全学総合で団体個人ともに優勝を果たす/全日本学生大会

2015.11.05
 王者奪還への序章が始まった。全日本学生賞典障害飛越大会(以下、全学障害飛越)、全日本学生賞典馬場大会(以下、全学馬場)、全日本学生賞典総合大会(以下、全学総合)の三つの大会が5日間で開催される全日本学生大会。明大からは6人9頭の人馬が出場。最終日の全学総合で中村幸喜(農2=福岡第一)が三種目で一度もトップを譲ることなく優勝。冨永弥玖(商1=科学技術学園)、武道芙裕(農1=蕨)もそれぞれ5位、10位に入賞し、6年ぶりに全学総合で団体優勝をつかみ取った。三つの大会全ての得点で競う全日本学生大会では2位。悲願の優勝はかなわなかったが王者の座は手の届くところまで来た。

 総合馬術は調教審査の馬場、耐久審査のクロスカントリー、余力審査の障害飛越の三種目を2日間でこなす過酷な種目だ。明大のエースコンビ、中村と明鳳は初日の調教審査で首位に立つと、2日目のクロスカントリーは減点0。そのまま最終走者で障害飛越に進み、バーを2本以上落とすと個人の優勝も団体の優勝もなくなるというプレッシャーの中を減点0でクリア。個人、団体ともに優勝を決め、拳を大きく振り上げて喜びをかみしめた。
 信頼関係が勝利を手繰り寄せた。明鳳はこれまで明大の勝利に貢献してきた実力十分のエースホース。しかし今大会の2週間前まで体調を崩しており病み上がりでの出場だった。以前クロスカントリー後に明鳳が鼻血を出し失権してしまった経験を持つ中村は「勝ちたいという気持ちが焦りに変わって無理をさせてはいけない」と勝利を最優先させず明鳳を気遣った。そのかいあって明鳳は過酷な競技を堂々と乗り越えることができた。人馬のコンビネーションの良さがうかがえる試合となった。

 全学総合では6年ぶりの団体優勝を果たしたが全学障害飛越は団体6位、全学馬場は団体4位と表彰台に上ることはできなかった。そして三つの大会を合わせた成績は2位。またも日大の厚い壁に阻まれた。今大会は馬の体調を考えベストのメンバーで出場することができず不本意な結果となった。それでも「絶対に来年につながる」と早稲田和歌子主将(政経3=あずさ一)。嬉し涙も悔し涙も経験した大会となった。
 今大会は例年4年生の引退試合だ。しかし明大は早稲田主将を筆頭に3年生以下が中心のチーム。試合に出場している全員が3年生以下であり、来年は戦力ダウンの心配がない。新体制となる他大学に比べ有利だ。さらには「相当うまい」(佐藤五志監督)新入生の加入も予定しており、大幅な戦力アップが見込める。心配の種であった馬の状態も大幅に改善し「やっと、勝てる」(佐藤監督)と舞台が整いつつある。貴公子たちが王政復古の凱旋(がいせん)をする日も近い。