
一本に泣く 男子フルーレ個人は沖本がベスト16/全日本学生選手権
[男子フルーレ個人]
一本勝負の難しさがはっきりと現れた。「惜しかった」と長尾康司監督、沖本ともに口をそろえた3回戦。一進一退で進んだ試合はインターバル明けから相手がペースに乗り始め8―12と差をつけられる。それでも「集中力があった」(沖本)とそこから6連続ポイントで14―12とマッチポイントを奪う。しかし2連取で追い付かれ勝負は一本勝負へともつれた。緊迫感漂う中仕掛け合ったが、点数を奪い雄たけびをあげたのは対戦相手の小久保(法大)。3回戦敗退が決まり、沖本は天を仰いだのち膝に手をついてうなだれた。2回戦でも14―11の場面から追い付かれ一本勝負で勝ち切っていた沖本。「ほんの一瞬の間違いが負けになったり勝ちになったりする」(沖本)と難しい一本勝負でどちらも味わう大会となった。入りたかったベスト8まであと一本だっただけに、悔しい敗退となった。
3人が2回戦敗退といま一つ勝ち上がれなかった。道脇啓太(営2=熊本県立翔陽)は予選14位通過でシードを獲得。2回戦からの登場となったが12―15で敗れた。序盤に5連続失点するもののすぐに5連取で取り返したが、少しずつ広げられた点差を縮めることができずに2回戦敗退。昨年度の自身の成績であるベスト16を超えられなかった。池畑亮太朗(理工2=三重県私立海星)は1回戦を15―10で勝利したが、2回戦で力負け。最終スコアは8―15と連取は序盤にあったのみで相手のペースで試合を進められた。岸貴範(営1=埼玉栄)は1回戦で6―12からの劇的な逆転勝利を収めると、2回戦で今大会優勝の大石(法大)と対戦。序盤からリードを許す苦しい展開となり10―15で敗戦したものの王者を相手に最後まで食らい付いた。「よく健闘したけれどもう一超え」(長尾監督)と下級生3人のさらなる好成績に期待が懸かる。
リベンジマッチを制した。トーナメント1回戦で当たったのは、奇しくも昨年度のインカレ1回戦で対戦し8―15で敗れた相手。「ぼこぼこにされて悔しくて泣いてしまった」(山岡)と強く印象に残っていた相手に対し、昨年度の反省を生かして臨んだ。長いアタックを使わず、手よりも先に足を動かすことを意識。OBにも相手の特徴を伝えアドバイスをもらった。「考えて勝てた」(山岡)と1―2以降は連取を重ね15―4で圧勝し、実力で白星を勝ち取った。
満足のいく試合ができなかった。インカレを最後の大会と位置付けて臨んだ山岡は2回戦で岡部(日大)に3―15で敗戦。格上相手に完全にペースをにぎられた。「何をどうしたらいいか分からない」(山岡)ままに試合が進み、目標としていた楽しんでフェンシングをすることができなかった。「悔しいというより悲しかった」(山岡)となすすべなく最後の試合を終えた。結果によらずインカレで最後と決めていた山岡は、全日本選手権の出場権を獲得しても出場しない可能性の方が高い。残すはインカレでの女子フルーレ団体戦。「最後みんなで勝ちに行きたい」(山岡)と人数不足の中ずっと女子を引っ張り続けてきた山岡が、最後の戦いに臨む。
西塔奈々子(国際1=札幌光星)は予選プール敗退となった。入部してから2か月で出場したインカレの大舞台。予選では5試合で1勝を挙げ、2試合が4―5での敗戦と惜しい試合を見せた。「雰囲気に早く慣れてこの1年頑張ってほしい」(長尾監督)と来年度唯一のフルーレ人として成長が待たれる。
[谷澤優佳]
試合後のコメント
長尾監督
「惜しかった。沖本はあと一本でベスト8だった。男子フルーレは4人ともプールは順調に上がって、トーナメントでも池畑と岸は一つ勝って、道脇はシードで2回戦からだった。欲を言えばもう一つずつ勝ってほしかった。1部の中堅と当たって負けてしまったけれど差はあまり大きくないと思う。ただこれは1年間かけて埋めなければいけない。よく健闘したけれどもう一超え。女子フルーレは西塔も一つ勝ったから雰囲気に早く慣れてこの1年頑張ってほしい。山岡は予選上がってトーナメントも一つ勝ったから、本人としては不満かもしれないけれど頑張れたのではないかと。女子1人でよくここまで引っ張ってきてくれたと思う。(昨年と比較して)出てる選手のレベルが変わらないということで言えば道脇はもう一つだった。関カレでも当たったし勝ったり負けたりする相手なので、今回は勝てなかったということ。あのぐらいのレベルの選手にいつも接戦でも勝ち続けないと本物の力ではない。発展途上の段階だから今後に期待しようと思う。ベスト16の壁破って8までいって選手紹介受けるともっと見えてくるものがあるけれど、そこの壁がやはり非常に厚い。(沖本は2戦連続一本勝負となったが)彼らしいと言えば彼らしい。14本取った時に勝ちを焦ってしまって単発だったかなと思う。普段やっている技だから突拍子もない技ではないけれど、もう1秒か2秒落ち着かせてからいけばよかったかもしれない。最初の試合は追い込まれて踏ん張って勝ったけれど、2つ目は3連続で取られて向こうのチャレンジ精神にやられてしまったように思う。本当に惜しかった」
沖本
「惜しい試合だった。集中力があって、でも最後は少し勝負の場面で取れなかった。一本勝負は難しいのでほんの一瞬の間違いが負けになったり勝ちになったりするので、最初の一本勝負は正解だったし2回目のは間違いだった。8に入りたかった。悔しかった。一本勝負で迷ってしまった部分があったので、思い切りやるようにしたい」
山岡
「悔しい。最初から関カレの時より動けていると思った。プールの1戦目で3―5で負けてしまったけれどプレー自体は悪くなく足も動いていたし、このまま継続して2、3試合目いけるなと強気になれた。いつも試合の時緊張するけれど、今日はいつもより緊張せずに試合に臨めた。1回戦の相手が昨年のインカレの1回戦の相手でぼこぼこにされて悔しくて泣いてしまった。その時に先輩に『泣けるだけの試合をしたのか』と言われてしまって、してないなと思ったのがすごく印象に残っていた。それがあったので絶対に負けられないという気持ちと、それ以上に自分の実力で勝っていきたいと思った。どんな相手かというのもすごく印象に残っていたので1セット目思い出しながらやって、そしたら手よりも先に足を動かそうというのがあった。昨年は長いアタックを踏んで負けたのでそれは絶対にしないと決めて、やるなら相手が仕掛けてきた後の自分の攻撃になったら打とうと思っていたけれどきれいに決まった。短いアタックをしている分ロングの時に相手が下がり遅れているのがありがたかった。先輩とかのアドバイス通りにも動けて考えて勝てた試合。点差が開いて来たら自分の好きなタイミングで好きなことをできて、相手のことを見れていて試合展開として悪くなかったと思う。(2回戦を振り返って)言葉が出ないほど悲しかった。悔しいというより悲しかった。これが個人戦最後だった。練習試合した時にぼこぼこにされて苦手意識が強いままだったのが一番の敗因。何をどうしたらいいか分からないまま試合が進んでしまった。終わった時に終わってしまったと本当に思った。関カレの時に楽しみたいと言っていたのに最後の最後に楽しめてないなと気付いて、それが悲しくて悔しくて、本当につらかった1試合だと思う。相手のペースに乗せられてはいけないと分かっているのに乗せられている自分にも悲しかった。格上の相手とやる時は駆け引きをしっかりやって分かった時に打って、そうしたら抜けるので楽しかったりとかいくら負けてもそういう楽しさがあったのに、今回はそれもできずに実力不足だったと思う。いつかの時に自分の最後の試合はインカレと決めていたところがあったからこそ、この大会に懸けていた。そのつなぎである関カレでぼろ負けして悔しくて1週間ちょっとだけれど練習して、予選も悪くなかったと思ったけれど負けた瞬間はさみしい気持ちでいっぱいだった。結果がどうであろうとインカレで引退しようと思っていたので、今いろんな人に全日本出ないのと聞かれるので悩んでいるけれど多分出ないと思う。事実上全日本が最後かもしれないけれど学生の大会の最後はここなので、ここで勝ちたいという気持ちが強いなと思う。(一区切りついてみて)こないだ入学した感じがするのにもう卒業であっという間の4年間だった。まだ団体戦があるので気は抜けないし最後みんなで勝ちに行きたいと思う。フルーレ人2人とまたエペ人入ってもらうので感謝しつつ、奥村(美咲・理工3=北陸)や古俣(潮里・政経2=新潟)と一緒に1部上がったりとか3人でギリギリの中戦ってきたメンバーと組めるのも最後で、すごくさみしいけれどそこには個人とは違う感情がある。今回個人でできなかった楽しむことと勝つことを中心に考えて、最後チームを引っ張っていけたらと思う」
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