試合終了間際で差波弾さく裂! 専大に劇的勝利/関東大学1部リーグ戦 

2015.11.08
試合終了間際で差波弾さく裂! 専大に劇的勝利/関東大学1部リーグ戦 

 劇的勝利を収めた。雨が降りしきる中、リーグ戦4連覇中の王者専大と対峙。前半は守備から入ることを意識し過ぎたことで慎重になり、シュートはゼロ。後半は積極的なプレーが増え決定機を多く迎えるが、ゴールネットを揺らせない時間が続いていた。しかし後半42分、差波優人(商4=青森山田)の強烈なミドルシュートがゴール左を捉え、試合を決定づける。残り時間でもしっかり1点リードを死守し、試合終了。これにより勝ち点3を得て、リーグ最終節まで優勝争いに生き残った。

 決定的なゴールだった。試合終了間際、右サイドでボールを持った和泉竜司主将(政経4=市立船橋)が2列目から中央へ走り込んでいた差波にパス。相手DFのブロックを置き去りに右足でグランダー性のミドルシュートを放ち、ボールは矢のようにゴールに突き刺さった。攻撃の要として組み立てやセットプレーでの活躍が目立っていた差波にとって「一個幅が広がった」(差波)と新しい形でのゴールだった。
 後期リーグ序盤では入学当初からの課題である守備で機能することができず、試合に出られないこともあった差波。しかし第17節法大戦では終了間際に得点しており「ここ数試合ずっとテンポが良くなってきていた」(栗田大輔監督)と調子を上げていた。ゴールから遠ざかっていた男が勝利をもたらした。

 死闘を制し逆転優勝へつないだ。明大はリーグ優勝を、対する専大はインカレ出場権を懸けた一戦。「死闘となる」と栗田監督も案じ、案の定前半から苦しい戦いに。あいにくの雨でボールがスリッピーだった中、両チームとも下でボールをつなぎゴールに迫る一方で、最後のところで守り抜きスコアレスで折り返す。ハーフタイムを迎え栗田監督は「余力を残さずに走ろう」とギアを上げることを指示。これにより後半は運動量と攻撃にかける人数が増加。相手GKのファインセーブやポストに阻まれるも、フィニッシュまで持っていけるようになった。そして後半42分に差波の勝ち越し弾が生まれた。「最後に1点を決められたのは今年の強さ」(和泉)。ここ一番の強さを見せつけ、逆転優勝へ最高の勝利で終えた。

 泣いても笑っても次で終わる。第21節が終了し明大の勝ち点は40、首位を走る早大は41と勝ち点差はわずか1。最終節で明大が勝利し早大が引き分け以下、または明大が引き分けて早大が負ければ得失点差から逆転優勝となる。試合後多くの選手が口にしていた「プレッシャー」。土曜日の最終節慶大戦で勝利すれば、日曜日に試合がある早大にとって大きなプレッシャーとなる。また「最後勝っていい形でリーグ戦を終えたい」(藤本佳希・文4=済美)とたとえ優勝できなくても、勝ちで終えることが次につながってくる。昨年のリーグ戦や夏の総理大臣杯では目前でタイトルを逃した。しかし今の明大には最後に勝ち切る強さがある。今度こそ悲願のタイトルをつかみ取る。

[渡邊弘基]

日付 対戦相手 会場 キックオフ時間 スコア
◆第89回関東大学サッカーリーグ戦 後期日程◆
(スコアをクリックすると試合の記事にリンクします)
9・6(日) 駒大 ひたちなか 13:50 ○1-0
9・13(日) 早大 味フィ西 13:50 1-2○
9・19(土) 順大 たつのこ 11:30 ○2-0
9・26(土) 桐蔭横浜大 フクアリ 11:30 〇4-0
10・3(土) 神大 千葉東総 11:30 △0-0
10・10(土) 法大 国士大G 13:50 〇4-1
10・17(土) 国士大 江戸陸 13:50 〇2-1
10・25(日) 流経大 古河 11:30 〇1-0
10・31(土) 中大 味フィ西 11:30 ○2-1
10 11・8(日) 専大 味スタ西 11:30 〇1-0
11 11・14(土) 慶大 川越 13:50
※11月8日時点

順位 チーム名 勝点 総得点 総失点 得失点差
◆順位表◆
【第21節終了時点】
早大 41 25 18
明大 40 35 22 13
慶大 37 38 22 16
国士大 33 45 28 17
流経大 33 27 21
法大 30 28 28
順大 28 29 31 -2
専大 25 26 23
桐蔭横浜大 25 32 45 ―13
10 駒大 23 24 37 -13
11 神大 19 16 27 -11
12 中大 14 28 51 -23

試合後のコメント
栗田監督

「(ゲームを振り返って)早稲田がまた勝ったことでうちが負ければ早稲田の優勝が決まっていた。だからうちは勝つしかなかったので、勝てて良かった。(終了間際の差波のシュートは)後半かなりギアを上げ、ゴールに向かって走って行くというのをハーフタイムに指示をして送り出した。そういった意味では差波のシュートは執念のゴールだと思う。差波自身もここ数試合ずっとテンポが良くなってきていたので、あういう形で得点が生まれてよかった。(雨による障害は)やるべきことは雨だからといってやることを変える指示は出していなくて、とにかくゴールに対して縦につけてつながっていくことと追い越していくことの確認をもう一度して試合に挑んだ。(後半チャンスが多くある中で得点がなかなか生まれなかったのを監督としてどう見ていたか)決まって欲しいなと。(前半は硬さがあったようだが)多分勝たなければならないという事実を受け止めている中で、選手が守備から入ろうと立ち上がりから言っていたので、それで逆に慎重になりすぎてしまった。奪ってからの攻撃の切り替えだったり、前へボールを運んだ時のつながりがやや遅かった。余力を残してハーフタイムに来たので、あと45分は余力を残さずに走ろうと指示しました。(焦りはありましたか)もちろん選手に焦りはあったと思うし、決定機も惜しいところで外していたので、決まって欲しいと思っていたのだと思う。(差波のゴールシーンでのあそこでシュートを選んだ選択は)結果がついてきたので、良い選択だったと思う。(交代選手については)丹羽での交代は得点を奪いにいくということ。得点も奪えたし時間のことも考えて逆に丹羽じゃなくて相手の出どころを潰すという意味で牛ノ濱に変えた。(臨機応変に選手を使えるようになったのは1年通してチーム力の向上が)どの選手が出てもチームのためにその役割を果たせるので、素晴らしいチームだと思う。(最終節はどういった位置付けで試合に臨むか)勝ってタイトルを取りにいきたいと思っているので、まずは土曜日に勝って早稲田にプレッシャーをかけていきたい。慶大とは間違いなく死闘になるが、優勝の可能性があるのが明治か早稲田なので、どんな相手だろうが勝つだけ」

和泉
「勝たないと優勝の可能性が限りなくなくなってしまう中で勝てたので、来週も勝って早稲田の試合を待つだけだと思う。とりあえず去年、同じような状況で引き分けてしまったので、今年は勝てるようにやってきたので、0-0で最後に1点を決められたのは今年の強さかと思う。前半は今までやってきたことが出せていなくて、前に対するサポートや運動量が少なくて、そこの部分が後半は良くなった。そうやっていかに自分たちがやってきたことを出せるかが大事な部分。早稲田の結果はわかっていたけど、早稲田がどうとかではなく、自分たちが勝ち続けるしかない。そこまで早稲田のことは意識していなかった。まずは目の前の試合に勝つためにどうしないといけないのか意識を持っていた。得点が取れない時間帯が続いたけど、自分と佳希がCBと1対1で、どっちかに入ればチャンスになるとはわかっていたので、DFが頑張って守ってくれたものを拾ってキープして前に上がるのを待つ、そこだけは意識していた。あとは最後の精度で、まだまだこの試合も低かったので、シュートもその前のパスや動き出しも課題。逆にそこが良くなればもっと得点を取れる。ピッチコンディションも悪かったけど、技術が足りなかったのかと思う。次は最後のリーグ戦なので、単純に勝って終わりたいし、僕たちは勝つしかない。勝って早稲田がどうなるかなので、とにかく勝って終わりたい。やっぱり先に勝つと、早稲田は引き分けもだめなので、プレッシャーを与えたい。なるようになると思う。リーグ戦としては最後なので、自分たちが今まで積み上げたものを出して得点という部分にこだわりたい」

差波
「(ゴールシーンは)雨でスリッピーだったので、シュートが伸びるのは分かっていた。僕の中であれがファーストシュートだったので、思い切り打ってやろうと思って打ったらうまいこと雨に乗って入ったことがチームを勝たせることができたし良かった。低めのシュートは意識していたが、あそこまで良いコースに行くとは思っていなかった。流し込むことができたのは僕自身の自信にもなったし、何よりも優勝戦線に生き残ることがうれしい。(コースは)一瞬だったが打とうと思った瞬間に空いたので、入るか入んないかは別として速いボールで思い切り打ってみたら入ったので、一番僕がびっくりしていた。ああいう形というのは僕がリーグ戦に出ていた中でもあまりなかったので、4年のこの残り2節というところで出せたのは自分自身も驚きがある。アシストだったり、FKで点は取っていたがミドルレンジからのシュートというのはなかった。ここで一個幅が広がったというか、もともと得意ではあったが自分の特徴を再確認することができた。(次の試合に向けては)いつも通りの練習の流れで質を求めてやることができれば良い準備ができると思う。別に変えることはなくて、1週間良い準備をすることが大事。できれば優勝はしたいが、もう他力なので。勝って少しでもプレッシャーを与えることができれば。(ゴールは)一回左足で持って、諒がいたので最後までパスを出すか迷ったが、一瞬コースが見えたので感覚で打ったら入ったという感じ。何秒かの世界で僕が判断した結果点が入ったというのはすごくうれしいし、あそこまで僕がフリーだったのは和泉だったり藤本、道渕だったり瀬川だったりというのがペナの中にどんどん入っていってくれたからだと思う。FWにも感謝しなければいけないし、僕だけのゴールではないということはすごく思う」

髙橋諒(文4=国見)
「前半から専修に支配されているような試合で、チャンスはあったんですけれども決めきれてなかったので苦しい試合になった。(リーグ復帰戦で)昨日の時点で栗田さんから『点が入っていない状態だったらいくぞ』と言われていたので試合に出る自分のイメージはできていたし、自分が出たからには勝ってやろうと思った。今日の試合は負けたら優勝の可能性が消える、引き分けでも優勝がもっと厳しくなるっていう状態だったので、自分の持ち味である攻撃参加っていうのを出そうっていうのを意識していた。(実際にプレーしてみて)先週の集中応援日のあたりからゲーム形式の練習にも参加してそこからまだゲーム数をこなしていないっていうのもあって久しぶりのリーグ戦だったので思ったより攻撃参加もまだまだ少ないですし、課題の残る試合だったんですけれども、最後の方は試合に慣れがでてきたというか、ある程度自分の思ったようにプレーできるようになった。勝って早稲田にプレッシャー与えたいっていうのはもちろんあるんですけれども、自分たちが勝たないことには何も起こらないので。慶應に勝つことだけ考えています」

藤本
「前半は正直良くなくて、ただそこで粘り強く失点せずにいけたのが良かった。前に走る部分で相手の脅威になれていなかった。最初の何分かはピッチコンディションをつかむのにも時間が掛かったし、でも後半は内容をがらっと変えられて、リスクを冒しても前に前に、ペナルティエリアの中に入ることができた。その分、多くのチャンスができた。その部分を変えられたのはハーフタイムに監督に言われたのも大きかった。勝ちたいという気持ちは持っているけれど、プレーに表せていなかった。少し慎重に入っていきすぎたのかなと思う。後半は大胆に人数を掛けられた。その中でリスク管理もできた。個人的には決められるチャンスがあって、キーパーとの1対1も外してしまった。最後に優人が決めてくれて、すごくうれしかった。勝ったけど次につながったというだけで、次も勝って祈るしかない。優勝の可能性を残せたので、自分はゴールを決めることに集中したい。最後のリーグ戦と考えると寂しいけど、ただその1試合で優勝の可能性が残っているのは幸せなこと。このチャンスを逃したくはないので、最後勝っていい形でリーグ戦を終えたい」

山越康平(法4=矢板中央)
試合の前から死闘になるっていうのは監督からも言われていて、今までずっと専修大学にタイトルを奪われてきたっていうのがあって、去年は残り2節のところで順天と引き分けて結局優勝を逃していたので、今年の残り2節、専修相手ってことで絶対に勝とうと思っていた。専修はパス回しがすごくうまいチームだったのでまず1対1で負けないこと、下手にカバーに行っちゃうとそこをうまくついてくるのでそこを意識してこの1週間しっかりトレーニングをしてきました。試合中は前がかりになって中盤が薄くなってカウンターを受けるっていうところがあった。ただうまくゼロに抑えられたのはいいことだと思う。前半は覇気がないプレーを終始してしまって、攻撃も守備もどちらもあまり前に前にって行けなかったのは課題。得点がなかなか決まらなくて後ろのほうにいても焦りっていうのは少しずつありはしたんですが、ただワンチャンスっていうのは絶対に来ると思っていたので後ろはゼロに抑えようっていう話をしていた。そういう中で差波が決めてくれたのはすごく精神的にも楽になった。自分たちが勝たないことには希望はないので、慶大戦はしっかり勝って早稲田にプレッシャーを与えたい。

服部一輝(法3=札幌大谷)
立ち上がりは正直、優勝が懸かっていることもあって硬さがあったんですけれども、後半の45分間はいい守備からいい攻撃っていうのを徹底できたっていうのが今日の勝因だと思います。とった後に雑な部分があって、そこを全員で修正しようという話はしていた。守備から慎重に入るっていうのは間違ってないと思うんですが、そのとった後の雑さとかサポートの付き方っていうのが足りなかった。前につかなきゃいけないのにそれを怖がって横について攻撃が一歩遅れるという場面が多かった。この一週間、専修がボールを回してくるっていうのはわかっていたのでその対処などをずっと練習してきた。今年に入ってから今まで20試合くらいトップの試合に出てきて、自分のプレーに自信がついているし周りへの信頼があるので、失点へのネガティブな感情はない。自分にとって初めてのリーグの優勝争いに対するプレッシャーはあるんですけれども、それを楽しまなきゃ自分が委縮しちゃうので。早稲田どうこうというよりもまずは慶應なので、1週間しっかりトレーニングをしてまず慶應をしっかり叩けるようにしたいです」