花形2艇が優勝し2年連続アベックV!/全日本新人選手権

2015.10.19
 アベック2連覇。昨年に引き続き、花形競技とされる男子エイトと女子舵手なしクォドルプルでライバル・早大を打ち破り頂点を手にした。双方とも接戦となったが、落ち着いたこぎで他大との差を広げていった。ラストシーズンを有終の美で締めくくった。 

 スタートの合図とともに飛び出した。女子舵手付きクォドルプルはライバルである早大に4秒、1艇身以上の圧倒的な差をつけて優勝を飾った。明大は予選・準決のタイムで全体1位。しかし、いずれも早大とは1秒差、日体大や立命大とも僅差でどう転んでもおかしくはなかった。その中で「早稲田は体格や体力面では勝っていたけれど、8枚のオールを入れるタイミングを合わせるなどの技術では私たちが勝っていたと思う」(植松香穂・文2=加茂)と勝利を呼び寄せたのは、明大の持ち味であるコンビネーション。いつもはシングルスカルに乗ることが多い成瀬歩美(政経1=恵那)も「私のミスを私だけじゃなくて他の全員でカバーしてくださったので、失敗を恐れずにできました」と助け合う力がクルーを加速させた。
決勝は第1クオーターで1位通過だったことで、精神面での余裕が生まれ、焦らずに着々とこぐことができた。続く第2クオーター、そして以前から課題としている第3クオーターも減速することはなく、その勢いを持続させる。最後の追い込みとなる第4クオーターでは他のチームより早くラストスパートを仕掛け、トップを独走。終始攻め切るレースで2連覇を果たした。
今回、クルーに乗るメンバーや方向性、目標などは全部1・2年で話し合いを繰り返して決めた。そんな中での2連覇に「とにかくうれしいです」(植松)と達成感に満ち溢れた笑顔が輝く。これからオフシーズンに入るが、来年は念願の男女総合優勝という花を咲かせるべく冬季練習に臨む。

 「頼むよ信じているから」(大久保亮・農2=猿投農林)という声とともにスタートを切った男子エイトクルー。決勝前のアップはうまくいっていなかったが、実際はプラン通りにレースを展開できたという。「優勝したぞ!」という掛け声とともに、優勝カップを高く突き上げた。声を掛け合いながらお互いを信頼し合った。明大が終始リードしてラストスパートで他大との差を広げ、2位に4秒差をつけてのゴール。「理想的な展開だった」(大久保)と狙い通りのレースをすることができた。予選から全体1位であったが、コックスの原勇二(法2=徳島市立)が「予選は強い慶応と当たったが、そこで自分たちの力が見えた」というように、予選で自信をつけて準決勝・決勝に臨めたことも勝利に結びついた。今回の優勝によって「周りの見る目も変わるだろうし、強いチームになってきたから責任も出てくる」(齋藤光希・法2=田名部)と明大は新たなステージへと一歩踏み出した。

 最後のシーズンを最高の形で締めくくった。ここでついた自信は、毎年目標を掲げるもいまだ未知の領域であるインカレの男女総合優勝をぐっと引き寄せるだろう。この冬で個人個人の力を高め、その勢いを加速させたい。

[長縄里奈]

試合後のコメント
原(男子エイトコックス)
「(今大会を振り返って)ポテンシャル自体は全体にあったので勝てるなとは思っていたましたが、その分個性が強いのでまとめるのは大変だったりしました。ずっとサイド負けをしていて、船が傾いたまま進んでいました。ストサイとバウサイの工夫をしたのが最後にタイムが上がったのにつながったのかと思います。予選は強い慶応と当たったがそこで自分たちの力が見えました。決勝は第2で相手が来なかったので『一回離そう』といって全員で掛けたが、その分第3で少し詰められてしまいました。でもみんな落ち着いていたので、最後はラストスパートをうまく掛けられました。自分たちのプラン通りにしっかりとできたと思います。今1年生に力があって、またそこから勢いを発信できたので来年は上級生もそれに乗りながら、インカレは総合優勝狙っていきます」

河井(男子エイトクルー)
「連覇が懸かっていたのでそれに向けて、2年生の僕が一番前でストロークで引っ張っていこうと思っていました。僕から色々と後ろにアドバイスしたり、そういうのも僕から率先してやっていました。本当に自主的に動くことを意識してやりました。(クルーの出来は)決勝は今までやってきた中では一番良いものが出せたと思います。2週間でつくったクルーにしては良かったと思います。これからのチームの勢いにはつながると思います。(冬場で伸ばしたいところは)まずは体力面。そして技術面。全体的にしっかりとどれも伸ばしていけたらと思っています」

川野(男子エイトクルー)
「2連覇っていうのは絶対に達成しないといけない目標だったので達成できて安心しています。練習の時から他大と比べても船が走っていたので、僕たちが有利なところにいるのかなということは思っていました。僕はバウサイドのリーダーをやらせてもらいましたが、本当に一人一人が自主的に貪欲に頑張ってくれたので、僕が言うことはほとんどありませんでした。みんなを引き連れて散歩に行くくらいでした。一人一人がよくやってくれたので、僕がやったことは気持ちを落ち着けるくらいでした。決勝のレースプランとしては各クオーターで仕掛けるというのが大きなレースプランだったので、しっかりそのプラン通りに進んで途中慶応が攻めて来たがそれに慌てることなく、自分たちのレースができました。それが勝てた要因だと思っています。落ち着いてできました。他大に明治が今勢いあるぞということを見せつけることができたので、冬場たくさんと練習して来シーズンひと皮むけた明治を見せたいです」

大久保(男子エイトクルー)
「ストロークサイドは河井、バウサイドは川野に任せて、あとはダブルとフォアを含めた男子の総括をやらせてもらいました。(決勝は)アップがいつも通りにいかなくて、でもみんながこのままではいかないぞ、絶対に勝ちたいからここで悪くなっちゃいけないという雰囲気を感じ取れて声をしっかり出して、ちょっと良くなくても『今の良かったね』って声を出すような感じでした。レース自体はみんなが信じ合って、頼むよ信じているからという声が掛かってスタートして、常に出られることはなかったので焦らず冷静にっていうコールを原が掛けてくれて、最後まで差を保ちながらいって最後に出る理想の展開だったと思います。先輩、後輩関係なしで盛り上げるとこは盛り上げる。間違っていることは間違っているというなことは練習からできていたので、そんなに気になるところも後ろから見ていてありませんでした。みんな有意義にやっているなという風なことは感じました。(2年連続のアベックVについて)女子クォが先にやって男子エイトが後。昨年もやるしかないという感じでやって優勝しました。今回も同じような感じで、またあいつらが優勝したのでアベックVするしかないと思いました。僕らが優勝しなかったら女子も悲しいと思うし、応援しているみんなも昨年と同じだったら良いよねという風に思っていたと思うので、できて本当にうれしいしみんなよく頑張ってくれたと思います。一人一人が結果を収めたということはその分責任も生まれた良いエッセンスになったと思うので、この冬の期間もしっかりと責任を感じながらできたら良いと思います」

齋藤(男子エイトクルー)
「(決勝のレースは)今回の大会の目標は大会のレコードを出すということを目標としていました。決勝はコンディションが逆で厳しいかなというのはあったけど、最後まで狙っていました。勝って満足するんじゃなくて、自分たちの一番良いものを出そうという意識で臨みました。優勝はマストみたいな感じでした。練習の時からトップスピードはすごい良いものが出ていて全日本選手権でもトップスピードだけだったら全然勝負できるくらいまで仕上がっていたから。(今シーズン最後の大会を良い形で終えたが)周りの見る目も変わるだろうし、強いチームになってきたから責任も出てきます。冬はオリンピック選考とか、U23も視野に入れていかないといけません。シーズン最後の大会で勝てたことは自信になります」

植松(女子舵手付きクォドルプルクルー)
「2連覇はとにかくうれしいです。去年は早稲田がいっぱい勝ってきた中で初めて女子舵手付きクォドルプルで名前を残せたのがうれしくて、また今年もクォドルプルに乗せてもらえました。今回はクルーを組むのが自分たちでした。どのクルーに乗ってどんな目標を持って、どんな方向性でいくかというのも、1・2年で話し合って決めたからその中で勝てて嬉しいです。決勝は勝てるって気持ちがありました。絶対いけると思ってました。(予選では早稲田と一秒差だったが)富山国際とか立命館も強いのは知っていたけれど、やっぱりライバルだと思っていたのは早稲田。(決勝では前半から早稲田が遅れをとっていたが)早稲田は体格や体力面では勝っていたけれど、8枚のオールを入れるタイミングを合わせるなどの技術では私たちが勝っていたと思う。今日はすごく攻めれた。スタートから第1クオーター取るぞっていう気持ちでいけました。第1クオーターを取れば、自分たちも安心するし相手も焦らすことができる。あと、ラストスパートとかはラスト300くらいで入れるのですが、第4クオーター入ったらラストスパートかけるからってみんなに言ってありました。去年も早く仕掛けて勝てたので。駆け引きが上手くいきました。準決勝で8枚のオールがばらばらになってしまって、決勝は1センチずつでいいから相手との距離を広げていこうってみんなで言ってました。今回はこの大会までに時間がなかったので、とりあえずコンビネーションを高めるという練習を重点的にやってきた。高いレイトでいかに4人が同じ動きができるようになるかということを考えていました。(新体制になって)先輩のサポートやありがたさというのをすごく感じました。私たちが勝てるようにサポートしてくださって、雰囲気もすごく良かったです。前の先輩が作ってくださった土台みたいなのが繋がっているんだと思いました。とても感謝しています。明治内で強い選手が多くなってきて、自分が乗りたいシートに乗るには、実力が必要となってきます。この冬季に絶対的な力をつけなきゃいけないと思うけれど、まだ自分はそこが足りません。せっかく強いメンバーの中で練習ができるので切磋琢磨し合ながら、来シーズン絶対的な戦力として使ってもらえるような選手になります」

成瀬(女子舵手付きクォドルプル)
「いつものシングルスカルからクルーに乗って、シングルスカルよりも2倍も3倍もスピードが速いように感じました。高校時代はゆっくり力強くというのが自分の持ち味だったので、明大のクルーではペースも速く且つ1本強くだったので、慣れるのが大変でした。それでもクルーリーダーの香穂さん(植松香穂)を中心に他のメンバーがフォローしてくれました。練習でも本番でもたくさんミスをしたけれど、私のミスを私だけじゃなくて他の全員でカバーしてくださったので、失敗を恐れずにできました。クルーに乗って得たものはすごく大きかったです。今日はスタートで飛び出せて、その勢いを最後まで続けられたのは良かったです。でも予選や準決勝では、課題としていた第3クオーターで落ちてしまったので、一番苦しいところで耐えてそこからもう一回上げるというのをできるようにしたいです。私は国体のブロック予選で負けて、でも他のメンバーは国体に出て、それからほとんど休む間もなく合わせる感じだった。最後の追い込み期間も日向子(瀧本日向子)が腰の骨を折ってしまったりして、合わせる本数は本当に少なかったけれど、その中で集中力を高めて練習しました。毎回、練習前と後でクルーミーティングするのですが、みんな良いところも悪いところもちゃんと見れてて毎回悪いところは直していこうというのがあったので、それが短期間での成長に繋がったと思う。(新体制になって)4年生がやってきたことを残しつつ、私たちのやり方で新しいことを始めようとしているみたいです。今は副部長と同部屋なのですが、毎晩毎晩夜遅くまでチームのことについて考えていたり、授業中もそのことで頭がいっぱいらしくて、新しいことを始めようとしているのをすごく感じます。今回は早稲田に勝てて、私たちでも早稲田に勝てるという自信が持てたので、今年は早稲田を倒して、男女総合優勝したいと思います」