
流経大に1―0で無失点勝利 優勝へ可能性残す/関東大学1部リーグ戦
求めていた形のゴールだった。前半23分、自陣でパスをもらった差波がドリブルで駆け上がり、前線で走り出した藤本に絶妙なスルーパスを送る。ファーストタッチで相手DFの前に出た藤本はそのまま右足で先制ゴール。まさに「狙い通り」(栗田大輔監督)。風が吹き荒れ、高さで劣っていた明大。そこで下でボールをつなぎ裏を狙う戦法を展開し、早いカウンターは多くの決定機を作った。「できないことをするより相手にとって嫌なこと」(藤本)。藤本は前節国士大戦でも裏への抜け出しで得点している。前線での体を張ったボールキープに加え、背後への鋭い動き出し。フィジカルモンスターが再びのゴール量産へさらなる進化を果たした。
ライバルの手法は読めていた。今年と一昨年の総理大臣杯では両試合とも先制点を挙げながらも追いつかれている。今試合も流経大に高さで分がある上に、追い風を利用しロングボールを蹴られ、一瞬の油断も許されなかったが「こういうサッカーをやってくるだろうと想像がついた」と栗田監督。案の定後半になり流経大にボールを打ち込まれることが増えるも、最後まで集中した連携と体を張ったクリアで阻止。「ゼロで抑えたことは次につながる」(山越康平・法4=矢板中央)。粘り強い守備で持ち前の堅守を見せつけ守り切った。
優勝は諦めない。勝利のない長いトンネルを経験し6位で折り返した前期リーグ戦。しかし法大や国士大など上位大学との連戦で全勝し、後期は波に乗りいまだ1敗のみ。同節では早大が慶大を破り単独首位となり、残り3戦で全勝してもタイトルは約束されない。だが「負けたら終わり」(山越)。勝たなければ始まらない。「後期の明治」の底力が問われる。
[渡邊弘基]
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試合後のコメント
栗田監督
「風の状態を試合前に確認して入った。(前半は風下で流経の攻撃を受ける時間が多かったが)流経のメンバーを見た時に、こういうサッカーをやってくるだろうと想像がついたし、流経とはいつも試合をしているから、クリアするポイントや走り出す場所だったり、ボールの動かしだったりを確認して試合に臨んだ。(カウンターでの先制点は)あれはもう狙い通りで、藤本がよく決めてくれたと思う。(流経大や国士大など上位対決を制しているが)うちはもう勝つしかないから、そこに対してきちっとチームがまとまって良い動きでできている。Iリーグもこの前全国に迫っているのでチームとして出ている選手だけでなくてチームが一丸となっている。(後期戦の好調を続けられている要因)1年間やるべきことの積み上げをきちっと選手たちが繰り返しひたむきにやってきた結果がこういう時期に出てくる。(追加点を取れなかったのが課題になると思うが)こういうグラウンドや風の状態、あと後半の予想される流経の攻撃に対してきちっと粘り強く守備ができていたし、チャンスを作り出せていたし非常に良いサッカーだった。(中大戦への戦い)これから少し分析をして考えたい。好調を維持しているから、そのサッカーの精度を高めていきたい。相手が中央とか意識するとまた変わってくるから、自分たちのサッカーをしっかりやってもう1個勝って優勝争いに飛び込んでいきたい」
和泉
「お互い勝たないといけない試合だったので、風やグラウンドの状況も悪い中で勝ち点3を取れたのは良かった。上位陣と3連戦は決めるべき人が決めて、しっかり守れたのは大きいし、守備が我慢強く耐えてくれているのが大きい。後期と前期では、失点する気配が全然なくて、そこは変われたし、攻撃も厚みという部分では、枚数も掛けられているし、回数も多くなっているので変わってきている。攻撃が前に走って裏を取ったり、良いサッカーができている。中大戦は、しっかり自分たちが今までやってきたものを見返して、来週から練習で一人一人、チームとして成長できるようにトレーニングして試合で出して勝つだけだと思う。僕たちは勝ち続けるしか優勝はないので、4年生にとっては最後の集中応援日なので、勝つ姿を来てくれるたくさんの人に見せたい。決められるシーンは何回かあったので決めていれば楽になった。自分の課題でもあるので、そこは厳しく練習をやっていくしかない。ただやり続けることが大事だと思うので、常に得点をするためにシュートを打つし、そのために何をすべきかを考えているので、そこの意識は変えずに精度を上げていくことだけだと思う。焦れずに打ち続けたいなと思う。意識や感覚は良くなってきているので、もう少しかなとは思う。まだ試合あるので、残りの試合で決められるよう準備するだけ」
差波
「まずは勝つことができて良かった。明治と流経はライバル視しているチームではあるし、絶対に負けたくなかった。今日は攻撃というよりは守備の時間が多くて、まだまだではあるが守備のところでの運動量は上がってきていると思う。(得点シーンは)ちょっとパスが弱いかなとも思ったが、佳希がうまく点取ってくれたのであれは佳希に感謝かなと思う。チームとしてやることは相手が流経だからといって変えるとこはなくて、ハードワークして最後まで粘り強くやっていくのが明治の守備なので、それを体現できたと思う。僕らは立場的に順位が複雑な位置にいると思うし、それをみんなは分かっていると思う。それを割り切って力にしていかなければならないので、今日の勝ちは忘れてやっていかないといけないなと思う」
藤本
「(早大が首位だが)早稲田が勝っちゃって、今後自分たちが勝っても優勝できるか分からない。だけど今日みたいに泥臭い試合でいいから勝って勝ち点3を取るしかない。(得点シーンを振り返って)ずっと裏を狙い続けていた。相手のラインがそろっていなく高かったから、いいタイミングでさっしー(差波)からスルーパスが来た。それでファーストタッチで相手の前に入ってシュートを打てればと思ったが、良いタッチができたし入ってよかった。(スルーパスなど縦へのパスが多く見られたが)芝も悪く風も強かったらできないことをするより相手にとって嫌なこと、裏への動きで相手をひっくり返すプレーをするのが良いプレーだと思ったし、そういうことをしていけば自分たちのリズムをつかめると思っていた。(流経大に勝ち切れたこと)残り何分間で相手にはセットプレーもあったし、そこで大臣杯では追いつかれていた。でも全員であの時を思い出せって声をかけてやっていたから、そこは成長できたところかな。次節は集中応援日の中大戦だが)集中応援日が僕は最後だし、来てくれる人も多いと思うから、勝利の喜びを一緒に分かち合えたらなと思う」
山越
「優勝するためには負けられなかったのでまずは勝つことを第一に試合に入った。ハーフタイムでは風が変わるのでそこに注意していこうということと、2点目を取りにいこうという話をした。ここまで2戦は失点をしていたので、ゼロで抑えたことは次につながると思う。28番がスタメンで出るのが分かってから、蹴ってくるということは分かっていた。グラウンドとか風とかピッチコンディションは悪かったが、ちょっとしたミスを気にしないでいこうということを試合前から話していた。負けたら終わりなので、一戦一戦ここから重みが増してくると思うので、1週間次の中大のことだけを考えて準備していきたい」
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