中大を2-1で下す 優勝争いは佳境へ/関東大学1部リーグ戦

2015.10.31
中大を2-1で下す 優勝争いは佳境へ/関東大学1部リーグ戦

 絶対に負けられない戦いを制した。敗れれば2部降格となる中大との激戦は2-1で明大に軍配。前半21分、瀬川祐輔(政経4=日大二)の左足のミドルシュートで先制すると、後半立ち上がり1分に和泉竜司主将(政経4=市立船橋)が追加点を挙げる。捨て身の猛攻に出た中大に1失点を喫するが、最後まで同点は許さず。接戦をものにした明大は貴重な勝ち点3を積み上げ、今節引き分けに終わった首位早大に勝ち点1差まで肉迫。加えて5位以上が確定し、インカレの出場権も獲得した。

 苦しいゲームを勝ち切るのが今の明大だ。1点差に迫られても焦らない。勝ちが続く後期は「選手自身が自信を持ち始めている」(栗田大輔監督)。山越康平(法4=矢板中央)、小出悠太(政経3=市立船橋)の2CBを中心とした守備は最後まで集中力を切らすことはなかった。結果が付いてこなかった前期は失点後の立て直しがうまくいかずに、ズルズルと失点を重ねるシーンも目立った。「良い守備から良い攻撃へ」を基礎とする明大のサッカーにおいて、土台となる守備の安定が好調を支えている。
 逆転優勝へスキは見せない。2-0でリードした後半33分、降格回避のため勝つしかない中大の総攻撃を抑え切ることができずに失点。試合時間残り約10分。「絶対に失点をしてはいけない時間帯だった」(室屋成・政経3=青森山田)。それまで多くの決定機があっただけに3、4点目と追加点を奪えなかったことも課題。「ペナルティーエリアの中という部分ではこだわりを強く持ってもっとやっていかないといけない」と和泉。インカレを見据え、リーグ戦残りの2試合でも「ゴール前」にこだわり抜いた質の高いサッカーを貫きたい。
 
 振り抜いた左足で流れを引き寄せた。明大が中盤を支配し始めた0-0の前半21分、右サイドでボールキープした藤本佳希(文4=済美)からパスを受けた瀬川が思い切って狙った。「左足のシュートには自信がある」。放たれたグラウンダーのシュートは右ポストに当たってゴールネットを揺らした。攻守における積極的、献身的なプレーで後期の明大を支える瀬川のゴールで完全にペースをつかんだ。
 チーム攻撃の成熟を示した。この日は和泉、藤本のツートップが前線で幾度となくタメをつくる。「僕らが絶対キープできるというのがあれば、思い切って上がって連動したプレーができてくる」(藤本)。中盤を省略した縦パスをFWが収め、瀬川、土居柊太(政経2=浜松開誠館)ら2列目の選手に前向きでボールを持たせる理想的な形での攻めが中大を苦しめ続けた。栗田監督も「ツートップが今非常に切れているのでチームの原動力になっている」と満足げ。シーズンを通してここまで取り組んできた厚みのある攻撃が結果として表れ始めた。

 第20節を終え早大が勝ち点38で首位。優勝は勝ち点37の明大と慶大、勝ち点33の国士大を含めた4チームに絞られた。最終節慶大との上位直接対決の前に、次節はリーグ戦4連覇中の専大との一戦。近年優勝争いを繰り広げてきたライバルは5連覇の可能性こそ消滅したが「死闘となる」と栗田監督。早大が勝ち点を落とすことに加え、明大の勝利は絶対条件となるが「積み重ねを表現していく」(藤本)。1年間磨き上げた勝ち切る強さで勝ち点3をつかみ、最終節へ弾みをつけたい。

[鈴木拓也]

日付 対戦相手 会場 キックオフ時間 スコア
◆第89回関東大学サッカーリーグ戦 後期日程◆
(スコアをクリックすると試合の記事にリンクします)
9・6(日) 駒大 ひたちなか 13:50 ○1-0
9・13(日) 早大 味フィ西 13:50 1-2○
9・19(土) 順大 たつのこ 11:30 ○2-0
9・26(土) 桐蔭横浜大 フクアリ 11:30 〇4-0
10・3(土) 神大 千葉東総 11:30 △0-0
10・10(土) 法大 国士大G 13:50 〇4-1
10・17(土) 国士大 江戸陸 13:50 〇2-1
10・25(日) 流経大 古河 11:30 〇1-0
10・31(土) 中大 味フィ西 11:30 ○2-1
10 11・8(日) 専大 味スタ西 11:30
11 11・14(土) 慶大 川越 13:50
※10月31日時点

順位 チーム名 勝点 総得点 総失点 得失点差
◆順位表◆
【第20節暫定】
早大 38 23 17
慶大 37 37 20 17
明大 37 34 22 12
国士大 33 44 26 18
流経大 30 25 20
法大 29 27 27
順大 27 28 30 -2
専大 25 24 19
駒大 23 23 31 ―8
10 桐蔭横浜大 19 25 43 -18
11 神大 16 13 24 -11
12 中大 11 26 50 -24

試合後のコメント
栗田監督

「やっぱりうちは勝ち続けるしかないので、みんなが同じ方向を向いて、一丸となってできたので非常に良い勝利だと思う。中央の戦い方は試合前に想定できたプランだった。そこに受けて立たずに、我々の積極的なプレーをしていくことと、やっぱり先制点を確実に取ることを意識した。相手がまた前から出て来るので、カウンターもまた効いてくる。そういうゲームプランだった。みんなで共有して試合に臨めた。瀬川のゴールは素晴らしかった。グラウンダーでパンチの効いたいいシュートだった。欲を言えば、その後にあれだけ決定機があったので、あれを決めていればもっと差の開くゲームだった。そこは課題かなと思う。優勝争いに得失点差が絡むことも意識しているけど、まずは勝つことが大事。ツートップが今、非常に切れているのでチームの原動力になっている。今日も相手の16番が藤本を非常に嫌がっていたので、ハーフタイムにもっと競っていこうと話もした。失点後は、中大さんも負けたら降格なので、必死にきていて個人の能力も高かった。そこに対して、よくサッカーができたと思う。選手自身が自信を持ち始めているので、山越や室屋も戻ってきてDFラインの安定感が増したことと、終了5分あたりでクローザーみたいに巽(豪・法3=国学院久我山)が収まっているので、相手のパワープレーに対応ができている。いいゲームの終わり方ができている。インカレ出場権は控え室で決まったと喜んだ。みんな勝ち続けることだけに頭がいっているので。後期のここに来て調子が上がってきたのは、1年間やり続けることが、ここに来て成果が出てきた。早稲田に負けた後にトレーニングの中で、ゴールから動き出すとか、前につけて走ることとか追い越すことを求めた。そこでみんなの矢印がゴールからしっかり入っていくことがスイッチになった。次節は本当に死闘になると思っている。やっぱり専修とは違う力が働いて非常に死闘となることが予想される。そこに負けないように1週間良い準備をしていき、必ず勝ちたいと思う」

和泉
「お互い優勝と降格で必死な中で、向こうも前からプレッシャー掛けて前に多く人数かけるというのは予想できた。良い守備からカウンターだったり、早めに先制点取れれば自分たちの試合にできるという狙いの中で、前半も後半も良い時間帯には点は取れたと思うけれど、その後の得点という部分がチャンスはありながらも最後決められなかったり、シュートの前のパスの質だったり、そういう部分がまだまだ個人としてもチームとしても課題。攻撃もそうだし守備も最後ゴールを守るという部分でいかにこだわれるかというところが攻守においてゴールを意識したサッカーというか、ペナルティーエリアの中という部分ではこだわりを強く持ってもっとやっていかないといけないなと思う。去年得失点で悔しい思いをして、今年立ち上げ当初から点を取らないと勝てないということをチーム全体として話し合った。守備という部分では明治は伝統として強さはあると思うので、いかにプラスアルファ、攻撃の部分で得点できるかという部分はすごいこだわってきた。そこはまだまだよくなる部分かなと思うし、そこがよくなれば後ろも試合を簡単に進められると思うし今日も3点目が決まっていれば違った展開にはなったと思う。(次節に向けて)自分のやりたいプレーとかじゃなくてチームが勝つために何をしなければいけないのかというのを常に一人一人が考えてそれを90分間やり続けられるかという部分が一番大事になってくるかなと思う。やっぱり相手の嫌がるプレーだったりチームとしてやらなくてはいけないプレーというのを90分間通してやり続ける体力だったりメンタリティーというのが一番大事かなと思う」

瀬川
「残り3節、絶対に勝たないといけない中で勝てて良かった。その中で得点を決めるたことは、先週の流経大戦は得点に絡めなかったので、結果にこだわっていて今日は決められて良かった。得点のシーンは、佳希(藤本)が裏に流れたのが見えていたので、そこにいつも練習でやっているつながることを意識した。佳希がキープしたら自分が前向きにもらって、ゴールまでは意識できていた。相手があまりプレッシャーに来ていなかったこともあって、後ろから一人来ていたけど、ブロックできたので、あとは自分のシュートコースも見えたし、自分のタイミングで打てたのでイメージ通り。感覚としてはちょっと怪しかったけど、ポストに当たって入ってくれて良かった。左足のシュートには自信がある。(首位の早大は引き分けに終わったが)これで勝ち点差は1になった。でもまだまだ他力なので、残りの試合を勝つことだけを考えたい。個人的に今日は7本シュートを打っていて、7本中1本というのは改善点。でも今までは枠にいかないこともあったので、一つずつ成長はしている。ポジティブに捉えても良いと思う。今までを振り返っても優勝争いに関わったこともなくて、昨年の後期はほとんど出ていないし。今は自分もレギュラーとして優勝争いに貢献できているという気持ちはあるので、1試合1試合自分が活躍することを前提に優勝したい。(後期戦絶好調の要因は)自分のプレー、自分の力が100%以上発揮できている。要因というか自信が持てた。自分の中では大臣杯で準優勝できたことが自信になって今みたいな積極的なプレーができているのかなと思う。(次節専大戦に向けて)つないでくるし技術が高い。高さはないけど、前にも強いので自分としては嫌な相手ではあるが、やれない相手ではないので勝つことだけを考えて1週間やっていきたい」

藤本
「勝つしかなかったので、勝てたことは良かったけど3点目取れなかったことが最後の苦しい展開につながってしまった。反省しつつも勝ったことはポジティブに捉えたい。悲観する必要はないけど、立ち上がりの前半の入りは良くなかった。徐々に自分たちのペースでボールを動かせて相手の嫌なところ、背後だったり僕や竜司(和泉)の動きが出てきてリズムに乗れた。瀬川の得点も竜司の得点もすごく良い時間帯だったので、それで決まったと思う。1点目は成(室屋)が相手のCBのスペースにボールを出してくれて、キープしてターンして瀬川に出せた。シュートを打てると思っていたので、良かった。2点目は感覚的に竜司があそこにいるのはわかっていたので、ちょっとボールが緩かったかなと思うけど浮かしたらヘディングで決めてくれたので良かった。前線でタメることで、つながりが出てくるのは間違いなくて、僕らのところで失うと、後ろから選手が思い切って上がってこれない。でも僕らが絶対キープできるというのがあれば、思い切って上がって連動したプレーができてくるので、そこは自分の仕事なので今後も続けていきたい。(次節に向けて)相手はボールを持てるチームだと思うので前線からこれまで明治がやってきた守備をして、決めるべき場面で決めればいい。今の守備は安定感があって、自分たちが何点獲れるかが勝負だと思う。積み重ねを表現していく、その意識でやっていきたい」

服部一輝(法3=札幌大谷)
「中大が残留争いの中で最初から激しくくることは分かっていて、僕たちも今この2位っていう状況でチャレンジャーなので、いつも通り守備から入ってカウンター、先制点を取ることでチームとして考えていた。基本明治は下からつないでいって点を取るってチームなので、相手がどこであろうと自分たちのサッカーをするだけだった。今日は途中の後半の時間帯に蹴りにいってしまって間延びした時間帯があったので、そこは次節への反省点だと思う。そこの間延びしている時に何度かピンチがあったので、DFに対してラインを上げてボランチのプレースバックを早くしてっていうのを意識的にやるよう声を掛けていた。失点は僕のミスだったが、周りから声を掛けてもらって気持ち的にも立ち直ることができたので感謝している。あそこで一瞬チームの雰囲気は悪くなりかけたが、逆に1点差ってことで守備を割りきってやっていこうとチームが前を向けたので、ある意味では失点はチームに良い方向に働いたんじゃないのかなと。優勝するために2連勝するっていうのはそれをしないと優勝できないってことなのでまずは次の専修戦にむけて今まで通りしっかり練習できればと思います。インカレ出場のことは全然考えていなくて、試合後に初めて知ったが、4年生と戦える最後の大会だし、少しでも4年生と一緒にできる時間が増えたっていうのは素直にうれしい」

室屋
「とにかく勝ち点が欲しかったので、内容というより結果的に3が取れたことがすごく大きいと思う。(降格が懸かった中大も前から来ていたが)シンプルに前に蹴ってきて、シンプルにクロスを上げてきたので中の競り合いで山越君とか小出とかがしっかりと勝ってくれていたので、そこが大きかったと思う。2-0の中で失点はしてはいけない時間だったが、失点してからはとにかく試合を終わらせるというところに全体が集中できた。2-1になっても焦らずに大きいピンチもつくらせなかったのでしっかりと守れた。(前節が終わってから代表合宿とハードスケジュールでしたが)体力的にも結構きつかったが、こういう環境でやれていることにも感謝している。こういう中でももっともっと質の高いプレーを見せていかないといけない。(次節専大戦に向けて)内容よりもまずは結果が重要になってくる。専修もすごく良いチームなので簡単にいくとは思っていないが、優勝するために勝つことは絶対条件なので、勝つことだけを考えてやっていきたい」

柴戸海(政経2=市立船橋)
「負けられない試合だったので1点差だったけど勝てたというのは大きかったと思う。最後に失点してしまったのでああいうところは失点しないようにやっていかないと今後難しい戦いになってくると思うので、最後まで集中切らさずにやっていかないといけないなと思った。守備はいつもやっている通り、明治らしく前からいって基本に忠実にということでやっていたので、特にやられそうなシーンもなかったしいつも通り何が起きても冷静に対処できていた。特にCB2人の小出さんと山越くんは安定して守ってくれているので、ボランチとしては安心して前に強く行ける。守備だけではなくて攻撃という部分も今後課題になってくると思うので、今のうちに積極的に前に行けるようにというのは意識している。(失点後の守備は)1点失点しても2点目失点しなければ勝てるというところだったので、そういったところではピッチ内でも落ち着いていたし冷静に対処できていたのでよかったと思う。(次節が専大戦だが)次も絶品に負けられない相手だし専修は攻撃的で足元うまいチームなので、もう一回1対1の対応だったりワンツーに着いていくというところ、基本の部分をもう一回一週間練習でしっかりやって、もう一回守備から入ってカウンターだったりまえのつながりというのを意識して次も勝てるように練習していきたい」