言ってることが違ったら、後輩が4年どうなってんのって感じると思うので。最初は4年同士でも意見がぶつかることもあったけど、どんどん話をして、仲とか信頼が生まれてきました。今年は4年とは今までで一番ってくらい話しました。すごい面倒くさかったけど現在となっては良かったです」

――コーチと選手の間を取り持つ役割というのはありましたか
「そうですね。最初はそれを目指してたんですけど、そうじゃなくてコーチに任せるところは任せるっていう感じで、選手ミーティングの中でどこを直していこうというのを話しました。リーグ後半からはコーチに反発することはなくなりましたね」

――選手ミーティングは多かったですか
「前半はかなり多かったです。4年生でミーティングすることもかなりあって、4年で考えたことを3年、2年に伝えていきました。だから今年は選手同士のつながりが去年よりも深いし強いと思います」

――最上級生になって見えたものはありますか
「4年になったら分かることはすごくあります。去年は吉本(健人・法4=藤枝明誠)と伊澤(実孝・政経4=愛知産大工)以外はあんまり表に出ないし目立つこともなくて、チームへの意識より個人のことしか考えずにやってました。でも4年になって、主将という立場になったというのもあるけど、見えなくちゃいけないものが出てきました。バスケ以外のこともたくさん話したし、社会に出るためのいい経験になりました。これから生きていく上でプラスになることだと思います。まあ厄介でしたが(笑)」

――1年生の頃はいかがでしたか
「とりあえず大学バスケきついな、と。最初は大学では1年から出たい気持ちもあったけど、上にはすごい先輩がいてなかなか出れなくて。バスケ以外でやらかしまくってました。1年のときは高校とは全然違う大学バスケ難しさを感じました」

――興南のバスケ部はどんなチームでしたか
「ゆるいっすよ。沖縄の特徴かわからないけど、上下関係とかもあんまなくてやりやすかったです。これは明治と変わらないですね。ただ、ランガンと1対1っていう興南のバスケスタイルの中でやってたので、明治入学して塚さんの組織的でチームプレイのバスケにマッチングするのが難しかったです」

――明大に進学した理由は何だったんですか
「もともと高校でバスケ辞めて大学では遊ぼうと思ってました。でも明治から話が来て、めっちゃ説得されました。俺と入れ違いの先輩が明治入っていて、その人から話は聞いていたのできついのはわかってました。「お前明治来たら1週間で辞めるよ」とか言われましたね。その明治だったのでみんなから終わったなとか言われて(笑)。自分も絶対行かんしとか言ってたんですけど、最後は丸め込まれました」

――4年生になる前のご自身は
「2年も3年も試合出てなくて、このまま終わるんかなとか、3年の終わりには就活のことを気にしてました。キャプテンに任命されて就活できないじゃんって思ったりも。でもオールジャパンのときにスタメンで使うぞって言われて、結局ケガしてオールジャパンは出れなかったんですけど、その前は練習試合とかも出させてもらってて。そのときからバスケに意識が向くようになりました。バスケをまた頑張ろうと思ったのは3年の最後ですね」

――それまでモチベーションを保つことは難しかったと思いますが
「モチベーションを保ててないときはありました。去年のベースはリバティで練習してて、コーチも来ないしただの集まりみたいになってました。現在のベースのやつらも辛いと思う。それは仕方ないことだけど、こいつらも4年になったときとか、何かのきっかけで試合に使われたときにモチベーションを持ち直してほしいですね」

――後輩の活躍をどのように見ていますか
「自分が出たいっていう気持ちもあるけど、今年は自分個人のことよりチームを第一にしてきたので後輩の活躍はうれしいです。特にガードとかはきついと思うけど、下級生ながら考えを持ってやってくれてる。そのことはチームにとって大きいし、あいつらの来年にもつながります。試合経験は大事です。来年、再来年もスタッフ状況は最初のほうぎくしゃくすると思うので、そこで経験積んだやつらが引っ張っていかなきゃ。拓実(齋藤・営2=桐光学園)と治耀(吉川・情コミ2=京北)、圭佑(會田・法3=市立柏)は現在は好き勝手やってる部分はあるけど、それは逆に経験で、上になれば立場も違うしプレーも変わってくる。後輩にはどんどん経験してほしいです」

――引退後の予定はありますか
「沖縄に就職が決まったので、後はもうインカレ頑張って大学生活で遊んでなかった分遊ぼうと思います。他の部の引退したやつらと遊んだりするのとかも楽しみに現在頑張っています」

――インカレの目標を教えてください
「試合に出たときにはしっかり自分のプレーをして、思いっきりやることです。大学バスケは最後になるし、一緒にやってるメンバーも戦う相手とも、もう一生やることはないので一瞬一瞬を楽しみたい。チームとしては頑張ってリーグも5位で終れていいトーナメントに入れたので、ベスト4には絶対入りたい。4入ったら準決勝は東海なので、思いっきりぶつかっていきたいです。リーグのときは勝てるかもっていうくらい、本当にいい試合できていたので100%勝てない相手ではないです」

――ありがとうございました

◆税所啓 さいしょけい 情コミ4 興南高出 175cm・75kg 登録ポジションはPG(ポイントガード)。

[田中愛]