全日学直前! ~頂点への挑戦~ (2)有延大夢、町飛鳥

2015.10.21
全日学直前! ~頂点への挑戦~ (2)有延大夢、町飛鳥
 学生日本一を決める戦いの火ぶたが切られる。10月23日~25日の3日間にわたり、個人インカレである全日本大学総合選手権(全日学)が京都で開催される。日本代表選手も出場し、国内トップレベルの戦いが繰り広げられるだろう。明大からはシングルス10人、ダブルス4組が出場。「卓球界の王者」として、3年連続となる単複制覇を狙う。 今回は3回にわたり、全日学に挑む選手たちを紹介する。

 今回はダブルス3連覇が懸かる有延大夢(商3=野田学園)と、有延とダブルスも組みエースとして活躍する町飛鳥(商3=青森山田)を紹介します。

有延大夢
 エースの戦いが始まる。春季リーグ戦、団体戦インカレでは全勝し、秋季リーグ戦では渡辺裕介(商1=明徳義塾)とダブルスを組み単複で活躍した。抜群の安定感でチームを勝利に導いてきた有延が個人のステージで力を示す。

 大きな野望を胸に抱く。「3連覇のことを一番に思っている」。平野友樹選手(平27商卒・現協和発酵キリン)とのダブルスで2連覇している有延にとって、複優勝は今年も絶対に勝ち取りたいタイトルだ。今大会は町飛鳥(商3=青森山田)と共に頂点を目指す。ベスト8入りを果たした3月の東京選手権以来のペアだが、明大のエースである両者なだけに期待の色は隠せない。有延は秋季リーグでは渡辺とペアを組み、上の立場で引っ張る経験も積んだ。「去年までは責任感を平野さんが背負ってくれていた」。先導する先輩はもういない。自らの手で3連覇を引き寄せる。

 シングルスでも期待を背負う。以前からダブルスのほうが得意な有延だが「昔に比べて自信がついてきた」と着実に実力を伸ばし続け、関東学生選手権では準優勝を果たした。本戦では同ブロックに世界選手権代表に選出された吉田(愛知工大)が待ち受ける。目標のベスト8入りのためには吉田を打ち破る必要がある。強豪相手に苦戦も予想されるが「思い切ってやるだけ」と臆することない。強固なメンタルでどこまで食らい付けるか。

 今季の活躍にはサーブの成長がある。これまではサーブはラリーまでのつなぎと考えていたが、現在はサーブから勝負を仕掛けていくスタイルに。「サーブが上手くいけばレシーブも生きてくる」。多彩なサーブで主導権を握りたい。進化し続ける有延がインカレの舞台で強さを証明する。

◆有延大夢(ありのぶ・たいむ) 商3 野田学園高 170㎝・60㎏
 関東大学リーグ戦 12勝4敗(13年春~15年秋通算)
 関東学生選手権 15年シングルス2位
 全日本大学総合選手権 13年シングルスベスト8、ダブルス優勝、14年シングルス4回戦敗退、ダブルス優勝
 全日本学生選抜選手権 13年優勝

町飛鳥
 苦しいシーズンだった。今年度の団体戦、エースとしての活躍が期待されたが役割を果たせず悔しい思いをしてきた。試合続きで思うような調整ができないところから調子を崩すと、持ち味である安定したプレーは影を潜めた。7月のインカレでは自身の敗戦でチームの敗戦が決まり、秋季リーグ戦でも1番手で敗戦しチームに流れをつくれず。「申し訳ない」と幾度となく顔をしかめた。不完全燃焼に終わった団体戦、そこで味わった悔しさをまずは個人戦にぶつける。

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エースとして結果が期待される町

 新たな武器を手に頂を目指す。「サーブから攻められるように」とこれまでとは違う種類のサーブの練習に取り組んでいる。10月7日のチームカップで試すと、他大の主力選手にも「3球目も決められて自分のやりやすい形に持ち込めた」と通用することを実感した。また帰省時に父からアドバイスをもらったことがきっかけで、中国のトップ選手のように台から離れずに前陣でプレーすることも心掛けている。全日学は積み重ねてきた練習の成果を発揮するにふさわしい場となるはずだ。

 険しい道も一戦一戦着実に勝ち進む。ベスト8決定戦では青森山田の後輩であり、昨年のインターハイ3冠王の坪井(筑波大)もしくはインカレでも敗れた上村(早大)との対戦が予想される。さらに準決勝に進めばリオ五輪への出場の決まった吉村(愛知工大)か好敵手・大島(早大)が待ち受ける。日本を代表する選手にも「可能性はある」とひるむことはない。全日学で勝利し不調なシーズンに区切りをつけ、来年への足掛かりにする。

◆町飛鳥(まち・あすか) 商3 青森山田高 174㎝・70㎏
 関東大学リーグ戦 28勝7敗(13春~15秋通算)
 全日本大学総合選手権(個人の部) 13年シングルス3回戦敗退・ダブルス2位、14年シングルス3位・ダブルス2位
 全日本学生選抜選手権 14年4位
 全日本選手権(個人の部) 13年シングルス2位

[板橋洋子・田中愛]