苦しみながらも1部残留を決める/関東学生秋季リーグ戦入れ替え戦

2015.10.12
 最後の最後まで気の抜けない戦いだった。負ければ2部降格になる一発勝負の入れ替え戦で順大と当たり、26―25で辛くも1部残留を決めた。一つ一つのプレーが互いの緊張感の高さが観客に伝わる張り詰めた空気に。一進一退の攻防となったが同点で迎えた後半27分に、ルーキー・門間優次郎(法1=法政二)が入れた1点を守り切った。

 後半29分57秒、終了まで残り3秒にもかかわらず追い付かれるかもしれない緊張感が会場全体にあった。今季リーグ戦で松本勇監督が反省点に挙げていたノーマークシュートのミスがこの日も出始め、なかなか順大を離すことができず最後まで1点を争う展開になった。そんな中でキーパー・藤本寛史(営4=法政二)がチームを救った。
 先輩として負けたくない気持ちを全面に出した。順大のキーパーは藤本の後輩。藤本は「中学の後輩だから負けられない」気持ちと「明治の後輩に2部落ちという負の置き土産を残してはいけない」気持ちを重ねながら臨んでいた。後輩がノーマークシュートを止める中、藤本も負けじと何本もサイドシュートをはじき返し「今日は寛史がよく当たっていたから勝ったようなもの」と松本監督に言わしめる活躍を見せた。

 貴重な決勝点をマークした。右サイドを任された門間が25―25で迎えた後半27分に鮮やかなシュートを放った。ルーキーでありながらこのプレーができたのには入念な準備にある。「入れ替え戦で負けるのは絶対に許されないので技術的なことよりも気持ちを意識して、気持ちで押し負けないような練習をしてきた」と門間が言うように精神面の強化を図ってきた。この努力が結果に結び付き「本当に最高だった。回ってきたら絶対に決める気持ちがあったので決められて良かった」と門間は喜びをあらわにした。

 2部降格のショックを免れインカレに臨むことができた。ただ、リーグ戦での反省点は今も背負ったままだ。池田稔主将は「練習の短い時間で1日1日を大切に。これに尽きる」と話した。この1カ月、4年生としての意地をどこまで見せられるかがカギとなる。
 
[吉田周平]

試合後のコメント
松本監督

「疲れたよ。4年生が相変わらずだらしない。4年生が4年生のしっかり仕事してくれないからあんなことになる。今日は寛史がよく当たっていたから勝ったようなものでキーパーがあれだけ取れなかったらやられていた。(得点が)26点だから。26点じゃノーマークシュートをあれだけ外してもうリーグの課題をそのまま背負ったまま。リーグの課題は何だったのかというと一番は駿河台大に負けた時もそうだがノーマーク外してこういう結果になっているということ。そこをいつも練習で一生懸命話しているがちょっともう一回きちんとしないと。30点取れないようなチームだと今のハンドボールでは勝てない。もっと吉野以外での得点を多くしないと来季に向けても。門間は最初ノーマークを外したけど決勝点を入れた。1年生なんだから多少はプレッシャーがかかっているけどそこはもうちょっと4年生が意地を出してくれないと。練習が足りないからリーグ終わってからやらせているのだが気持ちはあるようだがどうもやっぱりチームの中できちんと言うことをやるというイメージだからまあインカレどうなるのか」

池田主将
「ほっとした。取りあえず最悪の落ちるということはなかったので。今日の試合はシュートミスと退場で流れに乗れなかった。インカレでこれをやったら一つも勝てないで終わるので、自滅しないようにあと1カ月練習から意識していく。4年生はあと1カ月あるのでまだまだ上がると思う。今日は吉野(樹・政経3=市川)がマンツー付かれて、ディフェンスをブロックしてかわして吉野がボールを持ったときに周りの足が止まってしまってずれなかったりしたので、連動できるようにしたい。入れ替え戦が決まってから吉野がマンツーに付かれた状態で練習してきた。シュートまで行くことはできていたので、練習でやってきたことは出せたのかなと。あとの勝因は寛史(藤本)かな。接戦だったが、頭の中は常に冷静にいるように心掛けた。(インカレに向けて)ディフェンスのピストンをしっかり前で当たれるようにしたい。ディフェンスが当たれば寛史も当たるようになるので、ディフェンスでリズムをつくって速攻に持っていきたい。あとはミスにも厳しくやっていきたい。課題は挙げればきりがない。今日は吉野がマンツーに付かれて30点いっていないので得点力もだし、下級生もまだまだだし。でもそこは4年生がしっかりできれば良いと思っている。今日も僕のシュートミスで流れが変わってしまったところもあったし、4年生がそういうところでしっかりやればチームもうまくいくと思う。あと1カ月、4年生しだい。チームの雰囲気は悪くない。前の日にどれだけ遊んでも練習する時は練習するというめりはりをしっかりつけて練習を100パーセント集中してやるということを、俺もやるからみんなもやれと話した。練習の短い時間で1日1日を大切に。これに尽きると思う。あと1カ月精進。絶対に結果を残したいので、その気持ちを全面に出して練習に取り組んで、後輩たちを引っ張っていきたい。地元の函館でやるので絶対に負けられない。目標は優勝」

田中周平(商4=長崎日大)
「取りあえず安心はした。でもそれと同じくらい自分たちの実力がこんなものかというのが明らかになった。現時点での実力が分かったという点でも収穫はあったと思う。入れ替え戦までの2週間はずっと吉野がマンツーに付かれたときに対応して練習はしてきたが、うまく試合に出せなかったというのがセンターとしての反省。あとは結局最後のところで樹に頼ってしまったというのがチーム全体としての責任。4年生の状態は戻ってはきているが去年の秋に比べるとまだ全然戻ってはいない。そこをあと1カ月でどこまで戻せるか。伸びしろというよりは戻すことが大事だと思うので、まずはまた走り込んで戻していきたい。あとは今日シュートを外しまくったので、シュートを打ち込んでいきたい。インカレの組み合わせも出て、初戦の朝日大はリーグ戦全勝のチーム。元々優勝という目標を掲げていたので、春秋の結果だと笑われるかもしれないが、力は持っていると思うので、試合で出すことができれば上に行けると思う。まずはシュートを決めて、樹に頼らないように全員で点を取って、あとは4年生が能力を戻して臨みたい」

藤本
「勝って良かった。ただ危ない試合ではあった。元々今週は練習から調子が良くて不安はなかったけど、入れ替え戦独特の雰囲気は感じていた。後半は落ち着けてシュートが入らないなと思いながら見ていた。相手のキーパーが中学の後輩だから負けられないっていうのもあったし、明治の後輩に2部落ちという負の置き土産を残してはいけないと思っていた。自分たちが当たり前のように1部でやらせてもらって、それをなんとか残せて良かった。入替戦は妙にふわふわして、あまり落ち着かない感じ。ただ意識してきたことさえやれば勝てると思っていた。いろんな人が来てくれたりして、勝利という形で感謝を伝えたかった。自分たちが勝つと信じてやっているので、流れが良くない時間とかあっても、自分が止めて、どれだけ貢献できるかだと思っていた。最後はもう気合いなので。大したことないシュートでも止めれば声出して盛り上げて、オフェンスにつながればと思っていた。ディフェンスは前半あまり良くなくて、修正しようとしながらやる中で、そこで自分がどう動かすが大事。(最後のサイドシュートは)逆サイドの右利きは苦手じゃなくて、今日1本も入れられてなかったので取れると思っていた。サイドをあれだけ止めれば負けないことは分かったので、粘り強くやっていきたい。負けたらインカレどころじゃなかったので勝てて良かった。課題もあったので、そういった意味でもこの試合があって良かった。いいステップになった。インカレでは今日みたいな試合を繰り返して勝っていくしかない。目標は優勝」

東謙佑(法4=法政二)
「取りあえず絶対に負けられない試合だったのでひとまずは勝てて良かったかなという感じ。(4年生の練習不足ということは)やっぱり否めないがそれを理由にしちゃうのは駄目かなというのは自分たちの中であるので、できることを精いっぱいやるという感じ。(体力面は)去年よりはやっぱり落ちている。落ちているのでその分位置取りを普段より考えたりとかっていうので少しでも運動量を減らしてでも良いプレーができるように効率の良い動きができるようにした。もちろん体力を戻しながらだがそういう動きを意識した。(インカレに向けて)今回のリーグ戦もそうだったがシュートを結構外していてしまっていて、自分たちで流れを悪くするっていう場面が多かった。なのでノーマークシュートはもちろん、今日であったら3点差をつける場面でのシュートをもっと決めていたら多分早い段階で点数を離せて楽な展開になったと思う。だからそういった部分は練習の中で設定練習したりしてちょっと自分たちで負荷をかけながらインカレに向けてやっていこうかなと思う。(ハンドボールは)大学でも最後で、学生生活でも10年続けていたのが最後になるので悔いのないようにやりきって終わりたいなと思う」

門間
「前半代わった瞬間に自分のプレーが1回できなくなったが、後半で切り替えて自分のプレーをやりきれたので良かった。気持ちがしっかりベンチで整理できたのでそれでうまく今日はいった。(入れ替え戦に向けて)本当に入れ替え戦で負けるのは絶対に許されないので技術的なことよりも気持ちを意識して、気持ちで押し負けないような練習をしてきた。(プレッシャーは)前半は本当にいっぱいいっぱいになっちゃって全然リーグと雰囲気が違った。でも後半でしっかり自分のプレーをやっていこうと思ったのと、今までやってきたから大丈夫という自信があったので何とかなった。本当に最高だった。回ってきたら絶対に決める気持ちがあったので決められて良かった。(インカレに向けて)インカレは本当に一発勝負でシュートミスが許されないので、今回の試合もシュートミスで取れない点とかあったのでそこのシュートのミスを無くすのが課題。自分は(試合に)出たら、自分のやることをしっかりやって全てのことに感謝して、準備とかもしっかりやっておきたい」