西野が東日本3連覇 明大から5人が全日本出場を決める/東日本選手権

 明大勢から5人の選手が全日本への出場が決まった。女子は今季限りで競技から離れる西野友毬(政経4=武蔵野)が大会3連覇を達成。シニア男子は野添絋介(商4=東福岡)、梶田健登(政経1=明大中野)、佐上凌(商1=武蔵野)の3人が勝ち取った。ジュニア男子も鎌田英嗣(営1=獨協)が2位を大きく突き放して優勝し、今月22日から行われる全日本ジュニア選手権の出場が決まった。

シニア女子
 西野が東日本3連覇を達成しラストシーズンも全日本の切符をつかんだ。SP(ショートプログラム)1位で迎えたフリーの演技。冒頭のトリプルルッツでバランスを崩し着氷時に手を付くミス。ダブルトーループを入れられずコンビネーションジャンプ成功とはならなかった。2回目のルッツジャンプも着氷時詰まったがその後は「まあまあまとめられた」(西野)と修正力の高さを見せつけた。
 最後まで笑顔の演技を見せた西野。しかしそこに至るまでには大きなプレッシャーと戦わなければいけなかった。それは全日本選手権出場枠の縮減と最後の年だからこその強い思い。「これで終わりたくない」(西野)という気持ちが実ってくれた。
 西野の演技が見られるのもあとわずかだ。「毎回自分はあと何回演技するのか数えている」と全日本選手権、インカレとラストシーズンも残すところあと2試合。「最後の全日本なので自分の今できることをノーミスでできるようにしていきたい」。最後までスケートの楽しさを忘れない。

ジュニア男子
 ショートで63.36点と2位と1.5点差で首位に立った鎌田は「今季まだ一度も完璧にできていない」フリーの演技に臨んだ。冒頭のダブルアクセルを余裕持って着氷すると、課題としていた中盤のジャンプも「集中できていた」とミスを最低限にとどめ、トリプルルッツ―トリプルトーループのコンビネーションジャンプもきれいに決めてみせた。しかし、この日技術点以上に伸びを見せたのが演技構成点。フリーではただ一人、全5項目で6点台をたたき出した。もともと「演技しようとする心」に自信を持つ鎌田だが、レベルの高いジュニアグランプリを経験し、さらに磨きをかけたところを示した。演技が終わった瞬間にはガッツポーズも飛び出し、まさに会心の演技。フリー128.25点、合計191.61点で2位以下を大きく引き離す圧勝だった。
 今月22日から行われる全日本ジュニアに向けては「世界ジュニアに出て大丈夫かと心配されるような演技はしたくない。ぜひ推薦したいと思われるような演技がしたい」。今回得た自信を胸に、さらなる高みを目指す。

シニア男子
 シニア男子では野添が4位、佐上が5位、梶田が7位で全日本選手権出場権を獲得した。明大勢トップの野添はショートで2位に付けたが、フリー冒頭のトリプルアクセルが2回転に。「一瞬頭が真っ白になってしまった」と朝の公式練習、6分間練習では全て成功していただけに痛恨のミスとなった。それでもその後の演技をまとめ、ブロック大会1戦目の東京選手権からシーズンベストを0.52点更新し166・92点。4年連続の全日本選手権出場を決めた。「今シーズンしっかりと持ってこられているのは間違いなく1年生の存在が大きい」と野添。ジュニア男子で優勝した鎌田も含め1年生3人の実力は他の部員にも影響を与えている。全日本の舞台でも互いに刺激し合いランク入りを狙う。

[吉田周平・石渡遼・橋本杏菜]

試合後のコメント
最後の年も全日本出場が決定した西野

「(全日本を決めたことについて)4枠だったのですごく来るまで不安だった。何か失敗をやらかしたら通らなかったのでそれがものすごい不安だったが無事通過することができて今はほっとしている。(リンクから降りる時に監督と笑顔で)すごく苦しかったのとフリーはルッツを両方ともうまくきれいに入らなかったのですごく悔しかったのとでもまあまあまとめられたのでまあまあだったねという感じで話していた。今までの東日本選手権の違いはとにかく今年は試合を笑顔で楽しく滑るというのを心掛けてやっているところが違うのと後は調子が一応安定しているのでその部分で今年はいいなという風に思っている。緊張は毎年変わらない。今年だからっていうのはなく毎回同じように緊張している。四つの枠しかないのでプレッシャー、自分で掛けているプレッシャーだが全日本取りたい気持ちとやっぱり最後だから来年はなくてこれで終わりたくないというプレッシャーからちょっと調子悪くなってしまうと落ち込んだりとかしたりする。けれども楽しくはやっている。最後の全日本なので自分の今できることをノーミスでできるようにしていきたい。毎回自分はあと何回演技するのか毎回数えている。逆にあと何回緊張するのかって思ったりあと何回しかない複雑な気持ち」

22位の藏佐衣子(営3=広尾学園)
「緊張は少しあったがそれよりも自分の中で練習でできてるけど試合でできないと決めつけてしまう面があって、不安にならなくていいようなことで勝手に不安になってしまった。練習量も自分の力を出せている人に比べたら全然足りないというのもあるし、自信も本番になるとなくなってしまう。技術的にはみんなと変わらないくらいなので、精神面が弱すぎる。とにかく練習するしかないと思った。(インカレは)友毬ちゃん(西野)が最後の年なので今まで表彰台乗ってきているので、今の自分だったら自分のせいで表彰台を逃すことが目に見えてるので友毬ちゃんのためにも表彰台に乗りたい」

10年近く全日本に出続けている野添
「得意なトリプルアクセルは朝の公式練習、6分間練習で1回も失敗せずにきていたので心配はなかったが、最終滑走で6分間練習から間が空いてしまって感覚がなかなかつかめないところがあって大きなパンクをしてしまった。一瞬頭が真っ白になってしまったがそこから最低限のことはできたのでそれなりに良かったと思う。(アクセルは)3回転回らないといけないところを2回で開いてしまった。(跳ぶ前に不安は)SPで点数を出していたのでそこまで追い詰められてはいなかったが最終グループだったので前半の試合を見ていて全日本に行きたいという意気込みが伝わる素晴らしい演技をしていたので、失敗するとまずいなと思ってプレッシャーはあったが自分のできることはできた。前が後輩の佐上だったのですごくいい演技をしたみたいで自分も負けてられないと思って後輩からお尻を突かれるような気分で刺激になってここまで持ってこられたので就活の間練習できてなかったが、その割に今シーズンしっかりと持ってこられているのは間違いなく1年生にお尻をたたかれている影響が大きいのでありがたいと思う。(東インカレノーミスの自信は)終わってからの練習でもノーミスを何回かできたのでノーミスするイメージはあった。表彰台は逃してしまったが、ノービスBから全日本には10年近く全日本には毎年出られているので最後出れることにほっとしている。(鎌田のジュニア優勝は)大変素晴らしいと思った。インカレでも法政、関大、明治とどこが1位になってもおかしくない絶妙な立ち位置にいるのでみんなで高め合ってインカレで団体優勝できたらスケート人生に悔いなしなので頑張っていきたい。(鎌田の魅力は)ジャンプもそうだが演技力、安定感もあるので素晴らしいと思う。(全日本は)最後の全日本で失うものは何もないのでしっかり攻めて気持ちよく悔いの残らないように滑りたい」

ステップで持ち味を出した森望(営2=岩倉)
「最初から攻めきれなかったのが最後まで続いてしまった。後半のジャンプはほとんどミスってしまって、途中で気持ちが崩れてしまったのが分かっていて、立て直そうとは思っていた。そこが課題。体力面もあるが気持ちが8割。ショートよりは緊張もなく、体もいい感じで動いていた。最初三つのジャンプはいい入りでそれを維持できれば良かったが、後半になってもったいないミスをしてしまった。最初のジャンプを決めてほっとせずに次のことを考えるのが必要なのかなと。息が上がってくるところでどれだけ冷静にいられるかが大事だと思う。(ステップでは観客を魅了)自分でも9割満足している。もっと深く踏めるようにならなければいけないが、自分の持ち味は出せた。(東日本)ショートはとにかく緊張して、会場とか周りにのまれていた。そこから乗り切れなかった。(シニア)手応えはある。ジャンプを安定させてつなげられるようになれば、というところ。もう一度全日本に向けて来年頑張りたい」

モルダウの曲のリズムにあった演技を披露した梶田
「自分が今できることを丁寧にやり切ることができたと思う。ただジャンプを跳びすぎてしまってその分点数が0点になっておっちょこちょいというかもったいないミスはあったが、点数うんぬんではなくて自分本来のスケートができたので感触としては90点くらいはあげたい。(東インカレよりは修正できたと思うが)終わってからは上がり調子でプラスのサイクルがうまく作れてきて、2週間でプログラムも形になった。(シニアとして初の東日本選手権は)今までで有意義な試合になった。1年悩み続けたのがここで晴れたという感じだった。充実した気持ちで終えられた。(全日本選手権は)1カ月半くらいだが同世代の世界ジュニアの候補としては山本草太選手、同期は鎌田英嗣選手、宮田大地選手、中村優選手。そこら辺の人たちと戦って打ち勝つためには今やってることはもちろん、失敗をしないようにジャンプを決めることはもちろんだが、今回SPもFSもスピンのレベルの取りこぼしが結構あったので細かいところをしっかり取ればジャンプ1、2個分くらいの点数は上がるのでしっかり練習に新しく組み込んでいきたい」

世界でも活躍が期待される鎌田
「フリーでいい演技を今シーズンしていなかったので、完璧ではないが、全日本ジュニアの前に一度いい演技ができて良かった。優勝を確信できたので、ガッツポーズになった。得点もあんな点数出るとは思っていなかった。出ちゃっていいのかなという戸惑いもありながら、でもトリプルアクセルも降りたら200点も見えてくると分かった。(中盤のジャンプ)今日は疲れも出ずに滑っていた。集中もできていた。力も抜けて跳べていた。ノーミスでプレッシャーも少しあり、後半に少し崩れたがそれもまたやって全日本に向けていきたい。(6分間では中断も)もう一度できると前向きに捉えられた。時間がなくてもう始まっちゃうという感じだったので、まだできるというポジティブな気持ちでいけたのが良かった。(フリーでの完璧な演技)本番に向けてのピーキングがうまくできた。調子の善しあしに流されずに本番にうまくピークを持っていけるようになった。そこが成長。アップを入念にやって、一つ一つジャンプを確認して焦らずにやっていくこと。今は駄目だなとか、このまま試合に出たら自分はできるかとか考えてやっている。(コーチから)落ち着いて、最初ジャンプの調子が良くなかったので、そこだけ言われた。(両親)いつも見に来てくれるので、会うと安心する。いい演技した後は感想とか心境とか一番伝えたいと最近なってきた。だんだんこの年になって両親への感謝とかそういうものがでてきた。(今大会の意気込み)優勝しないと、と思っていた。その通り自信にもなったが、完全な自信ではないのでここから積み重ねていかないと。(全日本ジュニア)目標はもちろんジャンプはノーミスしていい演技がしたい。世界ジュニアに出て大丈夫かと心配されるような演技はしたくない。ぜひ推薦したいと思われるような演技がしたい。(課題)演技の序盤に体が硬くなるのでうまく最初からいい状態に持っていくのと、上がらないように最後まで気持ちを保つことを崩さずにやっていく」

悲願の全日本選手権出場を決めた佐上
「今年の2月から新しい拠点でやってきて本当に全日本に出場するためにその結果だけを考えてずっと練習してきたのでそれが実現できて本当にうれしい。一番最初の頃はぎりぎりのライン、自分がノーミスでいい演技をしてぎりぎりだったのでもう今日のフリーはみんなノーミスとかしていたので気持ちだけは負けないようにやってきた。不安はあったが自分がいい演技をしないと絶対にいけないものだと思っていたのでどんな立ち位置にいたとしても自分のやるべきことをやるだけだと思ってリンクに出た。全日本に出るために拠点を移したのもあり自分の選択が間違っていなかった。まだ大勢の人がいるところでやったことがないので分からないが緊張とか雰囲気にのまれることもあると思うので自分の練習してきたことを変わらずやるだけだと思う」