強豪・天理大にSO戦の末勝利! 27年ぶりの決勝進出を決める/全日本学生選手権

2015.11.03
 27年ぶりの決勝進出を決めた。インカレ準決勝、全日本大学王座の覇者・天理大にSO(シュートアウト)戦を経て勝利。前半21分一気に攻め込まれ先制点を許してしまう。その後も苦しい時間は続いた。しかし後半に入ると、谷光未有(法2=天理)がPC(ペナルティーコーナー)を決め1-1と同点に追い付く。そして、サドンデスまでもつれたSO戦では川村敬亮(政経2=今市)が2本決めると、國友督仁(政経3=丹生)が2人目以降、5人連続でゴールを割らせず2-1で激戦を制した。次戦は決勝・山梨学大戦に挑む。

 明大の守護神が飛躍した。試開始直後から白熱した攻防を見せ、天理大に押される展開が続いた。だが危ない場面も明大の守護神・國友が冷静に対処し死守。前半の35分間だけでFG(フィールドゴール)13本、PC4本を1点に押さえ込むなど、明大のピンチを幾度となく救った。さらに「SOには自信を持っているし、國友が必ず止めてくれると信じていた」(小池文彦コーチ)と、チームの國友への信頼は厚かった。SO一人目はゴールを許してしまう。しかしそれ以降はゴールを揺らさせることなく守り抜いた。最後は後攻となった天理大の放ったシュートを「狙って止めた」(國友)と、戦略通り相手を誘って飛び込みセーブ。明大が劇的な勝利を収めた。
 一方シューターは、明大の一人目、川村が相手GKの股下を抜き先制。だがその後は谷光、松山隼也(政経1=丹生)、岩井宏将(営4=岐阜総合学園)そして大嶋雄飛主将(文4=今市)とゴールを外し1-1となり、サドンデスに持ち込まれた。サドンデス一人目は川村。再び股下を狙うも相手GKに防がれる。だがボールは再び川村の下へ転がり押し込んで勝ち越した。「SOは緊張した」(川村)と照れ笑いを浮かべるも、國友、川村両選手の好セーブ・好プレーで勝利を決定づけ、明大の強みであるSO戦でその力を見せつけた。

 明大の底力を見せた。前半で0-1とリードを許し迎えた後半7分、サークルインした植村彰斗(商2=伊吹)が相手のペナルティを誘い今試合初のPCを獲得。これを谷光が冷静に決め1-1に持ち越した。この得点を皮切りに一気に明治ペースに持ち込む。敵陣エリアでのプレーが増え、積極的な攻めを見せるように。「まだまだやれるというムードで後半に入れた」(川村)ことが幸いした。そして後半23分、自陣サークル内での激しい攻防に今試合一番の苦しい状況を迎えるも、チームプレーで何とか乗り切った。試合終盤、相手が大量かつ頻繁に選手交代を行い、フレッシュなメンバー相手に苦戦するもゴールは許さず。「1点に抑えられたのはディフェンスとキーパーのおかげ」(岩井)。激しい攻防が続く中1-1のまま後半終了し、得意のSO戦に持ち込んだ。

 「会場の誰も僕らが勝つとは思っていなかったと思う」(岩井)。今大会の優勝候補筆頭を撃破し、大金星を挙げた。第3試合では山梨学大が立命大を破り、準決勝で〝2強〝が敗退する波乱が起こった今回のインカレ。「関東の実力が上がってきている証拠」(小池コーチ)。関東リーグ春秋王者対決となる今回のインカレ決勝。山梨学大とは今年1勝1敗と五分五分の戦いを演じている。それだけに1982年以来となる決勝における関東対決は、どれだけ勝利への思いが強いかがこの試合を決めるカギとなってくる。「みんなで笑って東京に帰りたい」(大嶋雄主将)。28年ぶりとなるインカレ優勝に向け、チーム全員で勝利をつかみにいく。

[石塚真維]

試合後のコメント
宮田知監督

「天理との相性が合って、前半の立ち上がりは落ちていたがGKもよく当たっていたしディフェンスもよく守ってくれたので、前半を0-1で折り返せたのは大きかった。後半段々明治の持ち味が出てきて、PCも谷光がきっちり決めてくれて、もう1点取れればよかったけど残り5分くらいからSOになってもいいと思った。せっかくここまできたので、久々の関東同士の決勝戦でも山学といい試合をしたいと思う。前半はシュートは打たれているがそんなに角度のある所には打たれてないから、そこは國友が止めていたしPCにもよく反応してくれていたので、よかったと思う。天理は強いチームだから追い付かれると絶対焦るだろうなと思ったので、彼らが焦るということは縦を打つのでそれを読んで取り返すという展開ができた。イメージ通りの動きができた。後半1点も与えなかったのは大きい。SOは最後は川村が外して向こうが入れるともう終わりなので、そこをよくやってくれたと思う。せっかくもらったチャンスなので、28年ぶりの優勝に向けて必死になってしぶとく、仲間を信じて優勝したい。春に対戦した時に初戦2-1で勝ったが、秋になって山梨学院は調子を上げてきているのでそう簡単な相手ではないが、最後は勝って終わりたい」

小池コーチ
「予定通りの展開で押し込まれたがそれを何とかしのいで相手のスピードに慣れるまでは我慢した。点を与えても諦めなかったことがその後PCで同点に追い付いてSO戦の結果につながったと思う。SOには自信を持っているし、國友が必ず止めてくれると信じていた。前半の國友は非常に当たっていたのでよく頑張ってくれた。昨日までは点を取られていたがここに来てようやく自分のプレーを見せてくれたと思う。彼の良いところは反射神経なのでそれがしっかり出ていたと思う。川村も必ず決めてくれると思っていたし、非常に落ち着いていた。GKに当てながらも諦めずにもう一回行くということが彼の良いところ。本当にすごいプレーヤーだと思う。精神的にも成長してくれたので頼りにしている。だけど川村はまだ少し迷っているところはある。2列目に入ったときにもっと自分からドリブルで仕掛けていいと言っているが、味方へのパスのことを考えているからプレーが遅くなっている。川村には自分のペースでやってほしい。だけどここ最近は徐々に良くなっている。山梨とは王座のリベンジをしないといけないし、やり方も分かっている。関東王者同士の楽しみだし、良かった。関東の実力が上がってきている証拠だと思う。ここまできたら優勝しかない。選手も疲れはあると思うが決勝となると違うパワーがでてくると思う。全員で力を合わせれば絶対勝てると思うので、70分間集中して何があっても諦めないでやってもらいたい。選手たちも優勝したいと思っていると思うので、しっかり優勝して八幡山に帰りたい」

大嶋主将
「天理は強い相手なので勝ったことがすごいうれしいし、決勝行くのも27年ぶりで優勝という一つの歴史をつくるチャンスを得たのでまた明日勝ちたいという思いが強い。前半1点で我慢できて自分たちがやれる手応えはつかんでいて、後半いけるなと思っていた。攻めるのがうまい相手なので、サークル内でうまく抑えていればこっちにチャンスはあると思っていたし、こっちも攻め自体はいい攻めができていた。一対一で勝負したら前抜けられるし練習でやってきたことを出せばつなげられた。SOはずっと練習していて、國友はナイスキーパーなのでそこは自信を持っていたし、自分たちは失うものはなにもなかった。相手は山学で秋とられたリベンジもありますし、全国優勝の機会はそうないのでここで歴史を作って支えてくれる全ての人たちのために、自分たちのために絶対勝ってみんなで笑って東京に帰りたい。死に物狂いで、あとは気持ちだけなので」

岩井
「気持ちいい、会場の誰も僕らが勝つとは思っていなかったと思うので、それを打ち崩せたのは良かった。(天理大は)今年は優勝候補の筆頭だったので僕らも内心ビビるところもあったんですけど、後輩の力がでかかったなと今回感じた。簡単に攻められないし防戦一本になる時間帯もあるとも思っていて、その時は粘り強く全員で守ろうという話はしてたので1点に抑え切れたのは良かった。後半で未有(谷光)のフリックが決まって1ー1になってからは少し流れも良くなって中盤でポジションチェンジをしたり少し工夫した。残り10分、15分くらいになってからはみんな意識としてSOが頭に入っていたと思うので未有(谷光)のスクープに逃げたり同点で終えようとした。天理の攻撃陣はどこからでもシュート打って枠に入れてくる選手なので1点に抑えられたのはディフェンスとキーパーのおかげ。(SO戦は)2年の時の王座で天理とやったときに外してしまったのでできれば決めたかったが最近練習でも入ってなかったので後輩に助けられた。明日は山学で関東同士の決勝戦というのがある意味悲願だったり、やってみたいなという思いがあったのでインカレでそれができるのは単純にうれしい。山学とはなんだかんだ春リーグでは勝ったり王座で負けたりで結構いい勝負をしてるのでインカレで勝って気持ち良く終わりたい」

福田大輔(理工4=横田)
「今日の試合相手が格上ということで、誰も勝つと予想していなかったと思うが、必死になって全員でいって勝てたのでよかったと思う。向こうは勢いのある攻撃とオフェンス力も日本トップレベルですごい厳しい戦いになるとは話していて、それに対して積極的に前に出てディフェンスしようというのを離していたので、結果が出て最小限に抑えられたと思う。谷光がPCをしっかり決めてくれて、明治が得意とするプレーで点が取れたので勢いに乗ることができたと思う。ほとんどの時間帯が攻められていて苦しい場面が多かったが、それでも1失点で抑えられたのは本当に全員が一丸となって頑張れたからだと思うので1-1というのは評価できる結果だと思う。GKがお互いにジュニアの代表だったので、難しいSOになるとは思った。決勝進出に関しては4年間の最後ようやくこの舞台に立てたという気持ち。あとは必死になってやるだけだと思う。相手が山梨学院ということで、春は勝っているが向こうもかなり力をつけてきていて、大学の中でもトップのチームだと思うので、勝ってはいるがチャレンジャーの気持ちで頑張りたいと思う。この先全日本はあるが、インカレは大学の中のトップの試合で本当に大学生の最後の試合になるので、今まで大学に入ってからやってきた4年間の集大成として気持ちも出して頑張りたいと思う」

國友
「本当に苦しい試合だった。前半はPC取られたりしてずっと攻められていて守りの時間ばかりだった。後半は安定してDFは落ち着いていたと思う。インカレのここまで2試合ずっと調子が悪くてずっとチームに迷惑かけていた。前田(隆明・営1=丹生)がキーパーと思うくらい止めてくれていたのでここで活躍しないと4年生に申し訳ないと思っていた。最後どうしても胴上げしてあげたいので死ぬ気でやりました。相手が天理だったのでSOになることが予想外だった。相手がミスしてくれたのは助かったが最後は相手にリバース行くように誘って飛び込んで止めたのは狙っていた。決勝までは遠かった。ずっと古豪と言われていて、自分が明治に入って最初は何もできなかった。でも去年ベスト4で今年もずっとコツコツ積み重ねた結果が遂に出たと思う。僕たちはチャレンジャーなのでどんどん前に出て関東対決を制して優勝をつかみ取りたい」

川村
「大学王座優勝している天理が相手だったので会場のみんなは明治が勝つとは誰も思っていなかったと思う。試合前はみんな勝つことにこだわっていたからこそこういう結果につながったと思う。失点した後に少し焦ったという課題はまだあるが、今日は天理に勝って会場中を驚かせたということが良かった。前半0-1で折り返したがハーフタイムではみんな気持ちを切り替えて焦ってなかった。まだまだやれるというムードで後半に入れたことが追い付くことができた要因だと思う。昨年のインカレは1回戦から自分のプレーがひどくてチームに迷惑かけていたので、それに比べて今回は初戦から調子が悪いわけでもなく自分のプレーはできているし、徐々に調子は上がっている。秋リーグの最終戦で監督とコーチにもっと積極的にやれって言われてから積極的に行っていることでどんどんプレーが良くなってきている。SOは緊張した。今回のインカレに向けたSOの練習から股下を決めることを練習して1本目に決まったことは狙い通りでもあったし決まって驚きもあった。2本目も狙ったが相手のGKがうまくて防がれたので慌ててターリングしてそれがぶつかって良いところに転がってきてくれたので落ち着いて決めることができた。他の選手には良くやったと褒められた。春は明治が関東王者になって秋は山梨学院が関東王者になった。このインカレの決勝という大舞台本当の関東のNo.1を決める最高舞台だと思う。山梨学院は全体的に走るチームだし個々の能力も全員高いのでそれに負けずにチーム全体で勝つという目標に向かって試合に挑めたらいい。負ける試合ではない。ここまできたら28年ぶりの優勝しか考えてないので負けることは考えていない。決勝は明治が勝ちます」