
青学大に快勝も課題点が明らかに/関東大学対抗戦
入りの20分
試合の入りをものにできなかった。前半5分、松橋による見事な先制トライに勢いを得たい明治であったが「特に細かいペナルティーが多かった」(左WTB林祥太郎・文3=常翔啓光学園)。ノックオンやコラプシングなどの細かいミスが目立ち、攻めきれないまま時間だけが過ぎていった。前半17分、青学大がハイパントしたボールを自陣でキャッチしたところで相手のタックルを受け、ボールへのサポートが遅れる。明治のハンドにより青学大のキックで一気にゴール手前まで前進された。自陣ゴール手前でのラインアウトからモールが組まれると、青学大の力強いFW陣に勢いで押されモールからトライを献上。「開始20分で勝負を決めようと言っていたが青学大の良いディフェンスで受けに回ってしまった」(HO中村駿太主将・商4=桐蔭学園)。防げる失点であったため「FWで取られてしまったので悔しい」(左LO古川満・商2=桐蔭学園)トライとなった。対抗戦開幕以来続いていた完封勝利を青学大に妨げられてしまった。
連携プレー
28―5で折り返した後半はFWとBKの連携がしっかりと噛み合った。「後半良かったのは、しっかりBKも連携してトランディッション(攻守の切り替え)をしっかりして速いテンポでできたから」(右PR吉岡大貴・農2=日向)。後半19分、SO堀米航平(商2=流経大柏)からBK陣が右側にパスをつなぎ、素早く反応した古川がボールを受け取り15メートルの快走をしてトライを挙げた。後半24分には、自陣22メートルライン付近で青学大が手にしたボールを左CTB梶村祐介(政経2=報徳学園)がターンオーバー。順目になったBK陣がボールをつなぐと、パスを受けたNo.8桶谷宗汰(営3=常翔学園)がトライを奪取した。「交代メンバーが入ってから良いテンポでやれてチーム全体の勢いが上がった」(桶谷)。新しいメンバーを加えて迎えた後半31分から37分にかけては、FW陣が敵陣深くまで攻め込みBK陣がテンポよく反応するという形がはまり、3連続でノーホイッスルトライを奪う。「FWだけに固執しないでBKもバランス良く」(中村主将)攻め83―5までスコアを伸ばし、試合の幕を閉じた。
青学大戦を制したことで対抗戦3連勝となったが「ゲームの質、スコアに出ないグレーの部分でしっかり明治らしさを」と左FL近藤雅喜(商3=東海大仰星)。後に控える強豪校たちを制するためには「最初の20分フィジカルで勝負して入りを意識」(右FL田中健太・営4=大阪桐蔭)できるかがカギを握る。激しいメンバー争いを勝ち抜いた選手たちによる、さらなる活躍が楽しみだ。
[江原璃那子]
1.PR | 祝原涼介(情コミ1=桐蔭学園) | 9.SH | 三股久典(政経2=佐賀工)→21.浜野(後半16分) | 16 | 佐藤公彦(法3=明大中野)←2.中村(後半23分) | |
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2.HO | 中村駿太(商4=桐蔭学園)→16.佐藤公(後半23分) | 10.SO | 田村熙(営4=国学院栃木)→22.堀米(後半23分) | 17 | 植木悠治(政経4=常翔学園) | |
3.PR | 吉岡大貴(農2=日向)→18.田代(後半30分) | 11.WTB | 林祥太郎(文3=常翔啓江光学園) | 18 | 田代頌介(政経1=秋田工)←3.吉岡(後半30分) | |
4.LO | 古川満(商2=桐蔭学園) | 12.CTB | 梶村祐介(政経2=報徳学園) | 19 | 東和樹(政経4=京都成章)←6.近藤(後半30分) | |
5.LO | 小林航(法4=明大中野八王子) | 13.CTB | 松浦康一(政経4=佐賀工)→23.尾又(後半16分) | 20 | 桶谷宗汰(営3=常翔学園)←8.松橋(後半16分) | |
6.FL | 近藤雅喜(商3=東海大仰星)→19.東(後半30分) | 14.WTB | 紀伊浩太(文4=日川) | 21 | 浜野達也(文3=西凌商)←9.三股(後半16分) | |
7.FL | 田中健太(営4=大阪桐蔭) | 15.FB | 成田秀平(営3=秋田工) | 22 | 堀米航平(商2=流経大柏)←10.田村(後半23分) | |
8.No.8 | 松橋周平(政経4=船橋)→20.桶谷(後半16分) | 23 | 尾又寛汰(商3=国学院栃木)←9.松浦(後半16分) |
試合後のコメント
HO中村駿太主将(商4=桐蔭学園)
「今日はミスが多かった。試合開始20分で勝負を決めようと言っていたが青学大の良いディフェンスで受けに回ってしまった。そこを修正したいと思う。防げるトライだったので次はそういうことが無いようにしたい。(帝京大は青学大に2トライ取られているが)明治と帝京は違うから関係ないと思う。BKの精度が上がってきているからFWだけに固執しないでBKもバランス良く攻めていきたい。練習中からコミュニケーションが良く取れている。試合内容に満足はできない。ミスの多さもあったし、最初の20分をしっかりやることや最後までやり切るということができなかった。油断したとかはない。きつい練習をして疲れも残っている中で試合をしているから、言い訳になってしまうがその影響も少なからずあるのかなと思う。もっとセットピースでプレッシャーをかけるということと簡単なミスをしないように準備していきたい。11月15日の帝京大戦に向けて、試合や練習を重ねていきたい」
右PR吉岡大貴(農2=日向)
「チームとしてフォーカスしていたのはゲームの入りだったので、その面では、スクラムで圧倒できなかったが、後半に向けて修復できたので良かったと思う。個人としてはディフェンスの面でBKとの連携がうまくいかなくて2回くらい抜かれてしまったので、そこは一番の課題だと思う。トライされたシーンは取られ方もあっけなくて、もっとプレッシャーをかけられる部分だったと思うので、そこでもっとファイトしていればと思う。後半良かったのは、しっかりBKも連携してトランディッション(攻守の切り替え)をしっかりして速いテンポでできたからだと思う。やっぱり案の定最初がガタガタで緊張していたが、途中スクラムでプレッシャーを与えられていたので、そこで大分緊張は取れてのびのびできたかなと思う。明治がフォーカスしているのは帝京大で、そこまでにいかに自分たちのラグビーを続けて信じてやっていくかでその中でもたくさん課題や修正点は出てくるので、そこをしっかり修正して自分たちのゲームができるかだと思う。明治の強みのFWから相手にプレッシャーをかけていきたい。個人的には、スクラムとラインディフェンスの連携が取れていないのでそこが一番のポイントだと思う」
左LO古川満(商2=桐蔭学園)
「スコアされたのがFWのモールのところからで、自分と小林さん(航・法4=明大中野八王子)でコミュニケーション取って上で競って下でも激しく競るということを目標にしていたが、下の入りのところで爆発的な押しができなかった。そこでスコアされたので課題として残ってしまった。明治のFWとして出させてもらったのに、FWで取られてしまったので悔しい。前半ブレイクダウンでプレッシャーをかけられなくて、後半の前にFWでどんどんかけていけとコーチから指示が出た。後半に関しては攻めて出てしまったペナルティーなのでそこまで悲観的になることではないと感じている。精度を上げていかなければいけないなと思う。(相手プレーの印象は)FWの近場の部分に一人で飛び出してくる部分が多くて、前半は出だしというところに苦労してしまった。ただ後半からFWで一個ワンパスをつなぐとか練習でやってきたことをコミュニケーション取れて、試合中に改良できたのはよかったのかなと思う。来週の日体大戦もFWでどんどん優位に立ってフィジカルの部分でエネルギーを与えられるように、ゲームの入りのところかからしっかりやっていきたい。(トライの場面は)内側に駿太さん(中村主将・商4=桐蔭学園)がいたので、絶対にパスであけてくれると思っていた。そこでコミュニケーションが取れていい貰い方ができたのでよかったと思う。全体としては近場で貰う機会が少なかったので、外で余ってもらうということが多かった。試合終盤になってFW、BK一体となってトライを取れたのでよかったと思う。それを一試合通じてやるにはFWが前に出て味方にスペースを与える、ということが大事になってくると思う。(日体大戦に向けては)スタメンで出られるかリザーブで出られるか出られないかまだわからないが、取り敢えず一週間、今回出た課題に練習から取り組んで改善しいきたい」
右LO小林航(法4=明大中野八王子)
「前半自分たちのラグビーができなくて、ミスなどからゲインラインを突破しても相手ボールになってしまったりした。完全にミスから自分で自分の首を絞めてしまったかなと。今日は特に試合の入りを意識していたがそこの意識がまだ足りていなくて、青学大の方が気持ちが上だったと感じた。(ペナルティーは)ボールキャリーが高くて相手にボールに手をかけられたり、そういう基本的なところのミスが多かった。(終盤のトライは)相手の足が止まってきたところを一気にたたみかけた形。(相手プレーの印象は)デイフェンスチームでポイントを捨てていたが、明治のリアクションが悪くてスルーチャンネルなどができなかった。もっと前を見てやらなければいけないと感じた。(スクラムは)最初全然合わなかったが、試合が進むにつれて意識できた。終盤はかなり押せていたのでそこはよかったと思う。(日体大戦は)今日のように前半から相手のプレッシャーを受けるのではなく、開始から自分たちのラグビーで圧倒していく」
左FL近藤雅喜(商3=東海大仰星)
「試合の入りが良くなかった。それがスコアにも出ていると思う。課題としている部分がクリアできなかった。最初の20分はどこのチームも課題にしていると思うが、そこを制さないと前半相手のペースで進んでしまうので打破しないといけない。相手も対明治ということで考えてきたと思う。トライを取られたからだめとかは無いが、防げる失点だったと思う。帝京大は帝京大のラグビーをしているし明治は明治でやっている。意識はするけど何本取られたかよりゲームの質、スコアに出ないグレーの部分でしっかり明治らしさを出していかないとだめ。コミュニケーションはよく取れていたと思う。個人的にもミスが多かった。基礎的なスキルで波に乗れなかったと思う。誰もが思っていると思うが試合内容に満足していない。個人的にも良いパフォーマンスができなかった。もっと上を目指していかないとなので納得していない。アタックが課題。もっとボールキャリーをしないといけない。帝京大のことを考えるとFLにはマルジーンイラウア(帝京大)という大きい選手がいて、そこを潰す勢い、対等に戦えるような気持ちが必要だと思う。ボールキャリーを増やして強い相手にも通用するようにしたい。明治はとにかくメンバー争いが激しい。どこのポジションで出ても全力を尽くすだけ」
右FL田中健太(営4=大阪桐蔭)
「試合が始まる前に、最初の20分フィジカルで勝負して入りを意識していこうと話していた。でもFWが全くそこで勝負できなくて、相手にいいディフェンスをされてしまった。そこは今後も問題。ペナルティーが多かったのもフィジカル勝負できなかったのが原因。(モールから取られた場面は)エアーコンテストしてその後にファイトしようとしていたが、少しディフェンスの方向がバラバラになってしまい、まとまりがなかった。全体を通して相手のプレーが良かった、というは自分たちのディフェンスがよくなかった。ペナルティーなどでリズムをつかむことができなかった。自分たちに原因がある。最初から後半の特に終盤のプレーを出せていければ問題なかった。(終盤のトライ連取は)FW、BK一体となって取れたトライだったと思う。そこはよかった。僕的にはミスもなくやれたが、もうちょっとブレイクダウンをバックローとして精度を上げなければいけなかったと思う。今回の試合で問題点としと挙がった試合の入りのところを完璧にできれば日体大戦は圧勝できると思う」
No.8松橋周平(政経4=市立船橋)
「ケガから復帰して久しぶりのAの試合だった。先週は試合感が戻ってなくてもやもやしていたが、今日の試合でだいぶ戻ってきたというのは感じた。アタックがウリなので、アタックでチームに勢いをもたらすことを意識していた。今日はゲインできていたので良かった。今日の失点はFWのリアクションの悪さ。今日FWとしては妥協しないというのがテーマだった。それができていなかった分、トライを取られてしまったと思う。取られてしまったのは仕方ないが防げる失点だった。いい反省になったと考える。前半はファンダメンタルの部分でミスが多かった。そういったことを修正するということは、これから相手が強くなっていくことを考えると大事になってくる。後半の最後はメンバーが変わってフレッシュになったが、明治のやろうとしていることをそのままやっただけ。そうしたらリズムが出てきたので、前半から明治のやるべきことをしっかりやるというのを出して行かなければいけなかった」
SO田村煕(営4=国学院栃木)
「チームとしては入りが良くなかった。個人としては基本スキルのミスが多かったという印象。青学大も元気だったので、対応ができなかった。後半のリザーブメンバーがすごく良いプレーをしてくれたので、最後は良かったと思う。今年は去年に比べて試合に出ている数が少ないので、最近パフォーマンスが上がらないけど、徐々に上げていければよい。SOとFB交互にやっているので多少の違いはあるけど、そこは自分でしっかり合わせていきたい。どっちをやるかは週によるけど、どっちもできるようにしていく。松橋は強いプレーヤーで、プレーだけじゃなくてチームの雰囲気も気にしている。リーダーではないけど、そういう部分もやってくれているのでチームとしてプラスになっている。ディフェンス面はラインディフェンスでゲインされることが何回かあったけど、しょうがないと思う。トライも取られたけど、ずっと0で勝てるということはないので、しょうがないものはしょうがない。次に向けて修正できるところも見つかったので、それをプラスにしたい。練習をどれだけやってきたかというのは自信につながるし、そこはチーム全体でこだわってやっている。今のところ筑波以外は接戦がないけど、これが練習の成果と言えるのはこれからの試合が重要になると思う。続けていくことに変わりないし、積み上げは大事だと思う。今のところはちょっとずつだけど良くなっている」
左WTB林祥太郎(文3=常翔啓光学園)
「ノートライの意識はしていなかったが、今日は試合の入りがあんまり良くなかった。それが結果につながったと思う。今週来週と次の試合に向けて直していきたい。トライを取られた後に円陣を組んでいたが、そこでは切り替えようと。切り替えて次のゲームの入りを良い雰囲気で行こうと話していた。前半は特に細かいペナルティーが多かったが、入りの部分で自分を含めて体を張るのが遅かった。寄りとかもいつもの試合よりも遅かった。とにかく入りの部分に問題があった。BKではディフェンスをかなり練習していて、康一さん(松浦)や後半に入ってきた寛汰(尾又)ともコミュニケーションが取れていたので、ディフェンスは練習通りできていたと思う。自分自身ケガ明けの試合だったが汰地(高橋)や剛希さん(齊藤)が帰ってきたらまたポジション争いが激しくなる。もう上がれないと思わせるようなプレーをしていきたい」
桶谷宗汰(営3=常翔学園)
「尾又や浜野と一緒に入ったが、トライも取れたしリザーブとしての役割はとりあえず果たせた。相手がばてていたこともあるが、交代メンバーが入ってからノーホイッスルトライを挙げたりと良いテンポでやれてチーム全体の勢いが上がったと思う。今回、入りを意識しようと言われていていたが良くなかった。FWとしてはモールでトライを取られたので、次はしっかりそこを修正したい。青学大からモールで取られたのを他のチームに見られると明治はモールが弱いみたいな印象を受けると思う。モールに限らずセットプレーから8人でまとまって完成度を高めていきたい。明治から見たら格下と言われる相手でも、しっかり妥協せずに入りから集中してやりたい」
尾又寛汰(商3=国学院栃木)
「帝京大ジュニアの試合でプラン的に外でボールを運ぶということだったが、結果ボールタッチも少なく貢献できていなかった。そこがあったので今日はリザーブという立ち位置でチームに勢いを与えるということ、確実にミスの少ないプレーをするということを目標に試合に臨んだ。その2つに関してはうまくいったかなと。しっかり動いて得点にも絡めた。同期で後半から出るメンバーが多くて、試合に入ったらやっていこう、盛り上げていこうと話していた。気持ちが入って終盤一気に取れたかなと思う。(この秋の目標は)日本一を達成した舞台でグラウンドにいること。そのために求められているボールを持っているプレー、得点に絡む動きを出すためにボールタッチを増やしたい。それとSOからのコールなどで積極的にやっていきたい」
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