
優勝に王手かける 慶応を1トライに抑え快勝/関東大学対抗戦
見せつけた地力の差
入りの10分、2つのトライでスキルの差を証明した。PGで先制された後の前半7分、「試合前から狙っていた」と松橋が敵陣内でギアを上げキックチャージ。こぼれたボールを自ら抑え込み試合をひっくり返した。直後のキックオフボールも左CTB梶村祐介(政経2=報徳学園)が好キープ。オフロードで右WTB成田秀平(営3=秋田工)、左FL桶谷宗汰(営3=常翔学園)とつなぎ、再びボールを受けた梶村がノーホイッスルトライを挙げた。個人の力、組織の力ともに試合を通して紫紺が上手(うわて)だった。
BK陣の連携も際立った。前半21分、敵陣内へラインブレイクしたFB田村煕(営4=国学院栃木)のオフロードパスを、走り込んだ左WTB紀伊皓太(文4=日川)がインゴールへ持ち込む。後半18分にもSO堀米航平(商2=流経大柏)の飛ばしパスを大外で受けた紀伊がトライ。終了間際にはラックから展開したボールを、ここでも堀米が大外への素早い飛ばしパスで途中出場の林祥太郎(文3=常翔啓光学園)のトライへとつなげた。理想のトライを展開し42―10と大差をつけて勝利を収めた。
チームは快勝も、空中戦は物足りない結果に。「セットプレーがよくなかった」とFWリーダー・LO東和樹(政経4=京都成章)。この日奪われた唯一のトライは前半27分のラインアウトモールから。対抗戦はここまで失トライを2つに抑えているが、どちらも同じ形で押し込まれている。「青学大戦もモールからの失点だったので修正していきたい」(右LO小林航・法4=明大中野八王子)と明確になった穴をふさぐ。
フィジカルファイトでは理想のプレーを展開した。ブレイクダウンで「うまくボールを供給できた」(松橋)と試合を通して攻撃の起点に。ディフェンス時にも接点から圧をかけ、慶応に思うようなアタックをさせなかった。今季重点的に取り組んできたプレーで伝統校を圧倒できたのは、大きな収穫だ。
王者・帝京への距離
危なげなく勝利を挙げたが、対王者にはまだ物足りない。「今日は精度が悪かった部分もあるがしっかり修正して、王者・帝京を食いたい」とHO中村駿太主将(商4=桐蔭学園)。先制されたPGの場面のような不用意なペナルティーをなくし、セットプレー時の動きなど一つ一つのプレーの質を上げる。2週間後、3年越しの対抗戦制覇の懸かる大一番に万全を期して臨みたい。
[小田切健太郎]
1.PR | 植木 悠治(政経4=常翔学園)→17.齊藤剣(後半37分) | 9.SH | 浜野 達也(文3=西凌商)→21.三股(後半23分) | 16 | 佐藤 公彦(法3=明大中野)←2.中村(後半37分) | |
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2.HO | 中村 駿太(商4=桐蔭学園)→16.佐藤公(後半37分) | 10.SO | 堀米 航平(商2=流経大柏) | 17 | 齊藤 剣(政経1=能代工)←1.植木(後半37分) | |
3.PR | 祝原 涼介(情コミ1=桐蔭学園)→18.田代(後半37分) | 11.WTB | 紀伊 皓太(文4=日川) →23.林(後半23分) | 18 | 田代 頌介(政経1=秋田工)←3.祝原(後半37分) | |
4.LO | 東 和樹(政経4=京都成章) | 12.CTB | 梶村 祐介(政経2=報徳学園) | 19 | 古川 満(商2=桐蔭学園) | |
5.LO | 小林 航(法4=明大中野八王子) | 13.CTB | 松浦 康一(政経4=佐賀工)→22.尾又(後半10分) | 20 | 田中 健太(営4=大阪桐蔭)←8.松橋(後半23分) | |
6.FL | 田中 真一(法3=国学院久我山) | 14.WTB | 成田 秀平(営3=秋田工) | 21 | 三股 久典(政経2=佐賀工)←9.浜野(後半23分) | |
7.FL | 桶谷 宗汰(営3=常翔学園) | 15.FB | 田村 煕(営4=国学院栃木) | 22 | 尾又 寛汰(商3=国学院栃木)←13.松浦(後半10分) | |
8.No.8 | 松橋 周平(政経4=市立船橋)→20.田中健(後半23分) | 23 | 林 祥太郎(文3=常翔啓光学園)←11.紀伊(後半23分) |
<試合後のコメント>
HO中村駿太主将(商4=桐蔭学園)
「今日はBKがスコアしてくれた、取り切ってくれた。勝ったことは良かった。ただ、まだまだ修正しないといけないことが多い。セットピースの精度はもっと高いものを求めたい。ブレイクダウンはうちがどの相手にも上回れる自信を持ってやっているところで、今日は精度が悪かった部分もあるがしっかり修正して、王者・帝京を食いたいと思う」
左PR植木悠治(政経4=常翔学園)
「セットプレーの機会を多くして、そこでFWが前に出て流れをつくっていこうと話していたが、敵陣に入った時にセットプレーの精度が悪かった。今日はBKに助けられた。個人的には、スクラムが押せる場面もあったが自分たち的には合わなかった。モールも、取り切ろうという話をしていたがスローの精度だとかリフトの精度が悪くてモールを押すところまでつながらなかった。もう一度、タイミングとか細かいところをしっかり修正していきたい。ワントライされたが、抑えられるトライでもあったのでディフェンス精度をもっと上げて、次の帝京はアタック力があるのでしっかりディフェンスで前に出られるようにしたい」
右PR祝原涼介(情コミ1=桐蔭学園)
「(ブレイクダウンについて)接点では明治が勝ってたけど、質が良くなかった。そこでペナルティを取られたり、良いボールをはやく出せなかった部分でテンポを作れなかったと思う。個人的にはもう少しスクラムで圧倒できるようにしたい。残りワンプレーだからスクラムにこだわったが、バラバラになってしまった。まとまってゆっくり押していかないとだめだと思う。今日はダブルタックルをフォーカスしてやって、できたところもあったけどゲインされてしまうこともあった。良いところも悪いところもあった。緊張は全くしなかった。小さなミスが失点につながると思うから、精度にこだわっていきたい」
左LO東和樹(政経4=京都成章)
「勝てたのはよかったが、FWの内容は全然良くなかった。スクラム、ラインアウト、モール、FWのセットプレーが全然よくなかった。ラインアウトだとサインミス、スクラムだとばらけてしまったこととそれぞれ課題がある。また2週間でしっかり修正したい。ブレイクダウンはまずまずだった。全体的にFWの質がよくなかったので、ペナルティーも多かった。前半の入りがよかったのに後半できていないところは、セットプレーとペナルティーがだめだったこと。帝京戦に向けてチームの士気も上がってきているので修正していきたい。自分個人のやることは変わらないので、今以上にブレイクダウンとディフェンスで仕事ができるようにがんばりたい」
右LO小林航(法4=明大中野八王子)
「一本目のラインアウトモールではちゃんとエアコンテストしてから、取れなかった時にリアクション良く相手のモールにプレッシャーをかけられた。(取られてしまったラインアウトモールでは)集中力が切れていてタイミングが遅くなって相手に突っ込まれた。青学大戦もモールからの失点だったので修正していきたい。今日のレフェリーは細かいところもしっかり見てくれる人だったので、そういう細かいプレーでも取られないように意識していければよかった」
左FL田中真一(法3=国学院久我山)
「小村ヘッドコーチも言っていたが、今日の収穫は買ったことだけ。内容としては自分自身も全然良くなくて、勝ったことだけだった。次に向けてはいい準備をしたい。前半はBKがよくてトライは取れたが、FWはセットプレーを重点的にやっていたがそこであまりプレッシャーをかけることができなかった。ブレイクダウンは明治が優位にたてたが。チームでペナルティーが多くて自分自身も何本かしてしまったので、反省点。帝京大に向けてはペナルティーをなくすこと、自分たちの強みであるセットプレーに磨きをかけていきたい」
No.8松橋周平(政経4=市立船橋)
「今日は後半にみんな抜けるようになってきてしまって、そこで軽いプレーになっていってしまった。ミスが多くなってしまった。そういうことを帝京大には絶対にしてはいけないので、常に集中していきたい。ブレイクダウンは試合前から意識していこうと話していたので、BKにうまくボールを供給できた。モールはFWでいくからには集中してやらなければならない、その辺の意識が緩かった。(チャージは)試合前から意識していて、常にチェックしていた。モーションが遅いプレーヤーだったので蹴る時にギアチェンジしてすぐにプレッシャーをかけようと。前半はオフロードなりの連携がうまくいっていたと思うが、もうちょっとしっかり貰い方とか渡し方とか一個一個考えて大切にいくべきかなと思う。(帝京大に向けては)個々のミスをなくすこと、FWのゴール前でどれだけスクラム、モール集中できるか。そこを前に出て取り切りたい。棒は常にチームにエネルギーを与えるブレーをやって、エイトでもあるので束ねる部分でも盛り上げていきたい。集中するところ、一気に気合いを入れるところを自分でしっかりFWをまとめられるようにしたい」
SO堀米航平(商2=流経大柏)
「勝てて良かったけど、個人的にはSOとして良くなかった。帝京大戦までに修正したい。ファンダメンタルスキルの意識が足りなかった。もっと意識したい。ディフェンスはできたところもあったけど、1、2本良いタックルが入れなかったからディフェンスを抜かれないように改善したい。アタックはまあまあ良かった。自分は良いアタックが1本入れたのはよかったと思う。FWがミスをしたときにBKで取るというのが大切だと思うので、FWとBKで助け合っていきたい。今まで通りが一番だけど、もっと集中して帝京大を意識した練習をして、万全の状態で挑みたい。今日のようなゲームではまだ帝京大に勝てない。簡単なミスをなくして気持ちを高めていきたい」
左WTB紀伊皓太(文4=日川)
「慶応と早稲田は特別にしなければいけない相手で、たくさんのお客さんも来てくれていつも以上の応援をしてくれて、程良い緊張がみんなにあったと外から見て思った。自分は一番外で観客の方の声がよく聞こえる。どの位置にいても明治を応援してくれている声が聞こえて、期待されてるということを感じた。今日の試合は前半の入りと後半の入りを意識しようというのは先週からの課題でそう話していたが、不用意なペナルティーで流れに乗れなかったところは反省点。個人としてはトライを取るというところで結果を残すことができたので、そこは評価できると思う。でも後半にディフェンスで気を引かせられなかった。細かいプレーだけどしっかり修正して次につなげたい。煕と梶村がFBとCTBに入るときはあの2人が動きたいように動けるよう自分はフォローするということを練習から意識してやっているので、それが今回出せたかなと思う。(帝京大戦に向けて)ペナルティーのところと接点の部分で帝京大にゲインされてやられたいようにやられてしまっていると思うので、BKは無駄なことをせずにシンプルに前に出るプレーをして、ディフェンスでも前でしっかりプレッシャーをかけてやりたいようにやらせない。その2つに限る。シンプルに攻めて真っ向勝負に負けないように頑張りたい。ここまで全勝で来られた。次の帝京大戦が自分たちの中でも今シーズンで一番フォーカスしている試合なので、ここで結果を残せないとこれまでの練習の反省も残ると思う。ここで自分たちの全部を出せるように頑張っていきたい」
右CTB松浦康一(政経4=佐賀工)
「ディフェンスでゴール前も我慢できていたと思う。慶応だからと特に意識することもなく、自分たちのラグビーを、帝京大戦につなげられるようなラグビーをしただけ。個人としてはあんまりボールを持つ機会はなかったが、ディフェンスはSOの航平(堀米)とCTBの梶村と3人でコミュニケーションを取りながら守ることができた。今日出た課題はセットプレーなので、帝京大戦もそこを修正すれば互角に戦えると思う。ディフェンスは今まで通りやるだけ。次も勝つだけ。思いっきり帝京大と真っ向勝負です」
右WTB成田秀平(営3=秋田工)
「勝てたことは非常に良かった。ただ内容があまりしっくりきていない。まずペナルティーが多い。それが失点につながっているのでペナルティーを少なくするのと小さなミス減らす。BKは良かったので、FWのスクラム、ラインアウトといったセットプレーが少し安定しなかった。モールも取られてしまったし、こっちも取れなかった。個人としてはトライを取っていない。まだまだ(スペースが)空いている時があるのに、自分のところにボールを運べていないという責任は自分にある。もっと自分から声を出して、積極的にボールを取りにいかなければいけない。(トライまで結びついたプレーは)裏に抜けた時に周りから声もあったが、勝負したいという気持ちがあって一対一で勝負して、結果捕まってしまったが、その後がつながったので非常にいいトライだったと思う。(帝京大戦は)ディフェンス。FWが力強いチームなので、今日みたいな感じだとボールも出てこなくなってしまうと思う。今日の修正をFWにしてもらって、BKはFWが出してくれたボールを大事につないでトライを取りたい」
「いい時間もあって、悪い時間もある。悪い時間のときに耐えられた部分もあったし、淡白な部分もあった。もっと取れた、もっとできたと思います。内容は上がってきている。BKはFWと違っていろんなシチュエーションがあるので、練習でやったことを全部出るわけではないですけど、一人一人が前を見て判断できるようになってきたのは収穫だと思います。自陣から攻めるときのパスミスや、コミュニケーションミスもあってチャンスをつくれなかった。いいところもありますけど、できなかったとこを修正できる力が大事かなと。帝京さんとは夏合宿で試合をしていないので春以来となるんですけど、強いのは分かってます 。今まで積み重ねてきたことを崩さないように、チームとしてやりたいことをぶらさないでやっていきたい。駿太も言ってるんですけど、自分たちの帰る場所を見失わないように、自分たちのラグビーができればいいと思います」
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