期待の新人たちが確かな成長 3人が表彰台へ/全日本学生新人選手権
[56㎏級]
56㎏級に出場した後藤はスナッチ92㎏、ジャーク123㎏のトータル215㎏を挙げ3位入賞。ジャーク3本目の123㎏を成功させると、力強くこぶしを固めて喜びを表した。ジャーク1本目の後、立ちくらみがあったという後藤は2本目を失敗。続く3本目の試技には「正直不安があった」。しかし、自身の自己ベストを1㎏上回るジャーク123㎏をたたき出した。今年1月から伸び悩んでいた成績にようやく更新の兆しが見えた。
[62㎏級]
2位の表彰台に上がるも、その表情は険しかった。中野景は62㎏級に出場しスナッチ104㎏、ジャーク124㎏のトータル228㎏。スナッチ、ジャークともに成功させたのはわずかに一本のみ。いずれも2、3本目を落としたことが成績に響いた。1か月前から腰に痛みを抱え、大会に向けて万全な調整ができず、重量慣れしていない状態で試技に臨んだ。「勝てる相手に抜かされた。悔しい結果」と厳しい表情で振り返った。それでも明るい材料はある。膝に痛みを抱える間、デッドリフトなど上半身のトレーニングに今まで以上に時間をかけた。その結果「上半身も使ったフォームができてきた」と、ケガ期間の練習に手応え。「膝は治ってきている。下半身に負けない上半身をつくりたい」。目標はスナッチ、ジャークそれぞれ5㎏以上記録を伸ばすことだ。「納得のいく表彰台」へ。より一層の練習を積む。
ルーキーにとって、全日本の舞台で平常心を保つことは容易でない。錦織亮(政経1=米子工業)は中野景と同様に62㎏級に出場。スナッチ95㎏、ジャーク105㎏のトータル200㎏を挙げ4位につけた。表彰台には届かなかったものの、あと一歩というところまで記録を伸ばした錦織だが「本来の調子が出せなかった」とがっくり。今大会に向けフォーム改善に着手し、デッドリフトなどの引く動作を固め、安定感のある試技を目指してきた。しかし「緊張で全部崩れた」と大学最初の大舞台の雰囲気にのみ込まれ、練習の成果を発揮できず。今後の目標は「強いメンタルを鍛える」こと。ここ一番に負けない自信をつけて再び大舞台に挑む。
[69㎏級]
「精神面の弱さが出た」。試合後、悔しさを滲ませながらそう語ったのは朽名泰河(法2=名城大付)。69㎏級に出場しスナッチ95㎏、ジャーク122㎏で8位と、上位組に大きな差を付けられた。しかし、満足のいかない成績を残しながらも、次なるステージを見据えて成功へのプロセスを描いている。まず鍛えるのは広背筋だ。引く力が重要とされるこの競技。デッドリフトを中心に一から鍛え直す覚悟を決めた。「スナッチ100㎏のジャーク130㎏はやると決めている」と具体的な数字を目標に掲げ、次の舞台に悔しさをぶつける。
[85㎏級]
85㎏級には三浦祐暉(法1=杵築)が出場。スナッチ105㎏、ジャーク125㎏を挙げトータル230㎏の14位に終わった。「スナッチは軽かった」と1本目の105㎏は順調に挙げるものの、109㎏を連続で落としベストは105㎏止まりとなった。ジャークは「クリーンから重かった」と苦戦。2本目でスタート重量の125㎏を何とか刺し切ったが、3本目の131㎏をクリーンで失敗した。「プラス10㎏ずつは取れた」と自身の今年最後の大会を納得いく結果で締めくくることはできなかった。それでもこの1年間でメンタル面で成長したという三浦。来季の記録の伸びに期待だ。
[94㎏級]
初めて臨む階級で頭角を現した。松本は今まで出場していた85㎏級から階級を一つ上げ、今大会は94㎏級に出場。減量の負担がなくなった分、持ち前のパワーを遺憾なく発揮しスナッチ128㎏、ジャーク155㎏のトータル283㎏で2位につけてみせた。昨年同階級でインカレ2位に輝いた西岡翔吾主将(政経4=洲本実)と共に練習したことが、大きな自信となっている。「一人ではできない厳しいメニューに取り組めた」。主将との特訓の成果が早くも表れ、スナッチは自己ベストを1㎏更新し、ジャークは自己ベストにあと1㎏と迫った。インカレも94㎏級での出場を狙う中「いい94㎏級のスタートが切れた」と会心の表情。「同じ階級の西岡先輩に追い付けるように」と、憧れの背中に近づく一歩を踏み出した。
元木雅人(農1=奈良朱雀)はスナッチ116㎏、ジャーク140㎏のトータル256㎏で7位となった。スナッチ3本目では120㎏に挑戦。挙げ切れずに膝をつき後ろに回ってしまったが「もう少しで取れる。自信になった」と次戦での成功を予感させた。ジャークでは「デットが重すぎていつもと違った」と1本目の140㎏を挙げるにとどまった。2週間前に腰をケガしたため重量慣れができておらず、特に高重量となるジャークでその影響が出た。結果としては満足のいくものにはならなかったが「できるか分からなかった」という状況ながらスタートを軽めにするなどし「痛めている割にはいけた」と好感触も得た。今後は得意とするデットを伸ばし、好成績を目指す。
[105㎏級]
今大会最後となる105㎏級には中島要(営1=栃木翔南)が出場した。スナッチ110㎏、ジャーク135㎏でトータル245㎏の11位。「反省点が多かった」と悔しさをにじませた。スナッチに関しては前回の東日本新人選手権より安定したものの重く感じたといい、3本目は前大会で落とした115㎏から下げ112㎏に挑戦したが失敗。ジャークでは1本目の135㎏で「フォームに違和感があった」とクリーンでよろめきながらも耐えて挙げ切る。しかし2、3本目もフォームの修正ができずクリーンで失敗した。「パーフェクトで取るつもりだった」と体調もよくケガもなかっただけに悔やまれる結果となった。目標としていた全日本ジュニア選手権の規定記録を取ることはできず、記録突破はお預け。今後記録を取り、3月の全日本ジュニアに出場する姿を待ち望む。
12月に控えるインカレはすぐそこに迫っている。全国の舞台で躍動し、この1年の集大成を見せることができるか。新人戦で存在感を示した下級生たちも大きな力となってくることは間違いない。今後は一層、ルーキーたちへの期待も強まるだろう。下級生から上級生まで、チーム一体となってインカレに臨む。
[谷澤優佳・星川裕也]
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