
古豪・天理大を初戦で破り3位まで登りつめる/全日本学生柔道体重別団体
立ちはだかる元王者の壁は越えられなかった。全日本学生で筑波大に敗れ王座の名を奪われた東海大だが、今大会で筑波大を破り準決勝で明大と対戦。中堅対決までに3点奪われあとがなくなった明大だったが、中堅・橋口祐葵(政経3=延岡学園)が、世界代表選手の高市から技有を奪い、勝ち点を得た。さらに五将の立山宗一郎(政経4=鎮西)が引き分けて東海大の波を止める。しかしその後、明大は東海大からポイントを奪取することができず、準決勝敗退を強いられた。試合後、悔しさをにじませながらも「来年につなげてほしい」と、上田轄麻主将(政経4=愛知県私立大成)は来年のチームに期待を寄せる。
「1回戦が決勝のつもりで」(猿渡琢海監督)。全日本学生で明大同様にベスト8だった天理大相手に2―2とわずかな差で勝利した。先鋒(せんぽう)を務めた秋元浩樹(政経3=足立学園)が、開始1分足らずで袈裟固で一本勝ちを決め、チームに勢いをもたらす。次鋒で取り返されるも、三将の上田が主将の意地をみせ、返し技の一本で明大をリード。副将対決で有効を取られたが、大将・野々内悠真(商2=崇徳)が最後まで守り切り、最初の鬼門を突破することができた。この試合でチームに波を引き寄せた秋元は「轄麻先輩が取ってきてくれるっていう安心感があった」と、先鋒を臆することなく戦い抜いた。
4年生の集大成となった。4年生で出場した上田と立山は上級生としてチームをけん引。中でも立山は、4年間の努力が認められ、今大会で念願のメンバー入りを果たした。準決勝、片岡(東海大3)に対し積極的に寝技に持ち込み、徹底した戦いぶりで相手を追い込んだ立山。「最後だからやってやろうと思った」と4年目にしてつかんだチャンスを生かし切った。
[長谷川千華]
試合後のコメント
森下部長
「(準決勝で東海に敗戦)いい戦いはできてたと思う。キャプテン中心にまとまっていいチームだったと思う。1年生の川田とかも出ていて、3年生以下にも経験になったんじゃないかと。もっと引き分けに持ち込むだとか、できたんじゃないかと思う部分もあるけど、それは経験として来年は優勝を狙っていきたい。立山とか今まであまり出られなかったような選手が、最後こうやって出て活躍してるのを見て、3年生以下も何か感じてくれたらと思う」
猿渡琢海監督
「今回は、トーナメントが出て1回戦目が天理だったこともあって監督以下選手も全員緊張感も出てぎゅっと引き締まって、1回戦が決勝のつもりでやってきたから良い状態でこの大会には挑めたと思う。天理に勝って準決勝まで上がって、そのまま勢いに乗って決勝で優勝が目標だった。やっぱり力の差が出た準決勝だった。初戦に関しては五分五分の力関係だったと思うし、気持ちの面で勝ったことがつながった。そのまま2回戦もベスト8までも順調にいったことに関してはすごく評価している。ただ準決勝に負けた最初の3失点、世界チャンピンがいて、世界代表がいて、そういった学生チャンピオンたちに対してもっと強気な姿勢で戦ってもらいたかった。特に先鋒の秋元は、前半戦は臆病になっていたけど後半がつがつしていた。後半のがつがつした柔道を前半戦からやってもらいたかった。野々内は自分の柔道ができなかった。気持ちの面で臆病になっていたり、弱気な部分があると思うので精神的な部分を来年に向けてレベルアップしてもらいたい。これだけ団体戦でも個人戦でも明大の選手が上位に上がってきているので、よその大学も研究してきていると思うので、その研究してきていることへの対応も今後強化の一環としてやっていかないと。橋口は代表の高市に勝った試合なんだけども、前半戦投げたところまでは勝てやろうという気持ちが前面に出ていてよかったけど、修正しないといけないのは後半の相手が追ってきたところの対応だったり。そういうところを終始して2週間後の講道館杯に向けてやっていければ優勝も狙えるので、いいきっかけとして次につなげてほしい。(上田は)勝負がついた時点での対戦だったので気持ちがちょっと乗れない部分があった。チームが負けた中でもキャプテンとして勝って終わってほしかった。学生最後の大会として講道館杯があるので、そこで今日の敗戦を吹き飛ばすような戦い方をしてくれればいいかな。(安田から川田に入れ替え)安田に関しては少しメンタル面が弱いかなと。練習と試合とじゃほとんど別人のような柔道になっているし、そこは彼自身が気づかないとこのままずっと同じ戦い方を繰り返していくと思う。今は川田のほうが1年生っていうことで勢いもあるし、アグレッシブな柔道がやれていた。後輩の柔道っていうのを安田が見て、俺も1年の時はあんなだったなというのに気付いてほしいという面もある。練習では安田と川田だったら安田のほうが上なんだけど、試合では川田のほうが中身が良いかなと。(川田は)同級生2人に負けたくない、越したいんだという気持ちもある。ただ、課題も盛りだくさんでまだまだ強化していく必要がある。結局投げて1本取った試合がなかった。がつがつ攻めていっていい柔道しているけど、その中でも相手を投げる技を身につけさせないといけないな。もっとテンポのいい柔道を。投げれるところで技に入れてなかったり、立ち止まってしまったりするところがあった。もう少し柔道見直しながら教えていきたい。(講道館杯に向けて)講道館杯はオールスターみたいなものだし、学生の壁を越えた選手たちと戦ってその中で勝てば自分の自信にもなる。講道館杯で勝てば、全日本の強化選手にもなれるし、いろんなメリットがある試合だと思うので精一杯力振り絞ってもらいたい。去年上位にいった上田、橋口は5位止まりだったのでそれ以上の成績を出してもらいたい。3位までにいったら4月の福岡での試合も出られる。学生の大会と違って臆病になることもなく当たって砕けろ精神でしっかり戦い抜いてもらいたい」
上田主将
「4年生最後の団体戦だったので勝ちたかった。4年間の集大成を出せるように挑んだ。初戦の天理では、みんなそれぞれの役割を果たせた。周りのみんなからのサポートもあってすごいいい雰囲気でできた。(東海大戦)悔しかった。今のチームの実力なのかな。しっかり来年につなげてほしい。ウルフとは全日本の予選以来。いろいろ課題もでたので、講道館杯に向けて今日の試合振り返って修正して万全で臨みたい。優勝を。準決勝が上川さんなのでそこで勝ち上がって決勝。尊敬はしています。なので全部出し切りたい」
立山
「(学生最後の大会)今まで付き人ばっかりやってて、その中で練習してきてやっと大きな大会でできたっていう感じですね。(東海大戦では引き分けに)橋口がその前に取ってきてくれたので、流れに乗って取りたかったんですけど取れなくて。悔しかったですね。(試合前は)緊張とかはしなくて、いつも通りできたと思います。(9月には初の全日本にも出場)あそこで初めて全日本出られて、あと一つで講道館杯のところまでまで行けて、それが自信になりました。最後だからやってやろうという思いで頑張りました。監督からは毎日、お前は弱いからって言われてきて、大学でなかなか勝てなくて辞めたくなった時もありました。3年生の時とか全く試合に出られなくて、後輩もインターハイチャンピオンとか入ってきて勝てなくて。4年生では試合に出たいって思って練習でもアピールしてやっとつかんだチャンスをものにできたのでよかったですね。(後輩には)自分としても最後は情けなかったので、来年はメンバー揃えて優勝してほしいです。」
秋元
「(天理戦では先方で勢いをつけた)何とも言えないですよね。実際僕のおかげっていうよりも、轄麻先輩が取ってきてくれるっていう安心感があったので。たまたま自分がこういうスタイルで、先方だったからいい流れになったのかどうかは分からないですけど、そういう感じになったと思うので。(高藤と対戦)何が強いっていうか。最初に相手に合わせちゃったから後手後手になって一個取られたみたいな。後半みたいになのを最初からできていれば多少は流れが変わってたかなと。で、試合結果も少しは違ったかなとは思います。(相手は代表クラスだったが)あんまりそういう意識はしてないです。(対戦は)初めてです。やってみたいなとは思ってましたけど、ようやく来たという感じです。どれだけ強い選手なのかなと思ってたんですけど、それも分かったので。次生かしていけたらと」
橋口
「(準決勝で東海に敗戦)正直優勝を目指してやってきたので悔しいですし、終わってみて東海との差もそんなにないじゃないかっていう結果だったので。しなくていい失点をしてると思うので、すごく悔しいです。(高市に勝利)あの人とは高校の時からずっと対戦してて、相性は良かったので代表とか関係なく、負けたくないっていうか。一つ上でライバルだと思ってやってたので。(以前の対戦は)高校の時以来ですかね。(久しぶりの対戦)少しは成長できてるかなと。色んな幅も広がってると思いますし、一個に気を取られすぎずに色んなことをできたと思うので。(ポイントを取った技は)背負い投げかけて、そのまま大外みたいな。(ケガで担ぎ技以外も出るようになったと話していたが)今回はそれを考えると少なくなったかもしれないです。でも担ぎで結構勝てたので。まだまだ使えるんだなと思いました。最近全く袖釣りが効かなかったんですけど今日は使えたので。(講道館杯が控える)やってみないと分からないです。最悪の山ではないと思ってるので。優勝は目指しますけど、自分はまだ甘いところがあるので。講道館杯では不安がないようにしたいです。(来年の団体では)こんな思いはもうしたくない。チームで負けるっていうのは悔しいので。団体戦で優勝したことがあるのは小学校の時だけなんですよ。なので団体で優勝するっていうのは夢です。戦力もあまり今年と変わらないですし、優勝目指して頑張りたいです」
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