
森薗シングルス連覇! 松下は初のベスト4/全日本大学総合選手権(個人の部)
森薗 圧巻の連覇
優勝が決まった瞬間、森薗はほっとした顔で天を仰いだ。男子シングルス決勝戦、相手は森薗と同じく国際大会で切磋琢磨(せっさたくま)している大島(早大)。ダブルスでもペアを組み、互いの手の内がわかる2人はゲーム序盤から激しいラリー戦を繰り広げる。森薗がチキータで攻めれば、大島がコースを鋭く打ち抜く。1度でも甘く返せば狙われる緊張感の中、先にリードしたのは森薗。ゲームカウント3―1で早くも優勝に王手をかけた。しかし大島もそう簡単には譲らない。大島に第5ゲームを奪われると、決め切りたい第6ゲームでも先に8―10と大島にゲームポイントを握られる。それでも最後は森薗の闘争心の高さが相手を上回った。連続得点でジュースに持ち込むと、レシーブを決め13―11で勝利。ライバルを破っての連覇だった。
連覇の道はたやすいものではなかった。国際大会出場のため、ハードなスケジュールをこなす森薗。肘のケガも重なり練習は十分ではなかった。第2、3回戦は万全な調子ではないながらもストレートで勝ち進むが、ついに4回戦で村井(法大)に第1ゲームを奪われる。まさかの立ち上がりに不穏な空気が流れるが、ここで「本当にいい」と髙山幸信監督が太鼓判を押す集中力が発揮される。一気に4ゲームを取り返した。準決勝の松下との同士討ちでも第1ゲームを奪われたが逆転。自身の優勝に「びっくりしてます」と話す森薗だが、逆境に負けない力は確実に成長を続けている。

ベスト4入りを果たした松下
松下 集大成のベスト4
有言実行だ! 松下が自身初となるベスト4入りを果たした。過去3年間の最高成績はベスト16。大会前から「自己最高成績を出したい」と言い続けてきた男が、最後の年に目標を現実にしてみせた。
ベスト16入りを懸けた相手は、昨年ベスト8入りを果たした山本(早大)。本人も大会前から「ここがヤマ場」と予測し、入念な対策を講じて試合に臨んだ。軸にした作戦は「コースを絞らず散らしていく」こと。バックドライブが強い相手に対して安易な攻めはせず、的を絞らせずに相手のミスを誘った。競り合いとなったが4―2で下し、5回戦では東(専大)に逆転勝ちを収め、念願のベスト8入りを果たした。
準決勝で連覇を果たした森薗に敗れたが、準々決勝では今年の世界選手権代表の吉田(愛知工大)に4―3で勝利した。最終第7ゲーム、マッチポイントを握られた場面でも思い切りの良いプレーを見せ最後は3連続得点で逆転。「強い選手に勝てて自信にもなった」と初のベスト4入りを素直に喜んだ。
ダブルスでは結果を残せなかったものの、シングルスに気持ちを切り替え、自分の壁を打ち破った松下。「4年間の集大成として結果を残せてよかった。ちゃんとやってきた証にはなるんじゃないかな」。充実した表情で最後の全日学を終えた。

充実の大会となった町
町 リベンジ果たしベスト8
不調の今シーズンにけりをつける1勝を挙げた。町飛鳥(商3=青森山田)は土曜日最後の試合となった5回戦で上村(早大)と対戦。上村とは昨年の関東学生選手権ベスト8決定戦でフルゲームの末敗れ、また今年度の団体インカレ準決勝、チームの勝敗を託された最終5番手で主導権を握れず敗戦と、2戦2敗。大会前から勝ち上がりを予想し警戒していた。試合では両者譲らず激しいラリー戦になるも、ミスを出さず4―2で勝利。「来年の団体戦でも明治のライバルになる選手になると思うので、今勝ててよかった」と晴れやかな表情を見せた。
大会前から取り組んでいたサーブがさえた。「練習してきたことが出せた」とサーブの出し方や回転を自在に操り、相手に的を絞らせない。準決勝の田添健(専大)には1―4で敗れたものの、奪った第2ゲームではサーブからの3球目攻撃がはまり得点を重ねていった。
これまで勝てなかった相手に勝利し、練習の成果を存分に発揮するなど、結果以上に得たものは大きい。「次につながるような大会になった」と手ごたえは十分。さらなる上を見据え、来年はエースとしてチームをけん引する。

強敵を破った鎌田
鎌田 初の全国で飛躍
大きな自信を得た。鎌田星矢(商1=松徳学院)は順調に勝ち上がり、迎えた3回戦の相手は平野(早大)。平野とは中学、高校と対戦したが一度も勝ったことはなかった。2―2で迎えた最終ゲーム、鎌田はマッチポイントを迎えながらもなかなかあと1点が取れない。徐々に追い付かれていくが「自分が守ったら勝てない」と最後まで攻めの姿勢を貫き、フルゲームの接戦を勝利した。4回戦では水谷(駒大)に敗れたものの、平野からの初勝利は鎌田にとって今後の財産になるだろう。
「明治に来て強くなっている」。着実に実力を伸ばしている。8月の予選を見事突破し、大学入学後初めて全国の舞台に立った。「自分は挑戦者」と臆することなく立ち向かった。全国の強豪を相手に戦う中で課題も見つかった。「上の選手はミスが少ない」。全国の強豪に太刀打ちするためには自身のミスをどれだけ減らせるかが勝負のカギを握る。同期では酒井明日翔(政経1=帝京)、渡辺裕介(商1=明徳義塾)がリーグ戦のレギュラーとして活躍している。進化を続ける鎌田がレギュラー争いに台頭する日も近い。
シングルスでは6人がランク(ベスト16)入りを果たしたが「順当といえば順当」(髙山監督)と全員が納得のいく成績を残すことはできなかった。それでも森薗の連覇、松下の集大成の戦い、鎌田の躍進などチームには明るい話題が多い。来月の全日学選抜、来年1月の全日本選手権に向け、個人が課題を確認し「卓球界の王者」として君臨する。
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